31 / 69
ヨスガ編
031 星のエネルギー
しおりを挟む
翔太郎と星夜は、木陰で涼しい場所に来ていた。木陰で二人、小ぢんまりとしゃがんでいる。翔太郎は安堵の溜息を吐くと、星夜に言った。
「ご、ごめんなさい…。でも、僕が死んでいる事は黙って欲しくて…。」
「制約関係か。」
「はい。」
星夜は翔太郎の癒えた傷を見て言った。
「家へ送った時は傷が塞がる気配さえ無かったが、一晩で治ったのか?それとも傷を癒す能力でもあるのか?」
「…いえ、僕も不思議に思っていて…。」
翔太郎が俯いた様子を見せると、星夜は少し考える。それから星夜は心当たりのある様な顔をして、その場で立ち上がる。
「治ったところで不便は無いのだし、気にする必要もないだろう。」
そう言った星夜だが立ち上がった拍子に翔太郎の体に触れてしまい、翔太郎は星夜の考えを読んでしまう。
『神木間家、再生の能力…。これは、人間好きのヤツの仕業で他ならないだろうな。』
(心当たり有りそうな頭の中ですが…!?)
翔太郎はそう思っていたが、星夜が口を開いた。
「翔太郎、貴様は黄泉について何か知っているか?」
「え?全く…」
そう返事をすると、星夜は期待外れなのか溜息。
「そうか。」
「そう言えば琴爪さんは、あの日凄い力を使っていましたが…。」
翔太郎がそこまで言うと、翔太郎は顔を真っ青にして口を噤んだ。
(思わず聞いちゃったけど、聞いて良かったのか…!?)
しかし星夜は少し考えると、翔太郎の目線と合うように再びしゃがむ。星夜がジッと翔太郎を見るので、翔太郎は冷や汗が止まらなかった。星夜の強い目力に、翔太郎は圧倒されていた。
「…正体を明かしたとて損は無い、今後の為に話してもいいか。」
(なんか打算の声が漏れてますが…!?)
翔太郎は更には震えてしまう。星夜はそんな翔太郎を見ると、呆れた様子を見せて言った。
「腰抜けの顔しおって。別に貴様を取って食ったりせん。」
「すいません腰抜けで…。」
「わかったから話を聞け。」
「はい…!」
変わらずの様子に星夜は溜息。
「私は霊力とはまた違う力を持っている、人間ならぬ生物だ。その力が身体を構成し、生きる原動力となっている。」
それを聞いた途端、翔太郎の目が丸くなる。
(つまりそれって、霊力で身体を取り戻した僕と同じ。)
「妖力…とかですか?琴爪さんの力には、熱の様な…光の様な力を感じました。その力は正に、妖力の特徴の一つですし。」
「妖の存在も知っているのか。しかし外れだ、妖力でもない。」
星夜の答えを聞くと、翔太郎はポカンとする。
そして少し前の、自分とレフの会話が脳裏を過ぎった。
――「霊力と妖力に次ぐ、三つ目の力があるとでも言いたげですね。」
「実際にありますよ?翔太郎さんの目的には一切関係ない力ですが…知りたいですか?」――
(聞くと面倒な事になりそうだから避けていた話題が、今ここで浮上してきている…?)
そう思って視線をレフの方へ向けると、レフは舌を出してウィンクしてきた。翔太郎はそれをショックの表情で見つめつつも、星夜の話を聞く。
「その力に名前はない。しかし言い表すとそれは、『星のエネルギー』だ。」
「星…?」
「星は強大なエネルギーの塊だ、私の力はそれと酷似している。妖力に似ていると貴様は言ったが、光や熱を感じるのはその力が破壊に特化しているからだ。」
「は、破壊…」
そう呟いた翔太郎が真っ先に思い浮かんだのは、あの凹んだ地面。韻に憑いてる妖のポチが雷を放った時でさえ、視界を光で覆い尽くすような強大な力だった。しかしそれでいて、地面に煙が立つくらいで済んでいた。
一方星夜の攻撃は一瞬光がチラついただけであるのに、地面を侵食するほどの破壊力を持っている。
更には噴水事件での妖力でできた水は結界で防げたが、星夜の光の前では結界は全くの無力であった事も。
それを思うと、翔太郎は恐怖を感じた。
(妖力と琴爪さんの力を比較すれば、破壊力の違いは一目瞭然だ…。そうだ…。サトリさんも…琴爪さんが一瞬で消し飛ばしたんだった…。
…つまり琴爪さんの力は、霊力や妖力を遥かに上回る圧倒的な力…!)
