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サトリ編
018 にーちゃんの事
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その日の夕方、翔太郎は家にいた。
翔太郎はキッチンで家事の手伝いもとい母と料理をしていると、そこへ海美が帰ってくる。
「かーちゃんとーちゃんただいまー。」
「あら海美、寮はどうしたの?」
翔太郎と一緒に料理をしていた母はそう聞いた。海美は疲れた様子で食卓の席に座ると、頬杖をついて言う。
「にーちゃんのお見舞い行ったら腹減ってきて。寮より家の方が近かったから飯食いに来た。」
「あらそう?手洗いなさいよ。」
「めんどっ」
「こら海美。」
母が声色を暗くすると、海美は母には勝てないのかそそくさと洗面所へと向かっていった。共に食卓の席について新聞を読んでいた厳格な様子の父は、海美が去っていくのを横目で見ている。それらを翔太郎は見守りながら、苦笑していた。
(僕には「ただいま」無しだな…相変わらず…。)
食卓の席は六人分あった。翔太郎の家は五人家族であるし、席が一つ余分に多い。それをレフが不思議そうに見ていた。続いてレフは父の傍に向かい、父と何やら会話を楽しんでいる様子だった。父は霊能力者の家系である為、幽霊が見えるのは勿論霊力を操る事も出来る。翔太郎や海美が霊能力者なのも、この父の遺伝だ。翔太郎は父とレフの様子を見る。
(レフさんと父さん、なんだか仲が良いな。まるで、以前から知り合いだったかのような。)
手伝いを終えた翔太郎は、父の方へ来て言った。
「父さん、レフさんと知り合いなの?」
「まあな。私が若い時、世話したと言うか世話されたと言うか…。」
(つまりどんな関係だ…!?)
翔太郎は気になりつつもレフの方を見ると、レフは慌てた様子でいた。
「え、えっと…!ちょっと話しただけの仲です。」
「は、はあ…」
怪しい言動に翔太郎は言及しそうになるが、それをやめて溜息。
(言いたくなさそうにしているな。…レフさんはあの世の事情も知っていて、怪しい幽霊だけど…。悪い人ではなさそうだし、追求しないでおくか…。)
するとそこへ海美がドスドスと足音を立ててやってきて、翔太郎に指差して言った。
「弱兄貴!話がある、こっち来い!」
「え…?いいけど。」
翔太郎は目を丸くして答えるしかなかった。
海美に呼ばれ、海美と翔太郎は韻の部屋に来た。ついでにレフもいる。
「何で韻の部屋?」
翔太郎は微妙な反応を隠せずに海美に聞くと、海美は部屋をキョロキョロしながら言った。
「にーちゃんは海美を部屋に入れたがらないからだ!」
「じゃあ出た方が…」
「うっせぇ!!」
海美に怒られ、翔太郎は弱々しく「はい…」と返事してしまう。そして海美は韻のベッドへ飛び乗ると、胡座をかいて座り込んだ。ちなみに翔太郎はベッドの横で、正座をさせられている。
海美は言った。
「弱兄貴、にーちゃんの事で質問がある。」
「何?」
翔太郎がそう返すと、海美は拳を握った。そして神妙な様子で言う。
「…にーちゃんの怪我さ…治るの早すぎじゃね。重症負ってた割に、一週間もしないで退院だぜ?
にーちゃん、周りに『陰陽師』って呼ばれるようになってから何か変なんだよ…。どうしちまったのかわかるか?」
その質問に、翔太郎も同じ表情を浮かべた。知らないと言えば嘘になる。韻は妖をいつも連れている、それが関係しているのではないかと翔太郎はほぼ確信していた。海美は不安で仕方ない表情になり、手を震えさせる。
「にーちゃんさ、【要(カナメ)】が死んだ百妖災の時も大怪我したじゃん。そん時も…傷の治りが早かったって…かーちゃん言ってた…!」
翔太郎は言う訳にもいかず黙り込んでしまうが、レフは言った。
「本人から聞かないんですか?」
「はぐらかされる…」
海美がそう言うと、急に真面目な顔を二人に見せる。
「でもにーちゃんが大怪我した日、海美わかったぞ…!にーちゃんは変な力使ってんだ!私や弱兄貴が持ってる霊力じゃない…違う力…!」
しかし翔太郎は落ち着いた様子で答えた。
「霊力以外の力?そんなものが存在すると思うかい?海美。」
(韻が黙っている以上、僕の口からは何も言えない…。と言うか、僕でさえ韻の事を完全に把握していないと言うのに…。)
「ある!!」
海美は確信した表情で言った。その確固たる自信に、目を丸くする翔太郎。海美は着ているセーラー服のポケットを探ると、一つの石を見せた。
手のひらサイズの欠けた石。石は宝石の様に紫色に光り輝き、もう半片が有りそうな形をしている。
「これは最近、学校の近くで拾ったもんだ。弱兄貴、この石から霊力感じるか?海美は感じねぇ。」
翔太郎は何も感じないのか、ただ大きな宝石の様にしか見えない。
「うん…感じないね。」
「だろ?でもこの石は不思議なんだ。持っているだけで霊力が増幅するんだ。だから私は思ったんだ…霊力以外の力も実は存在するんじゃないかって。」
それを見て、翔太郎はレフに目配せして言った。
