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137話.ノルニルの正体

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 見知らぬ天井?  いや、ここは屋敷の個室か?
 ココは誰の部屋だろうか?

 ベッドで寝返りを打とうとすると、柔らかいモノが手に触れた。

 これは夢かな?
  ……と勘違いして、更に柔らかいモノ触りまくって堪能した。

 顔を真っ赤にして軽く涙目を浮かべながら――ノルニルが叫んだ。

「二階堂さん!! やめて下さい奥さんに言いつけますよ!!」

「ハイ!! すいませんでした!!」と言って、私は反射的にベッドの上で華麗な土下座をしてみせた。
 そっか、さっきの柔らかいのはアレだな。

「二階堂さんは起きたかなと思ったら。
 すぐにセクハラするんですね……」

「あはは、あまりにもいい揉み心地だったのでリリスの夢かなと勘違いして、おかわりの要求しちゃいました」

「話を戻しますね……二階堂さん。
 昨日の出来事は覚えられてますか?」

「ハイ。薬の衝動でいつもの思考が動いてるにもかかわらず、別の人格が入ったように……
 いや、アレは人格じゃないな獣のような思考が体を支配していました」

「その人格に、私が何をされたかも覚えてますね」

「あっ、ハイ……。
 私としても不可抗力ではありましたが本当に申し訳ない。
 どんな事をしてでも償いをさせて頂きます」

「それは大丈夫ですよ。
 私も二階堂さんの事、嫌いじゃありませんから」

「けど、何度かって言ってましたよね? ノルニルさん」

「不本意なのは、こういう展開で事に至ったのが不本意なのです。
 私としては、もう少し優しくしてもらえる展開が良かったんですけどね」

「それで、ノルン様の時も不本意って言ってたんですね」

「流石に解りますよね。
 二階堂さんが鈍感でも……」

「気を失う前に見た姿がノルン様でしたから。
 引っかかってた部分が全て解りましたよ」

「なるほど、二階堂さんは私の正体に薄々気付いてたんですね?」

「リリスの件とか――
 それと、たまにノルン様と話してるような時がありましたし。
 話をしてないのに、なんか心を読まれたりとか?
 あと、ノルニルさんはなのにお屋敷のお風呂を普通に使ってたりとかね」

「そうですね。二階堂さんのセクハラ思考を我慢するのは大変でしたよ。
 まぁ、コレが貴方の私に対する愛情表現なのだと解ってますけど」

「あははは……。
 色々とすいません」

「それじゃあ改めまして、また会えましたね。
 二階堂さん」

「私も会いたかったですよ。
 ノルン様にセクハラしないと落ち着かないというか……」と、ボケてみたが華麗にスルーされた。

「それより、何か気付きませんか?」

「えっと、何を?」「貴方との約束ですよ」

「あっ!! レベル40前にノルニルさんとやっちまってる」

「そうです……。
 約束を守れなかった二階堂さんには魔王になって頂きます」

 うぐぐぐ……
 エミリー、シェリー、キャリー、アリア、フローラ、それと従業員のみんな。
 すまない。

 ……
 …………

 アレっ? 俺が魔王に……なる気配がないんだが?

「あのー、魔王になる気配がないんですけど?」

「ハイ、なりませんよ。
 冗談ですから」

「ノルン様、心臓に悪い冗談はやめて下さい!!
 それで、なんで無事なんですかね?」

「あの場所で二階堂さんに襲われてしまうと魔王化してしまっていたので、二階堂さんには私達が住む世界へ移動してもらいました」

「それは、なんとなくわかりましたけど?
 俺が無事な理由は?」

「あっちの世界だと、淫魔達の夢の世界の中とほぼ変わらないんですよ。
 なので、あっち世界でスッキリしてもらって、二階堂さんに声が届く状態になってから声をかけました」

「なんといいますか――
 本当にノルン様の思惑のまま進んでるんですね」

「はい、そうですね。
 これから貴方が提案してくる内容もわかりますよ」

「えっ!?」

「ああいう状況でも関係を持ってしまった以上……
 私に好意さえあれば責任取るんですよね」

 うぐっ!! さすが女神だ……私の思考を読み切ってる。

「まぁ、そのつもりですけど」

「その件に関しては、ごめんなさい。お受けできません」

「えっ? どういうことです?」

「このノルニルは、私の仮の姿です。
 貴方の子供を宿す事は、できない存在なのです。
 それでも、貴方が私に好意を持ってくれるのなら、今後ともお付き合いお願いします」

