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【spin-off】bittersweet first love
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外部受験から一転、俺は系列大学の推薦に合格し高3の秋を迎える。つい最近まで外部受験の為に予備校に通い受験勉強をしていた日々が嘘みたいに思えるほど緊張感のない高校生活を送っていた。それは周りの人間、田山や吉岡も例外ではなく部活動を卒業した彼らも残り少ない高校生活を勉強以外の事に謳歌している。
「ったく、なんでこんなに今年は暑いんだよ!もう、9月半ばだろ??」
二学期が始まり、授業どころではない尋常じゃない暑さが続く。一緒に帰る予定の田山はこの日の日直で、日誌を書くのをやめ半袖ワイシャツの開襟部分を開閉しながらだらけ始める。暑がりの彼はこの時期にめっぽう弱いのは知ってはいたが、今年は予想以上の猛暑だった。
「暑いのは夏だからだろ?暑い暑い連呼するな。余計に暑苦しいわ!」
こんな暑い中、だらだらと待たせられている俺の身にもなってみろと一喝すると、今度は難癖つけられる。
「そんな事言ったって、暑いものは仕方ないじゃん!こんなに暑いのに藤澤みたいにしれっと涼しい顔してる方がどうかしてる!お前は冷血動物か!!」
「どうかしてるって、俺だって暑いさ。お前の方こそその異常な暑がりを治せ」
売り言葉に買い言葉の丁々発止しで騒いでしまうと、待ち人来たり。ジャンケンで負けて飲み物を一階の購買の自販機まで買いに行った吉岡が戻ってきた。
「おせーよ!」
「バーカ。これでも急いで来たんだから感謝しろな!それに何騒いでんだ?人が少ないから廊下まで聞こえたぞ。みっともねぇなぁ...ほら、田山はコーラに藤澤は、、ポカリ?」
「サンキュ」
各々注文した飲み物を受け取ると待ってましたとばかりに、息つく暇もなくプルトップを開け、大口で一気飲み。喉がひんやり潤ってくると暑さでヒートアップしていた頭が徐々に冷えてゆく。それは田山も同様なようで。
「はぁー、生き返る!!」
あっという間にコーラを飲み干した田山はやる気を取り戻し、再び日誌を書き始める。俺と吉岡は暇を持て余し、近くの空いている席に座った。そして、田山を待ちながらチビチビと飲み物を飲んでいると、かったるいと机に突っ伏していた吉岡がムクリと顔を上げる。
「そうだ、忘れてた」
「なにを?」
「女子部の文化祭。来月なんだけど田山、お前行くか?」
吉岡は彼女がいるし田山は新しい出会いを求めて、毎年必ず行っている女子部の文化祭。ただ、ここの文化祭は招待制なので不特定多数の人間が自由に入場できるわけではなく、吉岡の彼女のつてで田山は入れていたので、その確認というわけだ。俺はというと一度だけ興味本位で行ったことはあったが、それ以来行くことはなかった。
「行く行く!絶対、行く!!」
日誌もそっちのけで身を乗り出してまで返事をする田山を吉岡はハイハイと軽くいなし、チラリと俺の方を見る。
「...藤澤は今年どうする?ユメちゃんが藤澤に会いたがってるんだけど」
ユメちゃんとは吉岡の彼女の事で噂は聞いていたが遠目でしか見た事はないし、話した事もない。吉岡にこんな風に誘われても行く気はなかった。
「無理無理!藤澤が行くわけないじゃん、女子部の文化祭なんて」
そんな俺の代わりにシレッと田山が返事をしてくれたのだが。
「...今年は行く」
ボソッと独り言のように呟くと、答えはNOだと信じきってやまない2人は一瞬言葉を失った。
「マジかっ?!」
即座に反応したのは田山。その後吉岡と続き「あり得ない!」と2人は口々に言い始める。こんな風に驚かれるとは思っていなかったので些か心外に思う。
「うるせーな。気が変わったんだよ、悪いか?」
