屍人の陰陽師

うてな

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サトリ編

024 じわりじわりと熱が届く

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海美に去られた後、翔太郎はケンと一緒にいたのが一人になっていた。
只今の天気は雨で、どうやら通り雨の様だ。翔太郎は公園の雨宿りの出来るベンチに座りながらも、雨の中でも公園で遊ぶ数人の子供達を眺めている。

(ケンくん、急用を思い出してすぐ帰っちゃったけど…。間に合ってるといいな…。)

元気な子供達を見ていると、翔太郎はふと韻がサッカーをしている日を思い出す。韻もこの公園の子供達に負けないくらい、いつも元気なのだ。

(韻の迎えまであと一時間…か。もう少し公園の様子を見て暇を潰そうかな?)





一方ケンの方では。
ケンは近くのコンビニに雨宿りしており、雨模様の外を見ると間一髪かのように汗を拭った。

(危なかった…!水を浴びれば僕の体は妖に変化してしまう…部長には絶対にバレちゃいけない…!)

その瞬間、ケンはコンビニの商品に目を奪われる。目を光らせて、ケンは言った。

「なんだココ、色々売ってる…!」

ケンの感情が高ぶった為か、髪色は黄色っぽく変色していた。コンビニに初めて来たのだろうか、好奇心旺盛な瞳をしている。ケンは店内の売り物を眺め始めた。





そして場面は翔太郎に戻る。
翔太郎が雨を気にしていると、背後に誰かが現れた。

「あんたね、霊能者。」

その言葉に翔太郎は後ろを振り返ると、そこにはユリアや黄泉と呼ばれる男と一緒にいた女性がいた。どうやら『翔太郎を仕留めに行く役』を、忘れていなかったようだ。女性はニヤリと笑むと、翔太郎に言う。

「私の名前は【サトリ】、黄泉様の命令であんたに二度目の死を与えに来たの。」

すると翔太郎は警戒した様子になって、サトリを見つめると言った。

「突然なんですか。あなたも相当な霊能者…。まさか、屍人とかでは…。」

「正解。私、屍人よ。良かったら今から遊ばない?」

サトリはそう言ってから、ひとつ深呼吸。そして腹の奥から声を出す。

「はぁああああ…!」

それと同時に、サトリに当たる雨がジュワジュワと蒸発していく。サトリの体から陽炎の様に蒸気が上がると、翔太郎は信じられない光景に顔が真っ青に。

「え…?体温が上がっている…とかですか?触ったら熱そうですが…」

「熱いわよ…?と言うか、溶けるわよ。」

そう言われると、翔太郎は恐怖で涙をこらえた表情をする。

(霊能者がそんな物騒な力、持っているもの…!?)

霊能者には持ち得ない珍しい芸当なのか、翔太郎は完全に怖気づいていた。





そしてここは、現場から少し離れた場所。
海美は、式神のサンテラに乗って空を飛行していた。海美は先程の悪霊の霊力がこもった札を眺めながら、真面目な表情を見せた。

(もっと霊力が必要だ。これじゃにーちゃんを守れない…!)

そう考えると、海美は韻が先日歪と戦っていた事を思い出す。海美は深く目を閉じた。

(にーちゃんは今、今までにない化け物と戦おうとしている。百妖災の時よりも…もっと…!きっとにーちゃんだけじゃ力不足な時もある、その為に海美が強くならなきゃ…!)

すると海美は、ポケットから何かを取り出す。それは最近拾ったという、力の塊と言われている石。

(これを手に入れてから、今まで以上に霊力を札に封じる事が出来るようになった。…これさえあれば、海美はにーちゃんを救えるんだ…!)

そう思いながらも、スマホを確認。スマホのカレンダーには『にーちゃん退院』とあった。

(にーちゃんが帰ってきたら、次会った時にでもにーちゃんの力の事について聞こう。…答えてくれっかわかんねぇけど…。)

その時だ。
海美が持っている石が美しく光り輝いた。海美が驚いていると、石から影の様に薄い光が伸びる。石の光は地上へ伸びており、海美はそれに気づいた。

(ん?石が反応してる…何かあるのか?)

「降りろ、サンテラ。」

命令されると、サンテラはそのまま降下。降下した先で、海美は式神を解いて消した。
そこは星夜の家の前で、海美は家の扉を見つめた。石の光は、家へ向かっている。

「この中に、何かあるのか…?」

海美はインターホンも押さずに、勝手に家に上がった。光の差す方へ向かうと、そこには気を失った星夜がいた。星夜は顔が真っ白なだけでなく、髪の色素までも落ちてきていた。海美はビックリして、思わず星夜に駆け寄る。

「おい!お前どうした!」

話しても返事がない為、海美はスマホをポケットから出して救急車を呼ぼうとした。

その時だ。

海美のポケットが光った。海美はポケットを確認すると、それはさっきの悪霊を封じた札。

(ん…?これは霊力を吸った札…。)

海美はポケットからその札を出すと、海美が持っていた石が強く輝いた。海美は目を丸くしていると、札が勝手に海美の手から離れた。

「わっ!勝手に札が!」

掴もうとしても手の間をスルスルと通り抜け、札は星夜の胸に落ちて淡く優しい光を放った。海美は驚いた様子で思う。

(札の力が…!この男に吸われてる…!?)
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