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ヨスガ編
047 『本能』に喰われる
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翔太郎とヨスガをカフェ店内に残し、トイレに星夜とケンは来ていた。
ケンは普段通り紙パックの牛乳を飲んでいたが、星夜は微妙な表情を浮かべて思わずツッコミを入れる。
「よくトイレで牛乳が飲めるな。」
「美味いんで、これ。水と違って…いくら飲んでも体が膨れませんし。」
牛乳を飲む音で星夜は気が散って不機嫌な表情をしていたが、ケンは真面目な表情で話を始める。
「あの、部長の前だと俺が半妖ってバレそうなんで星夜さんにだけ知らせておきたい事があるんです。」
「ん。」
「気のせいだったらいいんですが、羽取さんから血の匂いがするんです…。それも会う度です。普通の人間から、こうも血の匂いがした事がなかったもので…。」
それを聞いた途端、不機嫌だった星夜の表情が呆然へと変わった。
「は…?新メンバーから?」
「…はい。」
それを聞いて星夜は、顎に手を当て思考する。
「羽取は真面目で厳格な性格だった。しかし数日前から、急に性格が変貌。勤勉でスポーツマンだった羽取は、遊び人で女とよく遊ぶようになったと聞く。」
「そうなんです…!だから俺は、あの羽取さんは本当に羽取さんか怪しく思っていて。それに加え、さっきの姿を変える龍の話を聞いたら…俺ピンと来たんです。」
ケンから貰った情報を静かに思考すると、やがて落ち着いた様子で星夜は話した。
「情報にしては不十分だが、警戒するに越した事はない。後で私から翔太郎にも話しておこう。…翔太郎と二人きりにさせてはおけんな、すぐに戻るぞ。」
「はい。」
こうして二人は、急いで翔太郎の元へ戻る事にした。
一方ヨスガは、もう食欲を抑えきれない表情でいた。すると翔太郎は言う。
「将来の夢…ですか。僕にはないな…」
腹を空かせた様子だったヨスガだったが、翔太郎の言葉に豆鉄砲を食らったように目を丸くする。対し翔太郎は身体から正気が抜けたように、医療系の文献が入っていた鞄を握る手も緩めていた。ヨスガはそれを見ると思う事があるのか、翔太郎の肩を叩いて顔を近づける。
「俺…お前が死んでる事、知ってる。」
翔太郎はヨスガの低い声に鳥肌を感じ、顔を真っ青にさせた。それだけではない。
(生きてる人間に…死んだ事がバレた…?)
その瞬間、翔太郎の身体が薄光りを放ち始める。ヨスガは流石に思っていない展開だったのか、焦った様子を見せた。
(やべ…!食うつもりが制約を破っちまった…!?コイツ、なんつー生きにくい制約を…!)
翔太郎は呆然としていたが、やがて呟く。
「…いや、あなたは人間じゃない…。」
それと同時に光は消え、更にそれがヨスガを驚かせる。翔太郎はヨスガの方へ静かに振り向くと、肩を叩いたまま置いているヨスガの手を握った。そして真面目な表情を浮かべる。あまりに真摯だった為か、ヨスガの視線は翔太郎の目から離せなかった。
「あなたの思考は、常に僕を『食べたい』と呟いている…。この声は、非常にショッキングだったので聞き覚えています。…あなたは人間じゃない、あの日の龍ですね。」
ヨスガは愕然と驚き、冷や汗を浮かべた。焦りは目の焦点を狂わせ、やがて手に汗を握る。
(なんだコイツ…思考とか…。まさか、人の心が読めるのか…!?畜生…!チートにも程があるだろ!いや待て…あと五十七分だって余裕ぶっこいてたが、コイツに身体を取り返される様な事があったらヤバくないか!?)
