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サトリ編
008 背を追いかけて
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数十分後の事。
翔太郎は自分の部屋で寝かされていた。韻は翔太郎の部屋の椅子に座って、スマホを触りながら暇を潰していた。既に風呂に入った後なのか、首にタオルをかけて着替えている。ちなみにレフは翔太郎の傍におり、ポチは翔太郎のベッドの上でレフと話していた。
〔なぜ僕達が翔太郎さんの手伝いを?そもそも、翔太郎さんは霊能者である事を韻に隠しているんだよ?〕
「ですが、翔太郎さんには戦う力がなくて…!妖力を操るお二人なら、きっと翔太郎さんの役に立ちます!」
お願いをするレフに対し、ポチは毅然とした態度で物申す。
〔そうじゃなくて、まず君が翔太郎さんから身を引くべきだと僕は思っているんだよ。〕
「翔太郎さん以外には有り得ません…!
お願いします。なんなら韻さんの死後の魂は貴方様にあげますから…!」
〔怖…何を馬鹿な事を…。〕
そして二人は沈黙する。ポチは溜息をつくと、韻の様子を見た。すると韻は、目を点にしながらポチを見つめていた。ちなみにスマホを眺める体勢を維持したまま、停止する様に見つめている。ポチはクエスチョンマークを頭の上に浮かべると、韻は言った。
「ポチ…独り言?」
レフが見えない韻にとっては、ポチのただの独り言にしか見えないのだ。ポチは恥ずかしそうにして言う。
〔ちっ、違う!僕は韻には見えない生き物と話していて…!〕
それを聞いた韻は何かに気づいた顔をした。それからしゅんとして、反省した顔で言う。
「ごめん、俺がポチを無理に故郷から連れ出したせいだよな…本当に申し訳なく思っている。」
謝罪を入れる韻。それにポチはツッコミを入れた。
〔ホームシック起こしてないから!今の話聞いてた!?〕
「だって幻がどうのって…」
〔言ってない!〕
そう言われると、韻の頭上にもクエスチョンマーク。ポチは説明するのも嫌なのか、頭を痛めていた。すると、翔太郎は目を覚ました。翔太郎が起き上がると、韻は翔太郎に視線を向けながら言う。
「おはよ、兄貴。飯もう出来てんぞー。」
「え?」
翔太郎は驚いたように言うと、韻は掠れた笑いを見せた。
「兄貴も夕方に爆睡すんだな、新鮮だったよ。」
「そ、そっか。驚かせちゃったね。」
(それは普段とは比べ物にならないくらい、霊力を使ったからであって…!)
と翔太郎は先ほどの回想を行ったが、口には出せない。翔太郎は難しい顔をした。韻はそれを見ていて、心配したのか聞く。
「兄貴、具合悪いのか?」
「え、そうじゃないよ。」
「じゃあ悩みか?」
「違うよ。」
翔太郎は笑顔を繕ってそう言うと、韻はそれがお見通しなのかムスッとした顔。
「嘘つくなよ。」
図星な為、ドキッと来る翔太郎。韻は腑に落ちない表情で続けた。
「兄貴はいっつもそうだよな、悩んでも一人で抱える。一人でどうにかしようとするんじゃなくてさ、もっと周りを頼れよ。
…俺じゃ頼りないかもだけどさ。」
恥ずかしいのか、最後の方は小声だった。この様子から韻が翔太郎を心配する心に嘘はないだろう。すると翔太郎は俯いて黙り込み、自分の手を見つめながらも思う。
(韻は、いつも僕の心配をしてくれるな。お兄ちゃんだから、本当は心配かけないくらい立派でいたいけど…。やっぱり僕はまだまだ…)
そう思っていると、韻は続けた。
「俺も中学の時は少し…いや相当兄貴に迷惑かけた、心配かけた。兄貴の心配なんて、考えた事もなかった。」
そこまで言うと、韻は真剣な表情を翔太郎に向けた。
「でも今は違う。俺は変わりたいんだよ、兄貴みたいに…!」
翔太郎は韻の真摯な表情に感銘を受けたが、それでも穏やかに微笑んで言う。
「ありがとう、韻。…でも、本当に平気だよ僕は。」
