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サトリ編
026 熱をも消し飛ばす光
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雨が降り続ける中、濡れながらもフード姿で歩く星夜。星夜は公園のある方向を見ると、公園の異変に気づく。公園からは謎の蒸気が湧き上がるのが見え、熱々しく感じる。星夜は呟いた。
「あの公園も事件が絶えんな。」
そう、その公園は先日韻が怪我した公園である。そして今、翔太郎がサトリと対決している公園でもある。星夜は公園へ足を急がせた。
一方、翔太郎の方では。
サトリの力で公園の一面が高温状態になっており、草も木も雨の中燃えていた。炎を吹き出すような燃え方でなく、ジリジリと静かに燃え行く。
翔太郎はどうやら既にダメージを負っている様で、左腕の上腕を火傷していた。赤く焼けた肌は、激痛で翔太郎の戦意を落としてしまう。レフは翔太郎に声をかけていた。
「翔太郎さん…!しっかりしてください!」
「大丈夫です…」
翔太郎はサトリをジッと見つめると、サトリは笑った。
「なーんだコイツ大した事ないじゃない!なんでユリアも苦戦したんだか!」
「ユリア…?」
「あら、弱すぎて忘れちゃった?いつも歪を作ってる女霊能者の事よ。」
翔太郎は聞き覚えのない名前に首を傾げていたが、やがてその正体が歪を作っていた女と繋がって目を見開く。
「じゃあ、君は彼女の仲間って事…!?」
(さっき黄泉様とか言ってなかったか…?つまり、彼女も含め相手は団体って事…!?)
翔太郎は若干絶望を交えた表情を見せていたが、サトリは怒った様子を見せて否定した。
「ユリアと私が仲間なワケないでしょッ!!」
その怒涛の剣幕に翔太郎は目を丸くすると、サトリは拳を握った。するとその拳は高温の熱を帯びて赤く染まるので、翔太郎は青ざめた。サトリは言う。
「まあいいわ。さあ、もう一回痛い思いをしたくなければ答えなさい。制約を!」
「できません。」
「だったら…!」
サトリは拳を翔太郎に向けたので、翔太郎は結界を貼って身を守った。サトリの一発を結界で受け止める事は出来たが、サトリの力が足元にまで及んで次は足元が熱くなる。
「くっ…!」
「ほらほら熱くて骨まで溶けちまうよ!?さっさと制約言いやがれ!!」
翔太郎は思わず苦痛の表情を浮かべ、そしてジッと耐えた。翔太郎は相手を見ながらも思う。
(この戦い、僕に勝機はあるんだろうか…?戦えない僕が、どう彼女を止める…?守る以外に、考えを読むのと心象世界にしか行けないのに…。)
その時だ。どこからか声が聞こえた。
「それで熱を操っているつもりか?」
その声は、上空から聞こえていた。翔太郎とサトリは思わず空を見上げると、空から落ちてくる星夜がいた。
星夜は両手を重ねて構えており、その両手からは緑の火花が散っていた。その火花には強い力が凝縮されており、星夜はそれを放つ。周囲が閃光に包まれ、その爆風と轟音は辺りを消し飛ばす勢いだった。翔太郎の結界も、あまりの威力に破壊されて飛ばされてしまう。
そして気づくと、翔太郎は先ほどとは離れた所で倒れていた。翔太郎達が立っていた場所には、着地した星夜がいる。そして着地地点は、あの威力で地面が綺麗な円形に抉られていた。翔太郎は起き上がってそれを見ると、目を剥く。
「琴爪さん…!?」
(なんだあの力は…!霊力じゃない、今まで見た中でも桁違いの力…!)
レフも驚いた様子で言う。
「あの人は…!」
「レフさん、何か知っているの?」
そう言われるとレフは頷き、星夜を指差して言った。
「翔太郎さんの大学にいた人です!」
するとポカンとする翔太郎。それを背で聞いていた星夜も微妙な反応を隠せずにいた。
遠くで倒れていたサトリは起き上がり、ある事に気づいた。星夜の襲撃のせいで、右腕の前腕を消し飛ばされていた。あの光は熱も帯びているのか、焼かれた傷口からは出血も起きていない。サトリは動揺で声を震えさせた。
「う、うう…嘘だ…わ、私の腕が…!」
「やはり脆いな、人間は。」
星夜はそう言うと、背後の翔太郎を見て言う。
「怪我は無いか、翔太郎。」
(いきなり名前呼び!?)
