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12.これは恋じゃない
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口当たりが優しいかも、と大根と豚バラ肉を柔らかく薄口しょうゆで煮込んだ。
その間に身体が温まるようにと買ってきた酒粕と生姜を入れ、お味噌汁を作る。
それからお粥を作ったあたりで気が付く。
卵を買い忘れた。
買い物途中でマスターからのメールに気づいて慌てて戻ってきてしまい、帰り道に近所の八百屋で安売りしていたのを買うつもりだったことをすっかり忘れてしまっていた。
近所だし、すぐに戻ってはくるけれど。
マスターの顔色だけ確認してから行ってこよう。
寝室のドアを開け、ベッドに近づくとまだ汗をかけていないマスターの額を触る。
熱いなあ、少しでも熱が下がってくれたら楽になるだろうに。
午後から、病院に付き添っていこう。
お昼ご飯食べられるかな?
辛いのだろう、閉じた目の端に涙が滲んでいる気がして、子供にするようにマスターの額を撫でた。
「卵、買い忘れちゃったので、いってきます。すぐに戻りますね」
聞こえていないだろうけれど、そう声をかけて立ち上がろうとした瞬間だった。
マスターを撫でていた右手を強く引かれた。
「えっ、あっ……」
グイとマスターに引かれて、そのまま上半身がマスターに覆いかぶさる形となった私を。
「行くなって、卵なんかいらないから」
苦しそうなマスターの呟きが耳元で聞こえた。
「側に、いてよ。頼むから」
絶対に離さないというほどきつく私を抱きしめるマスターの声は震えている。
泣いている、のだ。
「マスター……?」
「……、風花、さん……?」
「はい、私、です」
ああ、そうか、マスターはきっと寝ぼけているのだ。
熱でうなされて、フユさんの夢を見て泣いているのだ。
私だとわかった瞬間に、さっきまできつかった腕の力が少しゆるんで、それを抜け出そうとしたら。
「……、ごめん」
もう一度きつく腕の中に閉じ込められた。。
「このままで、いて……、風花さん。あと、少しだけ」
その声はもう泣きじゃくっていて。
返事の代わりに腕を伸ばし、マスターの頭を撫でる。
誰かの温もりを求めているような泣き声が苦しくて切なくて。
この腕をすり抜けてしまうことは、私にはできなかった。
「大丈夫ですか?」
声をかけたら、ゆっくりと私の背中から手を離すマスター。
それを合図に、私もマスターから身体を離し起き上がり、マスターの額に触れた。
目を真っ赤にしたマスターが恥ずかしそうに私から目を逸らす。
「あ、汗、かきはじめたみたいですね。ちょっと待っててください、洗面所のタオルとかお借りします」
あればいいなとお風呂場を開けたら、所望していた洗面器を見つけた。
洗面所の蛇口から少し熱めのお湯と洗濯機の上にあった洗顔タオルを一枚、洗面器に入れた。
キッチンにはさっき冷やしておいたアイスノン、冷蔵庫から経口補水液を取り出してマスターの元に戻る。
「もう少し汗かいたら、着替えて病院行きましょうか。その前にご飯食べれます?」
まだぼんやりとしているマスターの顔や首筋の汗を拭き、首筋にタオルに巻いたアイスノンを入れて、枕もとにあった体温計を手渡すと素直に測り始める。
「ちょっと、下がったよ」
ピピッという音で検温終了、マスターが持つ体温計をのぞいたら三十八度五分、その数字に苦笑した。
「これはまだ高熱ですよ」
「そうだっけ?」
ようやくマスターらしい笑顔を覗かせてくれて一安心する。
「卵……いるんだっけ?」
「はい?」
「店の使ってよ、この分だと週末まで店開けられないだろうし。榛名家にも持ってって、野菜とかも、もったいないから風花さんが使ってよ」
そう言われて、お店にある卵の存在や野菜を思い出す。
