相剋のドゥエット

うてな

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06 忍び寄る悪魔

050 魔術科学園の図書館で。

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次の日の朝、フューレンは魔術科学園に向かおうと教会を出た。
学園に続く森へ歩き出すと、教会の中からキリエルが眠そうにして出てきた。

「おはよ~…」

フューレンはその声に気づいてキリエルの方を見る。

「キリエルおはよう。もう大丈夫なのか?」

「うん!と言うか、何もかも面倒だったから部屋でごろ~っとしてただけなんだけどね。」

「意外と怠慢なんだな…」

フューレンは少し呆れた様子で言うと、キリエルはそれでも満足気に笑っていた。
休暇がそんなに嬉しかったのだろうか。
キリエルはフューレンの隣まで来ると言った。

「今日は魔術科学園に何の用?今の召喚術の授業はフューレンには必要のないものだってお父さんも言ってたじゃんか。」

「いいや、今日は大魔導師に用があってな。」

「理事長?なんで?またカオスリート?別に今日もいないって、以前も約束しておいてすっぽかしたじゃん。
あ、でもドタキャンしちゃう気持ちはとってもわかっちゃうな。本当にやる気が失せちゃうんだよ~」

キリエルの笑みでそこまで言われると、本当にいない感じがしてフューレンは眉を潜める。
それからフューレンは頭を抱えた。

「お前らの気持ちがわからない…」

「フューレンは真面目なだけ!真面目すぎぃ~!」

キリエルはニコニコとしていた。
ニコニコしてしまう気持ちさえ、フューレンにはわからない。
キリエルは続いて言う。

「そう言えばフェオドラが入学手続きしてるらしいよ!楽しみだね!」

「これ以上うるさい奴を増やさないでくれ…」

フューレンの言葉に、キリエルは少し不機嫌なのか膨れる。

「僕がうるさいの?」

「いや、魔術科学園に行った日はどうも疲れるなって…」

そこまで言うと、フューレンはふとアイナを思い出した。
それと同時に、一気に疲れが押し寄せた顔を見せる。

「そうだ、アイツのせいだ。」

そんなフューレンを、首を傾げて見つめるキリエル。
キリエルは次に言った。

「で、魔術科学園に行くの?」

「行くと決めたんだ、行く。」

「おっけ~」

と、フューレンはやる気の出ないまま、キリエルはのんびりと魔術科学園に向かった。



魔術科学園に到着した二人は、早速図書館にいた。
フューレンは本を手に取りながら、カオスリートについて探っていた。
キリエルは笑う。

「『理事長は今日はいません』…だって!ふふふ、やっぱりね~」

フューレンは機嫌が悪そうな顔をした。

「だからこうやってカオスリートの事調べながら時間潰してんだろ。」

「いくら待っても来ないって~。あの人は暇人だから暇潰す為に色んな場所に出かけちゃうんだから~」

そう言われると、フューレンは一度読むのをやめてキリエルの方を見て言った。

「だからって、行動を先読みされた様に『さっき出かけました』ってなるか!」

「じゃあフューレン避けられてるの?何か悪い事でもした?」

「してねぇよ。」

キリエルはそれを聞いて笑う。
フューレンは溜息をつくと、そこに聴き慣れた声が聞こえてきた。

「フューレンおはよ!」

と言ってフューレンの背中を強く叩いたのはアイナ。
怪力のアイナに強く叩かれた為、フューレンは酷く咳き込んだ。
キリエルは驚いてからアイナに言う。

「フューレンの背骨が粉々になっちゃうよ~」

アイナは笑顔だった表情を一瞬にして変え、目を細めてからフューレンに言った。

「ならないわよ!ね、フューレン!」

「いや…なるかも。」

「えぇ!?」

アイナはそう言いつつも、ムスっとしてしまう。
それからフューレンを横目で見て思う。

(もう、こっちは死んだかと思ってハラハラしてたのに。結構ピンピンしてんのね。)

「まーたカオスなんとかってのを調べてるの?」

キリエルはそれに対して頷いた。

「カオスリートだよ。アイナも探してくれるの?」

それに対し、アイナは少し考える。
フューレンは何も答えず本を開くので、アイナは笑顔で答えた。

「勿論!そう言えば今日は授業受けないの?」

「今日は理事長に会いに来ただけだからね。というより、フューレンに授業は要らないよ。」

キリエルは笑いながら言うと、アイナも納得。
アイナはフューレンに言った。

「私も探すから。カオスリートの特徴教えて。」

「共鳴と関係があるらしい。」

フューレンが言うと、アイナは困った顔。

「それだけ?共鳴の本なんてこの図書館に山ほどあるんだからね?」

フューレンは本を閉じると言った。

「探すのが無謀なのはわかっている。それでも探さなきゃなんないんだ。」

フューレンの真摯な様子に、アイナはすっかり落ち着いた顔。
それから呟いた。

「あっそう…」

「逆に共鳴について何か知ってる?アイナは。」

キリエルが聞くと、アイナは上の空で考え始めた。

「そう言えば召喚術って、ちょっぴり共鳴を齧った分野だって聞いた事あるわね。」

それにキリエルは目を光らせる。

「それってマジ!?じゃあ僕も共鳴マスターしたら召喚術できるようになるかな!?」

「ちょっぴりって言ったじゃない。共鳴部分をマスターしたとして、他がダメなら召喚術なんて使えないわ。」

「ちぇ~っ」

キリエルの事はさておき、アイナは言った。

「そう言えば知ってる?襲撃の悪魔から救われた人々が最近ね、デモを起こしてるんだって。」

「デモ?」

キリエルは目を丸くすると、アイナは頷く。

「賞金首で金を渡す制度を廃止したいんですって。規律を作って、殺人の多いこの世界を変えたいみたい。
この世界の治安がいつまでも悪いのは、この制度があるからって言ってるの。」

「へぇ~凄いね。」

「凄いってもんじゃないわ、革命よ革命。革命派が勝って欲しいわね~そしたら襲われるとか心配しないで出かけられるじゃない。」

「わかるわかる!不安なくぱーっと遊びたい!」

キリエルとアイナが盛り上がっていると、フューレンは言った。

「そもそも賞金首の制度は一体誰が作ったんだ?」

「理事長よ。」

アイナが即答するので、フューレンだけでなくキリエルも驚く。
アイナは続けた。

「この世界は大昔から悪魔が蔓延ってるからね、減らす為に最初は悪魔狩りの制度を設けてたのよ。
でも悪魔はその対策に、人間と契約する事を覚えたの。
すぐに悪魔使いも標的になるんだけど、それと同時に大人しい悪魔を力で制圧する悪い人間も現れてね。
役場では虚偽の申請をする人とか増えて…そんな事が何度も重なっていくうちに、この世界は今のようになってしまったのよ。」

キリエルは目を丸くして聞いていた。
フューレンも聞いていたが、アイナに言う。

「まるでその時代を生きてきたかのような口ぶりだな。」

アイナはギクッとすると、愛想笑い。

「私の祖父から聞いたのよ!代々伝わってる話っていうか~」

「そうか。」

フューレンは納得すると、アイナは安堵の溜息。
キリエルは目を輝かせた。

「すっげぇ~!」

続いてフューレンはアイナに言った。

「そう言えばさっき、召喚術は共鳴をちょっぴり齧ってるって言ってたな。」

「え、うん。」

アイナは焦った様子で返事をすると、フューレンは真摯な表情で言う。

「それについて、もう少し詳しい話を聞きたい。」





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