屍人の陰陽師

うてな

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ヨミ編

059 いつもと違う韻

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そして、日曜日。
神木間家にて、今日の韻は朝からルンルン。家族の囲む食卓に、ご機嫌の韻。韻を見る家族は豆鉄砲を食らった様な顔をしていた。翔太郎と父と母とレフは思う。

(韻が早起き…!?休日はみんなが朝食を食べ終わった頃に、起きてやってくるのに…!)

(今はテスト間近で部活もないから、テンションが高いのか…?いや、韻は普段テスト近くになってもご機嫌だった事はなかった…。)

(わかった。彼女、ね…!)

(韻さんが笑顔だと、こちらも笑顔になっちゃいます。)

と、レフだけ随分的外れな事を考えてはいるが。ちなみにナメクジはレタスをムシャムシャ食べながら韻を眺めていた。韻は朝食を平らげると、食器を片付けながら言う。

「ご馳走様ー!」

そう言って韻は自分の部屋へ向かうが、ポチは韻の肩から降りて翔太郎やレフの方へ来た。翔太郎は目を丸くしてポチを見ると、ポチは言う。

〔ここだけの話、聞いて欲しいんだけど。〕

「はい。」

〔実は韻、好きな女の子がいて…。〕

「まあ!素敵ですね。翔太郎さん、知っていましたか?」

そう言ってレフは翔太郎に笑顔を向けるが、翔太郎は笑みを浮かべながらも眉を困らせていた。そして目に涙を浮かべている。

(そりゃもう…韻の考えを読んだり、韻の独り言でよく聞いているし…。尾崎まいちゃんの事だよね…。顔は知らないけど、名前くらいなら…。)

「よくわかっておられますね。」

レフの返しに、翔太郎は驚いた。翔太郎は思わずレフを見る。

(まただ。レフさん、今僕の考えを見透かしたような発言をした気が…。)

そう翔太郎が考えると、レフは反応を見せて誤魔化そうと視線を逸らした。翔太郎はそのバレバレな様子を見て、冷や汗を浮かべる。

(レフさんって本当に何者…?)

するとインターホンの鳴る音が聞こえ、真っ先に韻が出た。ポチはそれを聞くと、テーブルを飛び降りて韻の方へ駆ける。

〔まずい、置いてかれるかも。〕

母は首を傾げた。

「あら韻ったら素早いわね。お友達でも来たのかしら?いや、彼女…?彼女なら自分で迎えに行くのがいいと思うけど…」

一人ブツブツ呟く母はさておき、翔太郎は朝食を終えたので玄関へ向かってみる事に。すると韻は玄関前で美輝と話しており、翔太郎は美輝を見て驚いた。

(ケンくんのお義兄さん…!?なんでこの家に…!?)

すると美輝は翔太郎に気づいて、韻に言う。

「お兄さん?」

「はい!」

「凄く似てるね、双子?」

「よく言われますけど、本当は三つも離れてるんですよ。性格も正反対だし。」

翔太郎はとりあえず、礼儀正しく頭を下げた。ちなみにポチは既に、韻の肩の上にいた。美輝はニコニコ笑顔で翔太郎に手を振る。それから美輝は韻に言った。

「じゃ、そろそろ行こうか。マイも家で待ってるよ。」

「は、はい…!」

韻は緊張した様子で美輝と共に家を出るが、韻は顔を出して翔太郎に言う。

「じゃ兄貴、俺行ってくるから!」

「うん、行ってらっしゃい。」

翔太郎はそう答えると、扉の戸が閉まるのを眺めていた。そこへ、ナメクジが羽を使って飛んで来る。翔太郎はナメクジの存在に気づくと、顔を真っ青にした。塩を構えそうになったが、強く抑え込む。そこへレフもやって来て言った。

「どなたか来たのですか?」

「え?…ケンくんのお義兄さん…かな。韻の意中のマイちゃんの話をしている所を見ると、マイちゃんとも親しいようだけど…。」

「ん?お話がよく読めないのですが…」

レフは首を傾げてしまう。しかし、翔太郎だって首を傾げたいのだ。なぜケンの義兄が韻と知り合いなのか。すると翔太郎のスマホが鳴るので、通知を確認。韻からメッセージが来ていた。

『玄関出て!ポチが無事か見て!』

「どういう事…?」

翔太郎はそう呟いて、玄関を出た。すると玄関前に、歩いてやってくるポチがいた。

「ポチくん!?韻と行ったんじゃなかった?」

翔太郎は思わずポチに駆け寄ると、ポチは言う。

〔あの美輝って男…やはり只者じゃない。僕の事も見えていたし…。〕

「何があったの?」

そう問うと、ポチは悔しそうな様子になった。

〔あの男が、韻を車に乗せたんだけど…。扉を閉めるのと同時に僕を車外へわざと押し飛ばして…。〕

「そ、そんな…!」

ちなみに近くでレフとナメクジも聞いていた様子。レフは眉を釣り上げると言った。

「人を押し飛ばすだなんて、酷い事ですよ…!叱った方がいいです…!」

それを聞いていた翔太郎は苦笑。

(琴爪くんに『魂を与えられるか』と質問していた人とは到底思えない発言だ。)

〔叱る以前に、韻が心配だな。〕

ポチはそう言って翔太郎の肩に乗るので、翔太郎は言う。

「なぜ心配なの?押されたのも偶然かもしれない。」

〔偶然な訳ない…!あの男の娘…マイだって僕が見えてるんだ。僕が見える上であんな事したんだよ…!〕

翔太郎はそれを聞いて、思わず黙り込んだ。彼を取り巻く幽霊達を想像しつつ思う。

(霊能者ってだけじゃ、妖は見えないはず…。例外は屍人だけ…。でも親子揃って見えるとなると…彼は一体何者なんだ…?)

そう疑問を抱きつつ口を開いた。

「確かに、一体何者なのか気になるよね。どうにか探し出そう。」

〔こういう時に要がいてくれたらいいんだけど…。妖世界には今、行けないからね…。〕

すると、ナメクジがみんなの前に出た。それを一同は見ていると、ナメクジは身体を発光させる。そしてナメクジの身体は形を変え、やがて犬の様な形になった。発光が収まると、ナメクジは犬に変身していた。
それを見ると、翔太郎とレフは目を輝かせる。

「い、犬だ…!ビーグルだ!」

「可愛いですぅ…!」

二人でビーグルを撫で撫でしていると、ビーグルは鬱陶しいのか二人に威嚇で吠えた。二人は吠えられると怯え、数歩下がった。するとポチは言う。

〔流石は要の兄さん、嗅覚のいい犬で韻を探すって魂胆だね。〕

それにビーグルは吠えるので、ポチは深く頷いた。ポチは翔太郎から飛び降りると、降りている途中で姿が人間の姿へと変わる。服もちゃんと着ており、ポチはやる気十分な表情で言った。

「行こう、韻を探しに。」
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