屍人の陰陽師

うてな

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サトリ編

020 怖いお隣さん

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次の日。
翔太郎は大学へ行く日だった。講義が始まる前に席を探していると、前列が全て埋まっていた。翔太郎は前席を狙っていたのか、難しい表情を浮かべる。

(今日はお気に入りの席が埋まっちゃってるな…。いつもは空いてるんだけどな…。)

調子が狂いながらも、翔太郎は一番後ろの席に座った。

(たまには一番後ろで聞いてみるかぁ。)

そしてバッグから眼鏡を取り出してかけると、近眼で見えなかった教壇がクリアに見えるようになる。

(よし、ちゃんと見える。)

すると、隣に誰かが座る。先日翔太郎がダル絡みしてしまった、琴爪だ。翔太郎は視線をすぐに逸らすと思う。

(琴爪さん…!?先日の事を考えたら気まずい…!それに大学じゃ浮いてる人だろう…?怖い人だと面倒だし、できる限り話しかけないようにしよう。)

そして、講義が始まった。琴爪は講義にちゃんと参加している様だった。それを見て、翔太郎は少し安心する。

(ふぅ…普通そうな人で良かった…。)

翔太郎はそう思いながらノートにメモをしていると、消しゴムがない事に気づく。筆箱を漁って探してみるも見当たらない。

(えっ、消しゴムがない。一体どこに…!)

バッグなども探していたが見つからず、翔太郎はある結論に辿り着く。

(まさかまた海美の悪戯…!?最近しなくなったと思ったら…!)

どうやら、海美の仕業かもしれないらしい。翔太郎は困っていると、ふと思う。

(隣の人に借りれば…?)

そう思って琴爪を見ると…。
琴爪はスマホでAVを見ていた。何食わぬ顔で、無音で観ている姿にシュールさも感じる。翔太郎はやっぱり視線を逸らした。

(この人はヤバイ人…!関わっちゃ駄目…!)

すると近くで浮遊していたレフも琴爪のスマホを覗き込むので、翔太郎は焦った。その拍子に翔太郎は琴爪の方を向いてしまい、琴爪は翔太郎に気づいた。目が合ってドキッと心臓が跳ね上がる翔太郎。そして琴爪はスマホへの視線を感じ、翔太郎に動画を見せてくれる。
が、翔太郎の目的はそれではない。翔太郎は顔を真っ赤にして顔を庇ってしまう。翔太郎のウブな反応にも、無反応の琴爪。
翔太郎は意を決して、小さな声で言う。

「え、えっと…動画ではなくて…ですね…。消しゴムが無くて…貸していただけないかと思いまして…!」

翔太郎はスマホから視線を逸らすので精一杯。いくら視界に入ったとしても、心のモザイクをかけた。すると琴爪は言った。

「そうか。ならば最初からそう言え。」

そう言って琴爪は、翔太郎に消しゴムを貸してくれた。翔太郎は消しゴムを貸してもらい、何度も頭を下げながら言う。

「あ、ありがとうございます…!」

琴爪は何も言わず、何度も頭を下げる翔太郎を見ていた。するとレフがやってきて、翔太郎に言う。

「大丈夫ですか?翔太郎さん。顔が真っ赤ですよ。」

翔太郎は今喋る訳にもいかず、苦笑してしまう。レフは翔太郎が心配なのか、ジッと様子を見ていた。翔太郎は講義に集中していたが、翔太郎は隣から何かを感じた。
確認してみると、琴爪が恐ろしい怒りの形相で講義を聞いているではありませんか。翔太郎は顔を真っ青にする。

(借りられて機嫌が悪い…?どうしよう…後でシめられたりしたら…!)

翔太郎はガクガクと震えていると、琴爪は言った。

「講義の邪魔だ、貴様。」

琴爪がそう言った先は、彼の視界を丁度塞ぐように浮遊していたレフだった。翔太郎はそれに気づくと驚いた。

(この人…!レフさんが見えている…!?)

レフが見えない周囲の人は、彼を奇怪なものを見る目で見ていた。すると翔太郎は、慌ててフォローを入れる。

「あ、ごめんね。急に話しかけちゃって…!講義の邪魔だったよね…!」

「貴様ではない、私の前にいる…」

「あ!これ借りた物です。お返しますね、ありがとう!」

翔太郎は勢いに任せて、消しゴムを返して琴爪の言葉を塞いだ。琴爪はそんな翔太郎の勢いに押され、やがて黙り込む。レフは琴爪に驚いたのかその場を退いて、翔太郎の後ろで浮遊した。周囲の視線がなくなった頃、翔太郎は琴爪に話しかける。

「す、すいませんさっきは失礼な事を…」

「講義の後、時間はあるか。」

琴爪に聞かれると、翔太郎は全身の血が引いていくのを感じた。翔太郎は震えながらも言う。

「は…はい…」

(終わった…これはシめられる…。スマホメモに遺書書いておこう…。)
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