相剋のドゥエット

うてな

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06 忍び寄る悪魔

058 アイナが遂行する作戦。

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ある日、魔術科学園では。
学園にはアイナが登校しており、アイナは学園の庭で一人木陰で休んでいた。
アイナは不機嫌そうな顔をして、今日の出来事を思い出す。


――タイミのいる部屋にて、アイナはタイミに言われる。

「キリエルって悪魔が欲しいんだ。君はアイナと仲良しなんだろう?
彼を僕達の所に引き入れて欲しいんだ。」

それを聞いたアイナは驚いた。

「え!?引き入れるって…私、ただの顔見知りですもの。無理ですよ。」

「誘惑でもなんでもすればいいじゃん?だってその子、かなり単純らしいからね。
ヴァンパイアであるアイナならできるだろう?」

アイナはその言葉に返す言葉を一瞬失うが、それから俯いた。

「…時を見計らってやります。」――


アイナは憂鬱そうだった。

(私がキュースを…ねぇ…。あんな出来損ない悪魔のどこがいいのかしら。
はぁ、なんでよりによってあの子に興味持っちゃうのかなタイミも。)

アイナはそう思っていると、魔術科学園にやってくるフューレン達を発見。
アイナは目を剥くと、フューレンとキリエル以外の人影を見て驚いた。
なんと二人だけでなく、フェオドラもやってきているのだ。

(嘘、なんでこの子がいるのよ…!え、待って…最近キュースが新しく入る子がいるってニコニコで話してたわよね…?
まさかこの子が…!?冗談じゃないわ!私がタイミの仲間だって知ったら、十中八九捕獲されるわ…!)

アイナはそう思いつつも、頬を軽く叩いた。

(大丈夫、私がタイミの仲間だって事がバレなきゃ大丈夫。何も怖がる事ないじゃない。
それに、もしバレそうになったら先手を打って逃げればいいし。
私はタイミと契約してないから、いざって時にはタイミと関係も切れる!)

そうこうしている内に、アイナはフューレン達に発見される。

「アイナおはよう。」

「おはようアイナ!この子が僕の言ってた新入生のフェオドラ!」

キリエルは早速フェオドラを紹介している。
アイナは目を丸くし、フェオドラに苦笑を向けた。
上手く笑えないのだ。
フェオドラはアイナを見て、首を傾げている。

「お、おはようフューレンにキュース。あと初めまして、…フェオドラちゃん。」

するとフェオドラはアイナを見て言った。

「悪魔だ!」

するとアイナは目をかっ開いて驚き、逆にキリエルは周りを見回して言った。

「どこどこー?」

それに釣られてフューレンも周りを見る。

「いない気がするが。」

その間に、アイナはフェオドラの口を塞ぐ。
フェオドラは息苦しくて暴れていたが、やがてキリエル達の視線が戻ってくるのでアイナは口を塞ぐのをやめた。
ちなみにフェオドラはアイナの第一印象は最悪らしく、無愛想な態度で言った。

「この子嫌い!」

それを聞いたキリエルは参った顔を見せる。

「コラコラ、ダメじゃん。…ごめんねアイナ、人見知りしちゃってるみたい。」

「い、いいのよいいのよ。」

アイナの声は微妙に震えていた。
アイナは心の中で叫ぶ。

(むしろそっちの方が無駄な干渉されずに済むわ!)

ちなみにキリエルはアイナの表情を見て思った。

(アイナ、きっと悲しいよね。どうにかして二人を仲良くさせてあげたいな。)

