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五 情愛
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黒雲が都を覆い始めてから五日。
宮中では異例の会議が開かれていた。陰陽頭・賀茂保憲が帝へ緊急に上奏した。
「かくなる怪異、近年まれに見る事態に候。夜毎に増す物の怪の出現、ことに大極殿周辺にては――」
紫織は惟房の北の方に随伴する形で、簾の陰からその様子を窺っていた。女房たちのざわめきが、緊張した空気を伝える。
「まさか、宮中にまで物の怪が……」
「昨夜も御所の北塀で黒き影を見た者があるという」
「お怖ろしいことです」
紫織は袖の中の手を握りしめた。足首の黒い跡は、今も微かに疼いている。特に夜になると、遠くの闇と呼応するかのように脈打つのだった。
会議が一段落し、北の方が紫織に声をかけた。
「姫、お疲れでしょう。一度休まれては」
「はい……少し、庭に」
紫織はお供の女房二人をつれて、宮中の庭へ出た。秋の深まりとともに、木々の葉は色濃く染まり、やがて散り始めていた。その儚さが、彼女自身のこの世界での存在と重なって胸を締めつける。
「紫織殿」
懐かしい声に振り返ると、彰紋が侍従の装いで立っていた。目配せ一つで、お供の女房たちは適度な距離を取った。
「彰紋さま、ここにいても良いのですか?」
「惟房様のご指示です。宮中の警戒も兼ねて」
彼の表情は硬い。この五日間、物の怪の出現は日に日に増し、ついには宮中にまで及んだ。陰陽寮は総動員で結界を張り巡らせたが、根本的な解決には至っていない。
「あの黒雲は?」
「まだ消散せず。むしろ、厚みを増しているように見えます」
彰紋は紫織に近づき、声を潜めた。
「陰陽寮の調査で、新たな事実が判明しました。境界の弱まりは、都の四カ所で特に顕著だと。そしてその四カ所を結ぶと――」
「中心が大極殿?」
彰紋がこっくりと頷いた。
「そして、その四カ所すべてで、貴女がこの世に現れたのとほぼ同時期に、異変が始まったのです」
紫織は息を飲んだ。
「私のせい……ですか?」
「原因か結果かはまだわかりません。しかし、貴女とこの異変は無関係ではない」
ふと、彰紋の視線が紫織の袖元に注がれた。袖から覗く手の甲に、薄く黒い筋が浮かんでいる。
「それは?」
紫織は慌てて袖を引っ込めたが、遅かった。彰紋は優しく、しかし確実に彼女の手首を取った。
手の甲には、足首と同じ黒い跡が、枝のように広がっていた。
「なぜ隠していた?」
「……怖かったから」
紫織の目に涙が溜まった。
「日に日に広がっていくの。寝ている間も、少しずつ。このままでは、私全身が黒く染まってしまいそうで」
彰紋は言葉を失った。その跡は確かに、五日前よりも広がっていた。手首まで達し、まるで血管を辿るように伸びている。
「有景に見せたか?」
「いいえ……まだ」
「なぜだ?」
紫織は顔を上げ、彰紋の目をまっすぐ見つめた。
「もし、これが『闇に飲まれる』始まりだとしたら?もし、私が物の怪になってしまうとしたら?」
「そんなことは――」
「あの池に映った文章を忘れたのですか?『姫自らも闇に飲まれる危あり』と」
彰紋の手がわずかに震えた。
「私は貴女を見捨てない」
「でも、もし私が皆を危険にさらす存在になったら?このまま宮中にいて、陛下や貴族方に危害が及んだら?」
その問いには、彰紋もすぐには答えられなかった。将としての忠誠と、紫織を護りたいという想いが、胸の中で激しく軋んだ。
「それでも」彼は言った。「それでも、私は貴女を護る」
「彰紋さま……」
「考えていることがある」
彰紋は紫織の手をそっと握りしめた。
「境界を修復する術があるなら、それを実行する。貴女を元の世界に帰す方法を見つける。そのどちらかが、この異変を止め、貴女を救う道だ」
「でも、もし私が帰ったら……もう会えなくなる」
ふと、紫織の口からそんな言葉が零れた。自分でも驚いた。いつからか、この世界に戻りたいという想いよりも、彰紋と別れたくないという想いの方が強くなっていた。
彰紋の目が大きく見開かれた。
「紫織殿……」
「ごめんなさい。わがままだってわかってます。でも、この数日で思ったの。私、彰紋さまと会えなくなるのが……怖い」
涙が一粒、紫織の頬を伝い落ちた。
その瞬間、彰紋はためらうことなく、彼女を引き寄せた。簾の陰というわずかな隠れの中、彼はそっと紫織の背中を支えた。
