小悪魔なお姫様と執着深い大公

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運命の夜

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第三章:運命の夜

二年後の夜会。

クラウスは変わり果てていた。
紳士的だった彼は、今や女遊びに溺れる放蕩貴族になっていた。

「お久しぶりね、クラウス」

背筋が凍るような声が響く。

振り向くと、そこには 二年前と同じ悪魔がいた。

いや──
あの頃よりも、さらに美しく、さらに悪魔的になったエリスが。

「……エリス」

彼女は 周囲の男たちを従えて、悠然と彼の前に立っていた。

「ふふ、そんなに驚かなくてもいいのに」

彼女の周囲には、貴族の美男子たちが集っていた。
まるで 女王に群がる騎士たちのように。

クラウスは、なぜか 無意識に周囲の女性たちを引き寄せた。

──彼女に負ける気がしたからだ。

だが、それを見たエリスは楽しそうに微笑むだけだった。

「まあ、ずいぶんと変わったのね。私と別れた後、女の子に困ったことはなさそうじゃない?」

クラウスは皮肉げに笑う。

「お前に飽きられた男だ。女遊びに走るしかないだろう?」

「……まあ、そうね」

エリスは、悪戯な笑みを浮かべながら、彼の首筋にそっと指を這わせた。

「でも、クラウス。貴方、本当に私に飽きられたと思ってる?」

その囁きに、クラウスは息を呑んだ。

「……何が言いたい?」

エリスは 至近距離まで顔を寄せ、誘惑するように囁く。

「私はね、貴方がどれだけ私に執着するかを試したのよ?」

──その瞬間、クラウスの理性が崩れ落ちた。

「……ふざけるな、エリス」

「ふふ、怒った?」

彼女は 本当に楽しそうに笑う。

クラウスは 気づいてしまった。

──彼女は、最初から彼を弄ぶつもりだったのだ。

「お前は……俺のことを、ただの遊び相手だと……?」

「今さら気づいたの?」

エリスは、彼の胸に手を置いて、そっと囁く。

「ねえ、クラウス。貴方、まだ私のことが好き?」

その瞬間、彼は 彼女を奪い返したいという衝動に駆られた。

──そして、第二幕が始まる。

今度こそ、逃がさない。
彼女を支配し、手に入れるまで。

「好き?」

エリスが囁く。
彼女の声は甘く、まるで 毒のようにクラウスの理性を蝕む。

彼は 答えなかった。
答えた瞬間、彼女の掌の上で転がされることになると知っていたからだ。

だが、エリスはその沈黙すらも楽しむように微笑む。

「クラウス、貴方の目って本当に正直よね?」
「……何の話だ」
「私を睨んでいるようで、でも、愛おしそうにも見えるわ」

彼女は遊んでいる。
まるで猫が獲物を弄ぶように、じわじわと彼を追い詰める。

クラウスは 逃げ出したくなった。
だが、それ以上に 彼女を組み伏せたい衝動に駆られた。
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