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2章 接続独唱
第28音 千言万語
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【千言万語】せんげんばんご
非常に沢山の声。
=======
大あくびをするルネア、さっき大泣きしたせいか眠気がある様子。
「そろそろ帰るぞ」
ラムがそう言うと、ルネアはそのまま寝転んでしまう。
「ちょっと昼寝させて。」
「このバカ…っ」
ラムはそう言って溜息を吐くと、辺りを見渡す。
すると、森の方に人影を発見。
「お前達…」
その人影は言った。
ラムは目を凝らしてよく見ると、それは吸血鬼ペルドだった。
「誰ですか?」
ラムが聞くと、ペルドはニヤリと笑う。
「アイツには襲わずに様子を見ろと言われたが、一人や二人…いいよな?」
ラムは小さく首を傾げると、ルネアもペルドの方を見た。
ペルドを見るとルネアは飛び起き、ラムの手を握る。
「ラム、逃げよ!この人は危険な人!」
「へっ?」
ラムは話が理解できないまま、ルネアに引っ張られて逃げ出す。
ラムは男性と手を繋ぐのは恥ずかしいのか、若干顔がピンク色。
さっきは自らハグしたというのに。
魔物は二人を逃げた方を見ると、物凄いスピードで追いかけてきた。
その狂気に満ちた瞳にラムは恐怖を覚えると、走る足にも力が入ってきた。
「ラム、走るの速くなった?」
ルネアが聞くと、ラムは言う。
「あんなの見たら嫌でも速くなるだろっ!」
それでも魔物の足は速く、このままでは追いついてしまう。
二人は木の前で急カーブし、勢いに乗った相手を翻弄して逃げた。
アールはルネア達がさっきいた崖の近くまで走ってくる。
アールは自分の手に胸を当てた。
(この妙な胸騒ぎ、ペルドの感情が高ぶっている…。
この高ぶり方は、餌にありついた時に似ている。)
アールとペルドは一体どういう関係なのかは不明だが、アールにはペルドの心の状態がわかるようだ。
(さっきの二人の声といい…二人はペルドに追われているのか…?)
悔しそうな顔をアールは浮かべると、すぐに森の方へと走っていく。
すると、ルネアが背負っていたバッグを発見した。
アールは走ったまま拾い上げると軽い事を確認、肩にかけてそのまま二人を探しに向かう。
ルネアとラムは、茂みに潜みつつ歩く。
今は丁度巻いたところで、児童園についた。
「おお!」
ルネアは感嘆の声をあげると、ラムも笑顔を見せる。
しかし、そんな二人の顔もすぐに変わった。
児童園の前に見知らぬ男性が立っているからだ。
しかしその男性の所持品に東軍のマークが記されていた為、それは東軍だと理解できた。
「東軍…?」
「うそ…まさかラムを探してるんじゃないよね…?」
ルネアは呆然としてそう言うと、ラムも一歩下がって呟く。
「わ…わかんない…!」
すると、その男性は二人に気づいた。
葉巻をくわえた男で、笑顔で二人に近づく。
「お~い!誰も出なくて困ってたんだ~」
そう、彼はアールの妨害魔法を解除した者。
「軍が何の用だ!」
ラムが構えると、男性は笑った。
「そんな驚くことも。
俺は最近近くに出来た基地の隊長でな、落ち着いてきたんで挨拶しに来たってわけよ。」
それに二人は安心しきってしまうと、男性は続ける。
「最近基地のシャッターが妨害魔法にやられてよ。心当たりあるか?」
男性の言葉に、二人は顔を見合わせて疑問符を浮かべた。
「知らねぇのか」
男性は笑ってそう言うと、続けて二人に近づいて言う。
「そう言えばよ、お前ら児童園の奴等って魔法力持ってんだろ…?」
そう言われると、二人はギクッとしてしまう。
血の気が引くのを感じ、男性を見つめたまま黙り込んでしまった。
アールは走っていると、ペルドが崖の近くで佇んでいるのを発見。
「ペルド様!」
アールが近づくと、ペルドはアールに怒りの形相を見せる。
「お前!折角餌にありつけたのに逃げられた!」
その口ぶりはまるで人のせい。
アールは正直安心してしまう、二人は無事だ。
「ったく、逃げ足の速い奴らだ。」
ペルドはそう愚痴をこぼしていると、アールはふと崖の下の戦火に沈む町を見つける。
アールは炎に巻かれた火を見ると、ふと心に込み上げるものを感じた。
意識が吸い込まれる感覚がし、アールは飲まれる前にその光景から目を逸らす。
