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【spin-off】bittersweet first love
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散歩の後のビールは格別と高澤の前で喉を鳴らしてほぼ一気飲み。その勢いにポカンとしていた彼女だったが。
「...美味しそうね、ビール?」
よほど俺がうまそうに飲んでいたのだろう。彼女の興味をそそったらしい。それから2杯目を頼むと不意に悪戯心が芽生え、置かれた2杯目を指差し「飲むか?」と聞くと彼女は無言でうなづく。すぐさまビールを嬉しそうに受けとるともう既に一口。
...冗談だったのに。
再びグラスを受け取る頃には、彼女の顔は真っ赤でゆでダコ状態。酒弱すぎだろ?と苦笑すると、高澤は手で火照った頬を必死で仰いでいた。
「酔ったか?」
「...少しね」
俺に言った手前、意地っ張りを通す高澤は予想通り。酔い覚ましにさっさとファミレスを出ると、街灯が煌々と辺りを照らしていた。
「ほら、帰るぞ。酔っ払い」
不本意ながら高澤の腕を掴むと、ふらつく彼女の身体がよろける。仕方ないなと肩を抱きながら歩き出すと、心地よい夜風が吹いたが、素直にしなだれかかる高澤の身体に触れていたら身体が妙に熱くなる。
...何の修行だ、コレ?
先ほどまで友達でありたいと誓ったのに、彼女に対し『異性』を感じてしまう己の節操のなさが悩ましい。もう、目眩しのほんのりとした酔いも役に立たなそうで、駅までの道が偉く長く感じた。そんな俺の心中を知ってか知らずか、「ねぇ?」と高澤が海辺を指差す。
「...あれ、何してるの?」
酔っている彼女には、複数の人間がはしゃいでいる事しか分からなかったらしい。俺は歩きながら気をまぎらわすために一部始終眺めていたので、そのはしゃぐ理由を知っていた。
「花火」
今の時期は初夏で日中と違い、夜風が気持ちいい。近くに海というか水も大量にあれば、花火をする事なんて誰でも考えつく。それに俺たちと歳の近い人間だろうか?小さな子供と親子連れの関係には見えなかった。だから、その声の大きいはしゃぎっぷりが目に付いていたのだが。
「私もやりたい」
「...は!?」
突然の宣言に唖然とし、すかさず、お前酔っ払ってんだろ!?、帰るんだろ!?と声をはりあげるが、酔っ払いは聞く耳持たず。まるで蛍のように近くに見えるコンビニの灯りに彼女の身体はフラフラと吸い寄せられる。
「ちょっと、待てって!!コラ!!」
慌て制止する俺をまるっと無視して、コンビニに入られればゲームセット。もう、どうにでもなれと何とか言いくるめた高澤を外で待たせ、小さな花火セットに酔い覚ましの飲み物、ライターなどなどを代わりに買い込む。そして、レジ袋を持ち、花火をご所望の彼女と半ば諦めに似た気持ちで海辺へと誘う。へらと緊張感のない笑顔を浮かべる高澤の足元を気をつけながら、砂浜へと降りるとさっさと終わらせる為に早速点火。手持ち花火の光が酔い覚ましのミネラルウォーターを飲む高澤の姿を照らした。
「この酔っ払いめ...」
恨みがましく呟くと、酔いから醒めつつある高澤に聞こえたようで「酔っ払ってないもん」と小さく頬を膨らます。その証拠にと自ら花火を持ち俺の花火から火をもらい、手首をクルクルと回すと予想外に火花が広範囲に飛び散る。
「危ないからやめろって!」
俺が軽く逃げると、彼女が仕返しとばかりにキャッキャっと高笑いをする。俺も負けじと同じ事をしだすと、あっという間に手持ち花火は消化し、残るは小さな線香花火のみとなる。コレは経験上小さい火花しか飛び散らない事を知っているので2人で風除けのため、顔を突き合わせるようにしゃがんだ。
火をつけるとパチパチと小さな火花が漆黒の闇の中で光る。
その光を見続けるとさっきまでのはしゃぎっぷりがどういうわけか落ち着ついきた。これが線香花火の醍醐味かと音もなく落ちてゆく塊の行く末を2人で言葉少なに眺め、気がつくと線香花火はあと2本。
「これが最後」
最後も分け合い火をつけると、今日1番大きな火花が散り、高澤の持つ線香花火の塊がいち早く落ちてゆく。
「はやっ、もう落ちた...」
呆気ないと彼女は落胆し、今度は俺の持つ線香花火に視線が注がれる。その視線の先の指先が緊張の為か震えそうになり、早く落ちそうになる。だから、彼女の気をそらすための話を促した。
「いきなり、話せって言われても...」
口を尖らせつつも、彼女はどうにかこうにか話し始めた。
「...じゃあ、中学校の時の話」
「うん?」
「...私、ずっと好きな人がいたんだよね」
前触れもなく始まったのはなんと高澤の恋話。話を促した責任上、過去のものだと割り切り、手元の線香花火に集中する傍ら、軽い気持ちで話を聞くことにする。
「...美味しそうね、ビール?」
よほど俺がうまそうに飲んでいたのだろう。彼女の興味をそそったらしい。それから2杯目を頼むと不意に悪戯心が芽生え、置かれた2杯目を指差し「飲むか?」と聞くと彼女は無言でうなづく。すぐさまビールを嬉しそうに受けとるともう既に一口。
...冗談だったのに。
再びグラスを受け取る頃には、彼女の顔は真っ赤でゆでダコ状態。酒弱すぎだろ?と苦笑すると、高澤は手で火照った頬を必死で仰いでいた。
「酔ったか?」
「...少しね」
俺に言った手前、意地っ張りを通す高澤は予想通り。酔い覚ましにさっさとファミレスを出ると、街灯が煌々と辺りを照らしていた。
「ほら、帰るぞ。酔っ払い」
不本意ながら高澤の腕を掴むと、ふらつく彼女の身体がよろける。仕方ないなと肩を抱きながら歩き出すと、心地よい夜風が吹いたが、素直にしなだれかかる高澤の身体に触れていたら身体が妙に熱くなる。
...何の修行だ、コレ?
