六音一揮

うてな

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2章 接続独唱

第14音 一喜一憂

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【一喜一憂】いっきいちゆう
状況の少しの変化でも、
喜んだり不安になったりする事。

==============

ノノとルネアは帰宅すると、早速食堂へ足を運ぶ。

「ダニエル!魚を釣ってきたぞ!」

すると調理室からダニエルは顔を出して微笑んだ。

「あらノノ様ありがと~」

「今日はとびきりデカいの釣ってきたぞ!」

ノノが報告するのにルネアも便乗。

「僕も釣りました!…三匹だけだけど…。」

「あらルネアも~?いい経験になったんじゃな~い」

すると、ルネアはさっきの戦争の爆発音を思い出した。
ルネアは表情が優れなくなるが、ノノは獲ってきた魚をダニエルに渡す。
ついでにルネアの持ってきた魚もダニエルに渡すと、ルネアは呟いた。

「東の軍って、魔法使える人っているんですか?」

それを聴いたノノは目を丸くする。

「いるのではないか?一応、軍に入るのなら強い魔法を持った者も処刑は免れるからの。」

ルネアはそれに溜息をつくと、広い食堂にポツンと席に座っている少年を発見。
児童園の者は全員白い服を着ているが彼は着ておらず、蛍光色の水色の髪と同じ色の腕輪や首輪をつけている少年。
彼は自分の手を見つめてばかりで、何かしている様子ではない。
ノノはルネアの視線に気づくと言った。

「あれは~…誰じゃ?」

ノノが首を傾げると、ルネアは苦笑。

「知らないんですかぁ~?僕も知りませんけど…」

「初めて見る顔じゃ。最近来たのかの。」

ルネアはそれを聞いて挨拶をしてみる。

「こんにちは~…」

ルネアが挨拶をすると、その少年はルネアを見る。
すると目を閉じて軽く礼をすると言った。

「初めまして 今日からここでお世話になる」

ルネアはそれを聞いて目を輝かせると言った。

「あ、僕も最近来たばかりで…!知らない事があったら聞いてください!」

しかし彼は手を前に出して止める。

「いや 既にこの児童園のデータはインプット済みだ」

微妙な早口で言う。
ダニエルは調理室から顔を出すと言った。

「彼、昔ツウが拾われた時に一緒に拾われたロボットらしいの。
壊れてたらしいけど、ツウが最近直したから目覚めたのよね~」

「ロボット…!」

ルネアは感心し、ノノも驚いていた。
それからノノは何かを思いつくと、彼の元に来る。

「ならばお前も合唱団の一員じゃ!早速歌パートの適性を探るぞ、こっちに来るんじゃ。」

「ここでは合唱をするのか
わかった 向かうよ」

彼はそう言ってノノを食堂を出ると、ルネアはその後ろ姿を見ていた。
ダニエルは調理室から顔を出すと言う。

「あらルネア、ご飯はまだできないから外で遊んでらっしゃ~い」

「あ、は~い!」

ルネアはそう言って、なんとなく外に出る事にした。



ルネアは外を歩いていると、遠くでラムを発見。
更にその奥で、アールがラムへ向かってきてるではありませんか。

(これはラムの恋路を観察するチャンス…!)

するとルネアは駆け出し、できるだけ近くで見ようと隠れる場所を探した。
キョロキョロとするルネア。
しかし、隠れる場所がどこにもない事に気づいたルネア。

一方ラムは丁度アールを見つけて心の中で歓喜、早速呼ぶ事に。

対しアールはラムに気づいておらず、今後の睡眠時間が削れる懸念に怒り心頭だった。
アールは眼鏡を外して拭きつつ呟く。

「睡眠…」

(睡眠っ…!)

口も頭の中も睡眠でいっぱい。
そこで、ラムはアールを呼んだ。

「アール~!」

そしてルネアは思った。

(このままでは僕の存在がアールさんに見つかってしまう…!)