(なんだ今の…。あの戦火を見てると…胸騒ぎがする…)
アールはあまり考えるのはやめ、ペルドに言った。
「ペルド様、おおごとになってからでは遅いと思いますが。」
「知らん!食いたかった!」
ペルドの主張にアールは心底呆れ、魔物は危険な生物だと思うアールだった。
ルネアとラムは、隊長の言う事が図星すぎてなんとも言えなくなる。
「はいぃ?」
ラムは怪しませまいと、咄嗟に言ってみた。
「人外が集まってるって噂だぜ?殺さないから言ってみろ、
内部的な話になるけど、近々魔法大戦をするって話が上がってる。」
それにラムは驚いて言った。
「魔法大戦!?それじゃもっと恐ろしい事態になるだろ!」
「ああ、でもそのくらい本気の戦争だ。
君達に協力してもらう日があるかもな、妨害してきた子と毎回魔法暴走する子によく言っといてくれ。」
隊長はそう言うと、早々と帰ってしまう。
(魔法妨害…)
ラムは考えていた、ルネアはラムの様子を見た。
「アール…」
ラムの呟きに、ルネアは反応。
「まさか、その妨害した人って…?」
それに対し、ラムは頷いた。
「アイツ、防御魔法が得意なんだ。防御魔法って、妨害魔法が得意な奴が多いんだ。
そこそこ魔法力もあるから…もしかしたら…」
「じゃあラムとアールさんによく言っておけって話ですね?」
ルネアの言葉に、ラムは不穏な顔を一切歪めない。
「今までの戦争は武器と武器のぶつかり合い。でも魔法戦争となると、戦闘の形が一気に増える。
呪い、魔術、妨害、攻撃、召喚術、種類が豊富すぎて厄介な戦争になる。
だから魔法戦争は昔から禁止されていたんだ。」
ルネアの顔色も悪くなってくると、ラムは続ける。
「近くの星では…魔法戦争によって広大な自然が半壊し、多くの生物が死に絶え…今もその状況が続いてるって話だ。」
「そんな…!」
二人は黙り込んでしまう。
その時だ、後ろの茂みからバサッとアールが出てきた。
二人は驚いて声も出ず、アールの顔を見る。
アールの頭には数枚の葉っぱが乗っていた。
アールは二人の顔を見ると、首を傾げた。
するとラムが笑ってしまい、ルネアも釣られて笑う。
アールは話が読めないでいると、頭に乗っていた葉が落ちるのでその葉を見つめていた。
「あんた達~!」
そこに、シナが走ってくる。
「探してたのよ!生きてて良かった…」
シナは安心したのか笑ってしまうと、二人は苦笑いで謝罪をする。
『ごめんなさい。』
「はいはい、今度から気をつけて。」
シナは軽く説教をすると、次にアールのショルダーバッグを見て言った。
「あれ、それツウのバッグよ?」
「あ!僕が借りました!」
ルネアが言うと、シナは
「は?」
と言う。
次にルネアはアールに言った。
「あの、アールさん、実はさっき東軍の隊長さんが来てて…」
アールはその言葉を聞くと、一瞬だけ反応するのだった。
話を聞いたアールはショルダーバッグを膝の上に乗せ、しゃがんだ状態で言う。
「魔法戦争が仮に始まった場合、どう考えてもラムの魔法力がこの地上の生物の魔法力に劣る訳がないからな。
戦勝は目に見えてるだろう。」
ルネアは目を輝かせていた。
「ラムの力ってそんなに凄いんだー!」
しかしシナはアールの頭を軽く叩いた。
「なんで戦う方向に話を持ってくのよっ」
「まずごく一般の私達が戦争を止めるなど不可能だろう。
他星でも戦争は盛んで、武器なんぞいくらでも手に入る。
その隊長の口ぶりだと、こちらを戦争に巻き込むのは目に見えてる話だ。」
「どこの星も戦争…してるんだ…」
ルネアが落ち込んだ顔をしていると、アールはルネアを見てから言う。
「どの星も、昔から種族の混在により、争いが生まれるんだ。」
一同は黙り込んでしまうと、シナは耳を塞ぎながら言った。
「て言うかそのオッサンなんなのよ!物凄く怪しい!」
それに対しラムは言う。
「ある程度強い魔法力を持った隊長さんだった。
軍で強い魔法力を持った人を導入してるって事は…やっぱり嘘じゃねぇのかな…」
するとシナは更に言う。
「私達に戦わせる気なのそのオッサン!こっちにはか弱い女達がいるのよ!」
しかしアールは言った。
「普通の戦争では女は行かないが、魔法戦争では進んで行かされる。
男より、女の方が魔法の扱いが上手いという研究データも出ているという話だからな。」
シナは眉を潜めて黙り込んでしまうと、ラムは笑顔を見せる。
「そんなに俺の力が凄いってなら!いっそ俺達が両軍懲らしめるとか!
