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ヨスガ編
048 白の世界で
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翔太郎は我に戻ると、ヨスガを見た。
(羽取くんの、あの正気を失った目…。きっと元に戻せるのは、僕だけだ。)
その時、巨大イカのケンが登場。ケンは別行動をしていたらしく、水を大量に摂取して巨大になっていた。翔太郎はケンを見上げると驚く。
(僕達がピンチになると毎回出てくるイカさん…!?…味方…?)
翔太郎は考え始めていると、ヨスガはケンを見て狂気的に笑った。ヨスガはだらしなくヨダレを垂らしながらも言う。
〔食い応えが有りそうじゃねぇかァ!!〕
そう言って雄叫びを上げると、ヨスガの体も巨大化していく。巨大な狼へと変貌したヨスガは、ケンに襲いかかった。
〔いただきまぁーーす!〕
〔食えるものなら…!〕
ケンは触手でガードしてからヨスガを攻撃したが、ヨスガは思ったよりも素早い。ヨスガにケンが噛まれそうになったその時、翔太郎は結界を貼ったままヨスガに突進した。それにヨスガは気づき、翔太郎を見下ろして言う。
〔ちっさくてもお前は美味しそうだなァ…!〕
その言葉に、翔太郎は恐怖を覚えた様子で胸に手を当てた。
(さっきまで普通に会話していたはずなのに…。もう、思考が食に囚われてしまっている…。)
〔食わせろッ!!〕
ヨスガは翔太郎に襲いかかる。翔太郎が結界を強化しようとしたその時、ケンが触腕で翔太郎を庇った。ヨスガに噛み付かれるケン。ケンの触腕から、青い血が飛び散って翔太郎の顔にかかる。翔太郎はショックで呆然としていると、ヨスガは言った。
〔馬鹿なイカが…〕
そう言ったヨスガ。しかし次の瞬間、ヨスガは急に身体を傾けて倒れてしまう。
ドスーーン
大きな音を立てて倒れるので、翔太郎やケンや星夜は呆然。ヨスガはなぜか、目を回して倒れていた。すると翔太郎は気づく。
「ハッ!要くんのお兄さんは、魚介類を食べると吐いちゃうって…!」
そう言われ、ケンは気づく。
(俺が倒した…!?)
星夜は呆れた様子、且つ呆然としつつ言った。
「間抜けな男だな…。」
翔太郎は空かさず、ヨスガの前に立つ。そして意を決して、ヨスガに触れようと手を伸ばした。
(要くんのお兄さん…。あなたはなぜ、こんな残酷な事をしてしまったんですか…?それとも、他に理由があるんですか…?)
そしてヨスガに触れた翔太郎。翔太郎の目が水色に一瞬だけ光ると、翔太郎は気を失って心象世界へと向かっていった。
翔太郎は目が覚めた。
そこは感覚がおかしくなるほど一面が真っ白な世界で、自分以外は何もない。影さえも無いのだ。翔太郎は思わず周囲を見渡した。
「一面が白…。ここ、本当に心象世界なのかな…?」
その時だ。どこからか、この世界に響くように声が聞こえた。
〔屍人、私に何か用か?〕
冷ややかでクールな低い男声。星夜のしっかりと足の着いた低い声とは違い、悠々とした低い声である。
「誰ですか…!?羽取くんじゃないですよね。」
翔太郎が驚いた様子で言うと、相手の溜息までも聞こえる。
〔緑頭に語る名は無い。〕
翔太郎は思わず自分の髪を触ってしまうが、落ち着いて状況を整理した。
(待て、羽取くんと言ってしまったが…羽取くんと全然性格が違う。相手は要くんのお兄さんなのでは?)
「あの、あなたは要くんのお兄さん…で合ってますよね?」
〔ふむ、そうだが。お前、忌々しい韻によく似ていると思ったら…韻の兄だな。知っているぞ。〕
どうやら相手は翔太郎の事を知っているようで、その事実に翔太郎は驚いた様子で冷や汗を浮かべた。
(なんか見ず知らずの人に、顔が知られてる…!?しかも韻を嫌ってるこの妖…!)
