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13.私じゃなくても
13-2
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***
「いってらっしゃいませ」
ある日から、玄関先で祥太朗さんを見送るのが日課となった。
「お先にいってきます。吉野さんも気を付けて、いってらっしゃい」
「はい」
玄関のドアが閉まってから、はあっと大きなため息をついて、身支度を整える。
祥太朗さんとの約束を反故にしてしまった翌週の月曜日、いつものように祥太朗さんと歩き出してすぐ、目の前から高野さんが掛けてきた。
駅を挟んで反対方向に住んでいる高野さんが「おはようございまーす! お迎えにきました~!」と笑顔を覗かせている。
祥太朗さんは、困ったとばかりに大きなため息をついたけれど、高野さんは全く気にしない様子。
「おはようございます」
「おはようございまーす。あ、もしかして吉野さんもこれから、お仕事ですか?」
「はい、途中まで一緒の道なので」
「今日から私もご一緒させてね~! いいですよね? 榛名さん」
「おまえの家、反対方向じゃん? わざわざ来なくても」
「え? なんですか? 聞こえません」
「チッ、都合悪くなるといつもそうだな」
ケラケラ笑う高野さんに苦笑する祥太朗さん。
私は少しだけ歩みを遅め、二人の後ろを歩く。
「榛名さん? 駅行くには、ここを曲がった方が近いですよね?」
途中足を止め、首をかしげる高野さん。
祥太朗さんは、チラリと私を振り返って。
「そう? どっちも同じくらいだと思うけど」
そうか、祥太朗さんは今まで私を店まで回り道して送ってくれていたのだろう。
「あ、私、ここで! じゃあ、また! 高野さん、祥太朗さん、いってらっしゃい」
「え? あ、吉野さん?」
「いってらっしゃい、吉野さん~!! また明日~!!」
高野さんの言葉に見送られるように、お店に向かって駆けだす。
それきり、私は「出勤時間が遅くなった」と嘘をつき、祥太朗さんとの通勤タイムを終わらせた。
***
桃ちゃんは、それに気づいていたんだ。
「風花ちゃん」
「うん?」
スープを冷ましながら、ゴロゴロに切ったお野菜を口に運ぶ。
「私、風花ちゃんのご飯も大好きだけど」
「ありがとう」
「風花ちゃんが大好きなんだよ? いつも優しいし、みんなのこと考えてくれてる。食卓に並ぶのは、いつも誰かの好物だもん。榛名家のこと、知ってるのは、風花ちゃんだけだよ? 高野さんじゃない」
なんだか、スープを飲み込めないくらい、喉元がグッと苦しくなる。
「祥ちゃん、遅いね」
頷くことも首を振ることもできない私に、あきらめたように桃ちゃんがそう呟いた。
時計の針は、とっくに日付を超えて、その夜、祥太朗さんが何時に帰ってきたのかわからなかった。
気づくと朝になってる。
寝付けず、何度も寝返りを打つ夜を過ごして、時計の針が二時を指した記憶もあるのに。
少しだけ瞬きをしたら、もう朝。
そんな日々を幾日も繰り返している気がする。
寝不足の頭を顔を洗ってシャキっとさせてから、朝の支度を始める。
昨夜焼いておいたロールパンに、スクランブルエッグやハムを挟む。
美咲さんは、パン無しで、スクランブルエッグとトマトとチキンを混ぜてサラダにした。
私が出勤した後に起きてくる勇気さんと洸太朗くんと桃ちゃんの分はラップをし乾かないようにしておく。
次にカフェオレを作っているところに。
「風花ちゃん、おはよ~!!」
最近部署が変わった美咲さんが一番早くキッチンに到着。
サラダとカフェオレを頬張る。
「今日も美味しかったです!! いつもありがと!」
ご馳走様と手を合わせて笑顔を覗かせてくれる。
「あ、美咲さん、今日はバターチキンカレーでいいですか?」
「お? 勇気がリクエストしてたやつ? 残業しないで帰ってこよ」
「はい、待ってます!」
「ナンも手作り?」
「もちろんです」
「いっぱい食べちゃいそう、風花ちゃんの美味しいんだもん」
美咲さんの誉め言葉に私も笑顔になる。
いってらっしゃいませ~、と玄関まで見送った後、二杯分の珈琲を落とす。
二人分のワンプレートをセットした頃、祥太朗さんがやってくる。
「おはよ、吉野さん」
「おはようございます」
笑顔を作る。
眠そうな顔をしている祥太朗さん。
夕べは何時に帰ってきたのだろうか?
