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「ローズ嬢をクローブ家には帰させるな。こちらが迎えを呼ぶまで貴族牢で過ごせ」
レオンハルト様は、シルヴェスト様、ガドウィン様、アーシェス様のお三人に命令しております。
逃がす可能性のある彼等に命じたのはわざとだと気付いている方はこの三人の中にいるのかしら?
レオンハルト様は最後までお試しになられるのね。
彼等の行動によって、これからの彼等の身の振り方が変わる。
それと、貴方方も牢に入って反省しろと暗に仰られていることを察する事が出来たならまだ見所があると思います。
言葉の真意を解釈出来ておられる方が三人の中に入れば良いのですが。あんなあからさまな女の嘘も見抜けぬ方々なので無理でしょう。
まぁ逃げてもいいとも思われてますわね。
レオンハルト様の中で評価を地に落とされてますから。
「お言葉ですが、レオンハルト殿下は先程リリア様との婚約破棄を宣言されました。王族として簡単に撤回されるのは・・・」
シルヴェスト様が申し訳無さそうに、今更臣下の務めのように諌められておられます。
そんなにわたくしが婚約者なのは反対ですか?
「婚約破棄を考えていると述べただけで、婚約破棄の宣言はしていない。その身の程知らずが婚約者になりたい、二人の婚約発表を卒業パーティーの余興としたいなどと煩わしい発言を繰り返すので、こちらも一芝居打っただけだ・・・ところで言いたいことはそれだけか?」
「え?・・・ではローズに減刑を、彼女は素直なだけで悪くはないのです」
「もういい、退出しろ」
わたくしに八つ当たりされるローズさんを宥める様に三人も退出されました。
居た堪れなさもあるでしょう。退出時もべったり離れず、よくこれで恋心が醒めない事に内心驚愕いたしております。
ローズさんの良い所もあったのでしょう。彼等にとって甘やかし甘やかされる関係は楽でしたでしょうから。
お似合い同士、仲良くお過ごしくださいませ。
それにしても言いたい事はローズさんの減刑ねぇ。
自分達は何も咎められないと思っているとは随分甘く育てられたのでしょう。
自分の婚約者に謝罪の一つもありませんでした。
わたくしの近くに居られたお三人の婚約者のアメリア様達は冷めた目でご覧になられてます。
もう、最後には諦めていらっしゃってましたものね。
むしろ同情票を集めてから婚約破棄でもされた方が、後に繋がるでしょうと達観しておりましたし、触れられたくもないからローズさんに愛妾になって貰いお金だけ頂ければ良いわと仮面夫婦発言をされておられて、本当に心苦しくなりました。
話すことはないと顔を背け、ローズさんを含めた四人を居ない者として扱うように彼等を置いてレオンハルト様はわたくしの目の前に来て下さいました。
久しぶりに近くで拝顔出来たのですが、お疲れが色濃く出ております。卒業に近づくにつれ、お互い多忙を極めましたもの。
「痩せたな」
レオンハルト様の手が労るようにわたくしの顔を包みます。
わたくしの覚えている指より細くなった様に思えて。
「殿下こそ」
公式な場所では殿下とお呼びする。
レオンハルト様もお痩せになられて、あまり眠れていなかったのでしょう。
「これで終わるといいが、事後処理を考えると頭が痛くなる」
溜め息をつかれたレオンハルト様の皺の寄った眉間を指で伸ばして差し上げると、フッと笑われました。
久しぶりの触れ合いに、ずっと側に居たくなる気持ちを抑えます。
「殿下、その前にこの会場にいる皆様に」
短い時間とはいえ、他の学生を巻き込んでしまい流石に申し訳ございませんわ。
動揺されていてパーティーを楽しむ雰囲気ではありませんもの。
「ああ、説明は必要か」
レオンハルト様が、この卒業パーティーでのある種演劇と化したこの一連の騒動のこちらの思惑を簡単に説明されると、更に会場は大きくざわつく事になりました。
例えるならば阿鼻叫喚でしょうか?
問題ばかり起こしていた男爵令嬢にうつつを抜かした王太子達と蔑み側妃のお子様であられる第二王子に派閥を鞍替えされた方や、殿下に直接ではないにしろ不敬を承知で国の為に考え直していただける様に嘆願された方などに、将来自分が即位した時に忠義を尽くせる人間か、愚王となった時にどう振る舞うのかをローズさんに傾倒する演技を続ける事で皆を試していたと告げられたのですから。
裏切りや寝返る可能性のある者、志の高い者など、将来国政に携わる資格がありそうかと見極めていたと告げられ、 顔を青ざめていたり、安堵の表情を浮かべていたり、慌ててお帰りになられたりと人それぞれでしたが。
約半年がかりのサプライズは成功です。
卒業という今日の日は、皆様の忘れられない思い出になったでしょう。
レオンハルト様は、シルヴェスト様、ガドウィン様、アーシェス様のお三人に命令しております。
逃がす可能性のある彼等に命じたのはわざとだと気付いている方はこの三人の中にいるのかしら?