先ほどまで友達でありたいと誓ったのに、彼女に対し『異性』を感じてしまう己の節操のなさが悩ましい。もう、目眩しのほんのりとした酔いも役に立たなそうで、駅までの道が偉く長く感じた。そんな俺の心中を知ってか知らずか、「ねぇ?」と高澤が海辺を指差す。
「...あれ、何してるの?」
酔っている彼女には、複数の人間がはしゃいでいる事しか分からなかったらしい。俺は歩きながら気をまぎらわすために一部始終眺めていたので、そのはしゃぐ理由を知っていた。
「花火」
今の時期は初夏で日中と違い、夜風が気持ちいい。近くに海というか水も大量にあれば、花火をする事なんて誰でも考えつく。それに俺たちと歳の近い人間だろうか?小さな子供と親子連れの関係には見えなかった。だから、その声の大きいはしゃぎっぷりが目に付いていたのだが。
「私もやりたい」
「...は!?」
突然の宣言に唖然とし、すかさず、お前酔っ払ってんだろ!?、帰るんだろ!?と声をはりあげるが、酔っ払いは聞く耳持たず。まるで蛍のように近くに見えるコンビニの灯りに彼女の身体はフラフラと吸い寄せられる。
「ちょっと、待てって!!コラ!!」
慌て制止する俺をまるっと無視して、コンビニに入られればゲームセット。もう、どうにでもなれと何とか言いくるめた高澤を外で待たせ、小さな花火セットに酔い覚ましの飲み物、ライターなどなどを代わりに買い込む。そして、レジ袋を持ち、花火をご所望の彼女と半ば諦めに似た気持ちで海辺へと誘う。へらと緊張感のない笑顔を浮かべる高澤の足元を気をつけながら、砂浜へと降りるとさっさと終わらせる為に早速点火。手持ち花火の光が酔い覚ましのミネラルウォーターを飲む高澤の姿を照らした。
「この酔っ払いめ...」
恨みがましく呟くと、酔いから醒めつつある高澤に聞こえたようで「酔っ払ってないもん」と小さく頬を膨らます。その証拠にと自ら花火を持ち俺の花火から火をもらい、手首をクルクルと回すと予想外に火花が広範囲に飛び散る。
「危ないからやめろって!」
俺が軽く逃げると、彼女が仕返しとばかりにキャッキャっと高笑いをする。俺も負けじと同じ事をしだすと、あっという間に手持ち花火は消化し、残るは小さな線香花火のみとなる。コレは経験上小さい火花しか飛び散らない事を知っているので2人で風除けのため、顔を突き合わせるようにしゃがんだ。
火をつけるとパチパチと小さな火花が漆黒の闇の中で光る。
その光を見続けるとさっきまでのはしゃぎっぷりがどういうわけか落ち着ついきた。これが線香花火の醍醐味かと音もなく落ちてゆく塊の行く末を2人で言葉少なに眺め、気がつくと線香花火はあと2本。
「これが最後」
最後も分け合い火をつけると、今日1番大きな火花が散り、高澤の持つ線香花火の塊がいち早く落ちてゆく。
「はやっ、もう落ちた...」
呆気ないと彼女は落胆し、今度は俺の持つ線香花火に視線が注がれる。その視線の先の指先が緊張の為か震えそうになり、早く落ちそうになる。だから、彼女の気をそらすための話を促した。
「いきなり、話せって言われても...」
口を尖らせつつも、彼女はどうにかこうにか話し始めた。
「...じゃあ、中学校の時の話」
「うん?」
「...私、ずっと好きな人がいたんだよね」
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