聞けないままで珈琲を注ぐ。
「ごめんね、最近、俺全然手伝えてない。本当にごめん」
「いいえ」
向かい合って食べていても、目が合わないように視線を外しているけれど。
こっちを見ている気がして、そっと視線をあげたら、目があった。
「昨日ね高野を送ってったでしょ」
「はい」
「帰りに、月を見上げたらめちゃくちゃキレイでさ」
ん? 何の話だろう?
「そういえば、吉野さんと出逢った日もこんなだったなあ、って。しばらくあのベンチで酔い冷ましてた」
「だから!?」
「え?」
「あ、いいえ、なんでもないです」
だから帰りが遅かったのか。
私はてっきり、高野さんと……。
「最近、吉野さんとゆっくり話せてないな、って」
「です、ね」
微笑み合ったら胸がいっぱいになって、なんだか泣き出したくなるから。
「今夜、バターチキンカレーなんで。ナンいっぱい作って待ってるので、早く帰ってきてくださいね」
「ありがと、それじゃあ急いで帰らないと」
いってらっしゃいが中々、言い出せなくて。
いってきますを中々言い出さない祥太朗さんと、久しぶりに顔を合わせて笑い合えた。
「風花さん?」
遅めのまかないをマスターと向かいあって食べていたら、私の目の前ひらひらと手をかざされた。
「あ、すみません、なんでしたっけ?」
「やっぱりボーッとしてたし」
「ごめんなさい」
苦笑するマスターが首を横に振る。
「具合が悪いとかじゃなければいいんだけど、なんか元気ない? 最近」
「いいえ、全然元気です、はい、とっても!」
元気アピールに笑顔を作ったら、マスターはさっきよりも困った顔で微笑んだ。
「榛名家のグループメッセージ、新しい子って花見の時の? 祥太朗の会社の後輩の」
「あ、そうです。高野さん」
「で、風花さんはどうするの?」
どうする? というのは、ゴールデンウィークのことである。
夕べ遅くに高野さんからメッセージが入った。
『実家が経営するロッジが一棟キャンセルで空きが出ました。ゴールデンウィーク初日から、二泊三日で抑えられますが、いかがでしょう? もちろん、宿泊費は無料です!』
メッセージと共に、ロッジの写真やホームページも添付されていて、近くには川もあり釣りもできる。
夜は星空がキレイで、ロッジは温泉が出るという栃木の奥にある大きなロッジだった。
一番最初にそれに返信したのは、マスターだった。
『じゃ、店休みにして参加します』と返信があって、それを見て次に美咲さんと、勇気さん、そして祥太朗さん。
『それじゃ、抑えちゃいます~!』と高野さんの連絡があって。
今朝になって洸太朗くんが『遅くなってごめんなさい。桃と一緒に参加しまーす』と桃ちゃんの分の返信もしていた。
残るは私だ。
マスターに聞かれたのと同じことを今朝、祥太朗さんにも聞かれたけれど。
「まだ、わかりません」
曖昧に笑って、今朝祥太朗さに伝えた同じ返事をマスターにも告げる。
皆と一緒に行ってみたい気もするけれど、一つ気がかりなのは車だった。
祥太朗さんの車は七人乗り、私が行ったら八人になってしまう。
そんなので揉めるのはイヤだし、それに……。
二人の姿を見たくなかったり。
「行こうよ、風花さん。二人でさ、皆にキャンピング料理振る舞おう? 外でバーベキューもできるみたいだし。俺アウトドア料理って作る機会がなかったから、楽しみで」
「いいですね」
「乗り気じゃない?」
「あ、いえ、そうじゃなくて……、あの」
「ん?」
「電車でも行けますか? だったら参加、してみようかなって。マスターと料理作るの楽しそうですし」
それならば、私もその場にいてもいいんだって気がして。
「あ、そっか。車?」
なるほどと気付いたマスターが苦笑する。
「もう一台出すよ、俺のでよければ風花さん乗ってくれる?」
「マスター車持ってたんですか?」
「うん、この家駐車場はついてないでしょ? だから近くに借りて止めてる。たまの日曜くらいしか動かしてないけどね。祥太朗の車とは違って、小さいけどさ、いい?」
マスターの車ならば、祥太朗さんと高野さんを見なくてもいい。
コクンと頷いて、私もメッセージを返す。
『参加させてください』
すぐに既読1になったのは、マスターだ。
『俺も車出すよ。風花さんとアウトドア料理勉強していくから楽しみにしてて』
