六音一揮

うてな

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5章 諧謔叙唱

第66音 胡馬北風

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【胡馬北風】こばほくふう
故郷を懐かしむことのたとえ。

===========

一同が食堂で集まっていると、そこにまめきちがやってきた。
まめきちはみんながいる事を知ると言う。

「よくみんな集まってくれた。
今日はね、君達に大事な頼みがあって集まってもらったんだ。」

一同は首を傾げた。
まめきちは続ける。

「君達は戦争を止める為に、歌で伝えると言ったよね?」

その言葉に、一同は同時に頷く。

「その為には、もっと多くの人に聞いて欲しくはないかね?君達の歌を。」

それを聞くと、全員が目を輝かせた。
ちなみにレイやユネイは普段通りだが、アールは少し興味がある様子。
テノは席から立って言った。

「どうやって!?」

「それはね?」

そう言うと、まめきちはツウに視線をやった。
ツウはまめきちと目が合うと、ニコニコ笑ってまめきちの隣に立った。
するとまめきちは背後から、一本の長い棒を出す。
ツウはその棒に何かを取り付け、あっという間にスピーカーとなってしまった。
するとまめきちは言う。

「これはスピーカーだ。
君達の声を、遠くの星まで届ける物だ。」

それを聞き、更にパートリーダー達の目が光る。
テノは早速言った。

「つまりは、色んな星にこのスピーカーを設置すりゃいいんだろ!」

「話が早いね、やっぱりテノは。」

まめきちが言うと、ルカは目を細めて言う。

「沢山の人に歌を聞いてもらえるパートリーダー達が羨ま~。でもま、良しとしますか~。」

するとまめきちは言った。

「私は幾つかの星を回るから、君達は三人か二人ひと組になって他惑星へ向かって欲しいんだ。
どこでもいいから、自由に決めちゃってくれ。旅行とでも思って行ってきなさい。」

それを聞き、一同は目を輝かせる。

「但し、戦争してる星もあるだろうから行動は慎重に。
ちゃんと現地の許可は取ってくるように。」

『はぁーい』

と一同は返事をした。

ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+

ルカ達の部屋にて。
ルカは椅子に座りながらもボーッとしていた。

「どこ行くー?てか、三人だけって誰か離れ離れっしょ。」

するとダニエルは言った。

「あら、私は先客がいるから。
ルカとツウとユネイでどっか行ってらっしゃ~い。」

「え~?」

ルカが言うと、ユネイは頷いた。

「行ってらっしゃい」

「も~、まだ行かないわよ~」

ダニエルの言葉に、ルカは笑っていた。
が、先程からツウが静かなのが気になる。

「ツウ?どうしたっちょ?」

そう言ってルカがツウに近づくと、ツウは真剣な表情をしていた。
ルカは首を傾げると、ツウは言う。

「これを見て欲しいんだ。」

と言って出したのは、古びた一枚の手紙。
中身を見ても、読めない言語だった。

「どこの手紙?読めないん。」

「この手紙は、まめきちさんが僕を拾った時に僕が持っていた物なんだ。
最近この手紙の存在を思い出して、ユネイに読んでもらったんだけど…」

すると、ユネイは手紙の内容を読んだ。

「【北の海は、敵の支配下にあります。
誰か、この子を拾ってあげてください。
この子の名はツウタム・レジスと言います。】」

それを聞いたルカは驚いた。

「どういう事!?」

するとツウは言った。

「わからない。
だから、僕は自分の目で確かめたくって。
きっとこの手紙、僕の親が書いた物だろうから…。」

ツウは手紙をそう言って眺めた。
ユネイは言う。

「敵…か
マスターの種族もとい【パシア族】の天敵は
暴食怪魚と呼ばれる【プレティルナ】しか思いつかないよ
プレティルナはパシア族を代々食い潰してきた魚だから」

それを聞くと、ルカは強く反応した。
ルカは思わず考えた。

(そのプレティルナって…まさか俺と同じ種族の…?
まめきちさん、俺はツウの天敵だって言ってたし…!)