アールはラムの呼ぶ声に咄嗟に反応して振り向く。
彼の振り向く瞬間、ルネアはスライディングし、砂埃を立てつつラムの後ろに隠れた。
アールが振り向いた時にはルネアの姿はなく、代わりにルネアのクロークがはみ出て見えていた。
ただ、眼鏡をかけていないアールが気づく訳もない。

「ラムか。どうかしたか?」

アールはそう言いつつも眼鏡をかけると、ラムの周りに立つ砂埃が最初に気になった。
次に、ラムの白いズボンの横からはみ出る黒い布が気になって視線が外せない。

ラムはルネアに気づいていたが、

(アールに気づかれたくないのか…?)

と事情を察してはいないが大体察したので

「おい!聴いてるかアール!」

と強めにアールを再び呼んだ。
アールはその声に少し驚いた顔をして、ラムを見る。

「…すまない…。聞いてはいたが…、ラム…ごめん…。」

アールの表情は変わらないが、反省している様子。
しかし逆にラムが焦った様子になって言った。

「えっ!別に怒ってない!大丈夫だって!
落ち込むなよアール!えっと…
俺が謝りたくなんだろーがよっ!」

最後はツッコミ口調で答えたラム。
アールは何事もなかったかのように無表情になると、ラムは恥ずかしくなってくる。

「おい!本当に無視すんなよ!」

アールは返事の代わりに首を傾げる。
ラムは会話を考えていなかったので少し考えると言った。

「えっと…えっと、アールさ、最近夜中に外に出てるけど何かしてんの?」

「夜遊び。」

アールが即答すると、ラムはショックを受けた顔をする。

「アールが夜遊び…!?そんな…!よ、夜遊びなんて不良のする事じゃねぇか…!嘘だろアール!」

ルネアは首を傾げた。

(不良限定なのかそれ…)

「偏見が過ぎるぞラム。」

アールがそう言うと、ラムは首を横に振る。

「俺から見たらそんなヤツ不良だよっ!」

「私は寒いのが苦手なのに、なぜわざわざ夜遊びをしないといけない。」

「お前が夜遊びって言ったんだろうがよッ!」

ラムは会話に疲れると、アールはラムに近づいた。
ラムは近づいてくるアールに頬をピンクにすると、アールは言う。

「夜は危ない者が沢山いるぞ。」

「し、知ってるよ!」

ラムは夜の外がちょっぴり怖いのか、顔が強ばっていた。
それを見たアールは下を向いて言う。

「…坂の上で夜空を眺めているだけだ…。」

「そ、そっか…って!最初からそう言えよ!」

ラムはそう言うと、アールは顔を上げてラムの顔を見た。
アールの視線にラムはドキッと来るが、アールは暫くラムを見つめたまま。

「なななな何ッ!」

ラムが聞くと、アールは急に目を丸くしてラムから視線を逸らした。

「…ご、めん…」

アールはそう言うと、さっさと立ち去ってしまった。
ラムはボーッとしていると、ルネアは出てくる。

「今の無言タイムなんですか。」

「俺が知ってたら苦労しねぇよぉー…」

その時、シナが背後から二人を呼ぶ。

「アンタ達!私もバリカン探りに入れなさい!」

ラムは状況を掴めずにいると、ルネアは知っている理由を吟味せずに言った。

「いいよ!」

シナはそれに喜んでいると、ラムは自分だけが理解できていないことにイラついていた。

「詳しく教えろよ。」

ラムは低い声で言うと、ルネアは一通りの話をするのである。



ラムは一通り聞くと、急に否定。

「有り得ない!アールが裏切りだなんて!
シナは信じられんのかよ!アールはお前の弟みたいなもんだろ!?
アールは優しいヤツなんだぞ…!?口下手で無表情なだけなんだよ!」