すぐ後で届いたメッセージに顔を上げたら、マスターが微笑んでいた。
「いってらっしゃいませ」
ある日から、玄関先で祥太朗さんを見送るのが日課となった。
「お先にいってきます。吉野さんも気を付けて、いってらっしゃい」
「はい」
玄関のドアが閉まってから、はあっと大きなため息をついて、身支度を整える。
祥太朗さんとの約束を反故にしてしまった翌週の月曜日、いつものように祥太朗さんと歩き出してすぐ、目の前から高野さんが掛けてきた。
駅を挟んで反対方向に住んでいる高野さんが「おはようございまーす! お迎えにきました~!」と笑顔を覗かせている。
祥太朗さんは、困ったとばかりに大きなため息をついたけれど、高野さんは全く気にしない様子。
「おはようございます」
「おはようございまーす。あ、もしかして吉野さんもこれから、お仕事ですか?」
「はい、途中まで一緒の道なので」
「今日から私もご一緒させてね~! いいですよね? 榛名さん」
「おまえの家、反対方向じゃん? わざわざ来なくても」
「え? なんですか? 聞こえません」
「チッ、都合悪くなるといつもそうだな」
ケラケラ笑う高野さんに苦笑する祥太朗さん。
私は少しだけ歩みを遅め、二人の後ろを歩く。
「榛名さん? 駅行くには、ここを曲がった方が近いですよね?」
途中足を止め、首をかしげる高野さん。
祥太朗さんは、チラリと私を振り返って。
「そう? どっちも同じくらいだと思うけど」
そうか、祥太朗さんは今まで私を店まで回り道して送ってくれていたのだろう。
「あ、私、ここで! じゃあ、また! 高野さん、祥太朗さん、いってらっしゃい」
「え? あ、吉野さん?」
「いってらっしゃい、吉野さん~!! また明日~!!」
高野さんの言葉に見送られるように、お店に向かって駆けだす。
それきり、私は「出勤時間が遅くなった」と嘘をつき、祥太朗さんとの通勤タイムを終わらせた。
***
桃ちゃんは、それに気づいていたんだ。
「風花ちゃん」
「うん?」
スープを冷ましながら、ゴロゴロに切ったお野菜を口に運ぶ。
「私、風花ちゃんのご飯も大好きだけど」
「ありがとう」
「風花ちゃんが大好きなんだよ? いつも優しいし、みんなのこと考えてくれてる。食卓に並ぶのは、いつも誰かの好物だもん。榛名家のこと、知ってるのは、風花ちゃんだけだよ? 高野さんじゃない」
なんだか、スープを飲み込めないくらい、喉元がグッと苦しくなる。
「祥ちゃん、遅いね」
頷くことも首を振ることもできない私に、あきらめたように桃ちゃんがそう呟いた。
時計の針は、とっくに日付を超えて、その夜、祥太朗さんが何時に帰ってきたのかわからなかった。
気づくと朝になってる。
寝付けず、何度も寝返りを打つ夜を過ごして、時計の針が二時を指した記憶もあるのに。
少しだけ瞬きをしたら、もう朝。
そんな日々を幾日も繰り返している気がする。
寝不足の頭を顔を洗ってシャキっとさせてから、朝の支度を始める。
昨夜焼いておいたロールパンに、スクランブルエッグやハムを挟む。
美咲さんは、パン無しで、スクランブルエッグとトマトとチキンを混ぜてサラダにした。
私が出勤した後に起きてくる勇気さんと洸太朗くんと桃ちゃんの分はラップをし乾かないようにしておく。
次にカフェオレを作っているところに。
「風花ちゃん、おはよ~!!」
最近部署が変わった美咲さんが一番早くキッチンに到着。
サラダとカフェオレを頬張る。
「今日も美味しかったです!! いつもありがと!」
ご馳走様と手を合わせて笑顔を覗かせてくれる。
「あ、美咲さん、今日はバターチキンカレーでいいですか?」
「お? 勇気がリクエストしてたやつ? 残業しないで帰ってこよ」
「はい、待ってます!」
「ナンも手作り?」
「もちろんです」
「いっぱい食べちゃいそう、風花ちゃんの美味しいんだもん」
美咲さんの誉め言葉に私も笑顔になる。
いってらっしゃいませ~、と玄関まで見送った後、二杯分の珈琲を落とす。
二人分のワンプレートをセットした頃、祥太朗さんがやってくる。
「おはよ、吉野さん」
「おはようございます」
笑顔を作る。
眠そうな顔をしている祥太朗さん。
夕べは何時に帰ってきたのだろうか?