〔私は永遠の眠りについてしまいそうなくらい眠たいのだ…言いたい事があるなら早く言え。そしてさっさと帰れ。〕
身体を乗っ取られるタイムリミットの事を考えたら、それによる眠気と確信する翔太郎。
「ま、待ってください、「永遠の眠り」は危険信号です!それになぜ、あなたは人間を襲ったんですか?」
そう言われると要の兄は黙り込む。沈黙が続いた為、翔太郎が無視されたのかと思い始めた頃に声がした。
〔…さっきまでお前と話していたのは私ではない。私の身体を乗っ取っていた男、名はヨスガと言う。…屍人だ。〕
翔太郎は相手が自分と同じ屍人である事を知ると、目を丸くして呟く。
「屍人…!?」
〔奴が私の身体を乗っ取ってからしてきた事は、多少なりとも私に伝わっている。奴の名前から思惑、食らったもの…とかな。〕
その言葉を聞くと、翔太郎は急に悲しそうな表情を見せる。彼の言葉の意味、それはヨスガが人間や幽霊を喰らった事を知っているという事だ。それも自分の体でだ、普通ならば気が狂ってしまうほどショッキングだろう。そして俯いて言った。
「苦しかったですよね…。自分の意思に反して、残酷な出来事も…目の当たりにしてきたんですから…。」
翔太郎の言葉に、再び要の兄は暫く沈黙した。それから小さな溜息が聞こえ、要の兄は語る。
〔ヨスガは人を殺めたが、それは本心ではない。人を食らったのは、私の『本能』のせいだ。〕
「本能?」
〔姿を変える時、力を消費する。一度に力を多く失うと、自然と食へ走ってしまう恐ろしい本能だ。奴が特性を見誤ったせいではあるが、殺戮は奴の本心でない。〕
「…はい…。」
(口調に刺はあるけど、ヨスガくんを庇っているし意外と優しい方…?)
翔太郎が意外そうに思っていると、要の兄は言った。
〔ヨスガの場所は教えてやってもいい。だが…、奴を説得しようものなら…ヨスガは消滅する事になる。〕
「それはどういう…!?いやそれ以前に、なんで説得したら消滅してしまうんですか!?」
翔太郎は腑に落ちない表情で言ったが、要の兄はどこか哀愁のある声で言う。
〔そういう風にできているんだ。…どうだ、自分の目で確かめる覚悟はあるか?〕
そう言われ、翔太郎は口を思わず噤んだ。ヨスガが消滅する理由がわからないのもそうだが、その理由を問い質せないほど要の兄の声が神妙に感じたからだ。
(羽取くんの、あの正気を失った目…。きっと元に戻せるのは、僕だけだ。)
その時、巨大イカのケンが登場。ケンは別行動をしていたらしく、水を大量に摂取して巨大になっていた。翔太郎はケンを見上げると驚く。
(僕達がピンチになると毎回出てくるイカさん…!?…味方…?)
翔太郎は考え始めていると、ヨスガはケンを見て狂気的に笑った。ヨスガはだらしなくヨダレを垂らしながらも言う。
〔食い応えが有りそうじゃねぇかァ!!〕
そう言って雄叫びを上げると、ヨスガの体も巨大化していく。巨大な狼へと変貌したヨスガは、ケンに襲いかかった。
〔いただきまぁーーす!〕
〔食えるものなら…!〕
ケンは触手でガードしてからヨスガを攻撃したが、ヨスガは思ったよりも素早い。ヨスガにケンが噛まれそうになったその時、翔太郎は結界を貼ったままヨスガに突進した。それにヨスガは気づき、翔太郎を見下ろして言う。
〔ちっさくてもお前は美味しそうだなァ…!〕
その言葉に、翔太郎は恐怖を覚えた様子で胸に手を当てた。
(さっきまで普通に会話していたはずなのに…。もう、思考が食に囚われてしまっている…。)
〔食わせろッ!!〕
ヨスガは翔太郎に襲いかかる。翔太郎が結界を強化しようとしたその時、ケンが触腕で翔太郎を庇った。ヨスガに噛み付かれるケン。ケンの触腕から、青い血が飛び散って翔太郎の顔にかかる。翔太郎はショックで呆然としていると、ヨスガは言った。
〔馬鹿なイカが…〕
そう言ったヨスガ。しかし次の瞬間、ヨスガは急に身体を傾けて倒れてしまう。
ドスーーン
大きな音を立てて倒れるので、翔太郎やケンや星夜は呆然。ヨスガはなぜか、目を回して倒れていた。すると翔太郎は気づく。
「ハッ!要くんのお兄さんは、魚介類を食べると吐いちゃうって…!」
そう言われ、ケンは気づく。
(俺が倒した…!?)
