約束の未来~Re:set~

東 里胡

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第四章 許されないことだとしても

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 学校での宵は、とにかく女の子にもてる。
 碧とは違って態度も柔和だし入学から一体何人から告白されたのか。
 決して嫌味ではなく、女の子全般に対して紳士なのだ。
 保育園での宵もそうだ。
 女子と言う女子に優しいから、勿論先生たちからも子供たちからもモテモテだ。
 そしてどちらの宵もとにかく楽しそうに笑っている。

「最近、紅ちゃん、オレのことめちゃくちゃ見てるでしょ」

 碧は今日、お父さんと一緒にお母さんのお墓参りに行くとのことで学校から真っすぐ帰って行った。
 そんな日に限って宵は私との距離を縮めてくるから困ったものだ。
 ピタリとひっついてくるから歩きずらいというのに、睨み上げたら嬉しそうに笑っているから怒る気も失せる。

「ねえ、何で? なんで、そんなにオレのこと見てるの? もしかして、ちょっとは気になってくれてる?」
「なってません、なりません」

 いつもの通りはぐらかす。
 でも気になっているのは確かだ。
 とにかく私の見ている、知っている宵はいつも明るくて、碧の言っていたように一族をまとめていっているような人には、見えないのだ。

「碧くんに何か聞いたんでしょ? この間から何か変」
「変って、別に何も」
「紅ちゃんが優しくなった」
「っ!!」

 優しくしたつもりはなかったけれど、私そんなにわかりやすかった?
 昔のようにポーカーフェイスでいられるような私じゃなくなっていて、動揺は顔にすぐに現れる。

「そんな風に同情するなら紅ちゃんの愛を頂戴」

 ズイッと覗き込んだ宵の顔の近さにあの日、印を付けられたことを思い出してサッと額を隠したら、クスリと微笑まれた。

「なんて、ね。でも、ちょっとだけ」

 ちょっとだけ、抱きしめさせて――。
 そんな声が耳元で聞こえたすぐ後で、宵の腕の中に閉じ込められた。

「ちょ、宵っ!!」
「ちょっとだけ、何もしないから暴れないで」

 お願い、と言われてしまうと、絶対に嫌だと言えない自分がいた。

「絶対、何もしない?」
「しない」
「一分だけだよ」
「せめて三分にしてよ」

 クックックと耳元で聞こえる宵の声が妙に色っぽくてしまった、と思ったりしたけど仕方がない。
 今日だけは少し我慢してあげる。

「オレね、まだ未熟なの。世間知らずだし、何もできないのにさ。どうしようね、リーダーみたいな柄じゃないんだよ、本当は」

 笑いながら、だけどその声は悲しそうで、私はただ宵の話を聞いてあげようと思った。

「紅ちゃんを手に入れたらきっと一族のためにもなるし、自分にも自信がつくってそう思ってたんだけど」
「私は政治の道具じゃないよ」
「そうなんだよね、だから困ってる。紅ちゃんと一緒に過ごしている内に道具としてじゃなくって。……、女の子として好きになっちゃってるから」

 宵の言葉にハッとして腕の中から抜け出そうとしたのに、

「何もしないから!!後二分だけ、こうしていて」

 強い力で抱きすくめられて抜け出せなくて力を抜いた。

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