屍人の陰陽師

うてな

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サトリ編

023 式神使いの陰陽師

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どこからか悪霊へ一枚の札が飛んできた。札が悪霊に貼りつくと、悪霊は札の力に圧倒されて苦しむ。翔太郎はそれを見て、驚いた表情で呟く。

「この札はまさか…!」

苦しみの中で悪霊は札に吸い込まれるように消え去り、札がはらりと地面に落ちた。そこへやってきたのは海美で、札を拾うとニヤリと笑う。

「弱っちぃ兄貴、悪霊を倒す力もないくせに戦おうとすんなよ。」

「海美…!」

その言葉を聞くと、ケンは目を光らせた。

「彼女も霊能者…!?」

そんなケンはスルーで、海美は続けた。

「ま、兄貴が悪霊ホイホイしてくれると私は助かるけどな。こうすれば霊力を確保できるからよ。」

「海美、まだそんな事をしていたのか!」

海美と翔太郎の会話についていけないケンとレフ。ケンはどこか寂しそうに言う。

「えっと…何の話ですか…?」

ケンに気づくと、翔太郎はケンに説明をした。

「彼女は僕の妹で、式神使いなんだ。式神を使役するには霊力が多く必要で、式神使いは自分の霊力に見合った式神を操る。」

「式神使い様…!?」

ケンのいつもの様子に翔太郎は苦笑しつつも、話を続けた。

「だけど海美は身の丈に合わない式神を扱う為に、現世に残る幽霊の霊力を札に封じ込め、式神を召喚するのに使っているんだ。」

「そうすると、幽霊はどうなってしまうのですか?」

ケンが質問すると、翔太郎は表情の雲行きが怪しくなる。それにケンは嫌な予感がすると、翔太郎は言った。

「消えてなくなる…。幽霊として残る事は愚か、あの世へ向かう事すらできない…消滅してしまう…!」

それはまるで、二度目の人生を得た屍人が消える瞬間と同じようだ。その言葉にケンは衝撃を受けると、急に海美を警戒し始めた。

「あなたは悪い人です。」

「切り替え早ぇーなこのあんちゃん。」

海美はケンの様子に微妙な反応を見せると、翔太郎は海美に言った。

「海美、早くその幽霊を解放するんだ。海美がやっている事は、殺人と同じ。死者への冒涜だ!」

「解放したらどーすんだよ。どーせ弱兄貴じゃ倒す事はできねーし、説得なんて通じる相手じゃねーよ悪霊は。」

その瞬間、ケンは納得した様子を見せた。

「悪霊を消滅させる事で街に平和が戻ってくるなら、妹さんは悪い人じゃないかもしれません。」

「コロコロ変わるあんちゃんだなぁ!」

海美は流石にツッコミを入れると、ケンは目を再び輝かせた。ケンはどんな霊能力の使い方をしていようと、多少の善があれば許せるのかもしれない。翔太郎は俯きながら呟く。

「確かに僕は…幽霊を倒す力はないけれど…でも、幽霊と対話する事はできる。」

「それが無駄なんだよ。」

海美はそう言うと、一枚の式神を召喚した。

「干支の式神、午の刻に顕現せよ!…【サンテラ】!」

そうして出てきたのは、なんとも神々しい見た目をした馬であった。大きさは普通の馬の二倍ほど。眺めてしまうほど艶のある整った白い毛並み、四つの足には白い雲が霧の様に足を包み込んでいた。
サンテラは登場をすると言う。

〔私が真理です。〕

式神が目の前に現れると、ケンは仰天。翔太郎は逆に、眉を潜めた。

「海美、自分の霊力に見合ってない【十二神将】を召喚しちゃ駄目だ!体を壊してしまうぞ!」

「どうでもいいんだよ。行くぞ、サンテラ。」

そう言って海美はサンテラの背に乗ると、サンテラは宙を走って空へ立ち去ってしまった。ケンは感嘆の声を上げていたが、翔太郎は声を張り上げる。

「待て海美!!」

しかし海美は戻る事はなかった。翔太郎は溜息を吐くと、ケンはそんな翔太郎を宥めた。

「元気出してください部長。」

「ありがとケンくん…」

翔太郎の元気のない様子を見て、ケンは無表情のまま考え事。

(どうすれば部長を元気にできるだろう…。)

するとケンは閃いた顔。ケンは翔太郎の肩をトントンと叩くので、翔太郎はケンを見た。ケンは真面目な顔をし、ぎこちない様子で翔太郎に言う。

「部長の願いを、何でも一つ叶えましょう…!」

「え…??いやっ…要らないです…。」

ケンは面白い事を言うのが苦手なのか、それが精一杯の様だ。思わぬ方向に出たケンに、翔太郎は唖然。ある意味元気が出ただろう。





この都会にある、とある二階建ての修理屋にて。
一階は店になっており、車やバイクや電化製品等が置かれていた。そして二階は家になっており、その家には星夜が住んでいた。

星夜は窓の外の街並みを眺めていた。片手に以前ハンカチに包んでいた石を持ち、やがて石に視線を落とした。

「…一体どこへ行ってしまったのだ…。」

そう言うと、石を机の上にあるハンカチの上に丁寧に置いた。星夜は部屋を出ようと歩き出す。
その瞬間、星夜は頭と胸を押さえて苦しみだした。星夜は蹲ってしまうと、顔色を悪くしながらも呟く。

「くっ…!『力』が足りん…このままではっ…!」

星夜の肌の色はみるみる青白くなっていく。するとハンカチの上にあった石が勝手に宙に浮かび、微かな光を放ちながら星夜の元へやってくる。星夜はそれに気づくと、近くに乱雑に脱ぎ捨ててあった上着で石を振り払った。壁にぶつかり、床に落ちる石。
星夜は呟く。

「そうはさせん…!お前を助けたいのに…私がお前の力を喰らうなどあってはならん…!!」

彼には何か、人とは異質な部分がありそうだ。そう言うと、星夜はそのまま気を失ってしまった。



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