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ヨスガ編
035 都会のブラックオフ
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夜の街並み。
翔太郎達のいるファミリーレストランから僅か百メートル離れたマンションの屋上に、屍人のヨスガとユリアがいた。ヨスガは人で溢れる街を見ると、鼻で笑う。
「さあユリア、歪を放って邪魔者を誘き寄せるんだ。」
「なぜ貴方に従わなきゃならないのよ。」
ボソッとユリアはそう言った。ヨスガはその言葉を聞いていたのか、眉を困らせる。
「おいおいー、こういうのってチームワークが大事なんだぜ!?」
「はいはい。」
ユリアは適当にそう言って、予め捕らえておいた妖と霊体を融合した。そして街へ解き放つと、ヨスガはそれを見下ろしてニヤリと笑う。
「さて、お手並み拝見。霊能者。」
場面は戻って、ファミリーレストラン。三人は食事をしながら談笑をしていると、ケンは何かを感じ取る。
(妖の気配…?どっちからだ?)
翔太郎も何かに気づいたのか、周囲をキョロキョロとした。
(今、どこかで強い霊力を感じた…一瞬だけだったけど…。)
ケンが食事を止め、翔太郎の落ち着きがないのを見て、星夜は違和感を感じる。星夜は周りを見てみたが、街並みに変化がないのを確認してから聞いた。
「どうした翔太郎、何かあったのか?」
「一瞬、強い霊力を感じただけです…気のせいかも。」
翔太郎はそう言ったが、ケンが言うのを躊躇った様子で黙り込んでいる。ケンは思っていた。
(この気配は確かに、妖が力を使っている時の気配…。でも部長の前で、そんな事言ったら俺が半妖だってバレるかも…。)
星夜はケンの不自然さを見てから言う。
「いいや、気のせいではないやもしれん。」
(妖のセンサーは例え半妖だろうと正確だろう。ケンはきっと妖力に反応しているのやも。)
「そ、そうかな?」
翔太郎がそう言ったその時、夜景に見合わない閃光が外で煌めいた。続いて次々と建物が停電して、やがてこの場所も停電。翔太郎は思わず声を上げる。
「うわ!」
「停電…もしや、電気を操る妖の仕業か。」
星夜がそう言うと、三人は席を立って外へ向かう。外へ出ようとしたが、そこで翔太郎は言った。
「お勘定まだだった…」
「言ってる場合か。」
星夜はツッコミを入れるように言うと、ケンが手を挙げる。
「あ、先払いしましたんで俺。」
その言葉に、翔太郎は目が点に。
「え?」
星夜は特段気にした様子も見せなかった。
「ならば行くぞ。」
そう言って停電したレストランの中、星夜は人前だろうとお構い無しに手元に光を生成した。星夜の作る光は、光と言うよりも電気や雷に近いもの。緑色に火花を散らす手元の光に、ケンは感心した。
「光を灯せるのですね…!」
するとそこへ、同じくファミレスにいた海美が外へ出ようとやって来る。海美は翔太郎を見ると指さした。
「うわ!弱兄貴!移身の早いあんちゃんに、童貞野郎もいるし!」
「海美!?…あと公共の場でそんな言葉を使わない!」
翔太郎が海美を叱ると、ケンは兄妹の会話にほっこり。そして星夜は呆れた様子で溜息を吐いた。
「翔太郎の知り合いだったのか…。まあいい、行くぞ。」
「私に命令すんな!チビゴリラ!」
「黙れ首折るぞ。」
星夜は声色を暗くして言ったが、海美には通用しない。てんやわんやで現場へ向かうと、そこには歪がいた。
全身に電気を纏う、獣のような人間。半人半獣の歪だった。
海美は札を出すと一歩前に出た。
「早速除霊だ!」
「待て。」