「正直、嫌う理由がありませんし。
 今後とも屋敷の部屋好きに使って下さい」

 ノルン様とノルニルさんで2度美味しい……
 ノルニルさんとは事に至れるが、ノルン様に手を出すにはどうすればと考えていたら。

「また、変な事を考えてますね……
 啓示以外で神の世界に来ようと思うなら、サキュバスの子に言って私を指名してくれれば良いですよ」

「サキュバス経由という事は、魔王になる心配は無いんですかね?」

「無いです」

「次の相手は決まりだな」と言ったら、ノルニルさんは赤くなっていた。

「二階堂さんは、神を敬おうとかそういう気持ちはないんですか?」

「可愛いは正義です。それ以上は必要ないです」

「ほんとに、不敬なんだから。
 二階堂さんに、私からお願いする事が一つあります」

「ハイ」

「私が貴方に願う事は――
 貴方は人生を精一杯生きて、時代に名前を残しなさい。
 そして、私の隣に来れるよう努力して下さい」

「えっ、隣って?  」「貴方が亡くなった後は、私と一緒に過ごしてください」

「死んだ後は、みんなと天国的な所で過ごすんじゃ?」

「それは、一般的な話だけど二階堂さんは天国そこにはいけないの」

「もしかして、地獄ですか?
 人を殺してしまった罪が……」

「そうではないから安心して下さい。
 時が来れば……色々と二階堂さんに教えますよ」

「わかりました。
 精一杯生きるかぁ難しいですね」

「そうですか? それでは、言い方を変えますね。
 日常を楽しんで生活してください!!」

「それなら、できそうです」

「それじゃ、また会いましょう。ノルン様」

 今日は、夜間狩りに出るので嫁さん達には寝室には来ないで下さいと頼んでいる。
 だから寝室には私一人だ……。
 リリスに食事を与える為に地下室に行くと――リリスが怒っていた。

「お兄ちゃん、おそーい!!」

「ごめん、ゴメン。
 今まで狩りにいっててね。今日は食事じゃなく夢の中に入っていいから許して」

「うん、許すよー!! それで誰を希望するの?」

「ノルン様で……」「お兄ちゃん。怖いもの知らずだね」

「まぁ、一応は約束があるからね」

「約束? まぁいいや、お兄ちゃんベッドに横になってね。
 少しずつ、お兄ちゃんは眠くなるからね……」

 ……
 …………

 リリスの力により、眠りについた。
 啓示の時と同様に、ヤケに眩しく明るい場所だ……

「本当に来たんですね……
 二階堂さん」と言って、ノルン様が目の前に現れた。

「はい、来ました。
 これは夢ですから――身分違いでも許してもらえますよね」

「そうですね。あのサキュバスが作り出した夢の世界なんです。
 二階堂さんのしたい事をして下さい」

「はい。遠慮しませんからね」

 ……
 …………

「お兄ちゃん、起きてー!!」と、リリスに声をかけられて強引に起こされた。
 サキュバスのお姉さんに相手してもらった時のように体調がいい等と考えていたら……

 リリスがむくれていた。

「お兄ちゃん。私、あの女神様にあの場所から追い出された!!
 それで、2時間ほど絶対に起こすなって注意されたよ」

「そっかぁ、大変だったねえ」

「お兄ちゃん。私、食事出来てない」

「待て、リリス。少なくともさっき夢の中から帰って来たばかりだ。
 たまには、リリスも我慢を覚えてみるのはどうだろうか?」と言って、私は地下室から逃げ出そうとする。

 完全に立場は、草食動物と肉食動物の構図である。
 私は退路を確保して逃走しようとするが、ここはリリスの陣地である。
 リリスの魅了が回避不可能な状態で飛んで来て回避出来ず、私はリリスの魅了に命中し動けなくなった。
「リリスは強いの、お兄ちゃんは食われるさだめなの……」と、リリスに勝利宣言を残され私は敗北した。

 その後の記憶は、ほぼ残っていない……
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