レオンハルト様は最後までお試しになられるのね。
彼等の行動によって、これからの彼等の身の振り方が変わる。
それと、貴方方も牢に入って反省しろと暗に仰られていることを察する事が出来たならまだ見所があると思います。
言葉の真意を解釈出来ておられる方が三人の中に入れば良いのですが。あんなあからさまな女の嘘も見抜けぬ方々なので無理でしょう。
まぁ逃げてもいいとも思われてますわね。
レオンハルト様の中で評価を地に落とされてますから。
「お言葉ですが、レオンハルト殿下は先程リリア様との婚約破棄を宣言されました。王族として簡単に撤回されるのは・・・」
シルヴェスト様が申し訳無さそうに、今更臣下の務めのように諌められておられます。
そんなにわたくしが婚約者なのは反対ですか?
「婚約破棄を考えていると述べただけで、婚約破棄の宣言はしていない。その身の程知らずが婚約者になりたい、二人の婚約発表を卒業パーティーの余興としたいなどと煩わしい発言を繰り返すので、こちらも一芝居打っただけだ・・・ところで言いたいことはそれだけか?」
「え?・・・ではローズに減刑を、彼女は素直なだけで悪くはないのです」
「もういい、退出しろ」
わたくしに八つ当たりされるローズさんを宥める様に三人も退出されました。
居た堪れなさもあるでしょう。退出時もべったり離れず、よくこれで恋心が醒めない事に内心驚愕いたしております。
ローズさんの良い所もあったのでしょう。彼等にとって甘やかし甘やかされる関係は楽でしたでしょうから。
お似合い同士、仲良くお過ごしくださいませ。
それにしても言いたい事はローズさんの減刑ねぇ。
自分達は何も咎められないと思っているとは随分甘く育てられたのでしょう。
自分の婚約者に謝罪の一つもありませんでした。
わたくしの近くに居られたお三人の婚約者のアメリア様達は冷めた目でご覧になられてます。
もう、最後には諦めていらっしゃってましたものね。
むしろ同情票を集めてから婚約破棄でもされた方が、後に繋がるでしょうと達観しておりましたし、触れられたくもないからローズさんに愛妾になって貰いお金だけ頂ければ良いわと仮面夫婦発言をされておられて、本当に心苦しくなりました。
話すことはないと顔を背け、ローズさんを含めた四人を居ない者として扱うように彼等を置いてレオンハルト様はわたくしの目の前に来て下さいました。
久しぶりに近くで拝顔出来たのですが、お疲れが色濃く出ております。卒業に近づくにつれ、お互い多忙を極めましたもの。
「痩せたな」
レオンハルト様の手が労るようにわたくしの顔を包みます。
わたくしの覚えている指より細くなった様に思えて。
「殿下こそ」
公式な場所では殿下とお呼びする。
レオンハルト様もお痩せになられて、あまり眠れていなかったのでしょう。
「これで終わるといいが、事後処理を考えると頭が痛くなる」
溜め息をつかれたレオンハルト様の皺の寄った眉間を指で伸ばして差し上げると、フッと笑われました。
久しぶりの触れ合いに、ずっと側に居たくなる気持ちを抑えます。
「殿下、その前にこの会場にいる皆様に」
短い時間とはいえ、他の学生を巻き込んでしまい流石に申し訳ございませんわ。
動揺されていてパーティーを楽しむ雰囲気ではありませんもの。
「ああ、説明は必要か」
レオンハルト様が、この卒業パーティーでのある種演劇と化したこの一連の騒動のこちらの思惑を簡単に説明されると、更に会場は大きくざわつく事になりました。
例えるならば阿鼻叫喚でしょうか?
問題ばかり起こしていた男爵令嬢にうつつを抜かした王太子達と蔑み側妃のお子様であられる第二王子に派閥を鞍替えされた方や、殿下に直接ではないにしろ不敬を承知で国の為に考え直していただける様に嘆願された方などに、将来自分が即位した時に忠義を尽くせる人間か、愚王となった時にどう振る舞うのかをローズさんに傾倒する演技を続ける事で皆を試していたと告げられたのですから。
裏切りや寝返る可能性のある者、志の高い者など、将来国政に携わる資格がありそうかと見極めていたと告げられ、 顔を青ざめていたり、安堵の表情を浮かべていたり、慌ててお帰りになられたりと人それぞれでしたが。
約半年がかりのサプライズは成功です。
卒業という今日の日は、皆様の忘れられない思い出になったでしょう。
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