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155.誰が為に鐘は鳴る⑪
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藤澤さんは私にとっては付き合う前からずっと憧れ続けていた人だ。
何年ぶりかに再開して「三浦さん」と呼ばれ、以前の憧れが蘇り、「優里」と呼ばれ心が高鳴る。「逢いたかった」と伝えられたら、ずっと堰き止めた想いを止める事など出来なかった。
彼の腕の中で棒立ちになってしまった私になす術はなく。壁に貼り付けられるように絡められた指の温もりを手放せずにいたら、以前のように優しく唇を重ねられる。
「...んっ」
つい、短く溜息のような反応を見せてしまうと、それから心と身体はなし崩しでグズグズに蕩けてゆく。
...やっぱり、忘れるなんてできない。
あまつさえ、この時間が延々に続けば良いのにと思ってしまった私の目に入ったのは彼の薬指の指輪。だからこそ、踏みとどまれた気がした。
「...こんなのダメです。もう、遅いんです、私たち...」
私は藤澤さんの身体を何とか押しのけ、彼の胸を力なく叩き続けると彼は私の突然の拒絶に呆気にとられていたようで。
「なにが...?」
咄嗟に私の両手首を掴み、真顔で質問してくる彼はずるい。こんな辛い現実を私に説明しろというのだから。それでも私は今の状況を打破する為に必死だった。
「だって...藤澤さん、結婚してる」
勇気を出して伝えられた言葉はこれだけ。これだけでも私の中では精一杯なのに彼の反応はというと意外なほど淡泊だった。
「あぁ、それ...か」
その証拠に私を掴んでいた彼の手が脱力する。そんなにおかしな事を言ってしまったのだろうかと今度は心配になり馬鹿正直に確認してしまった。
「それってスゴく大事なことです。私、藤澤さんのこと諦めようと...何度も...」
今、自分の言った言葉は諸刃の剣だ。大事な事を伝えているうちにどうしようもなく悲しくなり、ポロポロと涙が。彼も私の情緒不安定さに困りはててしまっている。
「ごめん、軽率な発言だった。優里にとってはそんなことじゃないよな」
彼にとっては以前の習性みたいな動作で私を腕の中に抱き込む。私はあからさまに逃げる事は出来なかっだけれども、頭を触れられた時、どうしようもない罪悪感に襲われていた。
「...そうです。だから、こんな事をしてしまっては...」
まっすぐ彼の目を見て伝えられなかったのは、やましい気持ちがまだ残っていたから。その場で俯いてしまうと、きっと呆れられてしまうにちがいない。その彼の言葉をビクビクして待っていたらと予想外の言葉がかけられた。
「そのことは、今、説明するから」
...説明?
今の状況にそぐわない言葉に困惑したまま部屋のソファーに座らせられ、そのうちに結婚した経緯とか聞かされるのかと気がつくとジワッと再び瞳に涙が溜まってくる。そんな顔を藤澤さんに見せてはいけないと思い俯いていたら、彼はどういうわけだか私の目の前で絨毯に正座していて、そのおかげでみっともない顔はバッチリ丸見えだ。
「...大丈夫?落ち着きそう?」
心配して頰に伸ばされる左手。相変わらず彼は優しい。でも、その薬指にはまっている指輪は私にとっては彼に触れてはいけない結界に見えた。だからその手に応じまいと顔を逸らすと彼もそのあからさまには気がつく。
「...優里が気にしていたのはコレ?」
藤澤さんにとってはそんなに重要な事ではないのかとその口調の軽さにハッとして顔をあげる。そんな私にフッと口元を緩め、その凶々しい指輪を何と!私の目の前で引き抜いてしまった。
「そ、それっ!!?」
彼の不可解な行動に思わず声を上げてしまった私に対し、藤澤さんは動じなかった。
「この指輪は結婚指輪でなくて、戒めみたいなものなんだ」
「...戒め...ですか?」
...戒め??