そう言って止めたのは星夜だった。それと同時に前へ出るのは翔太郎。海美は星夜の拘束から逃れようとしたが、逃れられない。
「離せ怪力チビゴリラ!」
すると星夜に頭を強く握られるので、海美は声を忍んで痛がっていた。翔太郎は歪と対立する。
「僕が止める。…歪を無傷で解くのは、きっと僕にしか出来ないから…!」
そう言って翔太郎は、歪に一歩一歩近づいた。歪の電気を、結界を貼って凌ぐ。翔太郎は歪の前へ来ると呟いた。
「苦しんでいるんだろう…?今、解き放ってあげるから…!」
そう言って翔太郎が歪に触れると、さっきまで攻撃を放っていた歪の動きが急に停止した。電気を失った街は、歪の電気も失い真っ暗闇となる。そこで星夜が手元に電気を灯すと、ケンは呆然と歪を見上げた。
「止まった…」
(部長が触れると、歪は動きを止める。やがて歪は妖へと変化し、街に平和が訪れる…。)
ケンは視線を下ろし、歪に触れて立ったまま目を深く閉じた翔太郎を見る。海美は初めて見るのか、目を丸くしてそれを見ていた。
マンション上で、それを観戦していたヨスガとユリア。ヨスガは鼻で笑う。
「こうやって歪を解くのか…。面白い屍人だな、この翔太郎くんって子は。なあユリア。」
と言われたユリアだが、ユリアは海美の方を見て小声で呟いていた。
「何あの男、女の子の頭を掴んで苦しめて…。お仕置きした方がいいかしら。」
無表情で呟くその姿は、まるで呪いの幽霊。ヨスガはそれに笑ってしまい、観戦をやめて立ち上がった。そして言う。
「俺様の出番だな。」
そう言ったヨスガの身体が、膨れ上がっていく。人の形を失い、太く細長い体を形成していく。そしてこの暗い都会の中、巨大な生物へと姿を変えた…。
そして現場にて、歪は翔太郎によって解かれた。
すると歪の身体は光り輝く。優しい光に包まれ、歪は妖と霊体に分裂した。それを見たケンは笑みを見せていたが、すぐに翔太郎の元へ駆けつけた。倒れこむ翔太郎の身体を支え、妖を見て笑顔を見せる。
「もう、大丈夫ですよ。」
今回の妖は大人しい性格なのか、怯えながらもその場を去っていった。次に霊体が立ち去ろうとしたが、一同は気づく。自分達に被る、巨大な影。それは徐々に大きさを増していくので、星夜は言った。
「空が暗いな。」
ケンも空を見上げると、そこには空を覆う謎の巨大な生き物の影。星夜が光を強くすると、全身に鱗を纏った生き物がこちらへ近づいているのが見えた。そして立ち去ろうとした霊体に向かって、大きな口を開ける。地面と衝突する音と共に、その生物は霊体を食べてしまった。一同は愕然とし、星夜はその全容を目視する。
全長何百メートルの、顔だけで建物一軒分に匹敵するほど大きな龍。
龍は壊れたアスファルトと共に、霊体をムシャムシャと咀嚼する。アスファルトの割れる音が悍ましく、耳に刻まれるようだった。流石の星夜も驚いた様子で言う。
「なんだこの生物は…!?」
翔太郎達のいるファミリーレストランから僅か百メートル離れたマンションの屋上に、屍人のヨスガとユリアがいた。ヨスガは人で溢れる街を見ると、鼻で笑う。
「さあユリア、歪を放って邪魔者を誘き寄せるんだ。」
「なぜ貴方に従わなきゃならないのよ。」
ボソッとユリアはそう言った。ヨスガはその言葉を聞いていたのか、眉を困らせる。
「おいおいー、こういうのってチームワークが大事なんだぜ!?」
「はいはい。」
ユリアは適当にそう言って、予め捕らえておいた妖と霊体を融合した。そして街へ解き放つと、ヨスガはそれを見下ろしてニヤリと笑う。
「さて、お手並み拝見。霊能者。」
場面は戻って、ファミリーレストラン。三人は食事をしながら談笑をしていると、ケンは何かを感じ取る。
(妖の気配…?どっちからだ?)