「私もだ」
声は震えていた。
「貴女が去る日を考えると、胸が張り裂けそうになる。将として、主に仕える者として、こんな想いを抱くべきではないとわかっている。しかし――」
彼の腕に力がこもった。
「私は、貴女を愛している」
その言葉が、紫織の胸に深く突き刺さった。暖かく、痛い。初めて知る感情が、心を満たしていく。
「私も……私も、彰紋さまが好きです」
長い間、抱えていた想いを口にした瞬間、紫織はあることに気づいた。この感情は、平安貴族の雅やかな恋愛ではない。もっと激しく、もっと切ない。命がけで相手を想う、深い情愛だ。
ふと、彰紋が身を引いた。彼の目には決意の色が宿っている。
「約束しよう。貴女を元の世界に帰す方法を見つける。しかし、それと同時に――」
紫織の両手をしっかりと握った。
「私も貴女について行く道を探す」
「え……?」
「可能かどうかはわからない。しかし、陰陽道には境界を越える術があるという。ならば、私が貴女の世界に行くことも、不可能ではないかもしれない」
それはあまりに大胆な発想だった。千年の時を超えて。
「でも、あなたの家族は?主君は?」
「家族は既にいない。主には、この異変を解決した後、全てを打ち明けて許しを請うつもりだ」
彰紋の目に迷いはない。
「私の生きる意味は、貴女と共にあると悟った」
その時、遠くから鐘の音が鳴り響いた。緊急の召集を知らせる音だ。
「彰紋様!紫織姫!」
有景が走り寄ってきた。顔は青ざめ、息も切れ切れだ。
「大変です!四つの境界点の一つ、船岡山で大規模な異変が!」
「何があった?」
「山全体が黒い瘴気に包まれ、中から無数の物の怪が湧き出しているとの報告が!陰陽寮の者たちが急行しましたが、数が多すぎて!」
彰紋の顔が引き締まった。
「紫織殿、すぐに邸に戻れ。私は船岡山に向かう」
「でも、危ないでしょう!」
「それが私の役目だ」
彰紋は紫織の手を離し、刀の柄を握りしめた。
「待っていてくれ。必ず戻る」
「彰紋さま!」
紫織は彼の袖を掴んだ。
「約束してください。必ず戻ってくると」
彰紋は振り返り、ほんの一瞬、微笑んだ。
「約束する。貴女に会うために、必ず生きて戻ると」
その言葉を残し、彼は走り去った。
紫織は佇んだまま、背中が見えなくなるまで見送っていた。手の甲の黒い跡が、突然鋭く疼いた。まるで、遠くの闇が彼女を呼んでいるかのように。
有景がそっと声をかけた。
「姫君、お戻りください。ここは安全ではありません」
「有景さま……あの黒い跡、消す方法は本当にないのですか?」
有景はしばし沈黙し、やがて小さく呟いた。
「一つだけ、可能性がある術があります。しかし、それは危険を伴います」
「教えてください」
「いけません。彰紋様も、惟房様も、それを望まれないでしょう」
「でも、このままでは私が闇に――」
その時、紫織の足元の地面が微かに震えた。土の中から、黒い煙のようなものが漏れ出している。
「姫君、離れて!」
有景が紫織を引き寄せ、護符を地面に投げつけた。護符が光り、黒い煙は引き込まれたように消えた。
しかし、それは始まりに過ぎなかった。
宮中の庭のあちこちで、同じように黒い煙が湧き上がり始める。女房たちの悲鳴が響き渡った。
「物の怪が宮中に侵入した!」
「逃げて!」
紫織は有景に支えられながら、建物の中へ急いだ。振り返った瞬間、彼女は見た。
大極殿の屋根の上に、巨大な黒い影が立ち現れるのを。
それは人間の形をしているが、背丈は建物ほどもある。目は二つの深い穴のように虚ろで、口からは暗黒の息を吐いている。
影はゆっくりと、紫織の方向を向いた。
そして、震えるような声で言った。
「還……れ……」
「異界……の……姫……」
「我ら……の……皇……に……捧げ……よ……」
紫織の全身の黒い跡が、激しく疼きだした。まるで、影の呼びかけに応えようと、彼女自身の体が闇へと引きずり込まれようとしている。
有景が紫織の肩を揺すった。
「姫君、しっかりと!その声に負けてはいけません!」
「でも……苦しい……体が……」
「心を強く持って!彰紋様が戻られるまで!」
その名を聞いた瞬間、紫織の心に一筋の光が差した。彰紋が帰ってくる。彼が自分を護ってくれる。
「は……い……」
必死に自分を保ちながら、紫織は建物の中へと駆け込んだ。
背後では、黒い影の叫声が、都全体に響き渡っていた。
船岡山へ向かった彰紋の無事を祈りながら、紫織は一つの決意を固めた。