「ありがとうございます。後で、卵がゆにしますからね」
「そっか、それで卵だったんだ」
なるほどと笑ったマスターに私も頷いた。
「なんか、また格好悪いとこ見せてごめん。しかも、俺、甘えたし」
ダサイと呟いて、布団を目の上まで引き上げて顔を隠してしまうマスターに見えてはいないけれど、首を振る。
「格好悪くなんかありませんよ、全然」
布団をかけ直そうとした私の手をマスターが握って止め、上半身を起き上がらせた。
ベッドの側で立膝をしていた私を見下ろすように、マスターが微笑んだ。
「この間も、今日も、風花さんに助けられてる」
「はい?」
「なんでかわからないけれど、風花さんと話してると、落ち着く。だから、本当にありがとう」
「私は、何も」
笑って首を振ったら視線が絡み合って、なんだか時間が止まってしまったみたいにマスターから目が離せなくなる。
私の手を握っていたマスターの手が離れて、一瞬だけ頬に触れた。
戸惑うように一瞬だけ触れて離れて、それから包み込むように頬に添えられる。
なんだか心臓がうるさい、おかしなくらい早鳴っている。
逃げ出したいのに逃げ出せない、まるで金縛りにあってしまったみたいに動けないままでる私に。
マスターがそっと近づいてくる。
吐息がかかりそうな距離で見るマスターの優しい目に、導かれるように目を閉じた。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポンピンポンピンポン――。
出なければ永遠に鳴り続けるようなインターホンの音で、誰に見られたわけでもないのにマスターはパッと手を離し、私はスクッと立ち上がる。
「あ、あの、出てもいいでしょうか?」
「お、お願いします」
気まずさで互いの顔を見れない。
リビングに移動し、インターホンを取るとカメラに写っているのは勇気さんだった。
「勇気さん?」
「あ、風ちゃん? 涼真、どう? 玄関開けてもらっていい?」
「はい、今行きます」
リビングを後にする手前で、フユさんの肖像画を見てしまった。
ズキンと胸が痛みながら、謝罪と言い訳を重ねる。
未遂です、どうかしてました、ごめんなさい、二度とマスターには近づきません。
あ、昨日のは事故なんです、そうだ、忘れてた、本当にごめんなさい。
ああ、どうしよう……。
必死に手を擦り合わせるようにしてから、勇気さんを待たせているのを思い出し階段を駆け降りた。
「風ちゃん、どう? 涼真の様子」
「さっき、少し熱が下がったみたいです、でもまだ八度五分なので」
「それ下がったって言わないじゃんな。やっぱ季節外れのインフルっぽいね」
「多分、そうかと」
「ん? 風ちゃんも顔赤くない?」
首を傾げて私の額に手をあてる勇気さんは、自分の体温と比べている模様。
「ん、熱はなさそう。涼真さ、昼飯食わせたら病院連れて行こうよ。祥太朗が心配してて、車出してやってくれって」
お店の前にあるパーキングに祥太朗さんの車を停めてあるという。
「はい、これ風ちゃんの。看病する人がうつったら、涼真も申し訳なく思うだろうし」
マスクを手渡されて、素直につける。
そっか、インフルエンザって空気感染とかもするし、接触、とか……、せ、っしょく!!
「祥太朗が俺の部屋に泊まるって。で、祥太朗の部屋に涼真を寝かせろってさ。高熱出してんなら、一人で置いておけないし。風ちゃん、荷物とか詰めるの手伝ってくれる? 病院終わったら、そのまま榛名家に運ぶから」
「あ、はい。支度します!」
車ならお店の冷蔵庫に入っているものも一度で運べるし、さっきのお鍋も。
「マスター、失礼します。ご飯食べたら、病院行きましょうって。勇気さんが迎えに来てくれて」
「勇気、声でかいから全部聞こえてた。今、用意するから」
寝てると思って小さく開けた寝室のドア、その向こうに見えてしまった。
腹筋バキバキの上半身裸のマスターが着替えてるところ!!