翔太郎はそうビックリしつつも、立ち上がった。
「かすり傷程度です…結界で守っていましたから…。あの、琴爪さんは一体…」
翔太郎が質問をしようとすると、星夜は言葉を塞いだ。
「幽霊ではない、人間でもない。だが安心しろ、貴様に危害を加えるつもりはない。」
そう言って星夜は動き出すと、一瞬にしてサトリの目の前に来ていた。怯えるサトリに拳を向けており、光を纏いながら腹を殴った。サトリは飛ばされ、近くの木に全身を打ち付ける。サトリは血反吐を吐くと、星夜はサトリを睨んだ。
「貴様は何者だ。…その『熱の力』…、貴様の物ではないだろう。」
そう言われたサトリは、咳き込んで暫く話せないでいた。しかし星夜の言葉を聞いて、サトリはニヤリと笑う。
「…黄泉様から頂いた力よ…」
「黄泉…」
星夜は眉を潜めて呟いた。
「あの公園も事件が絶えんな。」
そう、その公園は先日韻が怪我した公園である。そして今、翔太郎がサトリと対決している公園でもある。星夜は公園へ足を急がせた。
一方、翔太郎の方では。
サトリの力で公園の一面が高温状態になっており、草も木も雨の中燃えていた。炎を吹き出すような燃え方でなく、ジリジリと静かに燃え行く。
翔太郎はどうやら既にダメージを負っている様で、左腕の上腕を火傷していた。赤く焼けた肌は、激痛で翔太郎の戦意を落としてしまう。レフは翔太郎に声をかけていた。
「翔太郎さん…!しっかりしてください!」
「大丈夫です…」
翔太郎はサトリをジッと見つめると、サトリは笑った。
「なーんだコイツ大した事ないじゃない!なんでユリアも苦戦したんだか!」
「ユリア…?」
「あら、弱すぎて忘れちゃった?いつも歪を作ってる女霊能者の事よ。」
翔太郎は聞き覚えのない名前に首を傾げていたが、やがてその正体が歪を作っていた女と繋がって目を見開く。
「じゃあ、君は彼女の仲間って事…!?」
(さっき黄泉様とか言ってなかったか…?つまり、彼女も含め相手は団体って事…!?)
翔太郎は若干絶望を交えた表情を見せていたが、サトリは怒った様子を見せて否定した。
「ユリアと私が仲間なワケないでしょッ!!」
その怒涛の剣幕に翔太郎は目を丸くすると、サトリは拳を握った。するとその拳は高温の熱を帯びて赤く染まるので、翔太郎は青ざめた。サトリは言う。
「まあいいわ。さあ、もう一回痛い思いをしたくなければ答えなさい。制約を!」
「できません。」
「だったら…!」
サトリは拳を翔太郎に向けたので、翔太郎は結界を貼って身を守った。サトリの一発を結界で受け止める事は出来たが、サトリの力が足元にまで及んで次は足元が熱くなる。
「くっ…!」
「ほらほら熱くて骨まで溶けちまうよ!?さっさと制約言いやがれ!!」
翔太郎は思わず苦痛の表情を浮かべ、そしてジッと耐えた。翔太郎は相手を見ながらも思う。
(この戦い、僕に勝機はあるんだろうか…?戦えない僕が、どう彼女を止める…?守る以外に、考えを読むのと心象世界にしか行けないのに…。)
その時だ。どこからか声が聞こえた。
「それで熱を操っているつもりか?」
その声は、上空から聞こえていた。翔太郎とサトリは思わず空を見上げると、空から落ちてくる星夜がいた。
星夜は両手を重ねて構えており、その両手からは緑の火花が散っていた。その火花には強い力が凝縮されており、星夜はそれを放つ。周囲が閃光に包まれ、その爆風と轟音は辺りを消し飛ばす勢いだった。翔太郎の結界も、あまりの威力に破壊されて飛ばされてしまう。
そして気づくと、翔太郎は先ほどとは離れた所で倒れていた。翔太郎達が立っていた場所には、着地した星夜がいる。そして着地地点は、あの威力で地面が綺麗な円形に抉られていた。翔太郎は起き上がってそれを見ると、目を剥く。
「琴爪さん…!?」
(なんだあの力は…!霊力じゃない、今まで見た中でも桁違いの力…!)
レフも驚いた様子で言う。
「あの人は…!」
「レフさん、何か知っているの?」
そう言われるとレフは頷き、星夜を指差して言った。
「翔太郎さんの大学にいた人です!」
するとポカンとする翔太郎。それを背で聞いていた星夜も微妙な反応を隠せずにいた。
遠くで倒れていたサトリは起き上がり、ある事に気づいた。星夜の襲撃のせいで、右腕の前腕を消し飛ばされていた。あの光は熱も帯びているのか、焼かれた傷口からは出血も起きていない。サトリは動揺で声を震えさせた。
「う、うう…嘘だ…わ、私の腕が…!」
「やはり脆いな、人間は。」
星夜はそう言うと、背後の翔太郎を見て言う。
「怪我は無いか、翔太郎。」
(いきなり名前呼び!?)
翔太郎はそうビックリしつつも、立ち上がった。
「かすり傷程度です…結界で守っていましたから…。あの、琴爪さんは一体…」
翔太郎が質問をしようとすると、星夜は言葉を塞いだ。
「幽霊ではない、人間でもない。だが安心しろ、貴様に危害を加えるつもりはない。」
そう言って星夜は動き出すと、一瞬にしてサトリの目の前に来ていた。怯えるサトリに拳を向けており、光を纏いながら腹を殴った。サトリは飛ばされ、近くの木に全身を打ち付ける。サトリは血反吐を吐くと、星夜はサトリを睨んだ。
「貴様は何者だ。…その『熱の力』…、貴様の物ではないだろう。」
そう言われたサトリは、咳き込んで暫く話せないでいた。しかし星夜の言葉を聞いて、サトリはニヤリと笑う。
「…黄泉様から頂いた力よ…」
「黄泉…」
星夜は眉を潜めて呟いた。
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