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【spin-off】bittersweet first love
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線香花火の火花が暗闇の中でジリジリと音を立てる。その音に無心になって耳を傾けると高澤がポツポツと話し始めた。
「小学校の時、初めて会って...」
「...ふうん」
無関心を装うも、心の中では興味津々で。
「中学校の時は学校が別学になったからなかなか会えなかったけど、何かと理由をつけて会いに行ってた。でも、全然仲良くなれないし」
「...へえ」
「高校になると殆ど会えなくなって、ある時期から何故かまた会えるようになったから、もしかしたら縁があるかもって...思い始めて」
「それで?っていうかそれって...」
つい、興味が表に出てしまう。その相手というのは田山のこと?と聞き返しそうになった時に、思わず指先に力が入ってしまい、その振動で線香花火の塊がポトリ。ずっと行方を見守っていた俺たちは「あ」と小さな声をほぼ同時にあげ、それから責任転嫁戦争勃発。
「ちょっ、何で落としてるのよ!?」
「高澤がいきなり変な話降るからだろ!?」
「何でもいいから話せって言ったのそっちじゃない!」
「時と場合を考えろ。何でこんな時に好きな人の話なんて...普通、ありえないだろ!?」
吐き捨てるように言ってしまった言葉はあくまでも俺の主観で、見苦しいまでの嫉妬心が含まれているのは自覚済み。最後までこれかよと我ながら情けなくなり、彼女から顔を伏せるように左手で視線を遮る。そして、高澤は俺の幼稚な振る舞いに呆れてこのまま帰るんだろうなと自己嫌悪な気持ちで佇んでいると。
「...ずっと....が好きだった」
彼女から発せられた小さな呟き。それを聞き逃さなかった俺は顔から手を外し、高澤の顔を凝視してしまっていた。
「今、なんて...?」
俺の行動はさぞ滑稽に違いない。その証拠に彼女は俺を見るなり口元だけに笑みを浮かべ、もう一度繰り返した。
「私、ずっと、藤澤が好きだったって言ったの」
言葉を頭の中で反芻し、解読するまで時間を要した。その間、硬直してしまった肩に手を置かれると、せわしなくなる鼓動に苛まれる。無言を貫く唇にあと10センチ、1センチと背を屈めて近づく彼女の吐息に唇をくすぐられ、頭が焦げたみたいにひりつく。
「...ふ、じ...」
俺の名を呼ぶ彼女の言葉が途切れると、パァンとどこからともなく聞こえる破裂音が聞こえる。
それが打ち上げ花火の音だと気がついたのは、高澤の柔らかな唇に再び触れた数秒後の事。
ほんの少し触れた唇が離れると、ふっと微かな笑いとともに短い息が漏れた。
「...何でキスなんかするんだよ?」
「藤澤だって、同じ風に私にした事あるじゃん」
「...あれは」
俺があの時の気持ちを言いあぐねてしまうと彼女の方が一枚上手で。
「私、今も藤澤が好き...だから...」
まっすぐに想いをぶつけてくる高澤を拒む事ができるわけもなく、それどころかその気持ちが嬉しくてたまらなかった。その小柄な身体を2度と逃すまいと自分の腕の中に閉じ込めてしまうほどに。
「...もう一度、キスしたい。いいか?」
答えを聞くまでもなく、唇を重ねる。
それは不意打ちでもなく合意のもとでのキスで、心を許した瞬間から、坂道を転がり落ちるように彼女に惹かれてゆく自分を止められなかった。
「小学校の時、初めて会って...」
「...ふうん」
無関心を装うも、心の中では興味津々で。
「中学校の時は学校が別学になったからなかなか会えなかったけど、何かと理由をつけて会いに行ってた。でも、全然仲良くなれないし」
「...へえ」
「高校になると殆ど会えなくなって、ある時期から何故かまた会えるようになったから、もしかしたら縁があるかもって...思い始めて」
「それで?っていうかそれって...」
つい、興味が表に出てしまう。その相手というのは田山のこと?と聞き返しそうになった時に、思わず指先に力が入ってしまい、その振動で線香花火の塊がポトリ。ずっと行方を見守っていた俺たちは「あ」と小さな声をほぼ同時にあげ、それから責任転嫁戦争勃発。
「ちょっ、何で落としてるのよ!?」
「高澤がいきなり変な話降るからだろ!?」
「何でもいいから話せって言ったのそっちじゃない!」
「時と場合を考えろ。何でこんな時に好きな人の話なんて...普通、ありえないだろ!?」
吐き捨てるように言ってしまった言葉はあくまでも俺の主観で、見苦しいまでの嫉妬心が含まれているのは自覚済み。最後までこれかよと我ながら情けなくなり、彼女から顔を伏せるように左手で視線を遮る。そして、高澤は俺の幼稚な振る舞いに呆れてこのまま帰るんだろうなと自己嫌悪な気持ちで佇んでいると。
「...ずっと....が好きだった」
彼女から発せられた小さな呟き。それを聞き逃さなかった俺は顔から手を外し、高澤の顔を凝視してしまっていた。
「今、なんて...?」
俺の行動はさぞ滑稽に違いない。その証拠に彼女は俺を見るなり口元だけに笑みを浮かべ、もう一度繰り返した。
「私、ずっと、藤澤が好きだったって言ったの」
言葉を頭の中で反芻し、解読するまで時間を要した。その間、硬直してしまった肩に手を置かれると、せわしなくなる鼓動に苛まれる。無言を貫く唇にあと10センチ、1センチと背を屈めて近づく彼女の吐息に唇をくすぐられ、頭が焦げたみたいにひりつく。
「...ふ、じ...」
俺の名を呼ぶ彼女の言葉が途切れると、パァンとどこからともなく聞こえる破裂音が聞こえる。
それが打ち上げ花火の音だと気がついたのは、高澤の柔らかな唇に再び触れた数秒後の事。
ほんの少し触れた唇が離れると、ふっと微かな笑いとともに短い息が漏れた。
「...何でキスなんかするんだよ?」
「藤澤だって、同じ風に私にした事あるじゃん」
「...あれは」
俺があの時の気持ちを言いあぐねてしまうと彼女の方が一枚上手で。
「私、今も藤澤が好き...だから...」
まっすぐに想いをぶつけてくる高澤を拒む事ができるわけもなく、それどころかその気持ちが嬉しくてたまらなかった。その小柄な身体を2度と逃すまいと自分の腕の中に閉じ込めてしまうほどに。
「...もう一度、キスしたい。いいか?」
答えを聞くまでもなく、唇を重ねる。
それは不意打ちでもなく合意のもとでのキスで、心を許した瞬間から、坂道を転がり落ちるように彼女に惹かれてゆく自分を止められなかった。
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