屍人の陰陽師

うてな

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ヨスガ編

032 油断ならない相手

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一方、公園で一人放置されているケン。ケンは二人が去った直後、落ち着かない様子を見せていた。

(部長と琴爪は一体何を話しているのか…。人様の話を聞くのは良くない事。しかし、琴爪となると…!)

ケンは星夜の姿を思い出す。見た目は派手だが、一応外見は普通の人間である。しかし半妖のケンから見ると、人でない異質さを強く感じるのだ。

(あの人はきっと普通の人間じゃない。俺みたいな半妖とも違う…。だからか、そわそわが止まらない…!)

するとケンは決心した表情を見せ、空になった牛乳パックを握りつぶす。

(そうだ!コッソリ監視に行けばいい…!)

ケンは心に決めると、近くの茂みに隠れた。するとその瞬間、ケンの全身から水が弾けるように出てくる。ケンの身体はみるみる小さくなっていき、やがて肌の色が青く変化した。
そして小さくなったケンの身体は、小さなイカへと変化していた。
ケンはイカの姿になると、地面を沢山の足で器用に歩きながら二人のいる方へ向かう。イカは普通なら骨が無い為グッタリするが、ケンの場合は体が直立していた。

二人が話している木陰付近までやってきたケン。ケンは遠くにいて、話が聞こえないようだ。

(この姿だと、人間の時と違って聴力が悪くなるんだよな…。もう少し近くへ…)

と動こうとした瞬間、翔太郎と星夜が握手しているのを見る。ケンはショックを覚えた。

(部長が琴爪と更に親しく…!?まずい!)

すると、ケンは誤って茂みから物音を立ててしまう。それに真っ先に反応したのは星夜。星夜がこちらを睨んできて、ケンは背筋が凍った。
星夜は翔太郎を置いて、こちらへ向かってくる。ケンは大人しくするか逃げるかを考えた結果、逃げる事にした。ヒッソリ違う茂みへ移動しようとするも、星夜に鷲掴みされてしまう。
それを見て驚いた翔太郎。

「イカ!?なんで公園に!?」

ケンは怯まず、星夜の顔に墨をかけた。もろに顔面に墨を受けてしまう星夜。星夜は舌打ちをすると、そのままケンを連れて公園のトイレへと向かう。

「翔太郎は来るな。」

星夜にそう言われ翔太郎は動揺していたが、やがて思った。

(まあ…琴爪くんなら大丈夫…だよね。)

あの破壊力あってこその安心だった。





トイレへ連れていかれたケン。星夜は手洗いの蛇口を捻り、ケンに水を浴びせた。

(なっ…水を浴びたら姿が…!)

ケンの身体はみるみる膨れ上がり、やがて元の人の姿になる。ちなみに不思議な事に、洋服もちゃんと着た状態だった。
星夜はケンが元の姿に戻ると水場から離し、今度は自分の顔を洗い流す。ケンは驚いた様子で言った。

「な、なぜ水で姿が戻るってわかったんですか…!」

星夜は顔を洗っていたがやがて墨が落ちない事に気づき、諦めてそれに答えた。

「前に貴様が水を浴びて巨大になったのを見ていた。」

「な、こっちの情報も筒抜け…!?なんて恐ろしい相手…!」

「貴様は私を何だと思っているのだ。」

星夜は冷静にツッコミを入れ、それから鏡で顔の墨を見て溜息。次に星夜は鏡に映るケンに視線を向ける。

(警戒されている様だな。人の世界に馴染んでいる半妖…と言った所か。霊も見えない半妖がなぜ、翔太郎のサークルに入ったのか。まさか…)

「貴様はなぜ翔太郎のサークルに入った?幽霊など見えないのだろう。」

そう言われると、ケンは反応を見せた。それと同時に、照れにも近い焦り方を見せる。

「な、なな、いきなりなんですか…!部長の力をお目にかかりたいだけです。」

(部長と友達になりたかったとか、恥ずかしくて言えない…!)

しかし、星夜の目は誤魔化せない。

(嘘をついている反応だな。やはり霊能者である翔太郎の力が目的か…?)

とは言い、その予測は外れているのだが…。すると二人はお互い目を合わせ、お互いに警戒した様子で思う。

((この男、油断ならない…。))

星夜は単刀直入に言う。

「貴様、半妖だろう。」

それにケンは強く反応を見せた。するとしらばっくれているのか、視線を逸らして口笛。

「半妖?中二病ですかね。」

「貴様、この期に及んで誤魔化せると思っているのか。」

星夜は若干、呆れた様子で言った。ケンは言い逃れできない顔になると、誤魔化すのをやめて言う。

「半妖ですが、何か。」

「翔太郎に近づいて何を企んでいる。」

そう言われると、ケンは言いたくないのか頬を膨らませた。星夜は頭上にクエスチョンマークを浮かべたが、ケンは星夜から視線を逸らして葛藤した表情を見せた。

「言ってもいいのか…?いやでも…!霊能者の部長となら仲良くなりたいって言ったら、本人にバラされるかも…!」

ケンの小声は、星夜にもまる聞こえ。星夜は思いもよらない内容で、無表情を保って黙っていた。ケンがそれでも言うか言うまいか葛藤していると、星夜は見苦しいのか頭を抱えながら言う。

「もうよい、私の勘違いだった。貴様はただ単に友達が欲しいだけの半妖なのだな。」

「え!?なぜ俺の心を…!!まさか読心術…!?」

「貴様が勝手に喋ったのだろう。」

星夜が即答するが、ケンには通じていない様子だった。ケンは星夜に感心していた。

「あの、俺からも質問いいんですか?」

さっきとは打って変わって好奇心の眼差しを見せてくるケン。星夜は少し戸惑った様子だったが、頷いた。それを見て、ケンは質問する。

「琴爪さんは、半妖の俺から見たら人間の様に感じないのですが。一体何者なんですか?」

「貴様に言ってもわかるまい、よって言わない。」

「な、なんですかそれズルい!」

「私は他人に一々説明するのが嫌いなのだ。」

「してください!」

「無理だ。早く翔太郎の元へ戻るぞ。」

立ち去ろうとする星夜を、追いかけるケン。するとケンはふと、過去の事を思い出した。
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