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九月一日木曜日 日本晴れ「新しい日々」
9/1②
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ざわめく教室の中、顔をあげたら知ってる顔が、思いきりふくれ面をしていた。
「信じられない! 信じられない! もう会えないかもって思ってた!!」
悪態つきながらも、涙目のアン。
「セーラー服も似合うよ、キラリ! ありえない登場の仕方でビックリしたけど」
カノンは呆れたように笑って、おかえりと顔をゆがめた。
キラだけは、そっぽを向いてる。
私は勝手にキラの隣にある空っぽの自分の席に向かっていく。
☆☆☆
「そんなに、おばあちゃんと住みたいの? 保と一緒に住むのが嫌なんじゃないの?」
沢田さんが帰った後も深夜まで話し合いが続いた。
「違うよ、沢田さんは楽しいから好き。ママとケンカになっても、きっと仲裁してくれるし。そういう意味では、私にも必要な人だと思う」
「なら、」
「東京にはいなかった、本当の友達ができたの。親友だなって思える人たちも。早起きして、ノビルと散歩も楽しいし。夏は、毎日のように海で泳いだり。あ、流し素麺や庭でバーベキューしたり、手持ち花火もしたんだよ」
「そっか、キラリはそういうことしたことなかったもんね。私は、田舎に住んでいながら、そういうのが苦手でさ。泳ぐと日焼けして痛くなるし、バーベキューの煙の匂いが服につくのも嫌だし、近所の人が馴れ馴れしいのも苦手で」
『おばあちゃんにはおばあちゃんの。希帆には希帆の。キラリにはキラリのそれぞれの人生があって。皆違っていいんだから』
おばあちゃんの言葉に妙に納得した。
きっと、ママの性格をおばあちゃんは理解してたんだ。
「キラリは、そういうのが合ってたんだね」
「そうだと、思う。あと、」
「魔法も?」
ママの声が少し悲しそうで素直に頷けないでいたら。
「ごめんね、魔法を止めて、なんて言って。魔法を続けるのも、続けないのも、キラリが決めるべきなのに。……嫉妬したのよ、キラリに。ママが二年経ってやっと使えるようになった水のトンネルを、短期間でマスターしてたんだもの。おばあちゃんも嬉しそうに褒めてるの見て、悲しくなった。私の時はずっと困ったような顔してたくせに、って」
「でも、ママ? ママの特技魔法の雷の書は最後の最後、全部魔法をマスターした人じゃなきゃ開けない高等魔法だよね? おばあちゃん、言ってた。あのまま、ママが修行を続けてたら、絶対にすごい大魔女になったって」
「うそ? そんなわけ」
グスッと鼻を啜ったママが俯いて、それからハハッと笑った。
「ママね? キラリが、カモメになって、おばあちゃんと一緒に病室の窓まで来てくれた時、すっごい勇気が出たんだよ。ああ、絶対元気にならなきゃって。キラリは生き物系の魔法が得意なんだね。素敵だね」
ああ、やっぱりあの時ママは、私がカモメになって会いに行ったの気づいてたんだ。
ママはギュッと私を抱きしめた。
それから、私の小指に自分の指をからめる。
「約束して、キラリ。一か月に一度は顔を見せにきて? あと、毎日メッセージして? 冬休みや夏休みは時々はこっちに帰ってきてね?」
「あ! 待って、そうじゃない!」
「は?」
「ママが来てほしいの! 私とおばあちゃんに会いに。沢田さんに連れてきてもらって? で、時々は流し素麺に付き合ってほしいの。あと、ノビルの散歩にも。おばあちゃんの畑も一緒に行こう? 私、おばあちゃんとママが笑い合ってるの見るのが大好きなの。いつか、皆で旅行するんでしょ? 特別に沢田さんも連れて行こうよ、あ、ノビルも」
あの日、枕を並べて三人で眠った日の、ママのやりたかったこと。
ママの小指に指切りゲンマン。
その瞬間、ママは声をあげて号泣して、私を強く強く抱きしめた。
その翌日、夏休み最後の夕方に沢田さんに送ってもらった。
「おかえり、キラリ」
尻尾を振ったノビルと一緒に、出迎えてくれたおばあちゃんは、大事にとっておいてくれたママの制服を出してくれていた。