その笑みを見ると、韻は虫唾が走った。韻は眉をピクリと動かし、そして何度か躊躇いながらもやっと口を開いた。
「ほんっっとに…わかってねぇ。」
そう言うと、韻は部屋を出て行く。ポチは韻に置いていかれぬよう、部屋を出る前に韻の肩に飛び乗った。レフは言った。
「いいのですか?彼は陰陽師と呼ばれた子でしょう?味方にしたら歪退治も捗りますよ。」
「いいんだよ…。弟には、もっと普通に生きて欲しいから…。」
「普通…ですか?」
レフが首を傾げると、翔太郎はベッドから出ながら言う。
「僕達は三兄弟なんだけど…その中で唯一、霊能者じゃないからね韻は。もっと普通に生きて欲しかったんだ…。僕や妹の海美みたいに、霊に現を抜かすようにはなって欲しくないんだ…。」
つまり長男の翔太郎と末っ子の海美は霊能者であり幽霊が見え、真ん中っ子の韻はそうでない為に幽霊が見えない…という事だ。
「ですが、妖に現を抜かしていますよ?彼は。」
「知ってるよ…。」
翔太郎はそう呟く。しかしレフのごもっともな言葉を聞いて、翔太郎は虚しそうな表情を見せた。
「レフさんの言う通りだけど…。だけど妖の世界に足を入れたからって、霊の世界に加える訳にはいかないよ。」
「…なるほど、それが翔太郎さんの優しさなのですね。」
そう言うと、レフはご機嫌そうに笑う。翔太郎は首を傾げると、レフは続けて言った。
「ならやめておきましょう。翔太郎さんがそこまで言うのなら、強制する事はできませんね。」
「ありがとう、レフさん。」
翔太郎は微笑むと、レフは頷いた。
その時、翔太郎の腹が鳴る。翔太郎は頬をピンクにしつつも、腹を擦って笑う。
「ご飯…まだだった。」
翔太郎は自分の部屋で寝かされていた。韻は翔太郎の部屋の椅子に座って、スマホを触りながら暇を潰していた。既に風呂に入った後なのか、首にタオルをかけて着替えている。ちなみにレフは翔太郎の傍におり、ポチは翔太郎のベッドの上でレフと話していた。
〔なぜ僕達が翔太郎さんの手伝いを?そもそも、翔太郎さんは霊能者である事を韻に隠しているんだよ?〕
「ですが、翔太郎さんには戦う力がなくて…!妖力を操るお二人なら、きっと翔太郎さんの役に立ちます!」
お願いをするレフに対し、ポチは毅然とした態度で物申す。
〔そうじゃなくて、まず君が翔太郎さんから身を引くべきだと僕は思っているんだよ。〕
「翔太郎さん以外には有り得ません…!
お願いします。なんなら韻さんの死後の魂は貴方様にあげますから…!」
〔怖…何を馬鹿な事を…。〕
そして二人は沈黙する。ポチは溜息をつくと、韻の様子を見た。すると韻は、目を点にしながらポチを見つめていた。ちなみにスマホを眺める体勢を維持したまま、停止する様に見つめている。ポチはクエスチョンマークを頭の上に浮かべると、韻は言った。
「ポチ…独り言?」
レフが見えない韻にとっては、ポチのただの独り言にしか見えないのだ。ポチは恥ずかしそうにして言う。
〔ちっ、違う!僕は韻には見えない生き物と話していて…!〕
それを聞いた韻は何かに気づいた顔をした。それからしゅんとして、反省した顔で言う。
「ごめん、俺がポチを無理に故郷から連れ出したせいだよな…本当に申し訳なく思っている。」
謝罪を入れる韻。それにポチはツッコミを入れた。
〔ホームシック起こしてないから!今の話聞いてた!?〕
「だって幻がどうのって…」
〔言ってない!〕
そう言われると、韻の頭上にもクエスチョンマーク。ポチは説明するのも嫌なのか、頭を痛めていた。すると、翔太郎は目を覚ました。翔太郎が起き上がると、韻は翔太郎に視線を向けながら言う。
「おはよ、兄貴。飯もう出来てんぞー。」
「え?」
翔太郎は驚いたように言うと、韻は掠れた笑いを見せた。
「兄貴も夕方に爆睡すんだな、新鮮だったよ。」
「そ、そっか。驚かせちゃったね。」
(それは普段とは比べ物にならないくらい、霊力を使ったからであって…!)
