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第7章 忘れられぬ結婚式を
64、エイブラム侯爵へご挨拶
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リリアのドレスアップの手伝いを済ませ、主賓の二人を見送ったあと、レベッカは控え室から出た。
あとは挙式が行われるまで、テイラー城の大広間で他の貴族達と待っているしかない。
アパレル店員兼スタイリストとして一仕事を終えたレベッカは、ふうと胸を撫で下ろす。
「うまくいったようだな、お疲れさま」
気がつくとそばにクロードが立っていた。
以前舞踏会用に作ったダークネイビーのタキシードを着て、銀髪をきっちりと整えている。
「ええ、リリア様も喜んでくださって良かったです」
「君の見立てなら間違いないだろう」
クロードは目を細めて優しく微笑むので、レベッカもつられて笑った。
「……今日のドレスも似合っている」
高い背を屈めて、そっと耳元でクロードが囁く。
今回のドレスは、ブルベ冬の自分の肌質と、真紅の髪に合うロイヤルブルーにした。
Vカットで大胆に肩を出しているが、下品にならないよう大粒のネックレスで飾り、スタイルを良く見せるためにウエストはしっかり絞ったタイトなドレスだ。
「気に入ってもらえて嬉しいですわ」
ダークネイビーとロイヤルブルーで、お互い青系の服で揃えたのも、パートナー同士でいいなとレベッカは思った。前世でいうところのペアルックや双子コーデのようだ。
円卓にドリンクや軽食が置かれ、貴族出身の優雅な人々が行き交っている。
由緒正しきライネル家出身のクロードは、あそこにいるのは有力な貴族の家系とか、屈強な体格の人は騎士団長だとか、あの男性は傲慢で態度が悪いから気をつけろ、とか説明や忠告をしてくれた。
人の顔を覚えるのが苦手なレベッカが、覚えねばと頷いていたら、
「レベッカ、ここにいたのか!」
と後ろから声をかけられた。
振り向くと、初老の男性がとことこと歩いてくるところだった。
「お父様、いらっしゃっていたのですね」
白髪をしっかりと固めて、小柄で恰幅のいい男性は、レベッカの実の父親のウィル・エイブラム侯爵だ。
前世でプレイしていた時はユリウスルートの結婚式の際に少し見られるだけのレアキャラだが、先日自分の店に並べ、レンタルに出す服を取りに屋敷に帰った際に初めて対面した。
とても穏やかで、常にニコニコしており、一人娘のレベッカを可愛がっているのがわかる父親だ。
「こう人が多いと迷ってしまうな。おや、そちらの青年は?」
愛娘の横に寄り添っている銀髪の青年は誰だろうと、父上が視線を向けた瞬間、クロードは一瞬で背筋を伸ばし胸に手を当て敬礼をし、頭を下げた。
一切の無駄のない、美しい動作だ。
「ご挨拶させてください、エイブラム侯爵。私はクロード・ライネルと申します」
深々と頭を下げ、よく通る低い声で名乗るクロード。
「おお、ライネル公爵の息子さんか。若い頃のお父上にそっくりだなぁ」
ほっほっ、と恰幅の良い体を揺らし、愉快そうに笑うエイブラム侯爵。
どうやら社交界でクロードの父上とは昔からの知り合いのようだ。
かしこまらなくていいよ、頭を上げておくれという父上の言葉に、はい、と返事をしてクロードが体を起こす。
「実は、この場をお借りしてご挨拶したいのですが……」
そこまで言って、クロードはちらりとレベッカに視線を向けた。
おそらく、この前話したことを言っていいかという合図だろう。
レベッカも覚悟を決めているため、小さく頷く。
あとは挙式が行われるまで、テイラー城の大広間で他の貴族達と待っているしかない。
アパレル店員兼スタイリストとして一仕事を終えたレベッカは、ふうと胸を撫で下ろす。
「うまくいったようだな、お疲れさま」
気がつくとそばにクロードが立っていた。
以前舞踏会用に作ったダークネイビーのタキシードを着て、銀髪をきっちりと整えている。
「ええ、リリア様も喜んでくださって良かったです」
「君の見立てなら間違いないだろう」
クロードは目を細めて優しく微笑むので、レベッカもつられて笑った。
「……今日のドレスも似合っている」
高い背を屈めて、そっと耳元でクロードが囁く。
今回のドレスは、ブルベ冬の自分の肌質と、真紅の髪に合うロイヤルブルーにした。
Vカットで大胆に肩を出しているが、下品にならないよう大粒のネックレスで飾り、スタイルを良く見せるためにウエストはしっかり絞ったタイトなドレスだ。
「気に入ってもらえて嬉しいですわ」
ダークネイビーとロイヤルブルーで、お互い青系の服で揃えたのも、パートナー同士でいいなとレベッカは思った。前世でいうところのペアルックや双子コーデのようだ。
円卓にドリンクや軽食が置かれ、貴族出身の優雅な人々が行き交っている。
由緒正しきライネル家出身のクロードは、あそこにいるのは有力な貴族の家系とか、屈強な体格の人は騎士団長だとか、あの男性は傲慢で態度が悪いから気をつけろ、とか説明や忠告をしてくれた。
人の顔を覚えるのが苦手なレベッカが、覚えねばと頷いていたら、
「レベッカ、ここにいたのか!」
と後ろから声をかけられた。
振り向くと、初老の男性がとことこと歩いてくるところだった。
「お父様、いらっしゃっていたのですね」
白髪をしっかりと固めて、小柄で恰幅のいい男性は、レベッカの実の父親のウィル・エイブラム侯爵だ。
前世でプレイしていた時はユリウスルートの結婚式の際に少し見られるだけのレアキャラだが、先日自分の店に並べ、レンタルに出す服を取りに屋敷に帰った際に初めて対面した。
とても穏やかで、常にニコニコしており、一人娘のレベッカを可愛がっているのがわかる父親だ。
「こう人が多いと迷ってしまうな。おや、そちらの青年は?」
愛娘の横に寄り添っている銀髪の青年は誰だろうと、父上が視線を向けた瞬間、クロードは一瞬で背筋を伸ばし胸に手を当て敬礼をし、頭を下げた。
一切の無駄のない、美しい動作だ。
「ご挨拶させてください、エイブラム侯爵。私はクロード・ライネルと申します」
深々と頭を下げ、よく通る低い声で名乗るクロード。
「おお、ライネル公爵の息子さんか。若い頃のお父上にそっくりだなぁ」
ほっほっ、と恰幅の良い体を揺らし、愉快そうに笑うエイブラム侯爵。
どうやら社交界でクロードの父上とは昔からの知り合いのようだ。
かしこまらなくていいよ、頭を上げておくれという父上の言葉に、はい、と返事をしてクロードが体を起こす。
「実は、この場をお借りしてご挨拶したいのですが……」
そこまで言って、クロードはちらりとレベッカに視線を向けた。
おそらく、この前話したことを言っていいかという合図だろう。
レベッカも覚悟を決めているため、小さく頷く。
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