スキル【疲れ知らず】を会得した俺は、人々を救う。

２話 エピローグ ようこそ始まりの街【ビーギニング】へ

４

　「うぅむ。…」
　と俺は唸るも、渋々ながらも納得するしかなかった。目の前の祖父の態度から、下手くそに誤魔化しているのは理解していた。だが深く追及するのは躊躇われた。
　それからワゴンの中に一瞬だけ、沈黙した空気が漂う。
　すると、今まで黙ってたダフネが話題を振りだす。
　「とりあえず、…旦那様。…これから、いかがいたしますか？」
　「そうだね。…まずは、すぐにでも冒険者ランク取得試験の再開だな。…」
　とリキッドは、間髪入れずに答えると、矢継ぎ早に喋り続けた。
　「…色々とあったが、いつまでも受験者達を待たせる訳にはいかないよ。…多くの人の将来が掛かっているからね。…それに、ヒルフェ君も早く冒険者になりたいだろうしね。…全力でやらないと！！」
　「…最後のは、本音だろう。」
　ダフネは話を聞くと、ぼやいて悪態をつく。
　ほぼ同時に、俺も否定した。
　「いや、俺は別に。…やりたい訳じゃなかったぞ。」
　「え？…」
　やや遅れてリキッドが反応していた。驚愕の表情を露にしながら戸惑いだし、両目を見開くと周囲を見渡す。最終的にはダフネの方へと視線を向けており、まるで助けを求めているようだ。