相剋のドゥエット

うてな

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07 悪魔に産まれた事

076 知りたい世界があって。

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魔力と神力をぶつける事が、共鳴へと繋がるのではないかと考えたフューレン。
そこでキリエルは聞く。

「フューレンはどうして共鳴に拘るの?探すのはカオスリートであって共鳴じゃないでしょ。」

「カオスリートが全く見つからないのもそうだが、それ自体を知りたい気持ちもあってな。」

「え~?ヴァレリカはカオスリートじゃないの?魔力も神力も持ってるよ?」

「いや、大魔導師が求めているのはあくまで神力を持った悪魔だ。魔力を持った天使ではない。」

「え~?ややこしいな~」

キリエルはそう言って難しい顔。
するとケリスは言った。

「神力を持った悪魔である必要がケリスにはわかりかねます。
神力を持った悪魔も、魔力を持った天使も、どちらも同じ存在だとケリスは思うのです。」

キリエルも頷く。

「持っているものは同じって事だもんね。
天使と悪魔は体の作りは違うと思うけど、持っている力が同じなら片方に拘る必要ってないよね?」

するとフューレンも眉を潜めた。

「確かに安易に大魔導師が求めているから探してきてはいたが、なんでそんなものを見つけたいんだろうな。」

「大魔導師さん何考えてるかわからないけど…悪い人じゃないといいね。」

フューレンはそれに対し、難しい顔をした。
そして言う。

「今は探すしかない。」

一同はそれを聞いて、フューレンの方を見ていた。
フューレンは思う。

(神の裁判が終わったら俺は帰れる、とは聞いたが…天使達が本当に裁判まで持ち込めるか疑問だ。
ヴァレリカの存在がでかすぎる。もしヴァレリカが襲撃してきたら、天使達はひとたまりもないだろう。
大魔導師は何を考えているのか…。どちらにせよ、こっちも対抗策を講じなければならないな。)

それを見ていたフェオドラは、眉を困らせてケリスに言う。

「フューレン、家に帰りたくて悲しいの?」

どうやら、フューレンの難しい顔を悲しい顔を間違えたようだ。
ケリスは首を横に振る。

「きっと、難しい事を考えています。」

それを聞いたキリエルは苦笑。

(むしろその顔で、難しくない事考えてたら変な感じ…)



そして暫くして、モルビスが教会から出てきた。

「みんな大ニュースだ!」

一同は首を傾げると、モルビスは新聞紙を見せた。
モルビスは冷や汗を流して言う。

「どうやら役場が革命派によって落とされたみたいで、今全国の役場が使用困難なんだってよ。」

「つまり、賞金首をお金にできないって事でしょうか?」

ケリスが聞くと、モルビスは頷いた。
それから寒気がするのか微妙な表情を見せる。

「つまり全国の賞金で食ってる奴等が役場を再開させる為に革命派と衝突するはずだ。
こりゃ戦争始まってもおかしくないぞ。」

「役場で衝突されても、例え賞金狩りが勝っても暫くは再開しなさそうだな。」

フューレンの言葉に、モルビスは頷いた。

「ああ、そうだな。」

「にしても革命派も勇気あるよね!革命派は賞金狩りをしない弱い民が多いって聞いたけど。
役場まで制圧しちゃうんじゃ、強い人が味方だったりするのかな?」

キリエルが言うと、一同は深く考え込む。
フューレンはふと思い出した。

(ワレリーの兄弟…あれも革命派だったが…。アイツ等も役場制圧に一役買ってるのだろうか。)





そして教会から遠く遠く離れた山にて。
山にある川の上流、大きな礫岩。
そこにはアイナがおり、アイナはいつもと違う容姿をしていた。

角に牙、悪魔の翼に悪魔の尻尾。
アイナは完全に悪魔の姿だったのだ。

(タイミから逃げて、フューレン達にも何も言わずに逃げちゃったけど、良かったのかな。)

そう思うと、アイナは溜息。

(物珍しくて天使の傍にいたものの、ヴァレリカは攻撃的だしフューレン達はタイミに目をつけられてるし…。
もー近づきたくても近づけない。)

するとアイナは空を飛んだ。
山を、少し高いところから眺める。

(退屈凌ぎになりそうな事ないかしら。)

そしてアイナは思い出す。

(そう言えば革命派…。何かしでかすって話を聞いたわ。早速見に行っちゃお。)

アイナはニヤリと笑うと、早速革命派を探しに飛ぶ。
街付近まで飛ぶと、着地して自身に魔法をかけた。

アイナの姿は人間のものになり、服装もいつもの魔女服になっていた。
いつも通りになったところで、アイナはスキップした。

(確か役場でだったわよね?どんな事が起きるのかしら。)

そう思いながら、役場へと向かった。



そうして役場に到着したアイナ。
アイナは役場を見て目を丸くした。

役場前が人が誰もおらず、とても静かなのだ。
アイナは首を傾げた。

(あれ、死体の一つや二つくらいあると思ったんだけど)

アイナは眉を潜めた。
周囲には武器や木の破片などが散乱している。
役場前が散らかっているのはいつもの事だが、武器などが落ちている事はまずない。

(武器を持った人間が来た痕跡はあるようね…。にしても、跡形もなく消える様に…)

しかしアイナは更に見つける。
地面に強く人間を引きずった跡、争いの跡を。
人がいなかった為に気付けなかったが、やはり戦いを行った痕跡はあるのだ。

(やっぱりここで何かあった…?それとも、かなり手際良く敵を一掃した…とか。)

するとそこに、なんとフロルがやってきた。

「あれ、アイナじゃないか。」

フロルを見ると、アイナはギョッとする。

(フロル!?これじゃ私がタイミに見つかるのも時間の問題…)

そこでフロルは言った。

「まだ推進派が来ると思って来てみたら、アイナか。」

それを聞いたアイナは目を丸くする。

「それって、役場前の争いに参加したって事?私、それを見るのを楽しみに来たんだけど。」

「それならもうこっちで片付けてしまったよ。
革命派さんの話によると、人を殺さずして革命を成功させる事が目的らしいね。」

「殺さず…?だからこんなに戦いの跡が少ないのね。」

「ああ、大変だったよ。」

フロルは肩が凝っている様子。
アイナは言った。

「あなたが革命派だなんて意外。人殺し沢山しているのに。」

「まあそう思うだろうね。俺にも俺なりに考えがあっての行動なんだが。」

アイナが首を傾げると、フロルは続けた。

「家族がね、人殺しのない世界を見てみたいらしいんだ。俺も人を殺す世界しか知らないから、少し興味があるんだよ。」

「変なの。稼げなくなるかもしれないのに?」

「それも引っ括めて、俺達の知りたい世界なんだよ。」

そう言って、フロルは立ち去った。
フロルはアイナに手を振ると言う。

「タイミが君を探していたけど、黙っておこう。君は敵じゃないみたいだからね。」

それを唖然と聞いているアイナ。
フロルの背中が遠くなっていくと、アイナは難しい顔をして溜息。

(人殺しのない世界…か。確かに私も、そんな世界知らないかも。)





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