植物人間の子

うてな

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第3章 平穏―ピースフル―

番外編 九重芙美香 2

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妖精さんは私を連れて、にーちゃんの会社の前に来た。

「兄ちゃんがどの部屋にいるか分かったりする?」

「えーっと…いつも三階から顔を出すかな…あの部屋!」

私は指を差すと、妖精さんは舌舐り。
すると地面からガラスが出てきて、私の体にガラスが絡みついた。
そのままガラスは登っていって、にーちゃんが仕事してる部屋の窓の前まで!
楽しい!

中を覗くと、にーちゃんは偉そうな人に資料を渡して何か喋ってた。
私は手を振った。

「にーちゃ~ん!!」

にーちゃんは私に気づいた。
にーちゃんは驚き、偉そうな人は驚き過ぎたのかビクッと跳ね上がってた!
面白い面白い!
にーちゃんは慌てた様子で、すぐに窓を開けた。

「芙美香!」

「にーちゃん仕事いつ終わるのー?」

「な、どこにぶら下がってるんだ…!?命綱は!?」

にーちゃんはキョロキョロしながらそう言って、私を抱き抱えた。
妖精さんのガラスは透明だから、気付かなかったみたい。
にーちゃんは偉い人に頭を下げて言う。

「すいません…妹で…。」

すると偉い人は笑って言う。

「そっか。うん、九重さんは今日は帰りなさい。あとは私達がやっておくから。」

「しかし…!」

「いいんだよ。小さい妹さんの面倒、しっかり見てあげるんだよ。」

おお~!
私は思わず言った。

「最高!お偉い人!」

「こ、こら芙美香…!」

にーちゃんはそう言ったけど、お偉い人は笑ってるよ?
何を焦ってんだろ、にーちゃんって変なの。

少しして、にーちゃんと一緒に会社を出た。
もう会社の前には、妖精さんはいなかった。
帰っちゃったかな?
にーちゃんは会社を見上げていた。

「どうしたのにーちゃん。」

「え?芙美香がどうやって上がってきたのかなって…。」

「妖精さんが上げてくれたの!ガラスで!」

「妖精さんが?ガラス…?」

やっぱにーちゃん、ガラス見えてなかったんだ。

私とにーちゃんは、手を繋いで家へ向かう。
にーちゃんは私の手に持っているコーンスープを見て言った。

「あれ、誰かから買ってもらった?」

「妖精さんから貰ったの!」

「よ、妖精さん…ますます気になるなぁ…」

「沢山遊んでくれるよ!色とりどりでー、お花みたいでキラキラ~ってしてるの!」

「そっか。」

にーちゃんはそう言って微笑んでた。

「あ、そう言えば明日休みだから、どっか遊びに行くか?」

「え!?ホント!?遊びに行く行く!」

「芙美香はどこか行きたい所あるか?」

にーちゃんはそう言って笑顔を見せる。
どこ行こっかなー。
もみじ公園は、にーちゃんと綺瑠さんがいっつもゴミ拾いしてるしつまんないでしょ。

う~ん、遠い所に行きたいって言いたいけど…
けど…
にーちゃんは人がいる所苦手だしなぁ。
にーちゃんがまた倒れたら大変だ。

…あ!

「にーちゃん!私、『植物人間』見てみたい!!」

「エェ!?」

にーちゃんは驚いた。
そんな驚く事かな?

「植物人間って、噂だろう…?いるかもわからないのに…!」

そうかな?
妖精さんも、その植物人間の仲間だと思うんだけど。

「植物人間に会って、友達にするの!妖精さんが寂しくないように!
それでー、クラスのみんなと遊ぶの!沢山!
ねぇにーちゃん、植物人間ってどこにいるのー?」

にーちゃんは困っている様子だった。
にーちゃんでもわかんないのかな…。
にーちゃんは困った末に言った。

「じゃあ、いるって噂の場所なら知ってるから、そこをちょっと見てこようか。
でもいなかったらすぐに帰って、別の場所で遊ぼうね。」

なんでコソコソと喋ってるんだろう。
変なにーちゃん。
でも植物人間に会えるかも!
明日は絶対に会うぞ~!

と、その前に。

「にーちゃん、百円頂戴!」

「え?お菓子でも買うの?」

「ううん!明日、一度もみじ公園に行って妖精さんに飲み物あげるの!
スープ買ってもらったから!」

それを聞くと、にーちゃんは私に微笑んで財布から百円を出して私に渡した。

「いい子だぞ芙美香、ちゃんとお礼もしてね。」

「うん!」

にーちゃんは私の頭を撫でてくれた。
にーちゃんに褒められたぞ~!
やった~!
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