六音一揮

うてな

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3章 即興間奏

第31音 粗衣粗食

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【粗衣粗食】そいそしょく
質素な暮らしの事の形容。

===========

朝早くから、児童園の廊下は騒がしい。
ルネアは目が覚めて廊下を覗くと、ダニエルが小走りしていた。

「あらルネアおはよ~」

ダニエルは笑顔で通り過ぎたが、ルネアは首を傾げる。

(マイペースなダニエルさんが小走り…)

そこに、ラムが起きて後ろから言った。

「ルネア起きてたのか。
今日はまめきちさんが俺らパートリーダーとルネアを連れてどこか行くらしい。
長い道のりになるからって、準備しろよ。」

ラムはそう言って着替えていると、ルネアは言う。

「どこに!?」

「さあな。シナも起きろ~」

ラムは布団に潜ったシナに言うが、シナは起きてこない。

「や~んまあだ」

「仕方ねぇ奴だな。俺は他のみんなを起こしに行くわ。」

「あ、じゃあ僕も!」

ルネアはラムについていき、パートリーダーを全員起こしに行く事にした。
廊下に出ると、テナーがテノ達の部屋の前にいた。
なんだか深刻そうに扉の先を見つめているので、二人も一緒になって見る事に。
テノは起きていて、なんと布団に寝たままのアールを蹴り飛ばしていた。

「コイツッ!全く起きねぇんだよクソッ!」

ルネアは苦笑し、ラムはアールの身を心配していた。
するとアールは布団から出て、タンスへと向かう。
その時にテノの肩にぶつかるが、謝りもなしに着替えを始めた。

「おいッ!アルにゃんちょっと表出ろッ!」

テノは怒ったのかそう言うと、アールは言う。

「後で皆で外に出るだろう。その時まで待てないのか。」

「そうじゃねぇんだよ…ッ!」

テノは歯を食いしばって言うと、アールは着替えを終えてテノを素通り。
みんなの元にやってきた。

「待たせた。」

「全然待ってないぜ。」

ラムが言うと、テナーは笑顔で頷いた。
一同が廊下に出ると、レイはこっそり布団からその様子を覗いていた。
そしてレイも布団から出てくると、こっそり後をつけるのだ。

ラム達は廊下に出ると、丁度リートとノノに会う。
挨拶を終えると、ノノは言った。

「みんな来たし、朝飯でも行くかの!」

「あ、シナ…」

ラムが呟くと、ノノは眉を潜める。

「あやつはまだ寝ておるのか。うーむ、だらしのない奴じゃ。」

ノノはそう言うと、小走りでシナの部屋に行くのだった。
ルネアはふとアールに呟いた。

「アールさんもだらしないですよね。」

「そうか。」

アールは淡々と答えると、ルネアは今頃になって失礼を言った事に気づいて反省。
ただアールは何事もなかったような顔をしているので、謝りにくい雰囲気だ。

(ルネア言ってくれるな。)

と、アールはちゃんと怒っていたが。
ノノはシナの部屋に入ると言った。

「シナ!朝じゃ!ぐうたらしてないで起きろ!」

シナは暫く黙っていたが、ノノがあちこち歩き回って足音を鳴らす。
それに我慢ができなくなって、シナは布団を勢いよく剥がし言った。

「ぐうたらじゃないわよっ!マイペースよマイペース!」

シナの怒った様子に、ノノは言う。

「シナの場合はあまり変わらん。」

「うっさいわねー。
アンタいつもは自由なくせに、こういう時だけ生真面目になって調子狂うわ~」

シナは呆れた様子で着替えていると、ノノは眉を潜めた。

「ケジメじゃ」

「ルールを遵守するだけの遵守馬鹿。頭堅くなんないの?」

その言葉にノノはなんとも思わなかったが、一名だけダメージを受けていた。
ラムだ。

「遵守馬鹿…」

するとノノは、何食わぬ顔で言う。

「私はそこまで遵守してるつもりはないがの」

シナは調子が狂った顔をし、遵守馬鹿のレッテルを貼られたラムは暫く呆然としていた。



食堂にやってくると、ダニエルは食堂の机の上に置いた大きな炊飯器のご飯を握り飯にしていた。
ルネアはダニエルの元に駆ける。

「お手伝いします!」

「俺も手伝うよ。」

ラムも進んで協力に行くが、ノノは朝食を取りにやってきた。
シナはリートの隣に座って言う。

「朝ご飯、私食べないのよねー」

「食べましょうよ!元気出ませんよ!」

ルネアが言うと、ラムは言った。

「朝起きるのが苦手な奴は大抵朝飯食わないんだよ。」

すると、ノノは朝食を得たので食堂の机に座って手を合わせた。

「いただきます!」

元気なノノを見つめる一同、テノは言う。

「朝飯食うと動きが鈍くなんねぇ?」

テナーはお腹をさすって腹いっぱいになるアピール。
リートは呟く。

「ふ、太りたくないっ」

「私はめんどくさい。」

シナは意味不明の理由だ。
朝食の話をしていると、アールはこっそりダニエルの握ったおにぎりを一つ手に取る。
そして近くの机に隠れて三角座りをすると、小さな声で言った。