シナは深刻そうな顔を見せると呟いた。

「私だって…信じたくない……わけないけど。」

「はぁっ!?」

ラムが怒った様子で反応すると、シナは言った。

「だってアイツ前々から様子が変だったもん。
虐めの件もあるし、何をしてもおかしくないわ。」

ラムはその言葉に絶望していると、ルネアはラムに聞く。

「ラムはアールの事好きだけどさ、なんで好きなの?」

それを聴いたシナは言った。

「ラムが物心ついた時から仲良くしてたのがアイツなのよ。
アイツにとってもラムは唯一の友達だったからね。ラムは虐めには気付けなかったみたいだけど。」

ラムは恥ずかしそうにしながら言う。

「無愛想な顔してっけど…本当は凄くイイヤツなんだぜ…?
結構馬鹿な事してるけど…たまにかっこよくて…!」

ルネアは笑う。

「あー、ギャップ萌えってヤツですね~」

ラムは頷くと言った。

「信じたくないけど…シナの言った事もわかる。
ずっと俺とアールは一緒に歌の練習とか遊んだりしてたけど、数年前めっきりなくなったというか…
ダメだ…!信じたくない…!嘘だって言ってくれアール…!」

ラムは頭を抱えてしまうと、シナは何かを思い出した顔をした。

「アールがおかしくなったのって、その虐めっ子に逆襲した日辺りなのよね。
あの日ね、ルカがアールのドッペルゲンガー見たんですって。」

「え。」

ルネアが驚くと、ラムは眉を潜める。

「アールは一人だぞ?」

「とりあえずアールにそっくりな人に会って、怖い思いをしたんですって。
あの時はアールは虐めっ子と喧嘩してたから、いるわけもないのよね。
ルカがアールを怖がる理由よ。」

ルネアとラムが震え上がると、ルネアは次に言う。

「瞬間移動…?」

「まめきちさんくらいよ。瞬間移動使えるの…」

シナが言うと、ルネアは苦笑。

(まめきちさん、瞬間移動使えるんだ…。)

話がまとまらない上に、意外な話を聞いてしまったルネアだった。

~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+

夜、ルネアは廊下を歩いていた。

(外にアールさんはいなかった…。今日はどこに行ってんだろ。)

すると、扉の前に佇むラムを発見。
それを見たルネアは青ざめた。

(まさかドッペルゲンガー…!?)

「ら…らむ?」

ルネアが話しかけると、ラムは振り向いてきた。

「なっ…ルネアかよ…。なんでこんな夜に私服?」

「本物のラムか…。えっと、アールさんが外に出るって噂を聞いて見に行っただけです。」

「アイツ、珍しく部屋で寝てる。」

ルネアはそれに悔しそうな顔を見せると、次に聞く。

「で、ラムは何してるの?」

ラムは不安そうな顔を見せると呟いた。

「アールが…本当に裏切るか心配で…。」

ルネアはラムと同じ顔をしてしまうと、

「僕もです…けど、」

急にラムの背中を軽く叩く。

「さあ、今夜は寝てください!美容です、ほら!」

ルネアの押しに違和感を覚えつつも、室内に帰るラム。
ラムは部屋に入ると、布団に寝ているアールへ真っ先に目がいく。
アールは普段は仏頂面を見せているが、寝ている時はとても穏やかな顔で寝る。
するとラムはつい微笑んでしまった。

(そう言えば、小さい頃はよくアールが子守唄歌ってくれたなぁ…。)

ラムはそう思いながらアールの近くでしゃがみ、アールを見つめる。

(二人一緒に過ごす時間が本当に楽しくって…
天然で抜けてていい加減な行動をする事があるけど、粘り強さや冷静さは確かなものなんだよな…。
…そんなアールが好きで…)

ラムはそこまで思うと、勝手に顔を赤くしてしまった。
更にラムは顔を逸らすが、すぐにアールに視線をやってしまう。
アールの肌を見ると、ラムは思った。

(いつもは首が隠れた制服着てるから、首の見えるパジャマだと色気ある…。)

ラムはそんな事を考えている自分に恥ずかしくなっていると、彼の首の傷が視線に入る。
ペルドにつけられた痕だ。
その不自然な痕に、大きな不安が押し寄せる。

(…アール…やっぱり何か隠してるんだな…)

その時、とめどない悔しさと悲しさが、ラムの中に渦巻いていくのがわかった。

そして、その部屋の窓から誰かが中を覗く。
ラムとアールを見つめる者が。



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