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ヨスガ編
041 幼い頃の事件
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要が帰った直後、亜空間も閉じるので翔太郎は言う。
「要くん、変わらないね。」
「当たり前だろ。」
韻はそう答えると、胸を張った様子で要が指差した方向を差した。
「とりあえず!要の兄貴はあの方角にいる!」
それを聞くなり、翔太郎は思わず苦笑。
(いや…相手は生き物なんだし移動もするし、あの方角ってどのくらいの距離探せばいいかわからないし…。もっと詳しく教えて欲しかった…。)
と、翔太郎の正直な感想だった。韻は早速探しに行こうと歩き出すが、翔太郎がそれを止める。
「待って韻、闇雲に探してもきっと見つからない。ここは要くんが協力出来るまで待った方がいいよ。」
「はぁ!?また要の兄貴が人を襲い始めたらどうすんだよ!」
「その時は逸早く駆けつけるしかない。今ここで探すのに体力を使ってしまったら、本当に大事な時に力を発揮できないよ。それが負けに繋がってしまったら、それこそ元も子もない。今は琴爪くんも動けない状況だし、慎重になった方がいいと思う。」
翔太郎の説得に、韻は大人しくなった。ポチはそれを見て感心した様子に。
〔僕が同じ事を言っても動いてたろうに、翔太郎さんの言う事は別なんだね。〕
「兄貴の言葉の重さは別格だからよ…」
〔そうかい。〕
ポチがそう答えると、翔太郎は思いついた表情で韻に笑みを向ける。
「だけどただ家にいるのもなんだし、気分転換に買い物でも行こうか。韻の好きな物買ってあげるよ。」
「マジ!?兄貴最高!!」
そう言って韻は翔太郎についていくので、ポチは思う。
〔そうか、餌付けされてるだけか。〕
翔太郎と韻は住宅街を離れ、多くの店が立ち並ぶ都会へ足を踏み入れていた。
韻は都会の景色に見合わない田舎臭いチョコアイスバーを片手に、幸せそうにしている。そんな韻を見て翔太郎は笑みを浮かべると、韻はある事を思い出す。
「そう言えば食いモンで思い出したけど、相手が要の兄貴か見分ける方法が一つだけあるんだ。」
「何?」
「魚介類食べさせると、決まって吐いちまうんだって。」
「要くんもそうだったよね。」
翔太郎が苦笑して言うと、それを傍で聞いていたレフは珍しくツッコミを入れた。
「そんな体質初めて聞くのですが。」
「僕も初めて聞いた時は驚きました。」
翔太郎の言葉に、レフが見えない韻は首を傾げる。
「兄貴、独り言?やっぱ疲れてんのか?」
うっかりした翔太郎は、すぐさま嘘で誤魔化した。
「えっ、ごめんね。やっぱり昨日のショックが大きいみたい…。」
(レフさんの事情を話したら、僕の正体もバレそうな予感がするので黙っておこう…。)
「そっか。まあ、そうだよな。」
二人がそう会話していると、都会にはちょっぴり不自然な木製の掲示板の前を通る。韻はその掲示板を流すように見ていると、一枚の古びた張り紙が気になって立ち止まった。翔太郎も一緒に立ち止まると、韻はその古びた張り紙を見て呟く。
「可哀想だよな。」
その紙は事件の犯人を探す張り紙だった。
十年前に八歳の少女が何者かによって、マンションの階段から転落させられ死亡した…というものだ。翔太郎はそれを見ると、切なそうな表情を見せる。
「この事件、よく覚えてるよ。被害者と僕の年齢が近かったから、母さんに同じ事件に巻き込まれないかとか…凄く心配されたな。韻も覚えてる?」
「あったようななかったような…わかんね。」
韻は難しい顔をしていたが、首を横に振った。それに対し、翔太郎はクスッと笑う。
「韻はまだ六歳だったもんね。生きていたら今頃、高校生か大学生だったろう。…犯人、まだ見つかってないんだ…。」
「早く捕まればいいのに。兄貴の能力で、亡くなった子と会話できねぇの?」
「探すのが大変だし、第一成仏していたら見つける事も出来ないよ。」
「なんだよ…使えね。」
そう二人が会話しつつ掲示板を離れると、そんな二人の後ろでその掲示板を見つめる少女がいた。少女は高校生くらいの見た目だが、子供用のポシェットを肩から下げていて違和感がある。その少女は掲示板の事件の張り紙を見つめていた。
一方、翔太郎は人混みに見知った人影を見つけた。それはユリアで、ユリアは近くのタワーに向かっている。翔太郎はそれを見ると、ユリアの後を追いかけた。
(あの人は…!今度は一体何をする気だ!?)