翔太郎の震えを目視しつつも、星夜は話を続けた。
「怯える必要はない。今の私は、自滅覚悟で日本全土を滅ぼすくらいのエネルギーしか持っておらん。」
「立派に危険ですっ…!」
そう翔太郎が言うと、星夜は目を細めて言う。
「仮にこの地が滅んでも、貴様は死なんだろう。恐怖に怯えるでない。」
「僕は霊体として存在できても、家族が死んでしまいます…!」
そう言われると盲点だったのか、星夜は口を噤んだ。
「…そうか。ならその話はもうよい。」
「それで琴爪さんは、一体何が目的なんですか。」
翔太郎は急に真剣な表情で、星夜に聞いた。先程まで翔太郎は腰抜けた表情だった為か、星夜は意外そうな顔を見せている。翔太郎は考えていた。
(もし、人間に危害を加えるような相手だったら…僕が何とかしないと…!こんな恐ろしい生き物と、韻や海美と衝突するような事が起こる前に…!)
「貴様、そんな顔もできるのだな。」
「答えてください。」
翔太郎は怯まずにそう言うと、星夜は頷いた。
「探している者がいる。私と同じ、エネルギーの塊である女だ。ある日を境に、行方を眩ませている。」
「…行方不明…ですか?」
翔太郎は拍子抜けしてしまうと、星夜は続ける。
「同時に知り合いも探している。その黄泉とか言うヤツが、私の探している知り合い…のはずだ。」
「黄泉と知り合いなんですか!?」
「確信はしておらん。だがサトリと言う女が使っていた力は確かに、私の知り合いの力そのものだった。可能性がある、と言うだけだ。」
「そ、そうですか…。」
翔太郎はそう言って安心した表情を見せた。胸に手を当てて、ホッとした様子で思う。
(琴爪さんは探している人がいるだけで、誰かに危害を加えようとしている訳じゃないんだ…。)
「あ、あの…琴爪さん。」
「なんだ。」
「良ければ、僕のサークルに入りませんか?もしかしたら、黄泉の情報も掴めるかもしれません…!」
「いいのか?」
「はい。琴爪さんには、昨日助けて貰いましたし…。」
翔太郎は控えめな様子でそう言う。星夜は特に反応を示さなかったが、翔太郎に手を伸ばして言った。
「よろしく…お願いします。」
言いづらそうにしていたが、丁寧にも星夜は言った。翔太郎は目を剥いて嬉しく思うと、笑みを浮かべて手を握った。
「こちらこそ、お願いします。」
こうして星夜がサークルメンバーの一員となるが、ここで忘れてはいけない存在がある。
そう、今は放置されているケンの存在だ。
「ご、ごめんなさい…。でも、僕が死んでいる事は黙って欲しくて…。」
「制約関係か。」
「はい。」
星夜は翔太郎の癒えた傷を見て言った。
「家へ送った時は傷が塞がる気配さえ無かったが、一晩で治ったのか?それとも傷を癒す能力でもあるのか?」
「…いえ、僕も不思議に思っていて…。」
翔太郎が俯いた様子を見せると、星夜は少し考える。それから星夜は心当たりのある様な顔をして、その場で立ち上がる。
「治ったところで不便は無いのだし、気にする必要もないだろう。」
そう言った星夜だが立ち上がった拍子に翔太郎の体に触れてしまい、翔太郎は星夜の考えを読んでしまう。
『神木間家、再生の能力…。これは、人間好きのヤツの仕業で他ならないだろうな。』
(心当たり有りそうな頭の中ですが…!?)