「いただきます。」

そして一口いただくと、テノがそれに気づいて怒り出す。

「それ俺らの昼だぞアルにゃんッ!」

ダニエルはアールに癒されてるのか言った。

「あら~可愛いわねぇ。お昼の分だけどいいの?みんな怒るわよ~」

ダニエルの言葉にアールはふと、みんなの様子を伺う。
テノは怒り、シナは呆れ顔、ルネアも苦笑していたが、他はあまり気にしてない様子。
アールは下を向いてしまうと小声で言った。

「ダニエルのご飯…美味しい…から…。」

そう言うと、アールは食べたおにぎりを持って逃走。
一同は微笑んでしまうと、ダニエルはデレデレ。

「あらいい子~!嬉しいじゃなあい?彼女にしたいわ~」

と、ダニエルは残りの握りを作り始めた。
ルネアはふと思う。

(オカマなのに彼氏じゃなくて彼女…)

そこにツウとルカとユネイがやってきた。

「お、ダニエルお疲れ山頂!」

ルカは独特な挨拶をすると、ダニエルは言う。

「ありがと~」

ツウはルネア達を見て聞いた。

「王子達どうしたの?朝早くから。」

するとルカはツウの服を引っ張ってコッソリ言う。

「今日はまめきちさんに連れられてどこかに行くんだって!」

「へぇ」

「四人はなんで?」

ルネアが聞くと、ユネイは説明した。

「僕達も今日は予定があるんだ
マスター達は度々他の町に行って歌を披露する
今回は僕達とダニエルを合わせて四人で向かうんだ」

ユネイの早口にルネアは苦笑しつつも、ルカはかっこつけて言う。

「戦時…闇に落ちる美しき心…。
俺達はその闇を少しでも晴らしてあげたいが為に向かう!」

単純なルネアは目を輝かせ、シナは呆れている様子だった。
ダニエルはルンルンで握り飯を作り終え、エプロンを脱ぐ。

「ソプラノ・アルト・テノール・バスで構成されるから、私も晴れて今日だけはバス入りなのよ~」

ダニエルは自分のケープを指し、バス特有の紫かかった白のケープを見せた。

「色が変わってる!」

ルネアが感心すると、ルカは頭巾を出す。

「でも町の人に俺達が人外ってバレちゃノンノン。
俺は頭巾を被って耳を隠し、ツウはフードとゴーグルで頭と目を隠す。」

「頭と目?」

ルネアは首を傾げると、ラムは言った。

「ツウは目立つ見た目してるだろ?
そのせいで過去に一度、奴隷商人に捕まりそうになった事があんだよ…ダニエルが助けたけど。」

『ダニエルが助けた』と言う言葉でつい吹いてしまうルネア。
ツウは帽子とゴーグルを付けて見せると、ルネアは目を輝かせた。

「そ、組織感あってカッコイイ…!」

ルネアはそう言っているので、ツウとルカとダニエルは笑ってしまう。
ダニエル達は、お昼の分の握りをいくつか貰う。
それから四人は、発声する。
ダニエル、ルカ、ツウ、ユネイの順に声を出した。
低い声から高い声になっていき、四人のハモリに一同は目を丸くした。

『C4、行ってきます!』

四人はそう言うと、みんなに手を振って児童園を後にした。

『行ってらっしゃい!』

他のみんなも挨拶を終えたところで、ラムはみんなに聞く。

「そろそろ俺らも行くか?」

するとテナーは大きく頷き、手を挙げてみんなの気を引こうとするが…

「オラッ!行くぞテメェら!俺について来いッ!」

とテノにその役を奪われてしまった。
ノノは朝食を終えたようで、テノに並んでついていく。
シナもその後ろについていくと言った。

「リート行きましょー」

「うん。」

リートはシナの後についていくと、ルネアもテンションが上がる。

「今日は初めての遠出だ…!行ってきます!」

テナーは役を奪われた事を少し引きずりながらも、小走りで二人についていく。
そしてラムとアールは、おにぎりなどの荷物を持って最後尾についていくのであった。
竜のイーちゃんもなぜかアールの頭に乗ってついていく様子。
更にはレイも、一同に気づかれないように尾行するのであった。



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