何も見てません、見ていません。
あわててドアを閉めてから、またフユさんの肖像画に必死で謝った。
その間に身体が温まるようにと買ってきた酒粕と生姜を入れ、お味噌汁を作る。
それからお粥を作ったあたりで気が付く。
卵を買い忘れた。
買い物途中でマスターからのメールに気づいて慌てて戻ってきてしまい、帰り道に近所の八百屋で安売りしていたのを買うつもりだったことをすっかり忘れてしまっていた。
近所だし、すぐに戻ってはくるけれど。
マスターの顔色だけ確認してから行ってこよう。
寝室のドアを開け、ベッドに近づくとまだ汗をかけていないマスターの額を触る。
熱いなあ、少しでも熱が下がってくれたら楽になるだろうに。
午後から、病院に付き添っていこう。
お昼ご飯食べられるかな?
辛いのだろう、閉じた目の端に涙が滲んでいる気がして、子供にするようにマスターの額を撫でた。
「卵、買い忘れちゃったので、いってきます。すぐに戻りますね」
聞こえていないだろうけれど、そう声をかけて立ち上がろうとした瞬間だった。
マスターを撫でていた右手を強く引かれた。
「えっ、あっ……」
グイとマスターに引かれて、そのまま上半身がマスターに覆いかぶさる形となった私を。
「行くなって、卵なんかいらないから」
苦しそうなマスターの呟きが耳元で聞こえた。
「側に、いてよ。頼むから」
絶対に離さないというほどきつく私を抱きしめるマスターの声は震えている。
泣いている、のだ。
「マスター……?」
「……、風花、さん……?」
「はい、私、です」
ああ、そうか、マスターはきっと寝ぼけているのだ。
熱でうなされて、フユさんの夢を見て泣いているのだ。
私だとわかった瞬間に、さっきまできつかった腕の力が少しゆるんで、それを抜け出そうとしたら。
「……、ごめん」
もう一度きつく腕の中に閉じ込められた。。
「このままで、いて……、風花さん。あと、少しだけ」
その声はもう泣きじゃくっていて。
返事の代わりに腕を伸ばし、マスターの頭を撫でる。
誰かの温もりを求めているような泣き声が苦しくて切なくて。
この腕をすり抜けてしまうことは、私にはできなかった。
「大丈夫ですか?」
声をかけたら、ゆっくりと私の背中から手を離すマスター。
それを合図に、私もマスターから身体を離し起き上がり、マスターの額に触れた。
目を真っ赤にしたマスターが恥ずかしそうに私から目を逸らす。
「あ、汗、かきはじめたみたいですね。ちょっと待っててください、洗面所のタオルとかお借りします」
あればいいなとお風呂場を開けたら、所望していた洗面器を見つけた。
洗面所の蛇口から少し熱めのお湯と洗濯機の上にあった洗顔タオルを一枚、洗面器に入れた。
キッチンにはさっき冷やしておいたアイスノン、冷蔵庫から経口補水液を取り出してマスターの元に戻る。
「もう少し汗かいたら、着替えて病院行きましょうか。その前にご飯食べれます?」
まだぼんやりとしているマスターの顔や首筋の汗を拭き、首筋にタオルに巻いたアイスノンを入れて、枕もとにあった体温計を手渡すと素直に測り始める。
「ちょっと、下がったよ」
ピピッという音で検温終了、マスターが持つ体温計をのぞいたら三十八度五分、その数字に苦笑した。
「これはまだ高熱ですよ」
「そうだっけ?」
ようやくマスターらしい笑顔を覗かせてくれて一安心する。
「卵……いるんだっけ?」
「はい?」
「店の使ってよ、この分だと週末まで店開けられないだろうし。榛名家にも持ってって、野菜とかも、もったいないから風花さんが使ってよ」
そう言われて、お店にある卵の存在や野菜を思い出す。
「ありがとうございます。後で、卵がゆにしますからね」
「そっか、それで卵だったんだ」
なるほどと笑ったマスターに私も頷いた。