と翔太郎は先ほどの回想を行ったが、口には出せない。翔太郎は難しい顔をした。韻はそれを見ていて、心配したのか聞く。
「兄貴、具合悪いのか?」
「え、そうじゃないよ。」
「じゃあ悩みか?」
「違うよ。」
翔太郎は笑顔を繕ってそう言うと、韻はそれがお見通しなのかムスッとした顔。
「嘘つくなよ。」
図星な為、ドキッと来る翔太郎。韻は腑に落ちない表情で続けた。
「兄貴はいっつもそうだよな、悩んでも一人で抱える。一人でどうにかしようとするんじゃなくてさ、もっと周りを頼れよ。
…俺じゃ頼りないかもだけどさ。」
恥ずかしいのか、最後の方は小声だった。この様子から韻が翔太郎を心配する心に嘘はないだろう。すると翔太郎は俯いて黙り込み、自分の手を見つめながらも思う。
(韻は、いつも僕の心配をしてくれるな。お兄ちゃんだから、本当は心配かけないくらい立派でいたいけど…。やっぱり僕はまだまだ…)
そう思っていると、韻は続けた。
「俺も中学の時は少し…いや相当兄貴に迷惑かけた、心配かけた。兄貴の心配なんて、考えた事もなかった。」
そこまで言うと、韻は真剣な表情を翔太郎に向けた。
「でも今は違う。俺は変わりたいんだよ、兄貴みたいに…!」
翔太郎は韻の真摯な表情に感銘を受けたが、それでも穏やかに微笑んで言う。
「ありがとう、韻。…でも、本当に平気だよ僕は。」
その笑みを見ると、韻は虫唾が走った。韻は眉をピクリと動かし、そして何度か躊躇いながらもやっと口を開いた。
「ほんっっとに…わかってねぇ。」
そう言うと、韻は部屋を出て行く。ポチは韻に置いていかれぬよう、部屋を出る前に韻の肩に飛び乗った。レフは言った。
「いいのですか?彼は陰陽師と呼ばれた子でしょう?味方にしたら歪退治も捗りますよ。」
「いいんだよ…。弟には、もっと普通に生きて欲しいから…。」
「普通…ですか?」
レフが首を傾げると、翔太郎はベッドから出ながら言う。
「僕達は三兄弟なんだけど…その中で唯一、霊能者じゃないからね韻は。もっと普通に生きて欲しかったんだ…。僕や妹の海美みたいに、霊に現を抜かすようにはなって欲しくないんだ…。」
つまり長男の翔太郎と末っ子の海美は霊能者であり幽霊が見え、真ん中っ子の韻はそうでない為に幽霊が見えない…という事だ。
「ですが、妖に現を抜かしていますよ?彼は。」
「知ってるよ…。」
翔太郎はそう呟く。しかしレフのごもっともな言葉を聞いて、翔太郎は虚しそうな表情を見せた。
「レフさんの言う通りだけど…。だけど妖の世界に足を入れたからって、霊の世界に加える訳にはいかないよ。」
「…なるほど、それが翔太郎さんの優しさなのですね。」
そう言うと、レフはご機嫌そうに笑う。翔太郎は首を傾げると、レフは続けて言った。
「ならやめておきましょう。翔太郎さんがそこまで言うのなら、強制する事はできませんね。」
「ありがとう、レフさん。」
翔太郎は微笑むと、レフは頷いた。
その時、翔太郎の腹が鳴る。翔太郎は頬をピンクにしつつも、腹を擦って笑う。
「ご飯…まだだった。」
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