「何の石かわかりますか?」
「ふむ…、似たような物なら見た事があります。」
翔太郎はキッチンで家事の手伝いもとい母と料理をしていると、そこへ海美が帰ってくる。
「かーちゃんとーちゃんただいまー。」
「あら海美、寮はどうしたの?」
翔太郎と一緒に料理をしていた母はそう聞いた。海美は疲れた様子で食卓の席に座ると、頬杖をついて言う。
「にーちゃんのお見舞い行ったら腹減ってきて。寮より家の方が近かったから飯食いに来た。」
「あらそう?手洗いなさいよ。」
「めんどっ」
「こら海美。」
母が声色を暗くすると、海美は母には勝てないのかそそくさと洗面所へと向かっていった。共に食卓の席について新聞を読んでいた厳格な様子の父は、海美が去っていくのを横目で見ている。それらを翔太郎は見守りながら、苦笑していた。
(僕には「ただいま」無しだな…相変わらず…。)
食卓の席は六人分あった。翔太郎の家は五人家族であるし、席が一つ余分に多い。それをレフが不思議そうに見ていた。続いてレフは父の傍に向かい、父と何やら会話を楽しんでいる様子だった。父は霊能力者の家系である為、幽霊が見えるのは勿論霊力を操る事も出来る。翔太郎や海美が霊能力者なのも、この父の遺伝だ。翔太郎は父とレフの様子を見る。
(レフさんと父さん、なんだか仲が良いな。まるで、以前から知り合いだったかのような。)
手伝いを終えた翔太郎は、父の方へ来て言った。
「父さん、レフさんと知り合いなの?」
「まあな。私が若い時、世話したと言うか世話されたと言うか…。」
(つまりどんな関係だ…!?)
翔太郎は気になりつつもレフの方を見ると、レフは慌てた様子でいた。
「え、えっと…!ちょっと話しただけの仲です。」
「は、はあ…」
怪しい言動に翔太郎は言及しそうになるが、それをやめて溜息。
(言いたくなさそうにしているな。…レフさんはあの世の事情も知っていて、怪しい幽霊だけど…。悪い人ではなさそうだし、追求しないでおくか…。)
するとそこへ海美がドスドスと足音を立ててやってきて、翔太郎に指差して言った。
「弱兄貴!話がある、こっち来い!」
「え…?いいけど。」
翔太郎は目を丸くして答えるしかなかった。
海美に呼ばれ、海美と翔太郎は韻の部屋に来た。ついでにレフもいる。
「何で韻の部屋?」
翔太郎は微妙な反応を隠せずに海美に聞くと、海美は部屋をキョロキョロしながら言った。
「にーちゃんは海美を部屋に入れたがらないからだ!」
「じゃあ出た方が…」
「うっせぇ!!」
海美に怒られ、翔太郎は弱々しく「はい…」と返事してしまう。そして海美は韻のベッドへ飛び乗ると、胡座をかいて座り込んだ。ちなみに翔太郎はベッドの横で、正座をさせられている。
海美は言った。
「弱兄貴、にーちゃんの事で質問がある。」
「何?」
翔太郎がそう返すと、海美は拳を握った。そして神妙な様子で言う。
「…にーちゃんの怪我さ…治るの早すぎじゃね。重症負ってた割に、一週間もしないで退院だぜ?
にーちゃん、周りに『陰陽師』って呼ばれるようになってから何か変なんだよ…。どうしちまったのかわかるか?」
その質問に、翔太郎も同じ表情を浮かべた。知らないと言えば嘘になる。韻は妖をいつも連れている、それが関係しているのではないかと翔太郎はほぼ確信していた。海美は不安で仕方ない表情になり、手を震えさせる。
「にーちゃんさ、【要(カナメ)】が死んだ百妖災の時も大怪我したじゃん。そん時も…傷の治りが早かったって…かーちゃん言ってた…!」
翔太郎は言う訳にもいかず黙り込んでしまうが、レフは言った。
「本人から聞かないんですか?」
「はぐらかされる…」
海美がそう言うと、急に真面目な顔を二人に見せる。
「でもにーちゃんが大怪我した日、海美わかったぞ…!にーちゃんは変な力使ってんだ!私や弱兄貴が持ってる霊力じゃない…違う力…!」
しかし翔太郎は落ち着いた様子で答えた。
「霊力以外の力?そんなものが存在すると思うかい?海美。」
(韻が黙っている以上、僕の口からは何も言えない…。と言うか、僕でさえ韻の事を完全に把握していないと言うのに…。)
「ある!!」
海美は確信した表情で言った。その確固たる自信に、目を丸くする翔太郎。海美は着ているセーラー服のポケットを探ると、一つの石を見せた。
手のひらサイズの欠けた石。石は宝石の様に紫色に光り輝き、もう半片が有りそうな形をしている。
「これは最近、学校の近くで拾ったもんだ。弱兄貴、この石から霊力感じるか?海美は感じねぇ。」
翔太郎は何も感じないのか、ただ大きな宝石の様にしか見えない。
「うん…感じないね。」
「だろ?でもこの石は不思議なんだ。持っているだけで霊力が増幅するんだ。だから私は思ったんだ…霊力以外の力も実は存在するんじゃないかって。」
それを見て、翔太郎はレフに目配せして言った。
「何の石かわかりますか?」
「ふむ…、似たような物なら見た事があります。」
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