聞けないままで珈琲を注ぐ。
「ごめんね、最近、俺全然手伝えてない。本当にごめん」
「いいえ」
向かい合って食べていても、目が合わないように視線を外しているけれど。
こっちを見ている気がして、そっと視線をあげたら、目があった。
「昨日ね高野を送ってったでしょ」
「はい」
「帰りに、月を見上げたらめちゃくちゃキレイでさ」
ん? 何の話だろう?
「そういえば、吉野さんと出逢った日もこんなだったなあ、って。しばらくあのベンチで酔い冷ましてた」
「だから!?」
「え?」
「あ、いいえ、なんでもないです」
だから帰りが遅かったのか。
私はてっきり、高野さんと……。
「最近、吉野さんとゆっくり話せてないな、って」
「です、ね」
微笑み合ったら胸がいっぱいになって、なんだか泣き出したくなるから。
「今夜、バターチキンカレーなんで。ナンいっぱい作って待ってるので、早く帰ってきてくださいね」
「ありがと、それじゃあ急いで帰らないと」
いってらっしゃいが中々、言い出せなくて。
いってきますを中々言い出さない祥太朗さんと、久しぶりに顔を合わせて笑い合えた。
「風花さん?」
遅めのまかないをマスターと向かいあって食べていたら、私の目の前ひらひらと手をかざされた。
「あ、すみません、なんでしたっけ?」
「やっぱりボーッとしてたし」
「ごめんなさい」
苦笑するマスターが首を横に振る。
「具合が悪いとかじゃなければいいんだけど、なんか元気ない? 最近」
「いいえ、全然元気です、はい、とっても!」
元気アピールに笑顔を作ったら、マスターはさっきよりも困った顔で微笑んだ。
「榛名家のグループメッセージ、新しい子って花見の時の? 祥太朗の会社の後輩の」
「あ、そうです。高野さん」
「で、風花さんはどうするの?」
どうする? というのは、ゴールデンウィークのことである。
夕べ遅くに高野さんからメッセージが入った。
『実家が経営するロッジが一棟キャンセルで空きが出ました。ゴールデンウィーク初日から、二泊三日で抑えられますが、いかがでしょう? もちろん、宿泊費は無料です!』
メッセージと共に、ロッジの写真やホームページも添付されていて、近くには川もあり釣りもできる。
夜は星空がキレイで、ロッジは温泉が出るという栃木の奥にある大きなロッジだった。
一番最初にそれに返信したのは、マスターだった。
『じゃ、店休みにして参加します』と返信があって、それを見て次に美咲さんと、勇気さん、そして祥太朗さん。
『それじゃ、抑えちゃいます~!』と高野さんの連絡があって。
今朝になって洸太朗くんが『遅くなってごめんなさい。桃と一緒に参加しまーす』と桃ちゃんの分の返信もしていた。
残るは私だ。
マスターに聞かれたのと同じことを今朝、祥太朗さんにも聞かれたけれど。
「まだ、わかりません」
曖昧に笑って、今朝祥太朗さに伝えた同じ返事をマスターにも告げる。
皆と一緒に行ってみたい気もするけれど、一つ気がかりなのは車だった。
祥太朗さんの車は七人乗り、私が行ったら八人になってしまう。
そんなので揉めるのはイヤだし、それに……。
二人の姿を見たくなかったり。
「行こうよ、風花さん。二人でさ、皆にキャンピング料理振る舞おう? 外でバーベキューもできるみたいだし。俺アウトドア料理って作る機会がなかったから、楽しみで」
「いいですね」
「乗り気じゃない?」
「あ、いえ、そうじゃなくて……、あの」
「ん?」
「電車でも行けますか? だったら参加、してみようかなって。マスターと料理作るの楽しそうですし」
それならば、私もその場にいてもいいんだって気がして。
「あ、そっか。車?」
なるほどと気付いたマスターが苦笑する。
「もう一台出すよ、俺のでよければ風花さん乗ってくれる?」
「マスター車持ってたんですか?」
「うん、この家駐車場はついてないでしょ? だから近くに借りて止めてる。たまの日曜くらいしか動かしてないけどね。祥太朗の車とは違って、小さいけどさ、いい?」
マスターの車ならば、祥太朗さんと高野さんを見なくてもいい。
コクンと頷いて、私もメッセージを返す。
『参加させてください』
すぐに既読1になったのは、マスターだ。
『俺も車出すよ。風花さんとアウトドア料理勉強していくから楽しみにしてて』
すぐ後で届いたメッセージに顔を上げたら、マスターが微笑んでいた。
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