「なんか、また格好悪いとこ見せてごめん。しかも、俺、甘えたし」
ダサイと呟いて、布団を目の上まで引き上げて顔を隠してしまうマスターに見えてはいないけれど、首を振る。
「格好悪くなんかありませんよ、全然」
布団をかけ直そうとした私の手をマスターが握って止め、上半身を起き上がらせた。
ベッドの側で立膝をしていた私を見下ろすように、マスターが微笑んだ。
「この間も、今日も、風花さんに助けられてる」
「はい?」
「なんでかわからないけれど、風花さんと話してると、落ち着く。だから、本当にありがとう」
「私は、何も」
笑って首を振ったら視線が絡み合って、なんだか時間が止まってしまったみたいにマスターから目が離せなくなる。
私の手を握っていたマスターの手が離れて、一瞬だけ頬に触れた。
戸惑うように一瞬だけ触れて離れて、それから包み込むように頬に添えられる。
なんだか心臓がうるさい、おかしなくらい早鳴っている。
逃げ出したいのに逃げ出せない、まるで金縛りにあってしまったみたいに動けないままでる私に。
マスターがそっと近づいてくる。
吐息がかかりそうな距離で見るマスターの優しい目に、導かれるように目を閉じた。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポンピンポンピンポン――。
出なければ永遠に鳴り続けるようなインターホンの音で、誰に見られたわけでもないのにマスターはパッと手を離し、私はスクッと立ち上がる。
「あ、あの、出てもいいでしょうか?」
「お、お願いします」
気まずさで互いの顔を見れない。
リビングに移動し、インターホンを取るとカメラに写っているのは勇気さんだった。
「勇気さん?」
「あ、風ちゃん? 涼真、どう? 玄関開けてもらっていい?」
「はい、今行きます」
リビングを後にする手前で、フユさんの肖像画を見てしまった。
ズキンと胸が痛みながら、謝罪と言い訳を重ねる。
未遂です、どうかしてました、ごめんなさい、二度とマスターには近づきません。
あ、昨日のは事故なんです、そうだ、忘れてた、本当にごめんなさい。
ああ、どうしよう……。
必死に手を擦り合わせるようにしてから、勇気さんを待たせているのを思い出し階段を駆け降りた。
「風ちゃん、どう? 涼真の様子」
「さっき、少し熱が下がったみたいです、でもまだ八度五分なので」
「それ下がったって言わないじゃんな。やっぱ季節外れのインフルっぽいね」
「多分、そうかと」
「ん? 風ちゃんも顔赤くない?」
首を傾げて私の額に手をあてる勇気さんは、自分の体温と比べている模様。
「ん、熱はなさそう。涼真さ、昼飯食わせたら病院連れて行こうよ。祥太朗が心配してて、車出してやってくれって」
お店の前にあるパーキングに祥太朗さんの車を停めてあるという。
「はい、これ風ちゃんの。看病する人がうつったら、涼真も申し訳なく思うだろうし」
マスクを手渡されて、素直につける。
そっか、インフルエンザって空気感染とかもするし、接触、とか……、せ、っしょく!!
「祥太朗が俺の部屋に泊まるって。で、祥太朗の部屋に涼真を寝かせろってさ。高熱出してんなら、一人で置いておけないし。風ちゃん、荷物とか詰めるの手伝ってくれる? 病院終わったら、そのまま榛名家に運ぶから」
「あ、はい。支度します!」
車ならお店の冷蔵庫に入っているものも一度で運べるし、さっきのお鍋も。
「マスター、失礼します。ご飯食べたら、病院行きましょうって。勇気さんが迎えに来てくれて」
「勇気、声でかいから全部聞こえてた。今、用意するから」
寝てると思って小さく開けた寝室のドア、その向こうに見えてしまった。
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