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第四章 許されないことだとしても
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「宵、私は」
「わかってる、紅ちゃんはここに残りたいんでしょ」
頷いた私に宵は、もう一度小さな声でわかってる、と自分自身に言い聞かせているようだ。
「たださ、初めてなんだ。誰かを好きになるってこと。紅ちゃんはどうかわかんないけれど、時空界の一族ってさ、そういう恋愛感情って人間よりもドライであまり感じないのに」
……何となく、わかるかもしれない。
私の一度目の人生なんか酷いものだった。
そういった感情がただの一度も湧かなかったんだもの。
「オレにとってはこういう気持ちが持てたことが奇跡みたいで。この先紅ちゃん以外の誰かをこんな風に思えるのかもわかんないし、自分の気持ちを大事にしたいのね。だから諦めないよ」
「宵、もう二分経った」
「ううん、後三分あるよ」
「増えてるじゃん」
「違う、止めてるの」
クスクス笑った宵の腕の中で時計の針を確認したらそれは動きを止めていて、きっと今頃、時間停止《これ》を感じている碧は、めちゃくちゃ怒っているだろうなって、その顔を想像してため息をついた。
「いい加減離さないと碧に怒られるよ?」
「なんで? 紅ちゃんは、碧くんのもんじゃないし」
そうだけど……。
「よく覚えておいて、紅ちゃん」
これからオレが話すことは碧くんには内緒だよって念を押す。
ここには私と宵の二人以外誰もいないのに囁くような声で呟いた。
「何か困ったことがあったら、オレを頼って欲しい。例えば時間を巻き戻したいとき。オレの力が必要な時、碧くんじゃそれはできないでしょ? そして今の紅ちゃんにも」
「私はもう時を戻すことは」
二度としない、と私が言いかけたのを遮った宵。
「わかってる、だけど本当に必要となった時。その時はオレの力を分けてあげる」
分けて……?
その真意を知るために力の限りその強い腕の中から逃れ出て宵を見上げたら、困ったように眉尻を下げて微笑んでいた。
「ごめんね、慈善事業で叶えてあげられるほど甘くなくて」
と私の頭を撫でる手の感触は甘く優しい。
でも、それとは裏腹に言葉は私を追いやった。
「オレは紅ちゃんのためなら動くし動いてあげられる、だけど。紅ちゃんが欲しい気持ちも真実《ほんと》だから、そこは引いてあげられない」
頭を撫でていた手はいつしか私の頬を優しく撫でていて、宵の瞳はいつかの夜のように甘く妖しく揺らめいた。
あれ? なんか、クラクラする……。
「わかる? オレの特殊能力なら法を犯したって逃げ切れることもある、でも悪は全部悪じゃない、わかるよね?」
口角を上げてニコリと笑った宵の発する色香にあてられてしまった。
頭のどこかで危険信号が点滅しているというのに、抗えない、麻痺してしまったかのような自分。
近づく宵の唇が私の唇に熱を落とすまで数センチ。
グイッと後ろから私を抱きしめて宵から遠ざけてくれる強い腕があった。
「わかってる、紅ちゃんはここに残りたいんでしょ」
頷いた私に宵は、もう一度小さな声でわかってる、と自分自身に言い聞かせているようだ。
「たださ、初めてなんだ。誰かを好きになるってこと。紅ちゃんはどうかわかんないけれど、時空界の一族ってさ、そういう恋愛感情って人間よりもドライであまり感じないのに」
……何となく、わかるかもしれない。
私の一度目の人生なんか酷いものだった。
そういった感情がただの一度も湧かなかったんだもの。
「オレにとってはこういう気持ちが持てたことが奇跡みたいで。この先紅ちゃん以外の誰かをこんな風に思えるのかもわかんないし、自分の気持ちを大事にしたいのね。だから諦めないよ」
「宵、もう二分経った」
「ううん、後三分あるよ」
「増えてるじゃん」
「違う、止めてるの」
クスクス笑った宵の腕の中で時計の針を確認したらそれは動きを止めていて、きっと今頃、時間停止《これ》を感じている碧は、めちゃくちゃ怒っているだろうなって、その顔を想像してため息をついた。
「いい加減離さないと碧に怒られるよ?」
「なんで? 紅ちゃんは、碧くんのもんじゃないし」
そうだけど……。
「よく覚えておいて、紅ちゃん」
これからオレが話すことは碧くんには内緒だよって念を押す。
ここには私と宵の二人以外誰もいないのに囁くような声で呟いた。
「何か困ったことがあったら、オレを頼って欲しい。例えば時間を巻き戻したいとき。オレの力が必要な時、碧くんじゃそれはできないでしょ? そして今の紅ちゃんにも」
「私はもう時を戻すことは」
二度としない、と私が言いかけたのを遮った宵。
「わかってる、だけど本当に必要となった時。その時はオレの力を分けてあげる」
分けて……?
その真意を知るために力の限りその強い腕の中から逃れ出て宵を見上げたら、困ったように眉尻を下げて微笑んでいた。
「ごめんね、慈善事業で叶えてあげられるほど甘くなくて」
と私の頭を撫でる手の感触は甘く優しい。
でも、それとは裏腹に言葉は私を追いやった。
「オレは紅ちゃんのためなら動くし動いてあげられる、だけど。紅ちゃんが欲しい気持ちも真実《ほんと》だから、そこは引いてあげられない」
頭を撫でていた手はいつしか私の頬を優しく撫でていて、宵の瞳はいつかの夜のように甘く妖しく揺らめいた。
あれ? なんか、クラクラする……。
「わかる? オレの特殊能力なら法を犯したって逃げ切れることもある、でも悪は全部悪じゃない、わかるよね?」
口角を上げてニコリと笑った宵の発する色香にあてられてしまった。
頭のどこかで危険信号が点滅しているというのに、抗えない、麻痺してしまったかのような自分。
近づく宵の唇が私の唇に熱を落とすまで数センチ。
グイッと後ろから私を抱きしめて宵から遠ざけてくれる強い腕があった。
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