翔太郎も何かに気づいたのか、周囲をキョロキョロとした。
(今、どこかで強い霊力を感じた…一瞬だけだったけど…。)
ケンが食事を止め、翔太郎の落ち着きがないのを見て、星夜は違和感を感じる。星夜は周りを見てみたが、街並みに変化がないのを確認してから聞いた。
「どうした翔太郎、何かあったのか?」
「一瞬、強い霊力を感じただけです…気のせいかも。」
翔太郎はそう言ったが、ケンが言うのを躊躇った様子で黙り込んでいる。ケンは思っていた。
(この気配は確かに、妖が力を使っている時の気配…。でも部長の前で、そんな事言ったら俺が半妖だってバレるかも…。)
星夜はケンの不自然さを見てから言う。
「いいや、気のせいではないやもしれん。」
(妖のセンサーは例え半妖だろうと正確だろう。ケンはきっと妖力に反応しているのやも。)
「そ、そうかな?」
翔太郎がそう言ったその時、夜景に見合わない閃光が外で煌めいた。続いて次々と建物が停電して、やがてこの場所も停電。翔太郎は思わず声を上げる。
「うわ!」
「停電…もしや、電気を操る妖の仕業か。」
星夜がそう言うと、三人は席を立って外へ向かう。外へ出ようとしたが、そこで翔太郎は言った。
「お勘定まだだった…」
「言ってる場合か。」
星夜はツッコミを入れるように言うと、ケンが手を挙げる。
「あ、先払いしましたんで俺。」
その言葉に、翔太郎は目が点に。
「え?」
星夜は特段気にした様子も見せなかった。
「ならば行くぞ。」
そう言って停電したレストランの中、星夜は人前だろうとお構い無しに手元に光を生成した。星夜の作る光は、光と言うよりも電気や雷に近いもの。緑色に火花を散らす手元の光に、ケンは感心した。
「光を灯せるのですね…!」
するとそこへ、同じくファミレスにいた海美が外へ出ようとやって来る。海美は翔太郎を見ると指さした。
「うわ!弱兄貴!移身の早いあんちゃんに、童貞野郎もいるし!」
「海美!?…あと公共の場でそんな言葉を使わない!」
翔太郎が海美を叱ると、ケンは兄妹の会話にほっこり。そして星夜は呆れた様子で溜息を吐いた。
「翔太郎の知り合いだったのか…。まあいい、行くぞ。」
「私に命令すんな!チビゴリラ!」
「黙れ首折るぞ。」
星夜は声色を暗くして言ったが、海美には通用しない。てんやわんやで現場へ向かうと、そこには歪がいた。
全身に電気を纏う、獣のような人間。半人半獣の歪だった。
海美は札を出すと一歩前に出た。
「早速除霊だ!」
「待て。」
そう言って止めたのは星夜だった。それと同時に前へ出るのは翔太郎。海美は星夜の拘束から逃れようとしたが、逃れられない。
「離せ怪力チビゴリラ!」
すると星夜に頭を強く握られるので、海美は声を忍んで痛がっていた。翔太郎は歪と対立する。
「僕が止める。…歪を無傷で解くのは、きっと僕にしか出来ないから…!」
そう言って翔太郎は、歪に一歩一歩近づいた。歪の電気を、結界を貼って凌ぐ。翔太郎は歪の前へ来ると呟いた。
「苦しんでいるんだろう…?今、解き放ってあげるから…!」
そう言って翔太郎が歪に触れると、さっきまで攻撃を放っていた歪の動きが急に停止した。電気を失った街は、歪の電気も失い真っ暗闇となる。そこで星夜が手元に電気を灯すと、ケンは呆然と歪を見上げた。
「止まった…」
(部長が触れると、歪は動きを止める。やがて歪は妖へと変化し、街に平和が訪れる…。)
ケンは視線を下ろし、歪に触れて立ったまま目を深く閉じた翔太郎を見る。海美は初めて見るのか、目を丸くしてそれを見ていた。
マンション上で、それを観戦していたヨスガとユリア。ヨスガは鼻で笑う。
「こうやって歪を解くのか…。面白い屍人だな、この翔太郎くんって子は。なあユリア。」
と言われたユリアだが、ユリアは海美の方を見て小声で呟いていた。
「何あの男、女の子の頭を掴んで苦しめて…。お仕置きした方がいいかしら。」
無表情で呟くその姿は、まるで呪いの幽霊。ヨスガはそれに笑ってしまい、観戦をやめて立ち上がった。そして言う。
「俺様の出番だな。」
そう言ったヨスガの身体が、膨れ上がっていく。人の形を失い、太く細長い体を形成していく。そしてこの暗い都会の中、巨大な生物へと姿を変えた…。
そして現場にて、歪は翔太郎によって解かれた。
すると歪の身体は光り輝く。優しい光に包まれ、歪は妖と霊体に分裂した。それを見たケンは笑みを見せていたが、すぐに翔太郎の元へ駆けつけた。倒れこむ翔太郎の身体を支え、妖を見て笑顔を見せる。
「もう、大丈夫ですよ。」
今回の妖は大人しい性格なのか、怯えながらもその場を去っていった。次に霊体が立ち去ろうとしたが、一同は気づく。自分達に被る、巨大な影。それは徐々に大きさを増していくので、星夜は言った。
「空が暗いな。」
ケンも空を見上げると、そこには空を覆う謎の巨大な生き物の影。星夜が光を強くすると、全身に鱗を纏った生き物がこちらへ近づいているのが見えた。そして立ち去ろうとした霊体に向かって、大きな口を開ける。地面と衝突する音と共に、その生物は霊体を食べてしまった。一同は愕然とし、星夜はその全容を目視する。
全長何百メートルの、顔だけで建物一軒分に匹敵するほど大きな龍。
龍は壊れたアスファルトと共に、霊体をムシャムシャと咀嚼する。アスファルトの割れる音が悍ましく、耳に刻まれるようだった。流石の星夜も驚いた様子で言う。
「なんだこの生物は…!?」
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