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ヨスガ編
034 三大欲求について
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もう日が暮れ、都会街の夜景は美しいものとなっていた。
翔太郎とケンと星夜は、ファミリーレストランで食事をしていた。星夜の墨を塗られた顔面は、いつの間にかクリアになっている。
翔太郎は星夜に言う。
「ごめんね琴爪くん、食事に誘っちゃって。」
「別に気にしていない、買い出しの帰りだったからな。」
「買い出し?荷物は無さそうに見えたんだけど…。」
「ああ、修理に使う小さな部品を買いに行ったのだ。」
「そ、そっか…。」
翔太郎がそう言って話は途切れるが、翔太郎は気になる事があった。ケンがいつの間にか、星夜と親しくなっている事だ。ケンは星夜の隣で食事をしており、二人と比べ倍の食事量。
翔太郎は苦笑した。
「ケンくんはいつにも増して食欲旺盛だなぁ…。」
(二人とも、いつの間にこんな仲良くなったんだろう…?)
「育ち盛りみたいです。」
ケンがそう言うと、星夜はふと思い出したように言う。
「知り合いから聞いた話なんだが、妖力を持っている者は力を消耗すると暴食をするらしい。だから妖には、大食いが多いそうだぞ。」
それを聞いた途端、ケンは星夜を見た。
「言ったな…?」と言いたげなケンだったが、星夜は知らんふりしながら翔太郎の方を見ている。
翔太郎はそれを聞くと、首を傾げた。
(韻は確かに食べるけど…大食いってほどじゃないんだよね…。)
「妖の知り合いはいないからなぁ…わからないな。」
特に気にしていない様子の翔太郎に、ケンは安堵した。するとケンはふと星夜に聞く。
「じゃあ、霊力を持つ方は?」
「霊力持ちは、力を使いすぎると普段より多くの睡眠を必要とするらしいな。」
それを聞いた翔太郎は、噴水事件の後に柄にもなくリビングで居眠りをした事を思い出す。
「最近寝る時間増えてるし、強ち間違いじゃないかも…!海美もよく寝るし…韻もだけど……」
「だろうな。」
星夜はそう言って、手元のコーヒーを飲んだ。その瞬間、ケンと翔太郎はピンと来る。
(待て。霊力を持たない、妖力も持たない星夜さんは…!?)
(霊力が睡眠欲、妖力が食欲、そう来たらまさか…!)
二人から視線が集まり、星夜は頭の上に疑問符を浮かべた。するとケンは言う。
「そう言えば星夜さんって、いつもスマホでAV観てるって噂なんですが本当ですか?」
それを聞いた翔太郎は、思わず顔を赤くした。
(それ事実…!と言うか、噂になってたのか…!)
すると星夜は真顔で言った。
「AVとは、アミューズメント・ビデオの略称か?」
その的外れな回答を聞くと、ケンは思わず「ぷっ…」と顔を庇って笑う。そして翔太郎は思わずツッコミを入れた。
「アミューズメントビデオって初めて聞きますが!?確かに男性にとってはアミューズメントかもしれませんが!どんなビデオですかそれ!」
「これの事だ。」
そう言って星夜がAVを見せてくるので、翔太郎は直視できず顔を庇う。顔を庇いながらも翔太郎は言った。
「と、とてもユニークな名称ですね…!」
「褒めておるのか?貶しておるのか?」
「半々です。」
ちなみにケンは笑うのをやめて興味深そうにジッと見ており、星夜は言った。
「大学の同級生が、講義中に送ってくるのだ。」
(悪い友達っ…!)
翔太郎は思わず歯を食いしばってそう思った。するとケンは言う。
「こういうの観て、何か感じますか?」
「女の身体は男とは違うのだな…」
星夜がしみじみとした様子で言うと、翔太郎は恥ずかしさで星夜の顔を見れない。そしてケンは呆然とした。
「なんか欲が沸いてきませんか?」
そう言われてもイマイチピンと来ない星夜。
「は?…ふむ、早く注文の品を食べたい。」
「違います!」
ケンはそう言ったが、語っても無駄だとやがて首を横に振った。翔太郎は顔を隠すのをやめると、安心した様子で思う。
(そうだよ…。力の塊という、生物とは言い難い琴爪くんにそんな欲がある訳ないよね…。)
ケンも諦めた様子になった。すると翔太郎は星夜に言う。
「そう言えば、琴爪くんって人を探してるんですよね。僕もお手伝いしたいので、何か情報でもあれば助かります。」
「…いいや、いい。黄泉という者の情報さえ手に入れば、情報は十分だ。」
「そ、そう…?」
翔太郎は一線を引いた様子の星夜を、目を丸くして見ていた。
一方、同じファミリーレストランの一角でもうひと組、食事をしている団体がいた。海美と、その女友達数人である。海美は不貞腐れた様子でジュースを飲みながら思っていた。
(にーちゃんのバーカ。私が強さに拘ってるのも知らずに…あんな事言いやがって。)
――「いくらにーちゃんが怪我したって、こりゃにーちゃんが選んだ道なんだぜ?海美が自分の道を捻じ曲げてまで一緒に歩く道じゃねぇぞ。」――
(にーちゃんより強くなって、絶対にビックリさせてやる。)
すると女友達は、海美にSNSの写真を見せて言った。
「見て見て、この人!超カッコイイでしょ!」
海美はそれを流すように見て、それから言う。
「芸能人か?」
「違うの、一般人なのよ…!芸能界にいない事が不思議に思うくらいのイケメンよねぇ…!」
「へー。」
海美はイケメンには興味が無いのか、手元のジュースをストローですすった。
翔太郎とケンと星夜は、ファミリーレストランで食事をしていた。星夜の墨を塗られた顔面は、いつの間にかクリアになっている。
翔太郎は星夜に言う。
「ごめんね琴爪くん、食事に誘っちゃって。」
「別に気にしていない、買い出しの帰りだったからな。」
「買い出し?荷物は無さそうに見えたんだけど…。」
「ああ、修理に使う小さな部品を買いに行ったのだ。」
「そ、そっか…。」
翔太郎がそう言って話は途切れるが、翔太郎は気になる事があった。ケンがいつの間にか、星夜と親しくなっている事だ。ケンは星夜の隣で食事をしており、二人と比べ倍の食事量。
翔太郎は苦笑した。
「ケンくんはいつにも増して食欲旺盛だなぁ…。」
(二人とも、いつの間にこんな仲良くなったんだろう…?)
