魔法少女はまだ翔べない

東 里胡

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七月一日金曜日 晴天「優しさ日和」

7/1③

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「もしかして、友達いなかったのか?」
「あ、イジメられてるとか、そういうのじゃないから! 親しい人もいなかったけど、別にイジワルされてるわけでもなかったし。ただ、この時期の転校はマズかった気もする。ちょっとずつ距離が縮んでくるじゃない? 毎日一緒の教室にいたら」
「わかんねえなあ、だって、俺らずっと小学校の時から同じクラスだし。あ、でも」
「うん?」
「お前との距離はやっぱちょっと縮んだんじゃねえ? 俺もだけど、皆も。おまえも馴染んできてない?」

 ふと元の中学のことを思い出しながら、今のクラスと比べてみた。
 確かに、そうかも!
 カノンちゃんみたいに、気にかけてくれる人もいなかったし、こうしてキラみたいに気軽に話せる男友達もいなかったし。
 アンちゃんみたいにケンカまでしちゃうほど、私のことを気にする人もいなかった。

「そうだね、馴染んできちゃったかも」

 ここ数日、早く学校に行きたいなって、そればかり思ってた。
 私が熱でうなされている間に、キラ経由で差し入れられたカノンちゃんやアンちゃんからの手紙はほぼ毎日。
 アンちゃんなんか、やっぱり素直じゃないから。

『今日の学習した範囲、それとノート。キラリがいないと張り合いがないので、早く良くなって出てきてね』

 なんて、いつの間にか私のこと呼び捨てにしてライバル視してると見せかけて、見やすいように重要な部分にマーカー引いたりしてノート取ってくれるツンデレな優しさに嬉しくなったりして。

「二学期始まっても、しばらくはいられるんだっけ?」
「多分、ね。ママの退院と合わせてになるんじゃないかな」
「だったら、夏休み中はずっとこっちにいられんだな?」
「うん!」
「覚悟しとけよ? おまえん家の駄菓子屋、必ず毎日誰かしら来るからな? 去年までは、そのまま俺ん家に来て皆ダラダラしてたり連れ立って海に泳ぎに行ってたりしたからな? お前も毎日のように連れまわされるぞ」
「……楽しそう」

 キラの話を聞いた瞬間、心の声が漏れ出てしまった。
 だって、そんなの小学生の時ですらなかった。
 毎日、友達と遊ぶ? 海とか行っちゃうの?

「キラ、私ね」
「ん?」
「泳ぎは得意なの、ずっとスイミング通ってたし」
「それ、プールだろ? 俺は小さい時から海で泳いでたからな? おまえには負ける気がしねえ」

 ニヤリと不敵な笑みを浮かべたキラに、私も絶対負けないとライバル宣言。
 いつの間にかノビルがフリスビー咥えたまま、そんな私たちの間に来て座った。

「ん? あれ? 今何時?」
「あ、ヤバイ、もう六時半過ぎたかも」

 普通に平日だったことを思い出して、帰りは少しだけ早足で戻った。
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