ルカが顔を真っ青にしていると、ツウは真摯な顔をした。

「もしそうなら、プレティルナから仲間を助けなきゃ。
そうでもしないと、故郷のみんなに児童園の歌なんて聞かせられないよ。」

「そうですね」

と相槌をするユネイ。
ダニエルは黙って話を聞いていたが、ルカの様子が気になった。

「ルカ?」

するとルカは反応し、すぐに愛想笑い。
ルカはツウに言った。

「よし!じゃあその手紙の真相を突き止めるっちょん!」

「うん!」

とツウは言った。
ルカも笑顔で頷く中、ユネイはルカの方をジッと見つめているのであった。

*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー

数日後。
ルカとツウとユネイは、まめきちの移動魔法でツウの故郷へやってきていた。
惑星の名はなく、町という町も、国という国もない星だ。
ルカはかなりの厚着で、ツウとユネイは普段の格好に長靴だった。
まめきちは心配した様子で言った。

「大丈夫かい?
危険を感じたらすぐに逃げるんだぞ、私も優先的に見に行くから。」

それに対し、ツウは笑顔。

「大丈夫!こっちにはルカ兄もユネイもいるんだよ!」

それを聞くと、まめきちは困った表情だったが微笑んだ。

「そうか。頑張ってね。」

まめきちは一瞬ツウとルカを見たが、すぐに魔法で消えてしまった。
ツウは歩き出すと言う。

「まずは北の海だね、行こう。」

するとルカは寒さでブルブル震えながらも言った。

「ここ、一面氷の床ばかりだなぁ。
海は本当にあるの?」

「大昔はかなり海が広かったらしいけど、この温度で海が凍ってきているんだって。
だから今じゃ、海は北と南にしかないんだ。」

「へぇ…」

ルカが言っていると、ユネイは言う。

「足元も気をつけてマスター
僕に組み込まれた情報によるとプレティルナは氷の膜も破って襲ってくる」

「本当に?」

ツウが言っていると、どこからか声がした。

「本当だよ…?」

地面から鈍く響く、女性の声。
ツウとルカは思わずキョロキョロすると、ユネイは氷の床を見て言った。

「下からです」

すると氷の床は割れ、その下は海。
海から巨大な黒い魚が襲いかかってきた。
鋭い歯に、痛々しい尾びれ。

ユネイはツウを抱いてそれを避けたが、ルカはやっとの思いで一人で逃げ切った。

「ななななにこれ~!?」

ルカが言うと、ユネイは言う。

「これがプレティルナだ」

「冷静に言わんといてっ!」

ルカは涙目でそう言った。
ツウは言う。

「ルカ兄大丈夫!?」

「もちのろんでござんす!」

ルカが言うと、ツウは安心した。
プレティルナは、ツウを見ると笑った。

「生きたパシアを見たのは久々だな。」

そう言われ、ツウは驚いた様子。

「久々って…僕らの種族を見てないの?」

「見ていないも何も…」

とプレティルナは言うと、ルカを見て驚いた様子を見せた。
ルカはプレティルナに見られて背筋が凍ると、プレティルナは言う。

「やっぱり…!」

「ん?」

ルカは思わぬ反応に目を丸くすると、プレティルナは急にルカに向かってきた。
ルカは驚き、ツウはユネイに言う。

「ユネイ!ルカが危険だ!」

しかし、ユネイは落ち着いた様子で言った。

「いいえ」

プレティルナはルカの服に噛み付いて掴むと、そのまま海に引きずり込んだ。

「うわあああああ!!!」

ルカが言うと、ツウは思わず叫ぶ。

「ルカ兄!!
ちょっとユネイ!」

暴れるツウを、捕まえたままのユネイ。
ユネイは言う。

「マスターも知ってるだろう
ルカはプレティルナだから殺されない」

そう言われ、ツウは俯く。
どうやらツウは、ルカがプレティルナの血を引く事を知っていた様だ。
そして、ルカが連れて行かれるのを見ていた。

「知ってる…。
ルカ兄は、プレティルナとパシア族のハーフ…。
昔、まめきちさんから聞いた。」

「ならば大丈夫な事もわかるはず」

ユネイはそう言ったが、ツウは黙っていた。
ツウはルカが落ちた海を見つめた。
深い青色をした海を見つめる。

「ルカ兄…本当に大丈夫かな…」



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