上 下
130 / 198

117話.バーベキュー

しおりを挟む
 見知らぬ天井だ……
 今日は城下街にある屋敷の一室のベッドで目を覚ました。
 良い夢を見る事ができて、心なしかスッキリとした朝だ。

 そして、サキュバスの少女リリスが私の隣で寝ていた。
 悪魔でも少女だ……非常に可愛い少女の寝顔だ。
 プニプニと柔らかそうな彼女の頬をつついて彼女を起こした。

「おはよう……リリス」

「お兄ちゃん、おはようございます。
 サキュバスの力はどうだった?」

「結構なお手前でした……」

「へへん」と言って、彼女は服を着ていないままの薄い胸を張っていた。

「なぁ、リリスは普通の服は持っていないのかい?」

「ん?  サキュバスはあの格好が正装だから、あの服しかないよ」

「そしたら、夕方くらいに私の嫁さん達を連れてくるから。
 その前に洋服を買ってくるんで着てくれよ。
 今の格好は当然ダメだし、サキュバスの正装も不審がられるから」

「わかった。
 それでココに住むのはいいけど、私は食事以外に何をすればいいの?」

「お屋敷の掃除とかしてくれるかい?」

「このお屋敷、もの凄く広いし一人ではムリだよー!!」

「あー、出来る範囲でいいし。
 ゆっくりでいいから、リリスのお仕事は食事をする事だから。
 手持ち無沙汰な時に掃除でもして時間を潰してよ」

「はーい。お小遣いとかも欲しいなぁ」と言って、チラチラとコッチを見てくる。

「あげるから、いい子にしてるんだぞ!!」「はーい」

「一度、私は自宅へ戻るから――ゆっくりくつろいでいてくれ。
 リリスが気に入った部屋があるなら、そこを君の部屋にしていいよ」

「わーい!! ありがとー」と言って、彼女は私の頬にキスしてくれた。

 ぐおっ、サキュバスのキスは下半身に悪い……
 ものすごい勢いで制御不能状態になった。
 リリスはニヤニヤと笑いながら、コチラを見ていた。

  そして、彼女は獲物を見るような眼でこちらを見つめている――その視線に、私は抵抗ができなかった。
 「朝ごはん、いただきまーす」とリリスが言って、サキュバスの食事を朝から与える事となったのは言うまでもない。

 食事が終わり、リリスは寝室を出て自分の部屋を探す為に屋敷の中を探索し始めた。
 ソレを確認して、私は自宅へ帰る事にした。

【転送魔法】を使う前に、朝帰りのお約束[クリア]と[ヒーリング]の魔法を使用して、[セカンタの町]の自宅へ戻った。

「ただいま」

「「おかえりー」」「おかえりなさい。ハジメさん」「おはようございます、ご主人様」

 ……と、各々挨拶してくれた。

「ゴメンね。
 案の定、ギルド長に夜のお店に連れていかれてさ」

「またですか?」

「いや、そういうお店には言ってない」と、私が言ったら。
 女性陣が、みんな集まるようにして匂いを確認していった。

「そうですね。
 ただ不自然な部分は、お酒を飲むお店なら女性が側につくので、女性の匂いとお酒の匂いが何もしないのは不自然なんですけどね」
 ……と、エミリーが名推理を働かせてくれた。

 グフッ!!

