植物人間の子

うてな

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第4章 侵食―エローション―

128 はじめてのおつかい

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秋田宇宙生物研究所にて。
そこには入院中の綺瑠に代わって、誠治がやってきていた。
誠治は研究所の白衣を着て、ヒヤヒヤした様子だった。

(うっ…ここが天下の秋田財閥が動かす研究所…!
先日お使いでエンジェルスネイティブ本社に足を運んだ時もそうだけど…やっぱり天下の財閥が動かす会社に来ると場違いな感じがして…)

誠治は完全に圧倒されていた。
誠治は研究所廊下を歩いていると、研究員の話が耳に入る。

「おいおい、代表が死んだらしいぜ?坊ちゃんも重症だって…」

「えぇ…ここはどうなってしまうんだ?」

「坊ちゃんはこのまま療養すれば退院できるって聞いたけど…」

「嫌だよ、坊ちゃんがここを動かすのさ。
秋田代表の時はちょっとお使いしたら給料プラスしてくれたけど、坊ちゃんが代表になった瞬間に戻った。
お金もっと積んでくれないかなぁ。」

「あー…わかるかも…。秋田代表はお金の融通利いたもんな。
対し坊ちゃんは、ルーズに見えて契約や管理に厳しーからなあ。」

誠治はつい気になって、話を聴きに行ってしまう。

「あのー新参者ですが…お使いとはなんですか?」

「おお、新人か!この時期に就職なんてついてないなー!」

「お使いってね、秋田代表から下される給料アップミッションさ。
自分の場合はそうだな、人間にウィルスを投与するだけのミッションだった。
十四年前の事なんだけどな、これだけで給料爆上がりしてるんだよ!」

「ウィルス…?」

誠治はそれを聞いて、呆然。

「うん。ウィルスを打たれるとな、身体の作りが人間じゃなくなってしまうんだと。
打たれた人間はどうなったか知らないが、いい仕事だろ?」

誠治は顔を真っ青にしていた。

(そんな恐ろしいお使いが…!?)

すると別の研究員が言う。

「おいおい、話すのまずかったんじゃねぇの?」

「いいだろ、別に坊ちゃんの耳に入るわけじゃないんだし。」

誠治はそれを聞いて、相手に軽く礼をした。

「教えていただきありがとうございました。今日から頑張ります。」

「おう!頑張れ新人!」



それから数十分後。
ここは研究所にある会議室。
多くのグループの班長が集まる中、誠治は緊張した様子でいる。

(大丈夫、指示する内容は全部奈江島さんから聞いたし…!大丈夫、伝言するだけだ…!)

「今回はお集まりいただきありがとうございます。
初めまして、奈江島会ちょ…奈江島代表から秘書を任されました、九重誠治と申します。
本日は、各グループに代表からの伝言を伝えさせていただきます。」

一部の人間を除き、研究所のみんなの視線が冷たい。
「なぜこんな若い男が秘書なんだ」というような顔だ。
誠治はその圧迫感に冷汗を流すと、出席していた上郷が手を挙げた。

「秘書を任されても研究所の事、何も知らないだろう。
これでも俺は秋田前代表の補佐していた、わからない事はなんでも聞いてくれ。
あ、俺は第三研究グループ二班の班長、上郷善光。よろしく。」

「あっ、あ、ありがとうございます…!よろしくお願いします…!」

誠治は頭を下げると、上郷は頷いた。
すると、別のグループのある程度歳を重ねた男性が言った。

「私は第五研究グループ、リーダーの篠田です。
今日は第二研究グループリーダーの久坂がおりませんが、後で私から連絡しておきます。」

「え…あ、はい。恐れ入ります。」

誠治は目を丸くした。

(久坂さんは第二研究グループのリーダーさんだったんですね…)

誠治は息を整えて、話を始めた。

「世界中の生物が今、植物人間にされつつあるのは皆さんご存知ですよね?
奈江島代表は、植物人間になった生物を元に戻す方法を見つけ出そうと考えています。
つまり、この研究所のこれからの目的は、それとなります。」

一同は顔を見合わせる。
誠治は続けた。

「各グループ、有志を集めてください。
第四グループは二つに別れ、片方は植物人間の花粉除去製品の改良をお願いします。製品は出来次第、各電化製品会社に生産の掛け合い、世界中に広めます。
第一グループは、各避難所の花粉量を計測、及びまとめ、植物人間の驚異やデータを各メディア等に情報提供してあげてください。
第二グループは、根無し植物人間を観ている者はすぐに植物人間を隔離してください。そうでない場合は、研究を続行してください。
第三グループと第五グループは、第四グループの残りと協力して植物人間を戻す方法を研究してもらいます。
良い成績を収めた方は、それ相応の待遇を今後約束するそうです。
慣れない場での作業が続く事が予想されますので、各班ミーティングや報告書作成を怠らないように。
 どんなに小さな事でも報告書に書いて と、代表からのお言葉です。
事務の方、全国の秋田宇宙生物研究所に今の話をご連絡お願いします。
皆さん、今日からもっと忙しくなります。一緒に頑張りましょう…!」

誠治がここまで言うと、第五グループの五班の班長が手を挙げた。

「えっと…五班は謹慎中ですが…研究に混ざってもよろしいのでしょうか…?」

すると誠治は言う。

「申し訳ありませんが、五班にはやって頂きたい事があります。
今まで研究でウィルスを投与した人間を全員、炙りだしていただきたいのです。」

すると、第一グループのとある班は言った。

「あ、人探しなら得意だから協力するよー」

「本当ですか…!」

五班の班長が言うと、誠治は微笑んで頷く。
それと同時に他の研究員もこれからについてを話し始め、会議は円滑に進む。

一気に緊張が解れ、温和になる会議室。
誠治は所々メモを取りながらも、その会議を微笑ましく見ていた。

(研究員って、とてもお堅いイメージですが…素敵な方ばかりいるんですね。)
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