その声に、翔太郎は反応をした。
「あと五十七分、なんですね。」
ヨスガは思わずギョッとする。そこへ、星夜とケンが帰ってきた。翔太郎がヨスガの手を握るという異様な光景に、星夜とケンは目を丸くした。ケンは星夜に言う。
「星夜さんコレ…愛の告白というやつでは…!?」
「翔太郎…貴様がそういう男だったとは…」
すると翔太郎は手を離して、困った様子で言った。
「ち、違います!」
「じゃあどういう…?」
「この人が龍なんです…!あと五十七分で要くんのお兄さんを助けないと…!」
その言葉にやっと二人は我に戻り、ヨスガを睨みつけた。するとヨスガはサングラスを外す。ヨスガの翡翠色の瞳を見た途端、星夜は指を差した。
「こやつ、龍と同じ瞳を持っておる。」
「やっぱり…!」
翔太郎が言うと、ヨスガの身体は変異する。ボコボコと顔が変形し、顔だけが狼へと変貌。そのまま翔太郎に噛み付こうと襲いかかるので、翔太郎は結界を貼って阻止した。ヨスガは舌打ちをすると、今度はケンの方へ走ってくる。星夜は体調のせいで抵抗はできない様子だったが、ケンは特段驚く事無くそれを見ていた。近くまで来ると、ケンはみんなの目に見えないくらいの速度で腕を相手に振るう。
その瞬間、腕はイカの触腕になっていた。
打たれた相手は床に倒れこむので、ケンは棒声で言う。
「星夜さん凄いですー。」
星夜は呆れた様子で返事もしなかった。ヨスガは立ち上がると、逃げるように店外へ出る。慌てて翔太郎達は追いかけた。
「あ、待て!」
ヨスガは外へ出ると、外を歩く人々を睨んだ。人々は人狼を見ると、恐怖で逃げ出す。
(食いてェ…!もっと食いてェ……!足りない…!もっと…!!)
ヨスガの目は、徐々に正気を失っていった。そんなヨスガに好奇心で近づいた人間もおり、ヨスガはその人間に頭から食らいついた。瞬間にその場は悲鳴の嵐となり、駆けつけた翔太郎は呆然とする。ヨスガは脚も獣のものへと変化させており、逃げる人々までも無残に食い殺していた。
呆然とする翔太郎に、星夜は背をつつく。翔太郎は我に戻ると、ヨスガを見た。
(羽取くんの、あの正気を失った目…。きっと元に戻せるのは、僕だけだ。)
ケンは普段通り紙パックの牛乳を飲んでいたが、星夜は微妙な表情を浮かべて思わずツッコミを入れる。
「よくトイレで牛乳が飲めるな。」
「美味いんで、これ。水と違って…いくら飲んでも体が膨れませんし。」
牛乳を飲む音で星夜は気が散って不機嫌な表情をしていたが、ケンは真面目な表情で話を始める。
「あの、部長の前だと俺が半妖ってバレそうなんで星夜さんにだけ知らせておきたい事があるんです。」
「ん。」
「気のせいだったらいいんですが、羽取さんから血の匂いがするんです…。それも会う度です。普通の人間から、こうも血の匂いがした事がなかったもので…。」
それを聞いた途端、不機嫌だった星夜の表情が呆然へと変わった。
「は…?新メンバーから?」
「…はい。」
それを聞いて星夜は、顎に手を当て思考する。
「羽取は真面目で厳格な性格だった。しかし数日前から、急に性格が変貌。勤勉でスポーツマンだった羽取は、遊び人で女とよく遊ぶようになったと聞く。」
「そうなんです…!だから俺は、あの羽取さんは本当に羽取さんか怪しく思っていて。それに加え、さっきの姿を変える龍の話を聞いたら…俺ピンと来たんです。」
ケンから貰った情報を静かに思考すると、やがて落ち着いた様子で星夜は話した。
「情報にしては不十分だが、警戒するに越した事はない。後で私から翔太郎にも話しておこう。…翔太郎と二人きりにさせてはおけんな、すぐに戻るぞ。」
「はい。」
こうして二人は、急いで翔太郎の元へ戻る事にした。
一方ヨスガは、もう食欲を抑えきれない表情でいた。すると翔太郎は言う。
「将来の夢…ですか。僕にはないな…」
腹を空かせた様子だったヨスガだったが、翔太郎の言葉に豆鉄砲を食らったように目を丸くする。対し翔太郎は身体から正気が抜けたように、医療系の文献が入っていた鞄を握る手も緩めていた。ヨスガはそれを見ると思う事があるのか、翔太郎の肩を叩いて顔を近づける。
「俺…お前が死んでる事、知ってる。」
翔太郎はヨスガの低い声に鳥肌を感じ、顔を真っ青にさせた。それだけではない。
(生きてる人間に…死んだ事がバレた…?)