聞きなれない言葉が頭を反芻して混乱する。その間に彼は外した指輪を近くにあるガラステーブルに置き、話を続けた。
「...優里は俺と離れている間、誰とだって自由に恋愛してくれても構わないし、その方が寧ろ良かった。でも、俺の方は...自分からあんな手紙を出した以上、万が一にも誘惑に乗るような事はあってはならないと思っていたから。それに、この指輪のおかげでそういう誘惑もわりと防げた」
今、彼の話している内容は今の私の頭では理解不能。ただ、1つだけわかった事がある。それはあの指輪が結婚指輪ではないって事。
「...それじゃ」
私の声色がさっきより明るく変わったのを藤澤さんは気がついたみたいで、小さく頷く。その後に教えてくれたことは自分にとっては嬉しい事でもあり信じられない事だった。
「俺は優里と出会ってから、君以外、好きになるのは無理だった。だから、優里の思うような相手はいない」
そう言い切ってくれた彼の言葉の破壊力に一気にヘナヘナと身体から力が抜けてゆく。
...結婚していなかった。
頭の中でその事がグルグル回ると、彼に言いたい言葉、伝えたい言葉が見つからない。会う前はいいたい事がたくさんあったはずなのに。
「....................」
「......優里?優里さん??」
彼の呼びかけが遠くに聞こえる。それに全く反応できないできると膝に置いてあった手がいつの間にか彼の手の温もりに包まれていた。流石にそれには気がつくと藤澤さんは真剣な眼差しで私の顔を見上げている。
「あともう1つだけ、大事な事を伝えてもいいかな?」
触れている手が強く握りこまれ、さっきまで淡々としていたはずの彼の緊張が伝わる。それに思わず身を強張らせてしまったもののコクンと無言で頷いた。
...なんだろう?大事な話って??
彼の様子がぎこちなく見え、否応なしにもその一挙手一投足が気になり目で追ってしまう。藤澤さんはというと私の方を一切見ずにポロシャツの胸ポケットから何やら出したみたいでそれを改めて左手の手のひらに乗せる。その手のひらがどういうわけか私の方へ差し出された。それと同時に。
「三浦優里さん...俺と、結婚してください」
彼はそれだけを私に伝えると、勢いよく私に頭を下げてしまった。そのおかげで全く彼の表情から気持ちを読み取る事が出来ず差し出された彼の左手を凝視するしかなくて。
すると、そこには2つの指輪が輝いていた。
1つは一粒ダイヤのプラチナの指輪。もう1つはシンプルなプラチナの指輪。これはどう見てもエンゲージリングとマリッジリング?
そして、藤澤さんが今夜わざわざ会いに来てくれた理由。
私はここでようやく理解した、と思う。
何年ぶりかに再開して「三浦さん」と呼ばれ、以前の憧れが蘇り、「優里」と呼ばれ心が高鳴る。「逢いたかった」と伝えられたら、ずっと堰き止めた想いを止める事など出来なかった。
彼の腕の中で棒立ちになってしまった私になす術はなく。壁に貼り付けられるように絡められた指の温もりを手放せずにいたら、以前のように優しく唇を重ねられる。
「...んっ」
つい、短く溜息のような反応を見せてしまうと、それから心と身体はなし崩しでグズグズに蕩けてゆく。
...やっぱり、忘れるなんてできない。
あまつさえ、この時間が延々に続けば良いのにと思ってしまった私の目に入ったのは彼の薬指の指輪。だからこそ、踏みとどまれた気がした。
「...こんなのダメです。もう、遅いんです、私たち...」
私は藤澤さんの身体を何とか押しのけ、彼の胸を力なく叩き続けると彼は私の突然の拒絶に呆気にとられていたようで。
「なにが...?」
咄嗟に私の両手首を掴み、真顔で質問してくる彼はずるい。こんな辛い現実を私に説明しろというのだから。それでも私は今の状況を打破する為に必死だった。
「だって...藤澤さん、結婚してる」
勇気を出して伝えられた言葉はこれだけ。これだけでも私の中では精一杯なのに彼の反応はというと意外なほど淡泊だった。
「あぁ、それ...か」
その証拠に私を掴んでいた彼の手が脱力する。そんなにおかしな事を言ってしまったのだろうかと今度は心配になり馬鹿正直に確認してしまった。
「それってスゴく大事なことです。私、藤澤さんのこと諦めようと...何度も...」
今、自分の言った言葉は諸刃の剣だ。大事な事を伝えているうちにどうしようもなく悲しくなり、ポロポロと涙が。彼も私の情緒不安定さに困りはててしまっている。
「ごめん、軽率な発言だった。優里にとってはそんなことじゃないよな」
彼にとっては以前の習性みたいな動作で私を腕の中に抱き込む。私はあからさまに逃げる事は出来なかっだけれども、頭を触れられた時、どうしようもない罪悪感に襲われていた。
「...そうです。だから、こんな事をしてしまっては...」
まっすぐ彼の目を見て伝えられなかったのは、やましい気持ちがまだ残っていたから。その場で俯いてしまうと、きっと呆れられてしまうにちがいない。その彼の言葉をビクビクして待っていたらと予想外の言葉がかけられた。
「そのことは、今、説明するから」
...説明?