翔太郎はそう思っていたが、星夜が口を開いた。
「翔太郎、貴様は黄泉について何か知っているか?」
「え?全く…」
そう返事をすると、星夜は期待外れなのか溜息。
「そうか。」
「そう言えば琴爪さんは、あの日凄い力を使っていましたが…。」
翔太郎がそこまで言うと、翔太郎は顔を真っ青にして口を噤んだ。
(思わず聞いちゃったけど、聞いて良かったのか…!?)
しかし星夜は少し考えると、翔太郎の目線と合うように再びしゃがむ。星夜がジッと翔太郎を見るので、翔太郎は冷や汗が止まらなかった。星夜の強い目力に、翔太郎は圧倒されていた。
「…正体を明かしたとて損は無い、今後の為に話してもいいか。」
(なんか打算の声が漏れてますが…!?)
翔太郎は更には震えてしまう。星夜はそんな翔太郎を見ると、呆れた様子を見せて言った。
「腰抜けの顔しおって。別に貴様を取って食ったりせん。」
「すいません腰抜けで…。」
「わかったから話を聞け。」
「はい…!」
変わらずの様子に星夜は溜息。
「私は霊力とはまた違う力を持っている、人間ならぬ生物だ。その力が身体を構成し、生きる原動力となっている。」
それを聞いた途端、翔太郎の目が丸くなる。
(つまりそれって、霊力で身体を取り戻した僕と同じ。)
「妖力…とかですか?琴爪さんの力には、熱の様な…光の様な力を感じました。その力は正に、妖力の特徴の一つですし。」
「妖の存在も知っているのか。しかし外れだ、妖力でもない。」
星夜の答えを聞くと、翔太郎はポカンとする。
そして少し前の、自分とレフの会話が脳裏を過ぎった。
――「霊力と妖力に次ぐ、三つ目の力があるとでも言いたげですね。」
「実際にありますよ?翔太郎さんの目的には一切関係ない力ですが…知りたいですか?」――
(聞くと面倒な事になりそうだから避けていた話題が、今ここで浮上してきている…?)
そう思って視線をレフの方へ向けると、レフは舌を出してウィンクしてきた。翔太郎はそれをショックの表情で見つめつつも、星夜の話を聞く。
「その力に名前はない。しかし言い表すとそれは、『星のエネルギー』だ。」
「星…?」
「星は強大なエネルギーの塊だ、私の力はそれと酷似している。妖力に似ていると貴様は言ったが、光や熱を感じるのはその力が破壊に特化しているからだ。」
「は、破壊…」
そう呟いた翔太郎が真っ先に思い浮かんだのは、あの凹んだ地面。韻に憑いてる妖のポチが雷を放った時でさえ、視界を光で覆い尽くすような強大な力だった。しかしそれでいて、地面に煙が立つくらいで済んでいた。
一方星夜の攻撃は一瞬光がチラついただけであるのに、地面を侵食するほどの破壊力を持っている。
更には噴水事件での妖力でできた水は結界で防げたが、星夜の光の前では結界は全くの無力であった事も。
それを思うと、翔太郎は恐怖を感じた。
(妖力と琴爪さんの力を比較すれば、破壊力の違いは一目瞭然だ…。そうだ…。サトリさんも…琴爪さんが一瞬で消し飛ばしたんだった…。
…つまり琴爪さんの力は、霊力や妖力を遥かに上回る圧倒的な力…!)
翔太郎の震えを目視しつつも、星夜は話を続けた。
「怯える必要はない。今の私は、自滅覚悟で日本全土を滅ぼすくらいのエネルギーしか持っておらん。」
「立派に危険ですっ…!」
そう翔太郎が言うと、星夜は目を細めて言う。
「仮にこの地が滅んでも、貴様は死なんだろう。恐怖に怯えるでない。」
「僕は霊体として存在できても、家族が死んでしまいます…!」
そう言われると盲点だったのか、星夜は口を噤んだ。
「…そうか。ならその話はもうよい。」
「それで琴爪さんは、一体何が目的なんですか。」
翔太郎は急に真剣な表情で、星夜に聞いた。先程まで翔太郎は腰抜けた表情だった為か、星夜は意外そうな顔を見せている。翔太郎は考えていた。
(もし、人間に危害を加えるような相手だったら…僕が何とかしないと…!こんな恐ろしい生き物と、韻や海美と衝突するような事が起こる前に…!)
