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帰ってきたウルトラマン
3.シリーズを通して
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シリーズを通して
「第一次ウルトラシリーズ」(ウルトラQ~ウルトラセブン)と比べて、「帰ってきたウルトラマン」は変化に富んだ作品は実に珍しい。何処をどう言う風にして、切り口を見つけて説明したらいいか、筆者も正直苦慮した。
とにかくエピソードに前後篇が多く組まれたことである。しかも計8話分である。
第1・2話における3体の怪獣登場及び、ウルトラマン登場である。第2話に於いてはウルトラマンの能力に慢心を起こした郷が、変身できなくなったシーンは、ヒーローとは何のために存在するか、当時としては重いテーマを投げかけた。現在でもそうだが主人公が客観的に見て生命の窮地に立たされた場合、もしくは敵に対して許せぬ感情が昂ぶった時に、ヒーローへ姿を変えるものだと、改めて認識した。
第13・14話はシリーズ初の「身内怪獣」が登場。夫・シーゴラス、妻・シーモンスが人類の想像を絶する津波災害を起こすエピソードが展開された。ゲストとして「ウルトラマン」のムラマツ隊長などで活躍し、このエピソードでは高村船長を好演した小林昭二氏も、両怪獣が上陸する示唆を意味する唄を歌唱し、印象深かった。
第16・17話においては、当時の青春スターである石橋正次氏が、松本三郎役で出演。荒ぶる魂を持つ青年役をエネルギッシュに、それこそ熱演。しかもさらった由起子とともにマンションに籠城したものの、そこに主役怪獣であるテロチルスが営巣するという、危険な上に危険が重なった設定には、当時にしろ、現在になってDVDにて鑑賞しても、奇抜すぎる設定だった。
第37・38話は3クール目(第39話)を前にして、坂田健とアキが黒装束の男に惨殺されると言う、悲惨極まりないエピソードである。ただでさえ、精神的に追い込まれた郷はウルトラマンとして、ナックル星人とブラックキングに戦いを挑むものの、両者によって絶命。ナックル星人の狡猾な罠によって囚われたウルトラマンだったが、初代ウルトラマンと、ウルトラセブンにより救出され、恨みを晴らさんとばかりに、ナックル星人とブラックキングに対し、リベンジを果たした。
ただこの事件(?)の一番の被害者は、次郎だったのではないだろうか? 第38話の終末に村野ルミ子が突如現われたが、亡くなった健とアキの代理だったのかと思うと、筆者としては腑に落ちないのも正直なところである。
またファンの間ではいわゆる「11月の傑作群」が上げられる。これは放送当時それこそ11月に放送されたエピソードが、群を凌いで秀逸であることからネーミングされた。
この場合11月5日~29日(第31話~第34話)まで、放送された回のことを意味する。個人的に気に入っているのは、市川森一先生が執筆した「天使と悪魔の間に」である。
第31話「天使と悪魔の間に」
侵略宇宙人はいつでも、策謀を企てるものでありこの回に登場するゼラン星人も、その一例だった。2代目MAT隊長である伊吹竜の娘・美奈子がMAT基地に連れてきたのは、カトリック教会で知り合った言葉の不自由な少年・輝男だった。
しかしテレパシーで郷と意思疎通が出来、郷を挑発し始めた。しかも断続的に、侮辱する様な言動(?)を続け、郷を激怒させた。無論、郷=ウルトラマンと認識した上でのことである。謹慎を受けた郷は伊吹に、「もしウルトラマンが、危険な目にあったら、あの少年に気をつけてください(大意)」と訴え出た。
市街に囮怪獣・プルーマが出現し大暴れ。
ウルトラマンが出現し、ウルトラスパークで勝利を収める。だがブレスレットの形状に戻らず、逆上してウルトラマンに襲い掛かる!
その時伊吹は、郷の言葉を思い出しMATシュートで少年に一撃を浴びせる!