その瞬間、翔太郎の身体が薄光りを放ち始める。ヨスガは流石に思っていない展開だったのか、焦った様子を見せた。
(やべ…!食うつもりが制約を破っちまった…!?コイツ、なんつー生きにくい制約を…!)
翔太郎は呆然としていたが、やがて呟く。
「…いや、あなたは人間じゃない…。」
それと同時に光は消え、更にそれがヨスガを驚かせる。翔太郎はヨスガの方へ静かに振り向くと、肩を叩いたまま置いているヨスガの手を握った。そして真面目な表情を浮かべる。あまりに真摯だった為か、ヨスガの視線は翔太郎の目から離せなかった。
「あなたの思考は、常に僕を『食べたい』と呟いている…。この声は、非常にショッキングだったので聞き覚えています。…あなたは人間じゃない、あの日の龍ですね。」
ヨスガは愕然と驚き、冷や汗を浮かべた。焦りは目の焦点を狂わせ、やがて手に汗を握る。
(なんだコイツ…思考とか…。まさか、人の心が読めるのか…!?畜生…!チートにも程があるだろ!いや待て…あと五十七分だって余裕ぶっこいてたが、コイツに身体を取り返される様な事があったらヤバくないか!?)
その声に、翔太郎は反応をした。
「あと五十七分、なんですね。」
ヨスガは思わずギョッとする。そこへ、星夜とケンが帰ってきた。翔太郎がヨスガの手を握るという異様な光景に、星夜とケンは目を丸くした。ケンは星夜に言う。
「星夜さんコレ…愛の告白というやつでは…!?」
「翔太郎…貴様がそういう男だったとは…」
すると翔太郎は手を離して、困った様子で言った。
「ち、違います!」
「じゃあどういう…?」
「この人が龍なんです…!あと五十七分で要くんのお兄さんを助けないと…!」
その言葉にやっと二人は我に戻り、ヨスガを睨みつけた。するとヨスガはサングラスを外す。ヨスガの翡翠色の瞳を見た途端、星夜は指を差した。
「こやつ、龍と同じ瞳を持っておる。」
「やっぱり…!」
翔太郎が言うと、ヨスガの身体は変異する。ボコボコと顔が変形し、顔だけが狼へと変貌。そのまま翔太郎に噛み付こうと襲いかかるので、翔太郎は結界を貼って阻止した。ヨスガは舌打ちをすると、今度はケンの方へ走ってくる。星夜は体調のせいで抵抗はできない様子だったが、ケンは特段驚く事無くそれを見ていた。近くまで来ると、ケンはみんなの目に見えないくらいの速度で腕を相手に振るう。
その瞬間、腕はイカの触腕になっていた。
打たれた相手は床に倒れこむので、ケンは棒声で言う。
「星夜さん凄いですー。」
星夜は呆れた様子で返事もしなかった。ヨスガは立ち上がると、逃げるように店外へ出る。慌てて翔太郎達は追いかけた。
「あ、待て!」
ヨスガは外へ出ると、外を歩く人々を睨んだ。人々は人狼を見ると、恐怖で逃げ出す。
(食いてェ…!もっと食いてェ……!足りない…!もっと…!!)
ヨスガの目は、徐々に正気を失っていった。そんなヨスガに好奇心で近づいた人間もおり、ヨスガはその人間に頭から食らいついた。瞬間にその場は悲鳴の嵐となり、駆けつけた翔太郎は呆然とする。ヨスガは脚も獣のものへと変化させており、逃げる人々までも無残に食い殺していた。
呆然とする翔太郎に、星夜は背をつつく。翔太郎は我に戻ると、ヨスガを見た。
(羽取くんの、あの正気を失った目…。きっと元に戻せるのは、僕だけだ。)
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