俺があからさまに不機嫌になると、誘った吉岡は俺の気が変わらないように田山を制した。
「まー、藤澤も高校最後の年だし思うところもあんだろ?田山もそう茶化すなって」
『思うところ』、、、吉岡の言葉は確かに的を得ている。
「ったく、なんでこんなに今年は暑いんだよ!もう、9月半ばだろ??」
二学期が始まり、授業どころではない尋常じゃない暑さが続く。一緒に帰る予定の田山はこの日の日直で、日誌を書くのをやめ半袖ワイシャツの開襟部分を開閉しながらだらけ始める。暑がりの彼はこの時期にめっぽう弱いのは知ってはいたが、今年は予想以上の猛暑だった。
「暑いのは夏だからだろ?暑い暑い連呼するな。余計に暑苦しいわ!」
こんな暑い中、だらだらと待たせられている俺の身にもなってみろと一喝すると、今度は難癖つけられる。
「そんな事言ったって、暑いものは仕方ないじゃん!こんなに暑いのに藤澤みたいにしれっと涼しい顔してる方がどうかしてる!お前は冷血動物か!!」
「どうかしてるって、俺だって暑いさ。お前の方こそその異常な暑がりを治せ」
売り言葉に買い言葉の丁々発止しで騒いでしまうと、待ち人来たり。ジャンケンで負けて飲み物を一階の購買の自販機まで買いに行った吉岡が戻ってきた。
「おせーよ!」
「バーカ。これでも急いで来たんだから感謝しろな!それに何騒いでんだ?人が少ないから廊下まで聞こえたぞ。みっともねぇなぁ...ほら、田山はコーラに藤澤は、、ポカリ?」
「サンキュ」
各々注文した飲み物を受け取ると待ってましたとばかりに、息つく暇もなくプルトップを開け、大口で一気飲み。喉がひんやり潤ってくると暑さでヒートアップしていた頭が徐々に冷えてゆく。それは田山も同様なようで。
「はぁー、生き返る!!」
あっという間にコーラを飲み干した田山はやる気を取り戻し、再び日誌を書き始める。俺と吉岡は暇を持て余し、近くの空いている席に座った。そして、田山を待ちながらチビチビと飲み物を飲んでいると、かったるいと机に突っ伏していた吉岡がムクリと顔を上げる。
「そうだ、忘れてた」
「なにを?」
「女子部の文化祭。来月なんだけど田山、お前行くか?」
吉岡は彼女がいるし田山は新しい出会いを求めて、毎年必ず行っている女子部の文化祭。ただ、ここの文化祭は招待制なので不特定多数の人間が自由に入場できるわけではなく、吉岡の彼女のつてで田山は入れていたので、その確認というわけだ。俺はというと一度だけ興味本位で行ったことはあったが、それ以来行くことはなかった。
「行く行く!絶対、行く!!」
日誌もそっちのけで身を乗り出してまで返事をする田山を吉岡はハイハイと軽くいなし、チラリと俺の方を見る。
「...藤澤は今年どうする?ユメちゃんが藤澤に会いたがってるんだけど」
ユメちゃんとは吉岡の彼女の事で噂は聞いていたが遠目でしか見た事はないし、話した事もない。吉岡にこんな風に誘われても行く気はなかった。
「無理無理!藤澤が行くわけないじゃん、女子部の文化祭なんて」
そんな俺の代わりにシレッと田山が返事をしてくれたのだが。
「...今年は行く」
ボソッと独り言のように呟くと、答えはNOだと信じきってやまない2人は一瞬言葉を失った。
「マジかっ?!」
即座に反応したのは田山。その後吉岡と続き「あり得ない!」と2人は口々に言い始める。こんな風に驚かれるとは思っていなかったので些か心外に思う。
「うるせーな。気が変わったんだよ、悪いか?」
俺があからさまに不機嫌になると、誘った吉岡は俺の気が変わらないように田山を制した。
「まー、藤澤も高校最後の年だし思うところもあんだろ?田山もそう茶化すなって」
『思うところ』、、、吉岡の言葉は確かに的を得ている。
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