「お兄ちゃん。顔に出てるよー」

「お兄さん。白状したほうがいいですよー」

「ご主人様、ご奉仕なら私が……」

 一名ヤバい事を言いはじめた人がいたが、それはスルーしよう。
 私は彼女達に敗北を感じ、昨日あった出来事を全て白状した。

「国王様から、お屋敷をもらったんですね。
 それに、教皇様とお会いになってたなんて……」

「ドラゴン肉、私も食べたーい」と、シェリーが言った。

「それにしても、私達と本番をしたいんですね……」と、キャリーがぶっちゃけてきた。

「それで、ご主人様はサキュバスの力で私達を夢の中で陵辱していると……」

「いやいや、陵辱はしてないからね……。
 正直、かなり我慢してたんです。サキュバスの力に頼ってしまい申し訳ない」

「それで、昨日のサキュバスの夢の相手は誰ですか?」と、エミリーが聞いてきたので。

「エミリーだよ。当然!!」と言うと、彼女が顔を真っ赤にして俯いていた。

「サキュバスって、記憶から夢へ再現するから……。
 再現度が高くて本当にびっくりしたよ」

「わかりました。
 それ以上の報告は恥ずかしいので、しなくていいです」と、エミリーが顔を真っ赤にしながら言った。

「話を変えるんだけど、貰った屋敷に君達を案内したいんだけど来てくれるかな?」

「お兄さん。私も動けますよ」

「えっ、お店があるんじゃ?」

「もう既に、何ヶ月も営業してるんですから。
 お風呂の調整は後任へ指導も終わってます」

「そうなんだ……。
 それじゃ、みんなと過ごせる時間が増えるね」と、言ったら。

「「「「貴方が、ハードワーカーじゃなければね!!」」」」って、みんなで貴方呼びって酷い。

「何、ランドドラゴンを倒してるんですか?」と、エミリーは呆れていた。

「ランドドラゴンのお肉を用意してるから、お昼は屋敷の庭でバーベキューしようよ」と、私が不利になりそうなので話の内容をすり替えた。

「わーい!!」と、シェリーが喜んでいた。

「そうだ、みんな服屋に付き合ってよ……サキュバスの子に服買うのもあるけど。
 君達にもプレゼントしたいし」

 皆、満更でもない表情をして、服屋についてきてくれた。
[セカンタの町]の服屋に4人全員を連れてやってきた。

「いらっしゃいませ、って町長さんかい。
 今日は嫁を侍らせてのデートかい?」

「まぁ、そんなもんですよ」

「今日は、彼女達に二着ずつ服をプレゼントしようと思ってます。
 それと、アリアとキャリーとシェリーは、一着ずつサキュバスの子の服を自分の好みで選んでくれ」

「えっと、ハジメさん。それって私は?」

「体のサイズが、エミリーさんが標準なんで彼女には大きすぎます」

「また、小さい子なんですね」

「不覚にも……」

 耳打ちして、「それでも、初めての相手は君がいいな」と、言ったら。
 彼女が顔を赤くして俯いていた。

 そんな事はあったが、各自服を選んでいる。

 しばらくして、皆が服を選び終わった。
 ドレス程高くはなかったが11着の新品の服を買うので、そこそこの金額になり値引きをして貰って3000ゴールド支払った。
 そろそろ、お昼になるので――
 金物屋で金網を用意して、道具屋で炭を用意し、裏庭の畑で野菜を準備してから。
 【転送魔法】を使い、四人を連れて城下街の屋敷へ移動した。

 お屋敷の門の所に、ノルニルが待っていた。

「ねぇ、二階堂さん。その人達って?」

「あぁ、私のお嫁さん達だよ……。
 今から庭でバーベキューするから、ノルニルさんも付き合ってよ」

「ハジメさん。そこの可愛い女性はどなたですか?」

「あぁ、この街のギルドと教会が私の案内役として用意して貰ったノルニルさんだよ。
 凄く良くして貰ったんで、一週間の追加契約しちゃった」

 四人の女性陣が、ノルニルの事をじーっと見ていた。

「ハジメさんは、浮気の自覚ないんでしょうねぇ」と言って、エミリーは呆れてた。

「だから、私はお兄さんのお嫁さんになれたし――
 それは仕方ないって思ってるよ」

「ご主人様は、懐の深い方ですから。
 女性のほうから集まってくるんですよ」

 ……と、女性陣が話をしていたが、私はノルニルと話をしていたので私は気づいてなかった。

「ノルニルのお姉ちゃん、お兄ちゃん盗んだらメッ!!」と、シェリーが言ってきた。
 ノルニルを威嚇するシェリーの頭を撫でてやって、彼女を落ち着かせた。

「ホント、彼女達に愛されてますね。二階堂さん」

「みんな大切な人なんで、どんな手を使ってでも守りますよ」と、自信満々に言い切った。
 ソレを聞いて、みんな照れてた。

 「こんな素敵な男性。私にも見つからないかなー」と、ノルニルは小さく声を漏らした。

 その後、リリスを新しい服に着替えさせた後、彼女達に挨拶をさせた。
 それから、みんなでバーベキューをして過ごし、のんびりとした週末を過ごした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:17,339pt お気に入り:7,455

【 皆が還る場所… 】短編集(戦隊)10

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:5

俺の妹が優秀すぎる件

青春 / 連載中 24h.ポイント:596pt お気に入り:2

錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:1,932

そして、まどろむように【R-18】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:8

処理中です...