相剋のドゥエット

うてな

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04 大家族

036 侵入、ギルドの牢屋にて。

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窓からギルドに侵入したフューレン。
内は牢屋に繋がっていて、数人の女性が捕まっていた。
柵越しには通路、見張りは周囲にいない様子。
正面にも牢に閉じ込められる人の姿が見えるところ、牢屋が部屋中にあると考えられる。
既にヤーナとフロルとフロル父は侵入していて、周囲の様子を確認していた。

捕まっていた女性の内、少女がフロル達に駆け寄ってきた。
ショートヘアで、赤いハチマキを頭でリボンに結んだニコニコ笑った少女。
その笑顔を見ていると、フューレンはどこかの腹黒牧師を連想。
少女を見るとフロル父は言った。

「【アンゲリーナ】、元気そうで良かったぞぉ。」

アンゲリーナは頷くと言う。

「退屈だったよ~」

可愛らしい声で穏やかに答えた。
次々とオリガ、ジェミヤン、ボリスと入ってくると、牢屋はパンパンになる。
若干窮屈にフューレンが思っていると、フロルはアンゲリーナに聞く。

「【キーラ】は?」

「キーラ?ああ、キーラはね、連れて行かれちゃった~」

「ハァ!?」

と目を剥いて驚いたのはジェミヤン。
ヤーナも続けて言った。

「危険!キーラ助ける!」

ジェミヤンは人をかき分けて牢屋の鍵の前に立った。
それから牢屋の鍵に針金を入れて開錠を試みる。

「待ってろ今開ける!」

先程まで慎重な言動が目立つジェミヤンだったが、現在は緊張のせいか焦り始めている様子だった。
牢屋の外では、監視をしていたギルドの男がその物音に気づく。
男は入口前に机と椅子を用意してウトウトとしていた。
鍵を触る手を見た男は、目を覚まして席を立ち上がる。

「おい!そこ!何をやっている!」

男は腰につけていた鞘からナイフを引き抜き、早歩きで牢屋に向かった。
ヤーナはジェミヤンを急かす。

「早く!」

「わかってるっ!」

ジェミヤンは即答すると、その瞬間に開錠に成功。
男は開錠されたのを見て、今度は走って牢屋に向かった。

「コラッ!」

男は牢屋の前に来ると、既に牢屋は開けられていた。
男は入口前のジェミヤンの表情に息を飲んでいた。
恐ろしい形相で男を睨みつけるジェミヤンの片手には拳銃。
銃口を男の額に当てると、男は冷や汗が止まらなくなる。

「ちょっと待て…」

男はそう言ったが、ジェミヤンは無慈悲にも一発撃ち込んで殺してしまった。
銃声と共に、牢屋にいる女性の悲鳴が響き渡る。
フューレンはジェミヤンに言った。

「おい、流石に殺すのは…!」

そう言ったが、ジェミヤンはフューレンの方を見て言う。

「さっき言ったろ、俺達は争いを本業とする一族。
俺達を侵害する者、テリトリーに無断に立ち入る者、全員始末するのが俺達なんだよ。」

「はぁ…?」

フューレンは呆気にとられていると、一同は牢屋から出た。
幸い見張りは一人のみらしく、その割には数え切れない程の牢屋が立ち並ぶ。
フロルは指示を出した。

「ジェミヤンとオリガは牢屋の人を開放して窓から避難させるんだ。
ヤーナとボリスとお父様は俺と共にキーラを救う。敵陣に見つかったら武器を使ってもいいですね?お父様。」

フロルの質問に、フロル父は強く頷く。

「見つかったらどうせ殺される。殺されるなら殺すまでだね。」

それを聞いたフロルは軽く頷き、次に言った。

「アンゲリーナとフューレンはどうする?」

フロルはフューレンを見て言う。
すると先にアンゲリーナが答えた。

「フロル達だけじゃ心配。私も行く~」

続いてフューレンも答える。

「どうせ戦う事になるんだろ。俺も行く。」

そう言ってフューレンはメモ帳を取り出して、陣を描いた。
一同は不思議そうに見ていると、陣が輝き出す。

「いでよファルケ!」

陣からファルケが出てくると、フューレンは言った。

「避難にロープだけじゃ足りないだろ。ジェミヤンとオリガの手伝いとして使ってくれ。」

一同は驚いてポカンとしていたが、ジェミヤンは驚きつつも聞く。

「本当に生きているのか?て言うか、言う事聞くのか?」

「生きてるに決まってんだろ。ファルケ、お願いできるか?」

ファルケはフューレンの話を聞くと、鳴き声で返事をした。
それを聞いたフューレンは頷く。

「よし、任せた。」

フロルは面白そうに一瞬だけ微笑むと言った。

「じゃあ行こう。避難が最優先だ、避難の事がバレないようコッソリと行こう。」

「は~い」

アンゲリーナはそう言い、フューレン達は出発。

残ったジェミヤンとオリガは顔を合わせ、見張りから鍵を奪う。

「お姉様は鍵で救出してください。俺は一つ一つ針金で開けていきますので。」

「わかったわ。」

オリガは返事をすると、二人の間にボリスがムクッと現れた。
オリガは驚いてボリスに怒る。

「ちょっとアンタはあっちでしょ!」

しかしボリスはつまらなそうな顔をして言った。

「だって僕ジェミヤンやオリガ姉様の方が好きだもん。」

「私はアンタみたいな変態は嫌いよッ!」

オリガは即答、ジェミヤンは頭を抱えて言う。

「俺もボリスは御免だ。早く行ってこい。」

するとボリスは口をへの字に曲げ、閉じた歯を見せる様に口を開く。
三角形の口のまま二人を見つめるボリス。

「ちぇ、わかりましたよーだ。」

そう言ってボリスは大きなリュックを背負いながらも走って出て行ってしまった。



部屋を出て、廊下をひっそりと渡り歩くフロル達。
フロルはボリスがいない事に気づいて言った。

「ボリスは?」

それに対しフロル父は笑顔で答える。

「ジェミヤンの所だろう。ボリスはジェミヤンが大好きだからなぁ。」

フロルは呆れて溜息をついた。

「オリガの為にジェミヤンだけを置いたのに、ボリスが残るだなんて。」

「オリガの為に?」

フューレンが聞くと、フロルは続ける。

「オリガは変人が大嫌いらしくてね。そのせいか、家族である俺達を好いていないんだ。
ジェミヤンとお兄様くらいにしか心を開いてない。」

「兄弟にも好き嫌いってあるんだな。」

フューレンが言うと、ヤーナは笑顔で言った。

「ヤーナ、みんなと仲良し!」

そこにボリスがやってきて言う。

「嘘つけ、オリガ姉様に嫌われてるくせに。」

「そんな事ない!」

二人は言い争いを始めようとすると、そこにフロル父が口に指を当てた。

「しー。」

その声に気づき、ヤーナとボリスは黙り込んだ。
それを見てフロルは軽く頷くと、周囲の様子を見て再び歩き出した。





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