パーティー全員転生者!? 元オタクは黒い剣士の薬草になる

むらくも

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03_職業ガチャの敗北

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 テストと適性検査の結果を待ちながら、ボブ氏おごりのポテチっぽい芋フライをつまむ。しばらくすると奥からメアリさんが出てきた。

 ……何か顔が強張ってる。
 嘘だろ、そんなテストの結果悪かったんだろうか。一応元受験生の意地とプライドをかけて解いたのに。
「コータ君、だったわね?」
「は、はい……」
「凄いわ、正答率が八割よ」
「…………はい?」
 ざわっとその場がざわついた。
 え、これ何? 褒められてる? 怒られてる? どっち??
 困惑する俺に、お姉さんは興奮気味にずいっと身を乗り出してくる。
「冒険者の筆記テストは四割程度が平均なのに。凄いわね貴方」
「いや平均四割は低くないすか」
 百点満点で四十点だったら赤点じゃないのか。そう思って口から素直な感想が転がり落ちてしまった。
 すると、周りから「アァ?」とドスの効いた声がやまびこみたいに響いてくる。何事かと振り向いた先には、殺気立った顔って表現がぴったりの冒険者ムキムキ集団が俺を睨んでいた。
 あ、そうか、魔法使いぽい人達以外は運動全振り集団なんだなコレ。多分めちゃくちゃ失言したな俺。

 今にもぶん殴られそうな雰囲気に最悪死を覚悟していると、ぱんぱんとメアリさんの手が大きな音を立てた。
「続きを話していいかしら?」
 あんだけ威嚇してたくせに、メアリさんには一瞬で顔がデレッデレになって頷いている冒険者集団。同性ながら男ってちょろいなって思ってしまった。
「テストの結果は問題なしよ。君の職業だけれど」
 ……ちょっと緊張してきた。
 俺は運動得意じゃないから前衛って事はないだろうけど。ないよな。前衛は怖いから後衛がいいぞ。そんな頭良くないけど魔法使いとかがいいな。
 そわそわした気持ちで結果発表を待っていると、メアリさんはふーっとひとつ息をついて。
 しーん、と沈黙が落ちた。

 

 
 いや、タメすぎだから。


 
「僧侶ね」
「よっしゃ後衛!」

 ん? ちょっと待て。
 
「え、今……なんて??」
「僧侶ね」
 いや、まんま同じ事言ってくれって事じゃなくてですね。
 僧侶って何。仏教もキリスト教もイスラム教も信仰してないし、神道すら関わりないぞ。いや行事としては関わってるけどな。そういう行事だけエンジョイ勢の無宗教な日本人の典型なんだけど。
 それが何で神様拝む僧侶? この世界の僧侶は地球と違う意味なのか。
「まさかうちのギルドから僧侶が出るなんて。君、神殿の子だったの?」
 ……神殿って単語が出るってことは、多分ガッツリ地球と同じ意味だよなぁ……。
「いや、何も関わり無いっすけど……そんな珍しいんすか」
「もちろんよ。神の奇跡たる治癒魔法の使い手だもの。神殿で修行をして神に認められてのみ、身につける事が出来ると言うわ」
「僧侶は神殿にしか居ないから、お前みたいに野良なのは見かけないな」
 話をしてるメアリさんとボブ氏だけじゃない。周りの冒険者一同が興味津々な顔でこっち見てる。僧侶ってだけでまさかの珍獣扱いだ。

「あの、僧侶の攻撃手段って」
「杖で殴る」
 僧侶かどうかが全然関係ねぇ――!
 いっそ農作業やってる村人の方が鎌とか持ってて強そうじゃん。僧侶ってもはや職業名の付いた村人Aじゃん。
「こ、攻撃する魔法とかって」
「それは魔法使いのスキルね。聖女なら別かもしれないけれど」
 この世界に疎いオレでも分かる。
 聖女はどう考えても僧侶の上級クラスのやつだ。男なら賢者とか聖者とかになる別格すぎるやつだ。
 そりゃ僧侶は回復職だけど。初級の魔法とか神聖力的な攻撃手段ないのかよ、レトロゲーかよ。
 こういう回復職ってネトゲだと大体、ソロプレイするには難易度高いやつだよな……。
 
 異世転生職業ガチャの敗北が濃厚になってきて、じわじわ頭痛がしてきた。
「それで、どうする? 戦闘技能はあるし冒険者登録しておく?」
「ちなみに、登録しないの選択肢を選んだ場合は……」
「ギルドで村のお手伝いをして貰うわ。君は記述もしっかり書けるみたいだし、受付のお手伝いでもいいわね」
 人手がなくて困ってるのよねぇ~とにっこり笑うメアリさんの横で、ボブ氏はやめとけと首を振っている。
 安心してくれ、クラス底辺でのんびり生きてたオタクに接客業は難しい。しかも見るからに体育会系な冒険者相手って無理すぎる。
 そもそもこの世界のシステムとか常識とか、知らないことが多すぎて。どれだけ唸って考えてみても他の選択肢がない。
「うぐ……登録で、お願いします……」
 帰る方法を探すなら、見つけられた村の外近くにヒントがある可能性が高い。考えたくないけど、向こうで死んで帰れないなら尚更、取れる選択肢は色々ある方がいい。
 
 まずはレベルと人脈を手に入れなければと、ぐるぐる混乱してる頭に何とか言い聞かせたのだった。
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