「育ち盛りみたいです。」
ケンがそう言うと、星夜はふと思い出したように言う。
「知り合いから聞いた話なんだが、妖力を持っている者は力を消耗すると暴食をするらしい。だから妖には、大食いが多いそうだぞ。」
それを聞いた途端、ケンは星夜を見た。
「言ったな…?」と言いたげなケンだったが、星夜は知らんふりしながら翔太郎の方を見ている。
翔太郎はそれを聞くと、首を傾げた。
(韻は確かに食べるけど…大食いってほどじゃないんだよね…。)
「妖の知り合いはいないからなぁ…わからないな。」
特に気にしていない様子の翔太郎に、ケンは安堵した。するとケンはふと星夜に聞く。
「じゃあ、霊力を持つ方は?」
「霊力持ちは、力を使いすぎると普段より多くの睡眠を必要とするらしいな。」
それを聞いた翔太郎は、噴水事件の後に柄にもなくリビングで居眠りをした事を思い出す。
「最近寝る時間増えてるし、強ち間違いじゃないかも…!海美もよく寝るし…韻もだけど……」
「だろうな。」
星夜はそう言って、手元のコーヒーを飲んだ。その瞬間、ケンと翔太郎はピンと来る。
(待て。霊力を持たない、妖力も持たない星夜さんは…!?)
(霊力が睡眠欲、妖力が食欲、そう来たらまさか…!)
二人から視線が集まり、星夜は頭の上に疑問符を浮かべた。するとケンは言う。
「そう言えば星夜さんって、いつもスマホでAV観てるって噂なんですが本当ですか?」
それを聞いた翔太郎は、思わず顔を赤くした。
(それ事実…!と言うか、噂になってたのか…!)
すると星夜は真顔で言った。
「AVとは、アミューズメント・ビデオの略称か?」
その的外れな回答を聞くと、ケンは思わず「ぷっ…」と顔を庇って笑う。そして翔太郎は思わずツッコミを入れた。
「アミューズメントビデオって初めて聞きますが!?確かに男性にとってはアミューズメントかもしれませんが!どんなビデオですかそれ!」
「これの事だ。」
そう言って星夜がAVを見せてくるので、翔太郎は直視できず顔を庇う。顔を庇いながらも翔太郎は言った。
「と、とてもユニークな名称ですね…!」
「褒めておるのか?貶しておるのか?」
「半々です。」
ちなみにケンは笑うのをやめて興味深そうにジッと見ており、星夜は言った。
「大学の同級生が、講義中に送ってくるのだ。」
(悪い友達っ…!)
翔太郎は思わず歯を食いしばってそう思った。するとケンは言う。
「こういうの観て、何か感じますか?」
「女の身体は男とは違うのだな…」
星夜がしみじみとした様子で言うと、翔太郎は恥ずかしさで星夜の顔を見れない。そしてケンは呆然とした。
「なんか欲が沸いてきませんか?」
そう言われてもイマイチピンと来ない星夜。
「は?…ふむ、早く注文の品を食べたい。」
「違います!」
ケンはそう言ったが、語っても無駄だとやがて首を横に振った。翔太郎は顔を隠すのをやめると、安心した様子で思う。
(そうだよ…。力の塊という、生物とは言い難い琴爪くんにそんな欲がある訳ないよね…。)
ケンも諦めた様子になった。すると翔太郎は星夜に言う。
「そう言えば、琴爪くんって人を探してるんですよね。僕もお手伝いしたいので、何か情報でもあれば助かります。」
「…いいや、いい。黄泉という者の情報さえ手に入れば、情報は十分だ。」
「そ、そう…?」
翔太郎は一線を引いた様子の星夜を、目を丸くして見ていた。
一方、同じファミリーレストランの一角でもうひと組、食事をしている団体がいた。海美と、その女友達数人である。海美は不貞腐れた様子でジュースを飲みながら思っていた。
(にーちゃんのバーカ。私が強さに拘ってるのも知らずに…あんな事言いやがって。)
――「いくらにーちゃんが怪我したって、こりゃにーちゃんが選んだ道なんだぜ?海美が自分の道を捻じ曲げてまで一緒に歩く道じゃねぇぞ。」――
(にーちゃんより強くなって、絶対にビックリさせてやる。)
すると女友達は、海美にSNSの写真を見せて言った。
「見て見て、この人!超カッコイイでしょ!」
海美はそれを流すように見て、それから言う。
「芸能人か?」
「違うの、一般人なのよ…!芸能界にいない事が不思議に思うくらいのイケメンよねぇ…!」
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