この戦いが終わったら――たとえどんな危険があろうとも、有景の言う術を試す。
彼女はもう、ただ守られるだけの存在ではいられない。
愛する人を護るため、自らも戦う道を選ぶ。
宮中では異例の会議が開かれていた。陰陽頭・賀茂保憲が帝へ緊急に上奏した。
「かくなる怪異、近年まれに見る事態に候。夜毎に増す物の怪の出現、ことに大極殿周辺にては――」
紫織は惟房の北の方に随伴する形で、簾の陰からその様子を窺っていた。女房たちのざわめきが、緊張した空気を伝える。
「まさか、宮中にまで物の怪が……」
「昨夜も御所の北塀で黒き影を見た者があるという」
「お怖ろしいことです」
紫織は袖の中の手を握りしめた。足首の黒い跡は、今も微かに疼いている。特に夜になると、遠くの闇と呼応するかのように脈打つのだった。
会議が一段落し、北の方が紫織に声をかけた。
「姫、お疲れでしょう。一度休まれては」
「はい……少し、庭に」
紫織はお供の女房二人をつれて、宮中の庭へ出た。秋の深まりとともに、木々の葉は色濃く染まり、やがて散り始めていた。その儚さが、彼女自身のこの世界での存在と重なって胸を締めつける。
「紫織殿」
懐かしい声に振り返ると、彰紋が侍従の装いで立っていた。目配せ一つで、お供の女房たちは適度な距離を取った。
「彰紋さま、ここにいても良いのですか?」
「惟房様のご指示です。宮中の警戒も兼ねて」
彼の表情は硬い。この五日間、物の怪の出現は日に日に増し、ついには宮中にまで及んだ。陰陽寮は総動員で結界を張り巡らせたが、根本的な解決には至っていない。
「あの黒雲は?」
「まだ消散せず。むしろ、厚みを増しているように見えます」
彰紋は紫織に近づき、声を潜めた。
「陰陽寮の調査で、新たな事実が判明しました。境界の弱まりは、都の四カ所で特に顕著だと。そしてその四カ所を結ぶと――」
「中心が大極殿?」
彰紋がこっくりと頷いた。
「そして、その四カ所すべてで、貴女がこの世に現れたのとほぼ同時期に、異変が始まったのです」
紫織は息を飲んだ。
「私のせい……ですか?」
「原因か結果かはまだわかりません。しかし、貴女とこの異変は無関係ではない」
ふと、彰紋の視線が紫織の袖元に注がれた。袖から覗く手の甲に、薄く黒い筋が浮かんでいる。
「それは?」
紫織は慌てて袖を引っ込めたが、遅かった。彰紋は優しく、しかし確実に彼女の手首を取った。
手の甲には、足首と同じ黒い跡が、枝のように広がっていた。
「なぜ隠していた?」
「……怖かったから」
紫織の目に涙が溜まった。
「日に日に広がっていくの。寝ている間も、少しずつ。このままでは、私全身が黒く染まってしまいそうで」
彰紋は言葉を失った。その跡は確かに、五日前よりも広がっていた。手首まで達し、まるで血管を辿るように伸びている。
「有景に見せたか?」
「いいえ……まだ」
「なぜだ?」
紫織は顔を上げ、彰紋の目をまっすぐ見つめた。
「もし、これが『闇に飲まれる』始まりだとしたら?もし、私が物の怪になってしまうとしたら?」
「そんなことは――」
「あの池に映った文章を忘れたのですか?『姫自らも闇に飲まれる危あり』と」
彰紋の手がわずかに震えた。
「私は貴女を見捨てない」
「でも、もし私が皆を危険にさらす存在になったら?このまま宮中にいて、陛下や貴族方に危害が及んだら?」
その問いには、彰紋もすぐには答えられなかった。将としての忠誠と、紫織を護りたいという想いが、胸の中で激しく軋んだ。
「それでも」彼は言った。「それでも、私は貴女を護る」
「彰紋さま……」
「考えていることがある」
彰紋は紫織の手をそっと握りしめた。
「境界を修復する術があるなら、それを実行する。貴女を元の世界に帰す方法を見つける。そのどちらかが、この異変を止め、貴女を救う道だ」
「でも、もし私が帰ったら……もう会えなくなる」
ふと、紫織の口からそんな言葉が零れた。自分でも驚いた。いつからか、この世界に戻りたいという想いよりも、彰紋と別れたくないという想いの方が強くなっていた。
彰紋の目が大きく見開かれた。
「紫織殿……」
「ごめんなさい。わがままだってわかってます。でも、この数日で思ったの。私、彰紋さまと会えなくなるのが……怖い」
涙が一粒、紫織の頬を伝い落ちた。
その瞬間、彰紋はためらうことなく、彼女を引き寄せた。簾の陰というわずかな隠れの中、彼はそっと紫織の背中を支えた。
「私もだ」
声は震えていた。
