六音一揮

うてな

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1章 序奏前奏

第2音 意中之人

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【意中之人】いちゅうのひと
思いを寄せる相手。

==========

 ラムは前が見えないアールに、肩を貸して道を歩いていた。
しかしラムは身長が高すぎるせいか、アールの足は地に着かずにつま先を引きずられている。
ルネアは三人の後ろを歩いており、その引きずった跡を眺めていた。

「ラム、靴が擦れるんだが。」

アールがそう言うと、ラムは少し顔を赤くする。

「はぁ?ったくこうすればいいんだろ!」

そう言って、ラムはアールを背負った。

ルネアはそれを見ると、ふと両手でハートの形を作って二人をその枠に入れた。

(ラブラブだなぁ~)

ラムはそれに気づくと

「やめろよ!」

と言う。

ルネアはアルネとの恋愛には興味なかったものの、恋愛自体には興味があった。
その為、恋愛してそうな男女を見てしまうとなんだか気分が上がる様だ。

アールはルネアの手が見えない為何も反応をしない。
それを見たラムは思う。

(アールが眼鏡を壊して、見えないのが幸いか…)

それと同時に、アールの顔がすぐ近くにある事に気づくラム。
ラムは近づけば口づけも出来てしまう距離に、どんどん顔を赤くしていくのだ。

すると、アールはラムの赤い顔に気づく。

「ラム、どうしたんだ?顔が赤いぞ。…熱…か?」

アールはラムの心配をしてくれるのだが、アールの低く優しい声は今のラムには逆効果である。

「はぁ!?そんな事ねぇし!」

とラムは声を裏返す始末。
シナはその様子を見るとニヤニヤ。

「あらあら~」

と愉快そうにしていた。



森を抜け、暫く歩くと人影を見つける。
遠くに三人の人影。
三人の影の一つはこちらを見ると、ラム達の方にやってきた。

「うむ?やっと来たか。む…アール、また眼鏡を壊したのか?」

赤く長い髪を持つ女性で、紅い瞳を持つ。
宝石が埋められたカチューシャに、逆さの四分音符型ピアスを両耳につけている。
真っ白なドレスの袖はフィンガーレス・グローブの様になっており、更にラム達とお揃いのケープを着ている。
そしてケープにはラインが入っており、胸には星の飾り物もあった。
美しい彼女は、まるでお姫様みたいな容姿であった。

遠くにいた残りの人影も近づいてきていて、アールはラムから降りるとその人影に向かって歩く。
残りの人影は男女一人ずつで、アールは男性の方に向かった。

その男性は、水色のサラサラとした長くストレートな髪をしていた。
水色の透き通る様な静かな瞳。
さっきの女性とは別の美しさを感じさせる。
長い裾の左側を腰まで持ち上げ、星の飾り物で留めている。
勿論彼も白い服を着ており、ケープを着ていてラインまでついていた。
髪は長いが、彼は男である。

彼は急にニコニコすると、アールの肩をポンと叩く。
するとアールは、ケープで隠れた胸ポケットからスペアの眼鏡を取り出してかける。

「ただいま。」

とアールは彼に言うが、ラムは眼鏡につっこむ。

「おい!スペア持ってんじゃねぇか!」

「こっちは壊れていなかった。」

「はぁ!?」

ラムは怒ったように見せているが、内心近くに居れたので嬉しかったろう。

そして、最後に怪しい人が一人。ルネアは最後の女性が怪しくてならなかった。

前髪パッツンの緑の長髪を持つ彼女。
落ち着いた瞳は海のように深い青。
白いマーメイドドレスに、髪には星の飾り物。
彼女もケープを着ているが、彼女のケープにはボタンがついている。
勿論ラインはみんなと同様についている。

彼女はボーッとしており、自分の世界に入っている。
ルネアにとっては何を考えているか知った事ではないので、怪しい人にしか見えないのであった。

そこでシナは言った。

「リート、また妄想してるの?やめなさいよBLなんて~」

そのパッツンの女性、もといリートは赤面して慌てふためく。

ルネアはそれを見逃す事なく思う。

(この人腐女子か…)

ルネアの前に、アールと水色の男性が歩いてくる。

「そう言えば君は?ラム達とは知り合いなの?」

アールがそう言うと、ルネアは考えてしまう。

「う~ん、難しいですね。確かにラムとは知り合いになります。」

「はぁ?知らねぇよこんな奴!」

ラムは言い放つと、アールと水色の男性はラムを見てから再びルネアに視線を向けた。

「ラムはああ言ってるけど?」

いきなり口調が変わったアールに違和感を覚えるルネア。
さっきまで低く感情のこもらない声で話していたアールが、急に爽やかなお兄さん声を出したからだ。
ルネアは眉を潜めつつも言う。

「信じてくれるかわかりませんが…。
僕、実は未来から来たんです!四百年後から!」

すると、シナは信じられないのか大笑いしてしまう。
他は首を傾げていて、信じられない様子。
しかし前の二人だけは表情を崩さなかった。
アールは問う。

「なぜこの時代に?」

「未来のラムに言われたんです。過去を変えてきて欲しいって。
未来ではラムさんの仲間が、吸血鬼の魔物に殺されたのかな…「仲間を救って欲しい」って言われたんです。」

それを聴いたアールは、一瞬鋭い目をルネアに向ける。
ルネアはその反応を見逃さなかった。

(何か知ってる…?)

ルネアはそう思っているが、今は説明が先。
ここにいる六人に、自分がこの時代にやってきた経路を話すのであった。



話を一通り聴いた六人。
すると一番最初にツッコミを入れたのはラムだった。

「そもそも四百年後って生きてねぇから俺っ!」

するとアールは聞こえるか聞こえない声で呟く。

「あのラムの事だから有り得なくはないか。」

しかしラムには聞こえていたらしく、怒った形相で言った。

「はぁっ!?」

アールはラムの怒りはスルーで、自分の眼鏡を押し上げた。
そしてルネアに言う。

「続きは後で聞こう。」

アールはそう言うが、ラムはアールに無視された為睨んだまま。

そこで、シナが一つ提案をした。

「ねぇ!自己紹介しようよみんなで!
相手を疑って黙ってちゃなんも始まらな~い!まずはお互いを知りましょう!」

その意見に、水色の男性は嬉しそうに頷く。
なぜか水色の男性は、これまで一度も声を発していない。

こうして、六人と一人の自己紹介が始まるのであった。



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