魔法少女はまだ翔べない

東 里胡

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九月一日木曜日 日本晴れ「新しい日々」

9/1①

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「皆さんも覚えていると思いますが、九月より柴田希星さんがこのクラスに戻ってこられました。是非また交流を深めていって下さいね」

 先生の紹介に、教室中がざわついていた。
 ドキドキしながら、私はスカートのプリーツを両の手でギュッと握って呼吸を整える。

「あ、改めまして、どうぞよろしくお願いいたします!」

 大きくお辞儀をしてゆっくりと頭を上げた。





☆☆☆

 八月の末には戻るからね、また会おうね。
 結論からいうと、キラ、カノン、アンとのその約束を私は破ってしまった。
 うちのママとの戦いが八月三十日まで長引くだなんて思ってもなかったんだもの。

 ママは、魔法を止めて、とはもう言わなかった。
 それと、おばあちゃんと会うな、とも。
 だけど、ママの考えとしては、やはり私を私立の中高一貫校に戻し東京で二人暮らしを続けたいと言う。
 十月には、ママも職場復帰をするから、また二人で頑張ろうと。
 
 私は奥の手を使うことにした。
 だって、絶対納得のいかない人がもう一人いる。
 母娘だけの話し合いの場に、私が呼び出したのは、沢田さんだった。
 沢田さんの登場に、ママはただ目を見開き『なぜ、ここに来た?』と詰め寄っていきそうだったから、口早に言いたいことを伝えた。

「沢田さん、来てくれてありがとうございます! 早速なんですが、ママとの結婚をもう一度考えてくれませんか? とってもワガママだし、短気だし、子供っぽいけど、すごく素直だしちょっと美人だし、年よりも若く見えるでしょ? 料理は下手だけど、掃除は得意! あ、出しっぱなしにしてると、大事な書類とか捨てられちゃうからそれは注意してね?」
「キラリ!? あんた、一体何言い出してるの! 保とは、もうとっくに」
「ボクは納得してないよ、希帆さん。勝手に別れたつもりでいたかもしれないけれど、こっちはそのつもりなかったし。大体、希帆さんの愚痴に誰が付き合うの? キラリちゃん? いや、それは可哀そうでしょ? ボクしかいないじゃん? ボクにしときなよ? あ、こう見えて料理は得意だから任せて?」

 ブイッと大きなピースサインを出して笑う沢田さんに、私もピースで笑い返す。

「ふつつかな母ですが、どうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ頼りない新米パパにならせていただきますが、どうぞよしなに」
「っ、あんたたち、一体なんなの? 当の本人抜きで何の話してんのよ!!」

 こんな感じでママが嬉し涙になるまで二人で説得すること、真夜中まで。
 二日目以降は、今度は私の考えをぶつけることにした。
 が、味方にしたはずの沢田さんが、まさかママ側につくとは思わず。

「どうして? やっぱりキラリちゃんは、希帆さんとボクが結婚するのを反対して?」
「ほら、やっぱり……、結婚なんかしない方がいいんじゃない?」
「そうじゃなーい!! ちゃんと、話しを聞いて? 大事な話だから三回言います! ママも、頭ごなしに反対しないで?」

 最終的に、私の案が通るまで、時にはおばあちゃんに電話して知恵を借りて見たりね?
 わかってもらえるまで、本当に本当に時間がかかったから、夏休みの間に、キラたちに会うことができなかったんだ。

☆☆☆
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