星夜は呆れた様子、且つ呆然としつつ言った。
「間抜けな男だな…。」
翔太郎は空かさず、ヨスガの前に立つ。そして意を決して、ヨスガに触れようと手を伸ばした。
(要くんのお兄さん…。あなたはなぜ、こんな残酷な事をしてしまったんですか…?それとも、他に理由があるんですか…?)
そしてヨスガに触れた翔太郎。翔太郎の目が水色に一瞬だけ光ると、翔太郎は気を失って心象世界へと向かっていった。
翔太郎は目が覚めた。
そこは感覚がおかしくなるほど一面が真っ白な世界で、自分以外は何もない。影さえも無いのだ。翔太郎は思わず周囲を見渡した。
「一面が白…。ここ、本当に心象世界なのかな…?」
その時だ。どこからか、この世界に響くように声が聞こえた。
〔屍人、私に何か用か?〕
冷ややかでクールな低い男声。星夜のしっかりと足の着いた低い声とは違い、悠々とした低い声である。
「誰ですか…!?羽取くんじゃないですよね。」
翔太郎が驚いた様子で言うと、相手の溜息までも聞こえる。
〔緑頭に語る名は無い。〕
翔太郎は思わず自分の髪を触ってしまうが、落ち着いて状況を整理した。
(待て、羽取くんと言ってしまったが…羽取くんと全然性格が違う。相手は要くんのお兄さんなのでは?)
「あの、あなたは要くんのお兄さん…で合ってますよね?」
〔ふむ、そうだが。お前、忌々しい韻によく似ていると思ったら…韻の兄だな。知っているぞ。〕
どうやら相手は翔太郎の事を知っているようで、その事実に翔太郎は驚いた様子で冷や汗を浮かべた。
(なんか見ず知らずの人に、顔が知られてる…!?しかも韻を嫌ってるこの妖…!)
〔私は永遠の眠りについてしまいそうなくらい眠たいのだ…言いたい事があるなら早く言え。そしてさっさと帰れ。〕
身体を乗っ取られるタイムリミットの事を考えたら、それによる眠気と確信する翔太郎。
「ま、待ってください、「永遠の眠り」は危険信号です!それになぜ、あなたは人間を襲ったんですか?」
そう言われると要の兄は黙り込む。沈黙が続いた為、翔太郎が無視されたのかと思い始めた頃に声がした。
〔…さっきまでお前と話していたのは私ではない。私の身体を乗っ取っていた男、名はヨスガと言う。…屍人だ。〕
翔太郎は相手が自分と同じ屍人である事を知ると、目を丸くして呟く。
「屍人…!?」
〔奴が私の身体を乗っ取ってからしてきた事は、多少なりとも私に伝わっている。奴の名前から思惑、食らったもの…とかな。〕
その言葉を聞くと、翔太郎は急に悲しそうな表情を見せる。彼の言葉の意味、それはヨスガが人間や幽霊を喰らった事を知っているという事だ。それも自分の体でだ、普通ならば気が狂ってしまうほどショッキングだろう。そして俯いて言った。
「苦しかったですよね…。自分の意思に反して、残酷な出来事も…目の当たりにしてきたんですから…。」
翔太郎の言葉に、再び要の兄は暫く沈黙した。それから小さな溜息が聞こえ、要の兄は語る。
〔ヨスガは人を殺めたが、それは本心ではない。人を食らったのは、私の『本能』のせいだ。〕
「本能?」
〔姿を変える時、力を消費する。一度に力を多く失うと、自然と食へ走ってしまう恐ろしい本能だ。奴が特性を見誤ったせいではあるが、殺戮は奴の本心でない。〕
「…はい…。」
(口調に刺はあるけど、ヨスガくんを庇っているし意外と優しい方…?)
翔太郎が意外そうに思っていると、要の兄は言った。
〔ヨスガの場所は教えてやってもいい。だが…、奴を説得しようものなら…ヨスガは消滅する事になる。〕
「それはどういう…!?いやそれ以前に、なんで説得したら消滅してしまうんですか!?」
翔太郎は腑に落ちない表情で言ったが、要の兄はどこか哀愁のある声で言う。
〔そういう風にできているんだ。…どうだ、自分の目で確かめる覚悟はあるか?〕
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