植物人間の子

うてな

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第4章 侵食―エローション―

180 手も足も出ず

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クロマの力で磔にされたネオ。
しかしネオは笑顔を見せた。

「なーんちゃってさ!まだあるわよ!」

そう言うと、電気の膜がバチバチと音を立てて力が弱くなっていった。
そしてネオは膜から離れると、二つの短剣から不思議な力をまとった球を打ち出した。
クロマはそれを避けると言う。

「貴様もプラズマを扱うのか。」

ネオは舌を出してクロマを煽りながら言った。

「あったりまえ!簡単にやられるネオじゃないわよ!」

そう言って、サウザを拘束する植物を全て切り落とした。
サウザは着地すると、クロマは言う。

「ほう、貴様の力を受けた者がネオというのか。」

「そうだよクロマ。俺のたった一人の植物人間だよ!」

サウザはそう言って、強力な力を纏った。
あまりにも桁違いな力に、クロマは流石に驚いた。

「貴様ッ、そんな力をどこから出している…!」

サウザは真摯な表情で言い放つ。

「元から持ってるよッ!
…普段は国を保つ為に殆ど使っちゃってるけどね!!」

サウザはクロマを強大な力で飲み込んだ。

「ナイスだ!」

数男が言うと、クロマは呆気なく力に飲まれてしまう。

「クッ…!」

クロマが悔しそうな顔を見せると、サウザはクロマに近づいて言った。

「クロマ…、お兄ちゃんすっごく怒ってるんだよ…!クロマが考えを改めるまで、お兄ちゃんクロマの事ビシバシ怒るからね!」

クロマはサウザに力を放とうとするが、すぐに力に飲まれてかき消されてしまう。
数男は面白いのか、ニヤけが止まらず。

「コイツ案外使えるな。マリモがノミのようだ。」

それを聞いたサチは小声で言う。

「でもそんなサウザでも抵抗できなかったミンスは…もっと上って事ですよね…」

クロマは悔しがって雄叫びを上げると、大きな地響きがする。
するとサウザは驚いた。

「な!なに!?」

あまりに大きな地響きなので、サウザは慌ててしまう。

「ただの地震だ!気にするな!」

数男が言うと、サウザは更に慌てた。

「ジシン!?なにそれ!」

サウザの住む地域に地震と言うものはない。
結果、サウザは目を回し力の渦が消えてしまう。

「サウザ!」

ネオは面を食らってしまうと、床が割れてその先からグレネが現れた。

「狭ッ!おーおー今日こそ戦いの予感…!?」

グレネが喜ぶと、クロマは言う。

「グレネ!一時退散だ!」

「ハァっ!?」

グレネが言うと、クロマは壁を打ち壊し逃げていく。
グレネも慌ててそれを追いかけ、外で待機していたミンス達も連れて行った。
サウザは耳を塞いで言う。

「終わった?ジシン!」

するとネオは、耳を塞いだ手を取って言う。

「サウザのせいで逃げられたよ。」

「え!?」

サウザは目の前を見るが、壁とは思えない壊れた壁が残っているだけ。

「ええええええっ!」

サウザが落ち込むと、数男は不機嫌に舌打ちをして「クソが。」と言うのだった。


全員の拘束を解き、これから帰る様子の一同。
しかしシュンは赤子の居た場所に立ち、赤子の体を拾うのであった。
数男はシュンに近づく。
守はシュンの隣に立ち、赤子を見ていて泣き出す。

「うわ~んっ!なんでこんなに悲しいのぉ~!別に一緒にいて楽しかったわけじゃないんだからぁ~!」

守は号泣していた。
シュンは赤子をただ見つめているだけで、守の鳴き声を聴いて遂に話す。

「俺、涙出てこない。」

みんながシュンを見てしまうと、シュンは更に言った。

「弟が殺されてんのに、涙が出ない。守みたいに…泣きてぇのに。」

サチは気の毒そうな顔をしながらも呟く。

「これも彼の、サイコパスの定めなのかしら…」

数男は眉を潜めるとサチに言う。

「本当は悔しい。でも、力の副作用で何もできないんだ。」

「え…?シュン君って力の副作用効くんですか?」

サチが聞くと、数男は言った。

「今回が初めてだ。まさか子供に愛着を持ってたりな…。」

誠治はそれを見て、近くでしくしく泣いているサウザの肩を持って立ち上がらせる。
そして更にシュンの方に来て言った。

「泣いていても仕方がない。悲しいのはわかるけど、今はやるべき事があるだろう。」

誠治の優しい言葉に、シュンは呟いた。

「ありがとな、お兄さん。」

そう言うと赤子を連れて部屋を出る。

「サウザ王も、」

誠治は囁き、サウザは顔を上げた。

「次こそクロマを叱る!うぅっ…父上…!」

サウザはネオと手を繋いで部屋を出て行く。
ネオはサウザの頭を撫でて慰めていた。
他の者は顔を見合わせてから、声も発さずにバラバラと部屋を出るのであった。
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