「フューレン。」

キリエルは小声でフューレンに話しかける。
フューレンは耳を傾けると、キリエルは話した。

「アイナとフェオドラを、仲良くさせよう!」

それを聞いたフューレンは微妙な反応を見せた。

「は…?当人が嫌がってるんだから無理にくっつけなくていいだろ。」

「でも、まだ二人とも会ったばかりだよ。それなのに仲違いするなんて…いくらなんでも早計すぎるもん。」

「人懐っこいキリエルが言えたものか。」

フューレンの言葉に、思わず笑ってしまうキリエル。
すると、フェオドラが二人の間に割り込む。

「早く魔術練習しよ!」

「いや、フェオドラは僕より魔術できるじゃん…?」

キリエルが言うと、フェオドラは更に言った。

「じゃあ実践!」

その言葉を聞いたアイナはある事を思い出して言う。

「そう言えば今日、闘技場の方で魔術バトル大会が開かれているわよ。
当日出場もアリだから、興味あったら行ってみたら?」

「行く!」

フェオドラが言うと、キリエルは苦笑。

「えぇ…中には惨いバトルもあるから僕は苦手かな…」

とは言ったものの、やる気を出してるフェオドラを見るとキリエルは陽気に笑った。

「まいっか!」

フューレン達は学園内にある闘技場に向かおうとすると、キリエルはアイナが来ていない事に気づく。
キリエルはアイナの方を見て言った。

「アイナも一緒においでよ!」

アイナはキリエルの満点な笑顔を見ると、後ろめたく感じて控えめに言う。

「私はいいや。」

「え?」

キリエルは驚くが、アイナはそのまま立ち去った。
キリエルは難しい顔をし、アイナの後ろ姿を見送る。
フューレンは言った。

「珍しいな、ついてこないなんて。」

「…これは何かある…」

キリエルはそう呟くのであった。



闘技場にて。
フューレンとキリエルは観客席、フェオドラはなんと出場していた。
フェオドラは参加者に残虐の限りを尽くしている為か、会場からは悲鳴とフェオドラの笑い声しか聞こえない。
魔力の閃光、観客の人々は唖然とそれを眺めていた。

「あんな小さい子供が…」

「まるで悪魔だ…」

それを聞いて微妙な反応をするフューレン。

(悪魔なんだけどな。)

ちなみに隣で見ていたキリエルは、あまりの残虐さに吐き気を催している様子。
キリエルは我慢できなくなり、席を立った。

「ごめ…ちょっとトイレ」

キリエルはそう言ってそそくさと会場を出た。
キリエルはそのまま闘技場内の廊下で座り込んだ。

(ありゃひどい…見てらんないよ…!)

キリエルは顔が真っ青だった。

暗い廊下。
キリエルはついていない電気を見つめる。

(なんで闘技中は電気消灯なんだろう。)

その時だ、キリエルは廊下を歩くアイナを発見した。

「アイナ!」

アイナはキリエルがいたのに気づいていなかった為か、キリエルに呼ばれて驚く。
キリエルは笑顔で駆け寄った。

「フェオドラの活躍見に来たの?僕もさっきまで見てたんだけどさぁ……会場が悲惨なんだ…。」

キリエルの苦笑を見ると、アイナは無愛想な顔になる。
アイナはタイミの言葉を思い出していた。

――「誘惑でもなんでもすればいいじゃん?だってその子、かなり単純らしいからね。」――

(好きなフリしとけばいいかしら。キュースならきっと行けるわ。)

アイナは意を決して、キリエルの服の裾を引っ張った。
キリエルは目を丸くすると、アイナは言う。

「えっと…今こんな所で言っていい事かわかんないけど…
…実は、私……キュースが好きなの。」

キリエルは「え?」と言ってから目を丸くした。
それから大袈裟に驚く。

「エエーーー!?」

それを黙らせるように、アイナはキリエルを壁に押す。
キリエルは驚いたまま。
アイナは至近距離でキリエルを見つめた。
キリエルはドキドキしているのか、顔を真っ赤にしている。
アイナはキリエルを見つめながら思った。

(そう言えば、キュースってあのヴァレリカを氷漬けにしたんだよね。
あのヴァレリカを、たかが氷で動けなくするなんて……私が思う以上に魔力持ってんのね。)

そう考えると、アイナは頬をピンクにする。
それからキリエルの胸倉を掴んで、自分の顔に引き寄せる。

(そう考えたら…キュースってめちゃくちゃイイ男じゃない…!)

キリエルは急に、落ち着いた目を見せた。
アイナは更にときめいてしまうと、キリエルはアイナの手を引っ張って引き寄せる。
そしてキリエルは優しく、アイナの体を包んだ。

暗い闘技場の廊下の中。
これを見た者は、恋人同士が愛し合っている様に見えるだろう。





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