侯爵令嬢は悪役だったようです

Alice

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「では、ローズ・クローブ嬢には自身が選んだ通り国を出て貰うか」


「は?ローズを?何で?」
 



 縋りつこうとするローズさんの身を躱すレオンハルト様の言葉に、ローズさんだけではなく側近候補達も慌て出す。


「お言葉ですが、リリアじゃなくローズと仰ったのは名前を間違えただけですよね?」

「ああ、そうに決まってる」




「名前を取り違える愚鈍ぐどん虚仮こけにするか。わたしの婚約者であるリリア・ヴェルザード嬢を陥れようと自作自演の自傷行為を擦り付け、嘘の情報を流しておいて侮辱しておき何もとがが無いとでも?こちらはお前達と違い、すでに裏を取っている。それに婚約者でもない女に呼び捨てにされ、まとわりつかれた不敬罪もつけようか」



 レオンハルト様はわたくしと、ローズさんに監視を付けてます。侍女であったり諜報活動を請け負っている貴族家の方を見張りとして数名付けられたようです。どのお方かはわたくしも存じ上げませんけれども。



 
「おかしい、こんなはずじゃない。ローズ・クローブは明るく天真爛漫でみんなを癒して攻略者とハッピーエンドを迎えるヒロインなのに。ゲームと違うじゃない」


 自分の事を天真爛漫と言い放つローズさんのお姿に、言い知れぬ怖さを感じまして思わず身じろぎしてしまいましたわ。
 自己評価が高すぎではないですか?例え思っていても口にすべきではないと思います。
 わたくし達を囲む卒業生の数名が否定する様に首を横に振るお姿が視界に入ってきます。

 ええと、ローズさんはご乱心なのかしら?
 おかしい、おかしいって言いながら独り言ばかりで、あら?口調も変わっているような。間延びしてませんわ。女生徒から交友関係と同じ位だらしないと陰口を叩かれていた話し方が変わりましたわね。
 こちらが本来の話し方と言うことなのかしら。


 ああ、でもいつもご乱心でしたわ。平常通りですわね。


 


 でもゲームとかヒロインってもしかして…
 
 



「確かに天真爛漫そうには見えるな。そのドレスや所作に考え方や行動も。幼子と変わらぬ」
 レオンハルト様、今まで溜まった鬱憤うっぷんが出たのかしら。本音が口から滑りでてましてよ。



「何で、こんなのおかしい。やっぱり変だと思ったの。他の攻略者は簡単に攻略出来たのにレオンだけ何か違うんだもん。リリアも悪役令嬢らしくないし。あんた転生者でしょ。どーせあたしをざまぁさせる為にレオンに何かしたんでしょ?いいわよ、まだシルヴェストもガドウィンもアーシェスもいるから。レオン位あげるわよ」



「まぁ」
 諦めたのかローズさんの不敬が止まりません。人を所有物のように扱うなんて。


「国外追放されたって、恋薔薇2のライフォード王子がいるもん。あたしがライフォードと結婚したら後悔するのはあんただから。あんたが何処までゲームの知識があるか知らないけど、他の攻略者に何もしていないって事はレオンしか攻略してないんでしょ」



 ん?ん?ん?
 


「濃い薔薇?ライフォード王子とはもしや・・・」
 レオンハルト様が隣国アスキアの王族方のお名前を思い浮かべているようです。
 確か、アスキア国の第三王子にライフォード様のお名前があります。
 わたくし達と年齢も近かったはず。



「そんなの、そこの女に聞いたらいいわ。どーせ知ってんでしょ?転生者なんだから」

「王妃教育の一環で、他国の王族方のお名前は存じ上げますわ。ただテンセイシャとかコイバラとか何の事をお話しされているのでしょうか?」

「はぁ?何を今更」

 

「もういい、その女の妄言に惑わされるな。とりあえず正式な処分が下るまで反省して貰おう。貴族令息を誑かし、婚約者に冤罪を擦り付け、不敬な行いでわたしを愚弄し続けたローズ嬢の処罰の希望として国外追放と陛下には報告しておく。リリア・ヴェルザード嬢との婚約はこれまで通り継続する」

 
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