相剋のドゥエット

うてな

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03 魔術科学園

029 試練の部屋を突破しろ。

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フューレンは二つに分かれた穴の、右側に行く。
光を灯しながら進んでいくと、奥からアイナの悲鳴が聞こえてきた。

「助けてーーー!!」

「アイナ!」

フューレンはファルケを急がせると、アイナがいる部屋まで到着。
なんとアイナは、床がニンニクで詰められた部屋にいた。
アイナは涙を流して泣いている。

「嫌よこの臭い~!誰かぁ~!」

その様子に、フューレンは思わず眉を潜めた。

「ニンニクが苦手って…アイナは吸血鬼か何かなのか?」

そう言いつつもフューレンは救出すると、アイナはフューレンを見て嬉しそうな顔をする。
それからフューレンに抱きつくと言った。

「ありがとうフューレン!この借りはいつか倍にして返してア・ゲ・ル!」

「くっつくな!」

フューレンは怒るが、アイナは離れる事はせず。
仕方なくもそのままにして、キリエルが落ちたとされる穴も降りていく。
するとアイナは不貞腐れた顔を見せた。

「なんであんな役立たずキュースを助けに行くのー。」

「は?一応友達だからかな。」

フューレンが言うと、アイナは更に不機嫌な顔。

「なんでアイツなの?フューレンと違ってなんにもできないじゃない。」

「関係あるか。」

その時だ、一番下からキリエルの悲鳴が聞こえてくる。

「うわああああああ!!!」

あまりの絶叫だったので、フューレンは驚いた。
アイナも耳を塞ぐと、地下深くから謎の衝撃波が襲ってくる。
ファルケはそれに翼を取られると、二人を落としてしまった。

「クッソ!」

フューレンとアイナは落ちる。
アイナはフューレンに捕まって、平然とした顔でフューレンに言った。

「このまま落ちたら死ぬ?」

「当たり前だろ!」

そして驚く事に、落ちる二人とは逆に猛スピードで上昇する影が一つあった。
そう、キリエルである。
地下にはそんなに恐ろしいものがいるのか、我を忘れて翼を生やして飛んだのだ。

「気づけ!」

フューレンは言うが、無我夢中になったキリエルには聞こえていない様子。
アイナは流石に危機を感じていたのか、黙って冷汗を流す。
フューレンはファルケを呼んだ。

「ファルケ!こっちだ!」

しかしファルケはまだ衝撃波の影響で、上手く飛べていない。
フューレンは舌打ちをしてしまうと、アイナは真面目な顔をしていた。

「ごめん、フューレン。」

「あ?」

アイナは一度目を閉じると、急にフューレンの頬を思い切り殴った。
怪力のアイナの拳は強力で、フューレンは気絶してしまう…



フューレンが目覚めると、アイナとキリエルの声が聞こえてくる。

「早く扉を開けなさいよ!もう!何やらせても鈍臭いわね!」

「ひぃ~!ごめんなさい!」

フューレンは完全に目が覚めると、何が起こっているか周囲を確認。
するとフューレンはアイナに担がれており、アイナはファルケに捕まっていた。
アイナは両手が塞がっているので、翼を持つキリエルが行ける場所を探している様な状態。

「お前ら…」

フューレンが呟くと、アイナは気づいたのか笑顔。
キリエルも笑顔を見せた。

「フューレン!」

「フューレンおはよ!大丈夫~?」

「俺達、どうやって助かったんだ?」

「ファルケのお陰よ。」

アイナが言うので、フューレンは首を傾げた。
なんとなくだが、気絶する直前にアイナに殴られた気がするのだ。

(気のせいか?)

