植物人間の子

うてな

文字の大きさ
136 / 222
第3章 平穏―ピースフル―

番外編 九重芙美香 5

しおりを挟む
野菜の妖精さんは、来た道をキョロキョロしながら戻っていたよ。
そんな感じに探さなくても、にーちゃんは隠れないんだけどね!
それとも、何か落し物でもしたのかな?

「まだ奴等がうろちょろとしているな…」

やつら?ってなんだろう?
なんとか研究所の人は、とっくに撒いたはずなんだけど。

すると、芙美香達の後ろから誰かの声がしたよ。

「そこ!ちょっと待ちんシャイ!」

この声は!ガラスの妖精さんの声だ!
私は振り返ったけど、そこにいたのはガラスの妖精さんじゃなかったよ。

髪は茶色だし、肌の色も普通の色。
顔は…よく見えなかった。
でも髪は短いし、妖精さんはセーラー服なのに学ランを着てた。

「誰だ貴様、この子供の知り合いか?」

野菜の妖精さんが言うと、学生さんは言ったよ。

「保護者です!」

違う!

「違うよ妖精さん!この人は芙美香の保護者じゃない!」

野菜の妖精さんは、学生を見つめながらも呆然としていたよ。
すると学生さんは悔しがる。

「キィー!妖精さんってコイツがぁ!?嫉妬しちゃうんだからぁ!」

学生さんの口調は、まるでガラスの妖精さんでした。
見た目は人間だけど、中身はガラスの妖精さん…?

いや、妖精さんは私の街にいるはずだから…この人はきっと違うね。
妖精さんの友達かも!

野菜の妖精さんは友達さんに言ったよ。

「貴様怪しい。しっしっ、不審者が消えろ。」

「オメェの方が不審者だしぃ!!」

喧嘩始まっちゃう!止めないと!

「ねぇねぇ!この人知ってる人かもしれない!」

「『かも』とは何だ、『かも』とは。」

そっか…!

「知ってる人だよ!」

「本当に知り合いか…?」

野菜の妖精さんは芙美香の言葉が信じられないみたい!
多分この人はガラスの妖精さんの友達だから平気だよ!

「とりあえず!二人とも仲良くして!早くにーちゃんを探そ!」

そう言って二人の背中を押した。
すると友達さんは言う。

「兄ちゃん探してんの?」

「うん!にーちゃん迷子だから!」

「大人って世話が焼けるわねぇ~」

友達さんの言葉に、野菜の妖精さんは何か言いたげだったけど何も言わなかったよ。
芙美香が仲裁した瞬間、二人ともちゃんと大人しくなってくれた!
私は思わずスキップしちゃった!

すると、正面の方になんとか研究所の印のついた大きな車がやってきた。
妖精さん達は警戒を始めたよ。
中から出てきた人は、誰かと連絡を取ってるみたいだった。

「周辺住人の立ち入りを禁じた。これから研究ナンバー58を放つ。
プラズマの測定準備は出来ているか?」

ナンバー58ってなんだろう…?
すると車のコンテナっぽい所から、植物の生えた人が出てきた!
妖精さんの仲間かな!?
でも二人の妖精さんと違って、生きてるって感じしないような…
妖精さん達も険しい顔をしてるし。

野菜の妖精さんは私達の前に出た。

「ここまで来たか。」

すると、友達さんは私の腕を引っ張って逃げ出すよ。
野菜の妖精さんを置いて。

「こっち芙美香!」

「何するの!」

「逃げるのよ!
コイツから!研究員から!」

「どうして!?妖精さんと車から降りてきたあの子は仲良くないの!?」

「仲良いわけないでしょ!ありゃ危険生物だから!
妖精さんにとっても、勿論芙美香にとってもよ!」

野菜の妖精さんがどんどん遠くなっていく。

結局遠くに連れてかれたまま、顔のわからない妖精さんに連れられて歩く事に。
芙美香はいつ、にーちゃんの元へ帰れるのかな?

野菜の妖精さんは腕に電気を纏うと、植物の人に襲いかかってた。
それを見る芙美香の目を、そっと隠す友達の妖精さん。
妖精さんは言った。

「いい、植物人間は危険なの。
アイツ等みんな体から植物生やしてたり、周囲に不自然な植物を生やしたりする。
それに触れちゃ絶対ダメ、人間じゃ命に関わるかもしんないし。」

妖精さんの言っている事は、難しくて芙美香にはわかんなかった。


不自然な植物に触っちゃダメ…?


芙美香はなんか、その言葉を聞くと心がムズムズするよ。

すると突然、物凄い爆音と共に一筋の風が吹いた。
それに流れて、不自然にも花びらが多く飛んできた。


花びらが散る所、芙美香は前にも見た事ある気がする。


芙美香はそれに触れようとしたけど、ガラスの妖精さんがガラスで防いできた。

「あ!妖精さん!芙美香拾おうとしてたのに!」

「もう!全然人の話聞いてないじゃない!こりゃ危険なのよぉ!?」

妖精さんはそう言って不貞腐れちゃった。
妖精さんはガラスを生やすと、色が変わってた。
黒くて、白くて。
まるで、いつも公園で見てる…

…でもその妖精さんは、この街にはいないはず。


…。

芙美香は今頃思った。
これは夢かも?
だって、全部変だもん、なんだか。
…理由はわからないけど…。

でも、夢って言うなら、にーちゃんがいつか起こしに来てくれるね!
夢を見てる時は、いっつもにーちゃんが起こしてくれるから!
それが朝の合図なの!
だからそれまでゆっくりしてよーっと!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。

四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」 突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

ねえ、テレジア。君も愛人を囲って構わない。

夏目
恋愛
愛している王子が愛人を連れてきた。私も愛人をつくっていいと言われた。私は、あなたが好きなのに。 (小説家になろう様にも投稿しています)

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢

alunam
恋愛
 婚約破棄はされなかった……そんな必要は無かったから。 既に愛情の無くなった結婚をしても相手は王太子。困る事は無かったから……  愛されない正妃なぞ珍しくもない、愛される側妃がいるから……  そして寵愛を受けた側妃が世継ぎを産み、正妃の座に成り代わろうとするのも珍しい事ではない……それが今、この時に訪れただけ……    これは婚約破棄される事のなかった愛されない正妃。元・辺境伯爵シェリオン家令嬢『フィアル・シェリオン』の知らない所で、周りの奴等が勝手に王家の連中に「ざまぁ!」する話。 ※あらすじですらシリアスが保たない程度の内容、プロット消失からの練り直し試作品、荒唐無稽でもハッピーエンドならいいんじゃい!的なガバガバ設定 それでもよろしければご一読お願い致します。更によろしければ感想・アドバイスなんかも是非是非。全十三話+オマケ一話、一日二回更新でっす!

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

別に要りませんけど?

ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」 そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。 「……別に要りませんけど?」 ※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。 ※なろうでも掲載中

処理中です...