そして韻はそれを不自然に思いながらも、翔太郎の後に続く。
「どうした兄貴?」
次に韻がユリアを見ると、思わず韻はニヤニヤ。
「ほほーん。兄貴も好みの女とかいるんだー。意外と美人じゃねぇかー。」
しかし空かさずポチがツッコミを入れた。
〔お馬鹿な韻、彼女は敵だ。〕
「え?」
〔歪を作ってこの前韻に大怪我させたのが、あの女性さ。〕
「そうなの!?てか歪って結局何。」
〔幽霊と妖が融合した姿で、暴れ狂うのが特徴なんだ。その融合を解けるのは、翔太郎さんしかいない。…て、さっき翔太郎さんが説明してたろう。〕
ポチがそこまで説明すると、韻は目を丸くしていた。
「ポチ、詳しいな。」
そう言われると、ポチはなぜか焦った様子になって言う。
〔べ、別にこれくらい常識さ!ほら、早くしないと翔太郎さんに置いてかれるよ!〕
「おう!」
実に単純な思考をしている韻は、そんなポチを怪しむ事はなかった。そしてユリアを追いかける翔太郎達は、タワーの一番上までやってきていた…。
「要くん、変わらないね。」
「当たり前だろ。」
韻はそう答えると、胸を張った様子で要が指差した方向を差した。
「とりあえず!要の兄貴はあの方角にいる!」
それを聞くなり、翔太郎は思わず苦笑。
(いや…相手は生き物なんだし移動もするし、あの方角ってどのくらいの距離探せばいいかわからないし…。もっと詳しく教えて欲しかった…。)
と、翔太郎の正直な感想だった。韻は早速探しに行こうと歩き出すが、翔太郎がそれを止める。
「待って韻、闇雲に探してもきっと見つからない。ここは要くんが協力出来るまで待った方がいいよ。」
「はぁ!?また要の兄貴が人を襲い始めたらどうすんだよ!」
「その時は逸早く駆けつけるしかない。今ここで探すのに体力を使ってしまったら、本当に大事な時に力を発揮できないよ。それが負けに繋がってしまったら、それこそ元も子もない。今は琴爪くんも動けない状況だし、慎重になった方がいいと思う。」
翔太郎の説得に、韻は大人しくなった。ポチはそれを見て感心した様子に。
〔僕が同じ事を言っても動いてたろうに、翔太郎さんの言う事は別なんだね。〕
「兄貴の言葉の重さは別格だからよ…」
〔そうかい。〕
ポチがそう答えると、翔太郎は思いついた表情で韻に笑みを向ける。
「だけどただ家にいるのもなんだし、気分転換に買い物でも行こうか。韻の好きな物買ってあげるよ。」
「マジ!?兄貴最高!!」
そう言って韻は翔太郎についていくので、ポチは思う。
〔そうか、餌付けされてるだけか。〕
翔太郎と韻は住宅街を離れ、多くの店が立ち並ぶ都会へ足を踏み入れていた。
韻は都会の景色に見合わない田舎臭いチョコアイスバーを片手に、幸せそうにしている。そんな韻を見て翔太郎は笑みを浮かべると、韻はある事を思い出す。
「そう言えば食いモンで思い出したけど、相手が要の兄貴か見分ける方法が一つだけあるんだ。」
「何?」
「魚介類食べさせると、決まって吐いちまうんだって。」
「要くんもそうだったよね。」
翔太郎が苦笑して言うと、それを傍で聞いていたレフは珍しくツッコミを入れた。
「そんな体質初めて聞くのですが。」
「僕も初めて聞いた時は驚きました。」
翔太郎の言葉に、レフが見えない韻は首を傾げる。
「兄貴、独り言?やっぱ疲れてんのか?」
うっかりした翔太郎は、すぐさま嘘で誤魔化した。
「えっ、ごめんね。やっぱり昨日のショックが大きいみたい…。」
(レフさんの事情を話したら、僕の正体もバレそうな予感がするので黙っておこう…。)
「そっか。まあ、そうだよな。」
二人がそう会話していると、都会にはちょっぴり不自然な木製の掲示板の前を通る。韻はその掲示板を流すように見ていると、一枚の古びた張り紙が気になって立ち止まった。翔太郎も一緒に立ち止まると、韻はその古びた張り紙を見て呟く。
「可哀想だよな。」
その紙は事件の犯人を探す張り紙だった。
十年前に八歳の少女が何者かによって、マンションの階段から転落させられ死亡した…というものだ。翔太郎はそれを見ると、切なそうな表情を見せる。
「この事件、よく覚えてるよ。被害者と僕の年齢が近かったから、母さんに同じ事件に巻き込まれないかとか…凄く心配されたな。韻も覚えてる?」
「あったようななかったような…わかんね。」
韻は難しい顔をしていたが、首を横に振った。それに対し、翔太郎はクスッと笑う。
「韻はまだ六歳だったもんね。生きていたら今頃、高校生か大学生だったろう。…犯人、まだ見つかってないんだ…。」
「早く捕まればいいのに。兄貴の能力で、亡くなった子と会話できねぇの?」
「探すのが大変だし、第一成仏していたら見つける事も出来ないよ。」
「なんだよ…使えね。」
そう二人が会話しつつ掲示板を離れると、そんな二人の後ろでその掲示板を見つめる少女がいた。少女は高校生くらいの見た目だが、子供用のポシェットを肩から下げていて違和感がある。その少女は掲示板の事件の張り紙を見つめていた。
一方、翔太郎は人混みに見知った人影を見つけた。それはユリアで、ユリアは近くのタワーに向かっている。翔太郎はそれを見ると、ユリアの後を追いかけた。
(あの人は…!今度は一体何をする気だ!?)
そして韻はそれを不自然に思いながらも、翔太郎の後に続く。
「どうした兄貴?」
次に韻がユリアを見ると、思わず韻はニヤニヤ。
「ほほーん。兄貴も好みの女とかいるんだー。意外と美人じゃねぇかー。」
しかし空かさずポチがツッコミを入れた。
〔お馬鹿な韻、彼女は敵だ。〕
「え?」
〔歪を作ってこの前韻に大怪我させたのが、あの女性さ。〕
「そうなの!?てか歪って結局何。」
〔幽霊と妖が融合した姿で、暴れ狂うのが特徴なんだ。その融合を解けるのは、翔太郎さんしかいない。…て、さっき翔太郎さんが説明してたろう。〕
ポチがそこまで説明すると、韻は目を丸くしていた。
「ポチ、詳しいな。」
そう言われると、ポチはなぜか焦った様子になって言う。
〔べ、別にこれくらい常識さ!ほら、早くしないと翔太郎さんに置いてかれるよ!〕
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