「貴様、そんな顔もできるのだな。」
「答えてください。」
翔太郎は怯まずにそう言うと、星夜は頷いた。
「探している者がいる。私と同じ、エネルギーの塊である女だ。ある日を境に、行方を眩ませている。」
「…行方不明…ですか?」
翔太郎は拍子抜けしてしまうと、星夜は続ける。
「同時に知り合いも探している。その黄泉とか言うヤツが、私の探している知り合い…のはずだ。」
「黄泉と知り合いなんですか!?」
「確信はしておらん。だがサトリと言う女が使っていた力は確かに、私の知り合いの力そのものだった。可能性がある、と言うだけだ。」
「そ、そうですか…。」
翔太郎はそう言って安心した表情を見せた。胸に手を当てて、ホッとした様子で思う。
(琴爪さんは探している人がいるだけで、誰かに危害を加えようとしている訳じゃないんだ…。)
「あ、あの…琴爪さん。」
「なんだ。」
「良ければ、僕のサークルに入りませんか?もしかしたら、黄泉の情報も掴めるかもしれません…!」
「いいのか?」
「はい。琴爪さんには、昨日助けて貰いましたし…。」
翔太郎は控えめな様子でそう言う。星夜は特に反応を示さなかったが、翔太郎に手を伸ばして言った。
「よろしく…お願いします。」
言いづらそうにしていたが、丁寧にも星夜は言った。翔太郎は目を剥いて嬉しく思うと、笑みを浮かべて手を握った。
「こちらこそ、お願いします。」
こうして星夜がサークルメンバーの一員となるが、ここで忘れてはいけない存在がある。
そう、今は放置されているケンの存在だ。
0
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
うわさの行方
下沢翠花(しもざわすいか)
恋愛
まだ十歳で結婚したセシリア。
すぐに戦場へ行ってしまった夫のニールスは優しい人だった。
戦場から帰るまでは。
三年ぶりにあったニールスは、なぜかセシリアを遠ざける。
ニールスの素っ気ない態度に傷つき疲弊していくセシリアは謂れのない酷い噂に追い詰められて行く。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?
ねーさん
恋愛
アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。
何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。
何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。
「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…
下っ端宮女のひたむき後宮恋譚 ~前世の夢を追いかけていたらいつのまにか寵愛されていました~
紀本明
キャラ文芸
妃嬪から嫌がらせを受けつつも耐え忍んでいた下っ端宮女の鈴風(りんふぁ)はある日突然前世の記憶を取り戻す。料理人になるのが夢だった彼女は、今世でもその夢を叶えようと決意した矢先、ぼさぼさ頭の宦官・雲嵐(うんらん)と出会い、毎晩夕飯をつくることになる。料理人になるべく奮闘するも、妃嬪からの嫌がらせはひどくなる一方だった。そんなある日、事件が起こり、鈴風は窮地に立たされるが……――?
【完結】あやかし団地 管理人見習い日誌
双月ねむる
キャラ文芸
就活全滅で「自分には社会性がない」と思い込む凛は、遠縁の親戚に紹介され、昭和レトロな巨大団地・さくらヶ丘第一団地の『管理人見習い』として住み込みで働くことに。しかしその団地には、中庭の「靴鳴らし」、エレベーター表示盤に棲む狐など、団地限定あやかし達が当たり前のように暮らしていた。
最初は逃げ腰の凛だったが、すねた空き部屋や、ベランダの風鈴が告げるSOSなど、人とあやかしのトラブルに巻き込まれながら、少しずつ『共同体』に関わる勇気を取り戻していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる