相剋のドゥエット

うてな

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08 天使がやってくる

077 フレノアはタイミが大嫌い。

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タイミは森の中へやってきていた。
大きなトランクを持って、ひたすら進むのだ。
後ろにはヴァレリカもついている。
タイミは森奥の保育園に着くと言った。

「着いたね。」

そう言ってタイミは保育園を訪ねると、保育園から一人の保育士が出てきた。
保育士はタイミを見ると微笑む。

「あらタイミ!来てくれたのね!」

「久しぶりテロート先生、今日もお金持ってきたよ。」

タイミも保育士に微笑むと、テロートと言う保育士は眉を困らせる。

「い、いいのよタイミ。ミレサもそうだけど、二人してここに資金援助に来なくても…」

「いいのいいの!僕達が育った保育園だよ?このくらい返してあげたいよ。」

テロートは困ってしまうと、奥から子供達が出てきた。
子供達はタイミを囲んで笑う。

「タイミじゃん!おいおい身長伸びないな!」

するとタイミは眉を潜めているが、笑顔を作りながら言った。

「はーあ?年上にそんな口の利き方するな!」

口調の崩れたタイミ。
雰囲気がまるで子供に戻ったようだ。

「この保育園じゃみんな同い年みたいなもんだよ!」

子供達はそう言って笑うと、タイミも同じく笑った。
それを眺めるヴァレリカ。
タイミはいつもの調子を取り戻すとテロートに言った。

「はあ…ここに戻ってくるとやっぱり昔の事を思い出してしまうな。」

「いいじゃない。いつも仕事で苦労しているんだから、たまには息抜きも必要よ。」

そう言ってテロートはタイミを園に招き入れる。
テロートはヴァレリカにも微笑んだ。

「護衛さんもご苦労様です。どうぞ上がってください。」

「はい。」

ヴァレリカは無機質に返事をすると、共に上がった。
客間に着くと、タイミは言う。

「ミレサは今日は来てないの?」

「ええ。教会の牧師様の具合が悪いようで…教会の皆さんで交代で看病しているんですって。」

「へぇ…」

タイミはそれを聞くと、あからさまに不機嫌。
テロートはそれを見ると、眉を困らせて言う。

「タイミ、もうミレサの事はそっとしておきなさい。」

「それはできないよ先生。僕はミレサを心から愛している、あの牧師と違ってね。」

「もう…二人はどうしていつまで経っても仲良くできないのかしら。」

テロートは困った顔をして言うと、タイミは笑った。

「いいや、絶対に僕はミレサと仲良くできるよ。」

テロートは首を傾げると、タイミは続ける。

「ミレサは…ちゃんと僕の事思ってくれているんだから…」

「そう…なの?」

テロートが言うと、タイミは頷いた。
するとそこへ、なんとフレノアがやってきた。

「テロート先生おはよ…」

と言ったところで、フレノアはタイミを見て驚く。
タイミはフレノアを見ると微笑んだ。

「やあミレサ。会いたかったよ。」

「どうして月初めに…!いつもなら月末に訪れるでしょ…!」

「ちょっとズレただけさ。ま、お陰でミレサに会えたからいいけど。」

フレノアはタイミを睨むと、テロートは仲裁をした。

「落ち着いてミレサ。二人とも、もう仲直りしましょう?大人になったんですから、相手の気持ちも少しはわかるでしょう?」

「わからないわ。」

とフレノア。
テロートは困ると、タイミも言った。

「僕もわからないね。ミレサがあんな貧乏牧師と一緒にいたがる気持ちが。」

フレノアは尚更タイミを睨みつけた。
タイミは笑う。

「ちょっと外で話をしよう?」

フレノアはタイミを睨んだままだったが言う。

「わかったわ。」



こうして外にて、タイミとフレノアだけの会話が始まる。
ヴァレリカは中でテロートと一緒に子供達の面倒。

タイミは言う。

「ミレサ、君は最高の女だよ。僕と結婚して欲しい。」

「急に気持ちの悪い告白をしないで。」

フレノアは冷たく言った。
するとタイミはフレノアに近づいて言う。

「本当は好きなくせに。
僕が悪魔と契約している事も、僕が賞金首を狩って資金を集めている事も…君は保育園に内緒にしてくれている。
本当に嫌いなら、すぐにでも言ってしまうだろう?」

それを聞いたフレノアは、呆れた様に鼻で笑った。

「あら、勘違いしないでくれる?アタシはあなたが好きで黙ってあげてるんじゃなくて、保育園の為に黙ってあげてるの。」

タイミは目を丸くした。
フレノアはタイミを睨んだままいると、タイミは言った。

「僕達って、似た者同士だよね。」

フレノアはタイミの言葉に更に険しい表情を見せると、タイミは続ける。

「貧乏な保育園の為に金を用意して、その金は全部、人を狩ってできたお金だ。
僕はヴァレリカと契約して人を狩り、ミレサは賞金首の男を引っ掛けては手にかけた…」

「そんなの昔の話よ。」

フレノアが突き放すように言うと、タイミはつまらなそうな顔をした。

「あの牧師に近づいた時も…その一環だと僕はずっと思ってた。
でも違った。ミレサは保育園を離れ、あの牧師と一緒に過ごすようになった。
僕は絶望したよ…」

「勝手に絶望していなさい。その程度の話をするだけならアタシはさっさと手伝いに戻るわ。」

「僕があの牧師を殺そうとした事、怒っているか?」

タイミの質問に、フレノアはついに声を荒らげた。

「ふざけないでッ!当たり前でしょ…!
あなたはいっつもそう!アタシを手に入れる為に多くの人間を傷つけてきた、悪魔みたいな男よッ!
そんな男の女になんか、意地でもなりたくないわ!アタシの前から消えてちょうだい!!」

フレノアはそのまま立ち去ってしまった。
それをタイミは微笑んで見送る。
タイミは呟いた。

「僕に足りない物は一体なんだろうね…。
金でもなかった、保育園を守る優しさでもなかった、悪魔でもなかった…。
一体何だって言うんだよ、ミレサ。僕は君が振り向いてくれるなら、何にでもなってあげるのに。」

フレノアの後ろ姿を見て、タイミは更に呟いた。

「それを言わないのは…きっと君のイジワルのせいだね。
ふふ、絶対に分かってみせる。
そして手に入れるよ…君を絶対に。」





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