それを魔法で新品同様にしてくれる。
試着し、クルンと回って見せた私を見て。
「よく似合うね」
おばあちゃんの嬉しそうな声に、ノビルはとってもご機嫌だった。
☆☆☆
「信じられない! 信じられない! もう会えないかもって思ってた!!」
悪態つきながらも、涙目のアン。
「セーラー服も似合うよ、キラリ! ありえない登場の仕方でビックリしたけど」
カノンは呆れたように笑って、おかえりと顔をゆがめた。
キラだけは、そっぽを向いてる。
私は勝手にキラの隣にある空っぽの自分の席に向かっていく。
☆☆☆
「そんなに、おばあちゃんと住みたいの? 保と一緒に住むのが嫌なんじゃないの?」
沢田さんが帰った後も深夜まで話し合いが続いた。
「違うよ、沢田さんは楽しいから好き。ママとケンカになっても、きっと仲裁してくれるし。そういう意味では、私にも必要な人だと思う」
「なら、」
「東京にはいなかった、本当の友達ができたの。親友だなって思える人たちも。早起きして、ノビルと散歩も楽しいし。夏は、毎日のように海で泳いだり。あ、流し素麺や庭でバーベキューしたり、手持ち花火もしたんだよ」
「そっか、キラリはそういうことしたことなかったもんね。私は、田舎に住んでいながら、そういうのが苦手でさ。泳ぐと日焼けして痛くなるし、バーベキューの煙の匂いが服につくのも嫌だし、近所の人が馴れ馴れしいのも苦手で」
『おばあちゃんにはおばあちゃんの。希帆には希帆の。キラリにはキラリのそれぞれの人生があって。皆違っていいんだから』
おばあちゃんの言葉に妙に納得した。
きっと、ママの性格をおばあちゃんは理解してたんだ。
「キラリは、そういうのが合ってたんだね」
「そうだと、思う。あと、」
「魔法も?」
ママの声が少し悲しそうで素直に頷けないでいたら。
「ごめんね、魔法を止めて、なんて言って。魔法を続けるのも、続けないのも、キラリが決めるべきなのに。……嫉妬したのよ、キラリに。ママが二年経ってやっと使えるようになった水のトンネルを、短期間でマスターしてたんだもの。おばあちゃんも嬉しそうに褒めてるの見て、悲しくなった。私の時はずっと困ったような顔してたくせに、って」
「でも、ママ? ママの特技魔法の雷の書は最後の最後、全部魔法をマスターした人じゃなきゃ開けない高等魔法だよね? おばあちゃん、言ってた。あのまま、ママが修行を続けてたら、絶対にすごい大魔女になったって」
「うそ? そんなわけ」
グスッと鼻を啜ったママが俯いて、それからハハッと笑った。
「ママね? キラリが、カモメになって、おばあちゃんと一緒に病室の窓まで来てくれた時、すっごい勇気が出たんだよ。ああ、絶対元気にならなきゃって。キラリは生き物系の魔法が得意なんだね。素敵だね」
ああ、やっぱりあの時ママは、私がカモメになって会いに行ったの気づいてたんだ。
ママはギュッと私を抱きしめた。
それから、私の小指に自分の指をからめる。
「約束して、キラリ。一か月に一度は顔を見せにきて? あと、毎日メッセージして? 冬休みや夏休みは時々はこっちに帰ってきてね?」
「あ! 待って、そうじゃない!」
「は?」
「ママが来てほしいの! 私とおばあちゃんに会いに。沢田さんに連れてきてもらって? で、時々は流し素麺に付き合ってほしいの。あと、ノビルの散歩にも。おばあちゃんの畑も一緒に行こう? 私、おばあちゃんとママが笑い合ってるの見るのが大好きなの。いつか、皆で旅行するんでしょ? 特別に沢田さんも連れて行こうよ、あ、ノビルも」
あの日、枕を並べて三人で眠った日の、ママのやりたかったこと。
ママの小指に指切りゲンマン。
その瞬間、ママは声をあげて号泣して、私を強く強く抱きしめた。
その翌日、夏休み最後の夕方に沢田さんに送ってもらった。
「おかえり、キラリ」
尻尾を振ったノビルと一緒に、出迎えてくれたおばあちゃんは、大事にとっておいてくれたママの制服を出してくれていた。
それを魔法で新品同様にしてくれる。
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