「貴女が去る日を考えると、胸が張り裂けそうになる。将として、主に仕える者として、こんな想いを抱くべきではないとわかっている。しかし――」
彼の腕に力がこもった。
「私は、貴女を愛している」
その言葉が、紫織の胸に深く突き刺さった。暖かく、痛い。初めて知る感情が、心を満たしていく。
「私も……私も、彰紋さまが好きです」
長い間、抱えていた想いを口にした瞬間、紫織はあることに気づいた。この感情は、平安貴族の雅やかな恋愛ではない。もっと激しく、もっと切ない。命がけで相手を想う、深い情愛だ。
ふと、彰紋が身を引いた。彼の目には決意の色が宿っている。
「約束しよう。貴女を元の世界に帰す方法を見つける。しかし、それと同時に――」
紫織の両手をしっかりと握った。
「私も貴女について行く道を探す」
「え……?」
「可能かどうかはわからない。しかし、陰陽道には境界を越える術があるという。ならば、私が貴女の世界に行くことも、不可能ではないかもしれない」
それはあまりに大胆な発想だった。千年の時を超えて。
「でも、あなたの家族は?主君は?」
「家族は既にいない。主には、この異変を解決した後、全てを打ち明けて許しを請うつもりだ」
彰紋の目に迷いはない。
「私の生きる意味は、貴女と共にあると悟った」
その時、遠くから鐘の音が鳴り響いた。緊急の召集を知らせる音だ。
「彰紋様!紫織姫!」
有景が走り寄ってきた。顔は青ざめ、息も切れ切れだ。
「大変です!四つの境界点の一つ、船岡山で大規模な異変が!」
「何があった?」
「山全体が黒い瘴気に包まれ、中から無数の物の怪が湧き出しているとの報告が!陰陽寮の者たちが急行しましたが、数が多すぎて!」
彰紋の顔が引き締まった。
「紫織殿、すぐに邸に戻れ。私は船岡山に向かう」
「でも、危ないでしょう!」
「それが私の役目だ」
彰紋は紫織の手を離し、刀の柄を握りしめた。
「待っていてくれ。必ず戻る」
「彰紋さま!」
紫織は彼の袖を掴んだ。
「約束してください。必ず戻ってくると」
彰紋は振り返り、ほんの一瞬、微笑んだ。
「約束する。貴女に会うために、必ず生きて戻ると」
その言葉を残し、彼は走り去った。
紫織は佇んだまま、背中が見えなくなるまで見送っていた。手の甲の黒い跡が、突然鋭く疼いた。まるで、遠くの闇が彼女を呼んでいるかのように。
有景がそっと声をかけた。
「姫君、お戻りください。ここは安全ではありません」
「有景さま……あの黒い跡、消す方法は本当にないのですか?」
有景はしばし沈黙し、やがて小さく呟いた。
「一つだけ、可能性がある術があります。しかし、それは危険を伴います」
「教えてください」
「いけません。彰紋様も、惟房様も、それを望まれないでしょう」
「でも、このままでは私が闇に――」
その時、紫織の足元の地面が微かに震えた。土の中から、黒い煙のようなものが漏れ出している。
「姫君、離れて!」
有景が紫織を引き寄せ、護符を地面に投げつけた。護符が光り、黒い煙は引き込まれたように消えた。
しかし、それは始まりに過ぎなかった。
宮中の庭のあちこちで、同じように黒い煙が湧き上がり始める。女房たちの悲鳴が響き渡った。
「物の怪が宮中に侵入した!」
「逃げて!」
紫織は有景に支えられながら、建物の中へ急いだ。振り返った瞬間、彼女は見た。
大極殿の屋根の上に、巨大な黒い影が立ち現れるのを。
それは人間の形をしているが、背丈は建物ほどもある。目は二つの深い穴のように虚ろで、口からは暗黒の息を吐いている。
影はゆっくりと、紫織の方向を向いた。
そして、震えるような声で言った。
「還……れ……」
「異界……の……姫……」
「我ら……の……皇……に……捧げ……よ……」
紫織の全身の黒い跡が、激しく疼きだした。まるで、影の呼びかけに応えようと、彼女自身の体が闇へと引きずり込まれようとしている。
有景が紫織の肩を揺すった。
「姫君、しっかりと!その声に負けてはいけません!」
「でも……苦しい……体が……」
「心を強く持って!彰紋様が戻られるまで!」
その名を聞いた瞬間、紫織の心に一筋の光が差した。彰紋が帰ってくる。彼が自分を護ってくれる。
「は……い……」
必死に自分を保ちながら、紫織は建物の中へと駆け込んだ。
背後では、黒い影の叫声が、都全体に響き渡っていた。
船岡山へ向かった彰紋の無事を祈りながら、紫織は一つの決意を固めた。
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