こっちが主導権握っちゃえばこっちのもんだぜ!」
ラムは勢いで言ったが、すぐに無謀だと思ったのか無表情になった。
ルネアはクスッと笑ってしまうと、シナは言う。
「大革命でも起こしましょうよ!周りのみんなを味方にしてさ!」
「無駄な気がする。」
アールはそう呟くと、更に言った。
「まずは魔法力のある者の能力開花における政策を、軍は行いそうだな。」
するとシナはアールを嫌な目で見る。
「なんでそうやって争い前提に話を持ってくの…」
「できるかできないかはまめきちさんに聞いてみましょう!」
「そうね。」
ルネアとシナはそう話していると、アールは一人考える。
(魔法戦争か…厄介な事をしてくれるものだ。
またラムが危険にさらされる…。)
と、やっぱりラムの事を考えていた。
そして、園長室のまめきちさんに相談するとまめきちさんは言う。
「大革命…ね。いいけど。」
ルネアとシナとラムは喜び、アールは浮かない様子。
「でも、君達はあくまで合唱団。人々の心に訴える歌で勝負というのはどうだろう。」
それにシナは乗り気。
「いいわよ!あんな東軍の歌なんて歌ってらんないもん!
もっと人々の心に訴えかけられる様な歌を歌いたい!」
ラムやルネアも真剣な眼差しで頷くと、まめきちも頷いた。
「じゃあ手配をしておこうか。児童園のみんなにも協力してもらう事になりそうだ。」
「よっしゃー!」
ラムは喜んでいると、アールはまめきちを睨みつけている。
まめきちはそんなアールの視線を感じると、軽く溜息をつくのであった。
非常に沢山の声。
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大あくびをするルネア、さっき大泣きしたせいか眠気がある様子。
「そろそろ帰るぞ」
ラムがそう言うと、ルネアはそのまま寝転んでしまう。
「ちょっと昼寝させて。」
「このバカ…っ」
ラムはそう言って溜息を吐くと、辺りを見渡す。
すると、森の方に人影を発見。
「お前達…」
その人影は言った。
ラムは目を凝らしてよく見ると、それは吸血鬼ペルドだった。
「誰ですか?」
ラムが聞くと、ペルドはニヤリと笑う。
「アイツには襲わずに様子を見ろと言われたが、一人や二人…いいよな?」
ラムは小さく首を傾げると、ルネアもペルドの方を見た。
ペルドを見るとルネアは飛び起き、ラムの手を握る。
「ラム、逃げよ!この人は危険な人!」
「へっ?」
ラムは話が理解できないまま、ルネアに引っ張られて逃げ出す。
ラムは男性と手を繋ぐのは恥ずかしいのか、若干顔がピンク色。
さっきは自らハグしたというのに。
魔物は二人を逃げた方を見ると、物凄いスピードで追いかけてきた。
その狂気に満ちた瞳にラムは恐怖を覚えると、走る足にも力が入ってきた。
「ラム、走るの速くなった?」
ルネアが聞くと、ラムは言う。
「あんなの見たら嫌でも速くなるだろっ!」
それでも魔物の足は速く、このままでは追いついてしまう。
二人は木の前で急カーブし、勢いに乗った相手を翻弄して逃げた。
アールはルネア達がさっきいた崖の近くまで走ってくる。
アールは自分の手に胸を当てた。
(この妙な胸騒ぎ、ペルドの感情が高ぶっている…。
この高ぶり方は、餌にありついた時に似ている。)
アールとペルドは一体どういう関係なのかは不明だが、アールにはペルドの心の状態がわかるようだ。
(さっきの二人の声といい…二人はペルドに追われているのか…?)