少年、いやゼラン星人は姿を顕わにし、絶命した。
するとブレスレットは、逆襲を止めウルトラマンの左手首に収まった。
後日、美奈子は日曜学校が終わって教会から出てきた。迎えに来た伊吹は郷に「人間の子は人間の子さ(大意)」と語った。ただ美奈子の笑顔は、天使にも悪魔にも負けない眩しいものだった。
カトリックの信徒である市川先生が設定上、教会をストーリーの発端とし、子供たちを狭間において、対立的な存在である「天使と悪魔」を想定したのは、今回の大きな核要素を担っている。当時のウルトラシリーズは少なからずとも、恐怖感も提供しなければならない。ゼラン星人が化けた少年の顔の静止画像で、眼を明滅させおぞましい声で郷に話しかける場面は、むしろ視聴者をどん底に落としたのは間違いないだろう。
「第一次ウルトラシリーズ」(ウルトラQ~ウルトラセブン)と比べて、「帰ってきたウルトラマン」は変化に富んだ作品は実に珍しい。何処をどう言う風にして、切り口を見つけて説明したらいいか、筆者も正直苦慮した。
とにかくエピソードに前後篇が多く組まれたことである。しかも計8話分である。
第1・2話における3体の怪獣登場及び、ウルトラマン登場である。第2話に於いてはウルトラマンの能力に慢心を起こした郷が、変身できなくなったシーンは、ヒーローとは何のために存在するか、当時としては重いテーマを投げかけた。現在でもそうだが主人公が客観的に見て生命の窮地に立たされた場合、もしくは敵に対して許せぬ感情が昂ぶった時に、ヒーローへ姿を変えるものだと、改めて認識した。
第13・14話はシリーズ初の「身内怪獣」が登場。夫・シーゴラス、妻・シーモンスが人類の想像を絶する津波災害を起こすエピソードが展開された。ゲストとして「ウルトラマン」のムラマツ隊長などで活躍し、このエピソードでは高村船長を好演した小林昭二氏も、両怪獣が上陸する示唆を意味する唄を歌唱し、印象深かった。
第16・17話においては、当時の青春スターである石橋正次氏が、松本三郎役で出演。荒ぶる魂を持つ青年役をエネルギッシュに、それこそ熱演。しかもさらった由起子とともにマンションに籠城したものの、そこに主役怪獣であるテロチルスが営巣するという、危険な上に危険が重なった設定には、当時にしろ、現在になってDVDにて鑑賞しても、奇抜すぎる設定だった。
第37・38話は3クール目(第39話)を前にして、坂田健とアキが黒装束の男に惨殺されると言う、悲惨極まりないエピソードである。ただでさえ、精神的に追い込まれた郷はウルトラマンとして、ナックル星人とブラックキングに戦いを挑むものの、両者によって絶命。ナックル星人の狡猾な罠によって囚われたウルトラマンだったが、初代ウルトラマンと、ウルトラセブンにより救出され、恨みを晴らさんとばかりに、ナックル星人とブラックキングに対し、リベンジを果たした。
ただこの事件(?)の一番の被害者は、次郎だったのではないだろうか? 第38話の終末に村野ルミ子が突如現われたが、亡くなった健とアキの代理だったのかと思うと、筆者としては腑に落ちないのも正直なところである。
またファンの間ではいわゆる「11月の傑作群」が上げられる。これは放送当時それこそ11月に放送されたエピソードが、群を凌いで秀逸であることからネーミングされた。
この場合11月5日~29日(第31話~第34話)まで、放送された回のことを意味する。個人的に気に入っているのは、市川森一先生が執筆した「天使と悪魔の間に」である。
第31話「天使と悪魔の間に」
侵略宇宙人はいつでも、策謀を企てるものでありこの回に登場するゼラン星人も、その一例だった。2代目MAT隊長である伊吹竜の娘・美奈子がMAT基地に連れてきたのは、カトリック教会で知り合った言葉の不自由な少年・輝男だった。
しかしテレパシーで郷と意思疎通が出来、郷を挑発し始めた。しかも断続的に、侮辱する様な言動(?)を続け、郷を激怒させた。無論、郷=ウルトラマンと認識した上でのことである。謹慎を受けた郷は伊吹に、「もしウルトラマンが、危険な目にあったら、あの少年に気をつけてください(大意)」と訴え出た。
市街に囮怪獣・プルーマが出現し大暴れ。
ウルトラマンが出現し、ウルトラスパークで勝利を収める。だがブレスレットの形状に戻らず、逆上してウルトラマンに襲い掛かる!
その時伊吹は、郷の言葉を思い出しMATシュートで少年に一撃を浴びせる!
少年、いやゼラン星人は姿を顕わにし、絶命した。
するとブレスレットは、逆襲を止めウルトラマンの左手首に収まった。
後日、美奈子は日曜学校が終わって教会から出てきた。迎えに来た伊吹は郷に「人間の子は人間の子さ(大意)」と語った。ただ美奈子の笑顔は、天使にも悪魔にも負けない眩しいものだった。
カトリックの信徒である市川先生が設定上、教会をストーリーの発端とし、子供たちを狭間において、対立的な存在である「天使と悪魔」を想定したのは、今回の大きな核要素を担っている。当時のウルトラシリーズは少なからずとも、恐怖感も提供しなければならない。ゼラン星人が化けた少年の顔の静止画像で、眼を明滅させおぞましい声で郷に話しかける場面は、むしろ視聴者をどん底に落としたのは間違いないだろう。
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