今の状況にそぐわない言葉に困惑したまま部屋のソファーに座らせられ、そのうちに結婚した経緯とか聞かされるのかと気がつくとジワッと再び瞳に涙が溜まってくる。そんな顔を藤澤さんに見せてはいけないと思い俯いていたら、彼はどういうわけだか私の目の前で絨毯に正座していて、そのおかげでみっともない顔はバッチリ丸見えだ。
「...大丈夫?落ち着きそう?」
心配して頰に伸ばされる左手。相変わらず彼は優しい。でも、その薬指にはまっている指輪は私にとっては彼に触れてはいけない結界に見えた。だからその手に応じまいと顔を逸らすと彼もそのあからさまには気がつく。
「...優里が気にしていたのはコレ?」
藤澤さんにとってはそんなに重要な事ではないのかとその口調の軽さにハッとして顔をあげる。そんな私にフッと口元を緩め、その凶々しい指輪を何と!私の目の前で引き抜いてしまった。
「そ、それっ!!?」
彼の不可解な行動に思わず声を上げてしまった私に対し、藤澤さんは動じなかった。
「この指輪は結婚指輪でなくて、戒めみたいなものなんだ」
「...戒め...ですか?」
...戒め??
聞きなれない言葉が頭を反芻して混乱する。その間に彼は外した指輪を近くにあるガラステーブルに置き、話を続けた。
「...優里は俺と離れている間、誰とだって自由に恋愛してくれても構わないし、その方が寧ろ良かった。でも、俺の方は...自分からあんな手紙を出した以上、万が一にも誘惑に乗るような事はあってはならないと思っていたから。それに、この指輪のおかげでそういう誘惑もわりと防げた」
今、彼の話している内容は今の私の頭では理解不能。ただ、1つだけわかった事がある。それはあの指輪が結婚指輪ではないって事。
「...それじゃ」
私の声色がさっきより明るく変わったのを藤澤さんは気がついたみたいで、小さく頷く。その後に教えてくれたことは自分にとっては嬉しい事でもあり信じられない事だった。
「俺は優里と出会ってから、君以外、好きになるのは無理だった。だから、優里の思うような相手はいない」
そう言い切ってくれた彼の言葉の破壊力に一気にヘナヘナと身体から力が抜けてゆく。
...結婚していなかった。
頭の中でその事がグルグル回ると、彼に言いたい言葉、伝えたい言葉が見つからない。会う前はいいたい事がたくさんあったはずなのに。
「....................」
「......優里?優里さん??」
彼の呼びかけが遠くに聞こえる。それに全く反応できないできると膝に置いてあった手がいつの間にか彼の手の温もりに包まれていた。流石にそれには気がつくと藤澤さんは真剣な眼差しで私の顔を見上げている。
「あともう1つだけ、大事な事を伝えてもいいかな?」
触れている手が強く握りこまれ、さっきまで淡々としていたはずの彼の緊張が伝わる。それに思わず身を強張らせてしまったもののコクンと無言で頷いた。
...なんだろう?大事な話って??
彼の様子がぎこちなく見え、否応なしにもその一挙手一投足が気になり目で追ってしまう。藤澤さんはというと私の方を一切見ずにポロシャツの胸ポケットから何やら出したみたいでそれを改めて左手の手のひらに乗せる。その手のひらがどういうわけか私の方へ差し出された。それと同時に。
「三浦優里さん...俺と、結婚してください」
彼はそれだけを私に伝えると、勢いよく私に頭を下げてしまった。そのおかげで全く彼の表情から気持ちを読み取る事が出来ず差し出された彼の左手を凝視するしかなくて。
すると、そこには2つの指輪が輝いていた。
1つは一粒ダイヤのプラチナの指輪。もう1つはシンプルなプラチナの指輪。これはどう見てもエンゲージリングとマリッジリング?
そして、藤澤さんが今夜わざわざ会いに来てくれた理由。
私はここでようやく理解した、と思う。
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