悔しそうな顔をアールは浮かべると、すぐに森の方へと走っていく。
すると、ルネアが背負っていたバッグを発見した。
アールは走ったまま拾い上げると軽い事を確認、肩にかけてそのまま二人を探しに向かう。
ルネアとラムは、茂みに潜みつつ歩く。
今は丁度巻いたところで、児童園についた。
「おお!」
ルネアは感嘆の声をあげると、ラムも笑顔を見せる。
しかし、そんな二人の顔もすぐに変わった。
児童園の前に見知らぬ男性が立っているからだ。
しかしその男性の所持品に東軍のマークが記されていた為、それは東軍だと理解できた。
「東軍…?」
「うそ…まさかラムを探してるんじゃないよね…?」
ルネアは呆然としてそう言うと、ラムも一歩下がって呟く。
「わ…わかんない…!」
すると、その男性は二人に気づいた。
葉巻をくわえた男で、笑顔で二人に近づく。
「お~い!誰も出なくて困ってたんだ~」
そう、彼はアールの妨害魔法を解除した者。
「軍が何の用だ!」
ラムが構えると、男性は笑った。
「そんな驚くことも。
俺は最近近くに出来た基地の隊長でな、落ち着いてきたんで挨拶しに来たってわけよ。」
それに二人は安心しきってしまうと、男性は続ける。
「最近基地のシャッターが妨害魔法にやられてよ。心当たりあるか?」
男性の言葉に、二人は顔を見合わせて疑問符を浮かべた。
「知らねぇのか」
男性は笑ってそう言うと、続けて二人に近づいて言う。
「そう言えばよ、お前ら児童園の奴等って魔法力持ってんだろ…?」
そう言われると、二人はギクッとしてしまう。
血の気が引くのを感じ、男性を見つめたまま黙り込んでしまった。
アールは走っていると、ペルドが崖の近くで佇んでいるのを発見。
「ペルド様!」
アールが近づくと、ペルドはアールに怒りの形相を見せる。
「お前!折角餌にありつけたのに逃げられた!」
その口ぶりはまるで人のせい。
アールは正直安心してしまう、二人は無事だ。
「ったく、逃げ足の速い奴らだ。」
ペルドはそう愚痴をこぼしていると、アールはふと崖の下の戦火に沈む町を見つける。
アールは炎に巻かれた火を見ると、ふと心に込み上げるものを感じた。
意識が吸い込まれる感覚がし、アールは飲まれる前にその光景から目を逸らす。
(なんだ今の…。あの戦火を見てると…胸騒ぎがする…)
アールはあまり考えるのはやめ、ペルドに言った。
「ペルド様、おおごとになってからでは遅いと思いますが。」
「知らん!食いたかった!」
ペルドの主張にアールは心底呆れ、魔物は危険な生物だと思うアールだった。
ルネアとラムは、隊長の言う事が図星すぎてなんとも言えなくなる。
「はいぃ?」
ラムは怪しませまいと、咄嗟に言ってみた。
「人外が集まってるって噂だぜ?殺さないから言ってみろ、
内部的な話になるけど、近々魔法大戦をするって話が上がってる。」
それにラムは驚いて言った。
「魔法大戦!?それじゃもっと恐ろしい事態になるだろ!」
「ああ、でもそのくらい本気の戦争だ。
君達に協力してもらう日があるかもな、妨害してきた子と毎回魔法暴走する子によく言っといてくれ。」
隊長はそう言うと、早々と帰ってしまう。
(魔法妨害…)
ラムは考えていた、ルネアはラムの様子を見た。
「アール…」
ラムの呟きに、ルネアは反応。
「まさか、その妨害した人って…?」
それに対し、ラムは頷いた。
「アイツ、防御魔法が得意なんだ。防御魔法って、妨害魔法が得意な奴が多いんだ。
そこそこ魔法力もあるから…もしかしたら…」
「じゃあラムとアールさんによく言っておけって話ですね?」
ルネアの言葉に、ラムは不穏な顔を一切歪めない。
「今までの戦争は武器と武器のぶつかり合い。でも魔法戦争となると、戦闘の形が一気に増える。
呪い、魔術、妨害、攻撃、召喚術、種類が豊富すぎて厄介な戦争になる。
だから魔法戦争は昔から禁止されていたんだ。」
ルネアの顔色も悪くなってくると、ラムは続ける。
「近くの星では…魔法戦争によって広大な自然が半壊し、多くの生物が死に絶え…今もその状況が続いてるって話だ。」
「そんな…!」
二人は黙り込んでしまう。
その時だ、後ろの茂みからバサッとアールが出てきた。