寝ぼけたようなフューレンを見て、思わずキリエルは笑う。

「今ね、この壁の先が空洞ってわかったから開ける方法を探してるんだ。」

フューレンは自らファルケに捕まると、アイナは言った。

「フューレン、ちょっと私を支えてて。」

「おう。」

フューレンは片手を離しアイナの手を持つと、アイナは体を揺らして振り子の様に前後に動く。
するとアイナは壁に向かって思い切り足蹴りをした。

「開けッ!!」

アイナの怪力は相変わらずなのか、壁を容易く破壊してしまう。
キリエルは思わず目を光らせた。

「すっご~い!」

この先は横の通路が続いていたので、一度三人は降りた。
通路を進みながらも、フューレンはキリエルに言う。

「翼見られても平気なのか?」

「悪魔である事がバレちゃったもんはしょうがないよ。それに、アイナだし大丈夫!」

相変わらずポジティブなキリエル。
フューレンは思わず深い溜息が出てしまう。

「お前って本当に馬鹿っていうか…アイナのお前への当たりを踏まえてそういう事言えよな。」

確かに、アイナのキリエルへの当たりは酷いものだ。
アイナは呆れた顔をする。

「確かに驚いたわ。あのキュースが隠し事できるだなんて。」

「そこかよ。」

「ええ、そこだけ。」

フューレンも呆れた様な顔で言うと、キリエルはニッコニコで言った。

「ほらねフューレン!アイナは気にしてないでしょ!」

(全くわかってない)

フューレンはそう思いつつも、いつもの事なので気にしない事にした。

暫く歩いていると、通路の先に明かりが見えてくる。
三人は思わず小走りで向かった。

「出口だ!」

キリエルが嬉しそうに言うと、フューレンは追いかけながらも止める。

「おい!またこの先が穴だったらどうすんだよ!ちょっとは落ち着け!」

「そうよ!さっきみたいに衝撃波出されても困るわ!」

(さっきのはキリエルのせいか…)

フューレンは微妙な表情でそう思っていると、キリエルは通路の先へと飛び出した。
すると、キリエルの感嘆の声が聞こえる。

「おお!ここどこ!?」

二人も出てくると、そこは開放感溢れる広い広い洋風の会議室。
縦長に大きな窓が壁に並び、長い机に沢山の椅子が並ぶ。
その先端には、三人の男性がフューレン達の帰りを待っていた。

一人はキリエルの父であるノルス、他の二人は知らない人であった。
ちなみにおかしい事に、誕生日席とも言える場所にいるおじいさんはなぜか素っ裸。
机のお陰で大事な所が隠れているようなものである。
裸ではない男性の方は言った。

「お!本当に来た!」

ノルスは黙っていたが、感心している様子だった。
裸の男性はと言うと、ただ何度も首を横に振っている。
目を瞑ったまま、何かを唱えているようにも見える。

「なんだここ。」

フューレンが言うと、裸ではない男性がフューレン達の元へやってきた。

「ここは魔術科学園の会議室。私は教頭の【ムニーバ】、あちらは校長の【アレモ】です。」

(あの裸が…?)

フューレンは気持ち悪いものを見る目で見つめている。
アレモはひたすら首を横に振るだけ。
ムニーバは苦笑。

「アレモ校長は男があまり好きではなくて、いつもこんな反応をしてしまうんだ。」

「は?」

フューレンは思わず顔を引き攣る。
続いてキリエルは笑顔で言った。

「やった!僕達試練を越えたんだね!」

それを聞くとムニーバは頷く。

「【好き嫌いの間】、どうでした?」

「あーだから嫌いなもの出てきたのね!」

アイナが怒ると、キリエルも顔を真っ青にした。

「あれは殺生だよ…!」

ムニーバは手に持った時計を見ながら言う。

「思ったより早い到着だった。どうやら近道を通って来たんだね。」

「近道?あー、アイナが壊しちゃった壁の先の通路だね。」

すると、フューレンは言った。

「んで、理事長に会えるって話は?」

「ああ、理事長は急用でね。代わりに私がカオスリートについて教えよう。」

フューレンは反応して眉を潜めると、アイナは相変わらず首を傾げていた。

「カオスリートって本当に何?」

「フューレンの探し物!」

「そんなの聞けばわかるわよ!」

キリエルの回答に、思わずアイナは怒ってしまう。
そしてフューレンの反応を見たムニーバはニコリとした。

「さ、席に着いて。教えてあげよう。」





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