二人は驚いて声も出ず、アールの顔を見る。
アールの頭には数枚の葉っぱが乗っていた。
アールは二人の顔を見ると、首を傾げた。
するとラムが笑ってしまい、ルネアも釣られて笑う。
アールは話が読めないでいると、頭に乗っていた葉が落ちるのでその葉を見つめていた。
「あんた達~!」
そこに、シナが走ってくる。
「探してたのよ!生きてて良かった…」
シナは安心したのか笑ってしまうと、二人は苦笑いで謝罪をする。
『ごめんなさい。』
「はいはい、今度から気をつけて。」
シナは軽く説教をすると、次にアールのショルダーバッグを見て言った。
「あれ、それツウのバッグよ?」
「あ!僕が借りました!」
ルネアが言うと、シナは
「は?」
と言う。
次にルネアはアールに言った。
「あの、アールさん、実はさっき東軍の隊長さんが来てて…」
アールはその言葉を聞くと、一瞬だけ反応するのだった。
話を聞いたアールはショルダーバッグを膝の上に乗せ、しゃがんだ状態で言う。
「魔法戦争が仮に始まった場合、どう考えてもラムの魔法力がこの地上の生物の魔法力に劣る訳がないからな。
戦勝は目に見えてるだろう。」
ルネアは目を輝かせていた。
「ラムの力ってそんなに凄いんだー!」
しかしシナはアールの頭を軽く叩いた。
「なんで戦う方向に話を持ってくのよっ」
「まずごく一般の私達が戦争を止めるなど不可能だろう。
他星でも戦争は盛んで、武器なんぞいくらでも手に入る。
その隊長の口ぶりだと、こちらを戦争に巻き込むのは目に見えてる話だ。」
「どこの星も戦争…してるんだ…」
ルネアが落ち込んだ顔をしていると、アールはルネアを見てから言う。
「どの星も、昔から種族の混在により、争いが生まれるんだ。」
一同は黙り込んでしまうと、シナは耳を塞ぎながら言った。
「て言うかそのオッサンなんなのよ!物凄く怪しい!」
それに対しラムは言う。
「ある程度強い魔法力を持った隊長さんだった。
軍で強い魔法力を持った人を導入してるって事は…やっぱり嘘じゃねぇのかな…」
するとシナは更に言う。
「私達に戦わせる気なのそのオッサン!こっちにはか弱い女達がいるのよ!」
しかしアールは言った。
「普通の戦争では女は行かないが、魔法戦争では進んで行かされる。
男より、女の方が魔法の扱いが上手いという研究データも出ているという話だからな。」
シナは眉を潜めて黙り込んでしまうと、ラムは笑顔を見せる。
「そんなに俺の力が凄いってなら!いっそ俺達が両軍懲らしめるとか!
こっちが主導権握っちゃえばこっちのもんだぜ!」
ラムは勢いで言ったが、すぐに無謀だと思ったのか無表情になった。
ルネアはクスッと笑ってしまうと、シナは言う。
「大革命でも起こしましょうよ!周りのみんなを味方にしてさ!」
「無駄な気がする。」
アールはそう呟くと、更に言った。
「まずは魔法力のある者の能力開花における政策を、軍は行いそうだな。」
するとシナはアールを嫌な目で見る。
「なんでそうやって争い前提に話を持ってくの…」
「できるかできないかはまめきちさんに聞いてみましょう!」
「そうね。」
ルネアとシナはそう話していると、アールは一人考える。
(魔法戦争か…厄介な事をしてくれるものだ。
またラムが危険にさらされる…。)
と、やっぱりラムの事を考えていた。
そして、園長室のまめきちさんに相談するとまめきちさんは言う。
「大革命…ね。いいけど。」
ルネアとシナとラムは喜び、アールは浮かない様子。
「でも、君達はあくまで合唱団。人々の心に訴える歌で勝負というのはどうだろう。」
それにシナは乗り気。
「いいわよ!あんな東軍の歌なんて歌ってらんないもん!
もっと人々の心に訴えかけられる様な歌を歌いたい!」
ラムやルネアも真剣な眼差しで頷くと、まめきちも頷いた。
「じゃあ手配をしておこうか。児童園のみんなにも協力してもらう事になりそうだ。」
「よっしゃー!」
ラムは喜んでいると、アールはまめきちを睨みつけている。
まめきちはそんなアールの視線を感じると、軽く溜息をつくのであった。
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